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第二章

ティアと

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 いや~、ホント大変だったよね…。うちの国の国王ときたら……。

はぁ~…。

 あの後おっぱい信者と化した陛下を止めてくれたのは意外にもハートネス女王だった。 

「…そろそろ…一人でおっぱいに関して演説しているあの人を止めてもいいかしらティアちゃん?」 

「と、止めて頂けるのなら手段は選びません。是非宜しくお願いします!」

 こくん…と首を縦に振ると同時にハートネス女王が地を蹴った。その瞬間…ブルンっと大きな塊は大きく揺れ… 

「エル?」 
「ダーリン?」 
「……」 

 いや…今のは仕方なくない?誰だって目がいくと思うんだ。ブルンだぜっ、ブルン…。

 と、とにかくハートネス女王はレインローズ国王の背後に素早く忍び寄ると首に…トン…っと手刀を当てた…。すると国王は気絶したのだろう…。糸の切れた人形の様に崩れ落ちる陛下をハートネス女王が引き寄せ受け止めている。

 ほら、よく漫画で気絶させる時に見かけるやつだ。まさか生でそれを見られるなんてな…。凄いよね。 まあ、陛下も本望じゃあないだろうか?ハートネス女王の豊満な胸に気絶しているとはいえ顔を埋めているのだから…。 

「終わったわよ?」 

「感謝します」 

「礼には及ばないわよ…。それよりこのおっぱい星じ……陛下はどうすればいいかしら?」

 今…おっぱい星人と言おうとしたよね? 

「エル…ここら辺に生ゴミを処分する所はあるかしら?」 

 その時のティアの目はマジだった…。まあ、生ゴミ扱いされても、流石に陛下が悪いんだから何も言えないけどね…。

 結局陛下は護衛としてお供していた兵士の方に泊まっている宿へと運んでもらうことになった…。 そしてハートネス女王達も一度泊まっている宿へと戻る事にしたみたいだ。陛下とは別の宿みたいで安心していた。

 あの調子じゃあ、ハートネス女王を見る度におっぱい演説を行いそうだしね。 で、ミリアはというと、当然の様にゴネていた。 

「お母さん!?もう宿に戻るのっ!?まだ昼過ぎだよ!?まだまだダーリンと過ごしたいのにーぃ!」 

「私達はまだ暫くはここにいるのだし…今日はティアちゃんに譲ってあげなさい?」 
(レインローズの変態国王が目を覚ましたらまたおっぱいおっぱい聞かされるかもしれないでしょうに…それは流石に遠慮したいですからね…) 

「そんなぁぁぁ…」 

「その事にイラッときたら仕留めちゃうかもしれないでしょ?」 
(それに良い女と言うのは攻めるだけじゃないものよ?)

  ハートネス女王…。心の声と本音が入れ替わっていますよ? 

「とにかくミリア、宿に行くわよ?またね、ティアちゃんに私達の未来の旦那様?」 

「うぅっ…分かったわお母さん。じゃあまたね、ダーリン? それにティア?今度は会う時はゆっくり話をしましょうね?」 

 2人を見送った後、 

「ティアはこれからどうする?帰るのなら送るけど…」 

「久しぶりに会ったというのにそれだけ?」

「え~と…改めて久しぶり」 
 
「久しぶり…じゃないんじゃないかな?私達友達だよね?私の去年の誕生日にもエルは会いに来てくれなかったし…初めて会った時から2年だよ、2年!その間手紙だけだよ!?」 

「それは…ほらっ、味噌作りやらなんやら色々作ったり、やったりして忙しすぎて…」 

「ランスは来てくれたよ?」

 「それはランスからの手紙で知ってるけど…そ、それにその件は手紙で謝ったよね?」

「それに王都には来てたのに何で顔も見せてくれなかったの?連絡してくれてたら少し位は会えたでしょ!?」 

「ティアが忙しいかな~と思って…」

「ミミちゃんには会ってたのに?」

「何で知って…」

 何やら浮気を疑われてる感じがするのは何故なんだっ!?

「まだまだ言いたい事はあるんだから!そこに居る侍女がレイラちゃんでしょっ?い、いくら侍女だからってレイラちゃんと一緒に寝たり、一緒にお風呂に入ったり、私より過ごす時間が長いんだけどっ!?それに私の方から会いに来たのに婚約だなんだの、しかもミリアちゃんとなんて…不潔、不潔過ぎるよっ!?それからそれからハートネス女王のおっぱいに目を奪われたりデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレしちゃって…!しかも、あのおっぱい星人はおかしいし、おっぱい星人がお父さんだと思うと悲しいし、なんとも言えないしで…それからそれから―」 

 物凄い勢いで愚痴られてるんだが!?

 しかも何故レ、レイラと風呂に入ってる事を知ってるの!?レイラの顔が何かを思い出したかの様に赤くなってるじゃん!

 それにそれは皆で入っているんだからねっ!?母さんが一人で入る許可をくれないんだよっ!?それに、そ、そんなにデレデレはしてないからっ!一瞬…そう一瞬視線を奪われた位だからっ! 後…陛下の事に関しては…気の毒としか……。ティアの事は忘れてた訳ではなくて会いたくても気軽に会ったらいけないかなと思ってて…

 いや、言い訳だな。

「…僕が悪かったよ」 

「ホントに分かってるの、エルはっ!?」 

「最初に言うべきだった…」 

「…何を?」 

ティアの手を取り… 

「会いたかったよ…ティア」 

「…っ!?  私も…私もエルにずっと会いたかった」






 それからティアに俺が住む町を案内した。

「エル!ここは?」 

「ここは味噌を使った串料理のお店だよ」

 野菜や米を串に刺して味噌を使い味付けした屋台。いわゆる味噌田楽だな…。勿論この世界では俺が展開した事業の一つ。

 店のお姉さんから3つ貰って…お金はちゃんと払ったからね?一つは少し後方で控えているレイラの分だ。 

「はい、ティア!食べてみて!」 

「うん♪いい匂い…いただきます!はむっ…あつっ…もぐもぐ……んぐっ…ごくん……お、美味しい」 

「でしょう?じゃあ俺も!もぐもぐ…ごくっ……うん…かなり美味しくなったよね」 

「かなりって…こんなに美味しいのに…まだ美味しくなるの?」 

「足りない物がこの世の中には多いからね…」

「凄いよねエルは」 

「そんな事ないよ」 

「そういうところを含めて…尊敬してるんだからね?」

「ええっと…ありがとう」 

「って…もう~…エルったら…ほらっ、ここに付いてるわよ」 

 ティアは俺の口元に付着した味噌を人差し指で掬い取ると…それをパクっと自分の口へと運んだっ…。

 えっ…何やってんのティア!? 

「ティティティティ、ティア!?」 

「…ぁっ……ふぇっ!? あうっ~」

  自分がしでかした事に気付いて、ティアの顔は物凄い速度で真っ赤に染まり色付いていく。かくいう俺も同じ感じだと思う。物凄く照れくさい。

 でも…恥ずかしいんだけど…なんというか妙に心地良い…いつまでも感じていたい空気がここには流れていた。
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