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第一章
Side 王と宰相①
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ティアが城下町で護衛達とはぐれたと聞いた時はどうなる事かと思ったもんじゃわい。なにしろ…初めての我が子。
王妃は勿論の事、側室も含めて全員妊娠しなかった。ティアが出来る迄我が子はいなかった。優秀な養子をもらおうと思っていた位だった。
明らかにワシに種がなかったのだろう。それだけは自分で分かる。王妃達には非はない。とにかく自分が不甲斐ないものじゃな。
それなのに側室の数だけは増え続けた。当然と言えば当然の事なんじゃが…。ただ、歳を重ねる度、不能になっていくのも勿論感じていた。
五十代になってからは反応すらしなくなった…。王族としての血筋はわしの代で潰える事も視野にいれ、新しい王族に相応しい者も秘密裏に捜してはいた。
だが…あの日突然…70歳を迎えた日に奇跡的に1度だけ機能した。立ったのだ。
「ワシのものが何十ぶりかに立った!!」
その日寝所に来ていたティアの母親と体を重ね、奇跡が奇跡を呼んだ様にティアを授かる事が出来た…。
まあ、とにかくそんな事もあってようやく出来た我が子は本当に可愛い!可愛過ぎじゃろ!当然甘やかしてしまう。
宰相には内緒じゃがな…。アイツは口うるさいからの…。そんな事を思い返していると、
「へ、陛下…只今戻りました」
ティアじゃ。ワシだけの天使のティアじゃっ!ティアの中の陛下の威厳は崩すわけにはいかんのでそう思っている事はおくびにもださない。
「よい、いつもの口調でいつもの様に呼んでおくれ」
「…ですが…」
「この時間は父娘の時間じゃ…じゃから、なっ?」
「…はい、お父様!ティア只今帰りました!」
むほぅ~~~♡可愛ええ~のぅ~~~♡♡
「ごほんっ…ティアが無事でよかったわい」
「ごめんなさいお父様…色んな物が売ってあったので、つい夢中になって…それに人も多かったので」
「気を付けるのじゃぞ?ティアは王家の血を受け継いでいるおるのじゃし…何よりもわしのたった一人の可愛い娘なのじゃから」
「はい、お父様!」
「─して、初めての城下町はどうじゃった?」
「楽しかったです♪凄く楽しかったですお父様♪」
「ほうかほうか…」
ずっと城の中では退屈じゃろうて…。わしも若い頃はよく抜け出しておったもんじゃ…。あの頃は治安も悪く、よく女性に裏路地に連れ込まれそうになったもんじゃわい…。
「─で、私と同じ歳の迷子の女の子に出会って、お母さんを一緒に捜してあげました…」
「ほぅ~ それは偉いのぅ~ ティアは…流石じゃっ!略してさすティアじゃな」
「それで、その時にもう一人…迷子の子に私と同じ様に声を掛けた子が居て…」
「ほぅ~ ティア以外にそんな優しい女の子が居たと?」
「いいえ、お父様。その子は男の子で…」
「そうかそうか…男なぁ~………はっ!?……………男ぉぉぉ!?男じゃとおぉぉぉー!? わしのティアに色目を使った男はどこの誰じゃい!?引っ立てて吊るして処刑して魚のエサに―」
“パカン!”
