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第三章

無人島生活1週間目

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 無人島に流れ着いて早くも一週間が経過した。水を確保した後も生きる為に色々と行っている。

 まずは当然食べ物の調達だ。海で取れる主な食べ物と言えば貝や魚にヤドカリだ。マリンが素潜りが得意な事もあって銛を作ったんだ。

 竹を割って先を削ったりしてうまい具合に銛を作る事が出来た。ついでに石を割って、石の刃物も作った。これが何気に切れる事、切れる事。昔の人って偉大だとつくづく感じたよ。

 まあ、結構苦労したんだけどそのかいあって海の幸にありつけたってわけだ。神様、仏様、マリン様だな!つい、◯物語のマ◯ンちゃんを思い出してしまったよ!『リーチ』ってな! 

 森で取れる食べ物としてあげると、木の実やヤシの若茎、後は……昆虫だな…。キノコなんかも生えてはいるんだけど、流石に素人が口にするのは怖いからね。見分けが難しいしね。

 勿論寝る場所もちゃんと作ったんだぜ?少し大きめの丈夫な木が2本生えている間にナイフで切った木を蔦を使って結び付けて、屋根もちゃんと木と葉っぱを組み合わせて作って、竹で作ったハンモックも結び付けて簡易のシェルターみたいな感じで作ったんだ。寝る場所に関しては当分はこれで大丈夫だと思う。気温も暑い位だしな。

 まあ、そんな感じで一週間が経ったわけなんだけどちゃんと俺達は生きてるし、2人共元気だ。  

 一番懸念している事といえば、海上に船の姿をまだ見かけていない事かな。これはまだまだ無人島生活が続きそうだと覚悟している。

「ほらっ…エル!早く来るし?」  

「そろそろハンモックもう一つ作った方が良くないかな?」 

「一つで十分しょっ?人肌は温かいし、安心するし、問題ないっしょっ?」

 今の一番の悩みといえばコレだね。着ている衣類を洗って乾かしている間、お互い生まれたままの姿で寄り添いハンモックに横になる事。

 何故かは分からないがそうする時間が設けられたのだ…。解せぬ…。

 でも…もしかしたらマリンも不安なのかも知れない…。俺もなんだかんだでやっぱり不安だしね…。 

『へぇ~…無人島に流れついて迄…女の子とイチャイチャしてっ…。それも裸で…ふ~ん…。エルの馬鹿っ!』

 な、なんだ!?一瞬…ティアが軽蔑と怒りを含んだ様な表情でそんな事を言ってる幻が見えた気が…。気の所為だよな?疲れてるのかな?

 もしかしたら生誕祭に必ず行くと約束していたのに祝えなかったから怒っているのかもな…。無事に戻れたら…何かお詫びしないと…。





 ~sideマリン~ 



 エルと裸で抱き合ってると人肌の温かさが本当に心地良い…。なによりあの事を忘れられる。

 あ~しは…拾われて暗殺者として育てられたし。 そういう…何て言えばいいし?あっ、そうそう、武に秀でていると言われたし。だから必死にそういう技を自分のモノにしたし…。

 でも…あ~しは欠陥品と呼ばれたし…。何故なら…あ~しは人を殺す事が出来なかったし…。別にそれでも良かったし…。人を殺すなんてどうしてもいやっしょっ?

 でも……それはこの島に流れ着いて、エルに仕えてくれと言われたその日の真夜中し…。

 疲れが溜まってぐっすり眠っているエルを起こさない様にそっと離れ、あ~しは昼間に気配を感じた場所へと赴いたし…。

 その場所は流れ着いた場所から丁度反対側の海岸沿い付近。 すると向こうも気配を感じ取ったのだろう…姿を現したし…。 

「随分仲良くやってる様だな…欠陥品?」 

「…欠陥品と呼ぶなしっ?それより…生きていたし?」 

「くっはっ。流石に私も死んだかと思ったぞ?荒れ狂う海の中に放り出されたのだからな」

「どうせ任務は失敗っしょっ? リーダー?」

「…確かに…な。欠陥品の貴様の言う通りあの国では…流石に生きてはいけん。どんな理由にせよ、依頼は失敗だからな。だが…あの子供を取り引きに使えば話は別だ…。お前もそう思うだろ? 男が欲しいのは何もあの国だけではあるまい?他の国も秘密裏に極上の男が手に入るというならいくらでも取り引きに応じるだろうよ」 

「…エルを取り引きに使うつもりし?」 

「当然だ。貴様はそのままあの子供に仕えるフリをしていろ…。欠陥品でもそれ位は出来るだろ?」 

「………」 

「今度は失敗は許されん。敢えてこの間は言わなかったが、今回は言っておくぞ?貴様は?」

「…知ってたし?」

「私を誰だと思っている?それ位分からないとリーダーは務まらんだろ?」

「……子供に罪はないっしょっ?」

「任務に支障が出なかったから放っておいただけだ。だが…今度は勝手な真似はするな?」

「………」

「ここがどこだか分からんが救助の船が来たら私と貴様の2人で船を奪う。人は殺せなくても気絶させる事は出来るだろ?それで他所の国…もしくはどこかの貴族と秘密裏に取り引きして…」

「断るし」

「…何っ?」

「聞こえなかったし?あ~しはエルを取り引きなんてさせないし」 

「馬鹿か、貴様っ…この欠陥品がっ!情でも移ったとでも? それなら、一度だけあの子供を好きにさせてやるから従え。男女の関係に一度でもなれば満足だろう?好きな男の男性器を味わえるのだから…」 

「うん、絶対にイヤっしょっ」 

「…なら…ここで死ねっ!あの子供は私が好きにさせて貰ぁ…」 

 リーダーが持っていた剣に手をかける…。あ~しはそれよりも速くリーダーの真横に移動し…持ってきていた石で作った刃物で首を一閃……。 

 エルは絶対に渡さないと強く思ったら、身体が勝手に動いていた…し。

「ぁ……っ………    」 

 リーダーは首を押さえながら後退りして…海へとバシャンと倒れて…動かなくなった…。

 そして…プカプカ浮いていたソレは徐々に沖へと流れていき、発生していた離岸流により更に沖へと連れ去られる様に流れていく…。

 そして…やがてソレは見えなくなる…。 

 初めて人を殺めてしまった…。あ~しはそれを認識した途端、怖くなりその場を急ぎ後にしてエルの元へと戻ったし…。

 震えが止まらなかったし…。手に残る嫌な感触…。でも…エルの元に戻りエルを抱き寄せると震えは幾分かマシになった。

 そして、すやすやと眠るエルの寝顔を見て、エルを守れてよかった。あ~しは間違ってなかったんだと心から思う事が出来た…。

「…あ~しが必ず守るし…あ~しはエルの傍にずっと居るしょっ!あ~しはエルが居ると安心しょっ! おやすみし、エル? ちゅっ…」 

 まぁ、それ以来、エルの体温をこうして感じていないと不安になるし。依存とも言えるし。だから…とにかく今日もあ~しはエルの温もりを貰うし…。別にいいっしょっ、エル?
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