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第三章

無人島生活一ヶ月目

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 この島に流れ着いてから毎日、木の幹に正の字を刻んでたんだけど、今日で三十日…約一ヶ月が経過した。島での暮らしは今の所順調と言って良いと思う。

 俺一人では到底生きられなかったんだけどね…。マリンのお陰で生きられていると言っても過言ではないと思う。 

 最近は弓を作り、作ったその弓で島に飛んでくる鳥も獲っている。まあ、獲っているのはマリンだけどね…。海に潜るのもマリン…。木の上になってる木の実を取るのもマリン…。

 考えれば考える程、俺何もしてねぇよ!?完全にマリンにおんぶされてる状態だよ!?

 物作りの等のアイデアを出すのは俺だけどそれだけだ。殆ど役に立っていない事に気付く…。 

「ねぇ、マリン?」 

「どうしたし?また添い寝希望し?それともパフパフでもするし?」 

「いや…それは毎日やってるじゃん」 

 添い寝で思い出したんだけど…マリンって良い匂いがするんだよね…。不思議だろ?無人島生活してる訳だから綺麗にするといっても水浴び位なんだけど、甘い様な女性特有の匂いにいつまでも包まれていたくなるというか、そういうフェロモンが漂っているとでもいうか…。 

 はっ!?まさか…それも暗殺者のスキルなのかっ!?(※違います…) 

「にしし…またあ~しの裸でも想像して大きくしてるしょっ?」 

「してないからっ!?」 

「でも…たまに勃っ…「言わせねぇよ!?」…エルのまだ小さいのがあ~しの太ももに当たってるのに?」 

 それは生理現象とも言えるモノなので触れないで欲しいものだ…。恥ずかしいんだぞ?それにやましい事は誓って全然ないんだけど毎日あんなに密着されてたら勃起位するんだっちゅ~のっ♡ 

「と、とにかく…話が逸れたから話を修正すると、俺も今日から海に潜ってみようかと…」

「それは止めた方がいいっしょっ?」 

「まさかの即答!?」 

「当たり前し…。ここまで一応は順調っしょっ?それに…そういうのを普段からしてたら別だけど、エルはした事ないしょっ?」 

「そりゃあ…そうだけど…。女の子のマリンにばっかりそんな事させてたら…」 

“キュンキュン♡ ”

「…エル♡」 

「んっ…?」 

「今のは…キュンキュン来たし♡」 

「キュンキュン要素は全く無かったよね!?」

 距離を詰められ抱き抱えられるとそのままハンモックへと強制移動。 

「あ~しをキュンキュンさせたから一緒に寝るし♡特別に…触ってもいいし」

「どこをだよっ!?」

「言わせるつもりし?しょうがないし…あ~しの か♡ふ♡く♡ぶ♡…」

 「うぉーい!?俺の手を勝手にそこに持っていくんなぁ!?」 

「ほら?濡れてるし?」

「…さ、さっきまで海にいたからでしょっ?」

「ホントにそう思うし?」

「…黙秘させて下さい」

「しょうがないし…。まだエルは早いと思ってるみたいだし、じゃあ昼迄寝るし…黙って抱かれて眠るし?(それにエルがこうして傍に居るだけであ~しは…)」 

「いや、まだ昼前だし…他にも…………」

“す~す~…す~… ”

「やばばっ!?もう寝てるしっ!?寝るの早過ぎっしょっ!?」

 これはしょうがないし?エルが寝たのならあ~しのターン!エルの頬にそっと口づけ…ちゅっ♡ 

 ふぁぁあっ!?いつもの事ながらこれは堪らんし…。癖になるし…。こんな気持ちがあ~しにもあるなんて思わなかったし…。あ~しってわりかし乙女だったしょっ?

 唇は…将来エルから奪って欲しいし…あ~しの処女も貰って欲しいし…♡

 それにこれはあ~しのエネルギー補給しょっ!必要な事し!!

  まさか一ヶ月位で歳下の男の子にこんなに夢中になるなんて思わなかったし…。あ~しって重いし?でもでも…今更エルなしなんて考えられないし…みたいな…。と、とにかくあ~しはエルの為なら何だって出来るし、捧げられるし?頬にキス位の権利は当然しょっ?



♢ 
~その頃~ 


「…え、エルが乗せられた船が…あ、嵐に巻き込まれて沈んだ可能性が高い…というのは…ホントなの?」

「…はい…ティア殿下…」

「そんな…エル…」

「…エル殿が船に乗せられた事は間違いないと、マリア殿が船を調達。ですがその後、嵐のせいで出航できず… 一方、エル殿の乗せられた船が北の大陸に辿り着いたか日数を逆算した所…まだ海上だったと判明しました…。ですので嵐に巻き込まれた可能性が高いのは間違いありません…」

「ど、どこかの島か何かで嵐をやり過ごしたとか…」

「…ございません…。あの辺りには島や船を停めておける様な所はないのです…」

「っ!?」

「それと…これも言いにくい事なのですが…エル殿が乗った船が辿り着く予定だった北の大陸の船着き場に船が入った記録はなかったとの事です」

「も…もしかしたら…別の場所に…」

「エル殿を攫った連中の仲間を新たに北の大陸の船着き場で捕らえました」

「!? そ、それでっ!?」

「そして全て吐かせましたところ、別の場所に行った可能性は船に積まれていた食料等から考えても考えられない…。そして、以上の様な事から…エル殿の乗った船は嵐に巻き込まれ…沈んだとの見解に…」

「そ…んな…」

 エル…。もう会えないなんて…嘘だよね?エルなら…エルなら嵐で船が沈もうとしても…諦めたりしないよね?そして無事に…

「わ、私もエルをマリア様と共に捜しに行きます!」

「お気持ちは分かりますが…今はなりませぬ」

「何故っ…ですかっ!?」

「各国間で色々と話し合いが行われておりますゆえ…。それに…ティア殿下が自ら行かれるのは…」

「っ…」

 自ら捜しに行く事も出来ないなんて…。お願いよ、エル?どうか…どうか無事でいて?エルなら…どんな困難も乗り越えて…また…私の前に姿を現してくれるよね?

 そう信じてもいいよね? エル……。

 








 



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