「落ち着かんか~い!この愚王がっ!!!」
「痛っ!?」
「正気に戻られましたか、王様?」
「…宰相…お主…」
「ティア様が怯えておいでですよ?」
「お、お父様が…」
「ぬなっ!? わ、わしとした事が…」
「ティア様はいずれお嫁になられて、どこぞの男にあんな事やこんな事をされるのですぞ?」
「そ、そんな事をわしが…許すわけ…」
「いつものお父様じゃないっ!?」
「ち、違うのじゃっ、ティア!これは…」
「はぁぁぁ~っ 許すも何も娘は父の手を離れるものですぞっ?」
「ぐぬぬっ…よ、嫁にはやらんもん」
「もんではございません…。今から心の準備をされていて下さい…面倒なので…」
「面倒!?面倒と言ったかっ!?」
「気のせいです…」
「お父様が…変…」
王は重度の親バカになっていた…。
王妃は勿論の事、側室も含めて全員妊娠しなかった。ティアが出来る迄我が子はいなかった。優秀な養子をもらおうと思っていた位だった。
明らかにワシに種がなかったのだろう。それだけは自分で分かる。王妃達には非はない。とにかく自分が不甲斐ないものじゃな。
それなのに側室の数だけは増え続けた。当然と言えば当然の事なんじゃが…。ただ、歳を重ねる度、不能になっていくのも勿論感じていた。
五十代になってからは反応すらしなくなった…。王族としての血筋はわしの代で潰える事も視野にいれ、新しい王族に相応しい者も秘密裏に捜してはいた。
だが…あの日突然…70歳を迎えた日に奇跡的に1度だけ機能した。立ったのだ。
「ワシのものが何十ぶりかに立った!!」
その日寝所に来ていたティアの母親と体を重ね、奇跡が奇跡を呼んだ様にティアを授かる事が出来た…。
まあ、とにかくそんな事もあってようやく出来た我が子は本当に可愛い!可愛過ぎじゃろ!当然甘やかしてしまう。
宰相には内緒じゃがな…。アイツは口うるさいからの…。そんな事を思い返していると、
「へ、陛下…只今戻りました」
ティアじゃ。ワシだけの天使のティアじゃっ!ティアの中の陛下の威厳は崩すわけにはいかんのでそう思っている事はおくびにもださない。
「よい、いつもの口調でいつもの様に呼んでおくれ」
「…ですが…」
「この時間は父娘の時間じゃ…じゃから、なっ?」
「…はい、お父様!ティア只今帰りました!」
むほぅ~~~♡可愛ええ~のぅ~~~♡♡
「ごほんっ…ティアが無事でよかったわい」
「ごめんなさいお父様…色んな物が売ってあったので、つい夢中になって…それに人も多かったので」
「気を付けるのじゃぞ?ティアは王家の血を受け継いでいるおるのじゃし…何よりもわしのたった一人の可愛い娘なのじゃから」
「はい、お父様!」
「─して、初めての城下町はどうじゃった?」
「楽しかったです♪凄く楽しかったですお父様♪」
「ほうかほうか…」
ずっと城の中では退屈じゃろうて…。わしも若い頃はよく抜け出しておったもんじゃ…。あの頃は治安も悪く、よく女性に裏路地に連れ込まれそうになったもんじゃわい…。
「─で、私と同じ歳の迷子の女の子に出会って、お母さんを一緒に捜してあげました…」
「ほぅ~ それは偉いのぅ~ ティアは…流石じゃっ!略してさすティアじゃな」
「それで、その時にもう一人…迷子の子に私と同じ様に声を掛けた子が居て…」
「ほぅ~ ティア以外にそんな優しい女の子が居たと?」
「いいえ、お父様。その子は男の子で…」
「そうかそうか…男なぁ~………はっ!?……………男ぉぉぉ!?男じゃとおぉぉぉー!? わしのティアに色目を使った男はどこの誰じゃい!?引っ立てて吊るして処刑して魚のエサに―」
“パカン!”
「落ち着かんか~い!この愚王がっ!!!」
「痛っ!?」
「正気に戻られましたか、王様?」
「…宰相…お主…」
「ティア様が怯えておいでですよ?」
「お、お父様が…」
「ぬなっ!? わ、わしとした事が…」
「ティア様はいずれお嫁になられて、どこぞの男にあんな事やこんな事をされるのですぞ?」
「そ、そんな事をわしが…許すわけ…」
「いつものお父様じゃないっ!?」
「ち、違うのじゃっ、ティア!これは…」
「はぁぁぁ~っ 許すも何も娘は父の手を離れるものですぞっ?」
「ぐぬぬっ…よ、嫁にはやらんもん」
「もんではございません…。今から心の準備をされていて下さい…面倒なので…」
「面倒!?面倒と言ったかっ!?」
「気のせいです…」
「お父様が…変…」
王は重度の親バカになっていた…。
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