上 下
13 / 24
第1部

優花の過去②

しおりを挟む
あっという間に学校を転校する当日になってしまった…。

手紙を書こうか迷ったけど結局、書けず終い。何も出来なかった自分に無性に腹が立ったが後の祭りだった…。 

私の最後の登校日…。クラスの皆から転校する私にお別れの品や寄せ書きを貰った。私からはクラスの皆に筆記用具を…。 彼とは一言も話せないまま学校が終わってしまった…。自分の不甲斐なさに泣きたくなる…。

私達家族はこの町を去り新しい転居先へ向かった。 新しい家に着いてからようやくクラスメイトから貰った物を確認。みんな色々な物をくれた…。下敷きや鉛筆…手作りの人形等…。

 そして彼が私にくれた物はうさちゃんの消しゴム。私がうさちゃんを好きなのを覚えてくれていたみたいで、そんな些細な事だけど嬉しくて涙が止まらなかった。

 寄せ書きにも目を通していく…。彼の寄せ書きの言葉は、 

『新しい学校でも頑張ってね。あんまり話せなかったけどまた会えたらうさちゃんの話をしよう!うさちゃん好きの同士よ!』

 その時初めて彼もうさちゃんが好きだったのだと気付いた。そうじゃないとあの鉛筆持ってる訳無いよね?彼は自分の大切な物を泣いていた私にくれたんだ。 

私の初恋…。

私はまた彼に逢いたい。

そしてこの初恋を実らせたい。

 そう思った私の性格は劇的に変わった。積極的にアイドルのオーディションを受け見事に合格。勉強もしっかり頑張った。 一心不乱に頑張ったお陰でアイドルとしての活動はありがたい事にかなりの人気を得られる事になった。 そして、高校を機に一人暮らしを始める。勿論あの町に住む事にしたの。昔の友達に会って彼の事を聞き、彼が行く高校へ入学する事も出来た。

入学の際クラス分けの名前を確認すると彼の名前と私の名前が同じクラスにあった。 運命が味方してくれてると思ったんだよね。

 でも入学後もなかなか喋る機会が訪れなかった。積極的に行くつもりだったのに彼を見るとドキドキして行けなかったんだよね…。 そんななか修学旅行に急遽行く事に決まったのだ。何でも政府内で突然そういうのが決まったとの事だった…。 

「チャンス!頑張れ優花《私っ》!」 

意気込んで居た私を嘲笑うかの様に旅行先に向かう途中で飛行機が急速に傾き…宙を舞う人もいた。

何でこんなことに…?怖い…怖いよっ、豊和君… そう思い彼の方に視線を向けて…豊和君の姿を視界に入れた瞬間…私の意識は遠くなったんだ…。 


****** 

─意識が戻った時に辺りを見渡すと何処かの海岸だった…。そしてこちらに向かって慌てて走ってくる豊和君の姿…。 

「あわわわわ、ゆ、夢かなっ!?私に向かって豊和君が走ってくるぅぅー!?何で!?どうして!? ―待って待って!?こ、これって…ぎゃ、逆にチャンスかも?この際、ここがどこかなんて些細な事…。私の気持ちを伝えるには絶好のシチュエーションよね?耳に聴こえるのはさざ波の音。そして2人はそれをBGMにき、きしゅ… い、イケル!やるのよ、私ぃぃぃーーー!?」 

豊和君に視線を戻すと既に私の目の前には豊和君の姿が… 

―そして…次の瞬間、私の視界から豊和君が消えた…。 

「…えっ!?」 
「くそっ!文句は後で聞くからっ!」

 私の足元から豊和君の声…。 下に視線を向けると…しゃがみ込み何かをしようとしてる豊和君と……

私? 

「ええっ────────!?どうなってるの!?な、何で私がもう1人っ!?何で何で何で!? よ、よく見るとこのおへそに繋がってる光る紐みたいなものは何!?」

 混乱する私を尻目に豊和君は私のブレザー、ブラウスのボタンを外していく…。 

「ちょっ!?ちょっちょっちょっ、ちょっと待って待って!?と、豊和君に毎日いつ見られてもいいように可愛い下着は着けてるつもりだけどっ!?きょ、今日は勝負下着じゃないからっ!?―って違ーう!?そうじゃないでしょ、私ぃぃぃ~」

 ─ブラジャーを胸上へとズラされ… 

ぷるん…ぷるるん… 

「わ、私の胸ー!?胸が露になってるぅー!?まままま、待って!?ま、まだ早いよ!?こ、告白もまだなのに…。あっ!私のおっぱいがぁぁー!?あっ…あっ…きしゅ…きしゅされてりゅぅぅぅ!?わ、私の唇…ファーストキス…感触が何も伝わって来ないよぉー!?」

 ― って、私の頭は混乱していて…若干ピンク色だった事は認めます…。豊和君の行動は私を全て私を助ける為だった。必死になって私を助けようとしてくれている。私は息して無いんだなと分かる。やがて… 

「…だ…めか?……ゴメン…ホントゴメ…ン」  

豊和君がそう言葉を洩らした瞬間… 私は引っ張られる様に私に吸い込まれていった……。

 ─そして…目が覚めると知らない天井。木の枠、土や葉っぱ等で作った天井…。上体を起こすと私の体は少しユラユラと揺れる。

 何かなと見ると竹で作られたハンモックの上に寝かされていたみたい…。全て手作りの様に見える。 ハンモックから降りて、入り口と思われる場所からは火の灯り?と、地面に置かれたペットボトルのお茶。そして地面に書かれた言葉を見る…。 

「…ホント…あの頃と貴方の優しさは変わってないんだね…。よし、現状の把握からしないといけないけど折角豊和君が傍に居る…。頑張れ私!やるのよ、私!」

 積極的に行くから覚悟してよね?私はそんな思いと共に彼の元へと向かった…。 

「豊和君…必ず…堕としてみせるからね?」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...