上 下
20 / 42
第一部

金曜日①

しおりを挟む
昨日からお兄ちゃんの様子が特におかしい。何かあったんだろうか?私にも言えない事なのかな?私は美憂ちゃんと毎朝待ち合わせるコンビニの前で色々考え込んでしまう。

「おはよー吹雪ちゃん……ってどうしたの?何かあった?」

 親友の吹雪ちゃんが来て早々、私の顔を見るなりそんな事を口にする。親友だけあって私の様子が違う事に直ぐに気付いてくれる。私は聞いて欲しかったんだと思う。お兄ちゃんの事を知ってる人に…。

「…うん…昨日からお兄ちゃんの様子が特におかしくて…今日なんか学校休んでるんだぁ…」
「お兄さんが!?」
「ここ1ヶ月位…何か悩んでるのかなぁと思ってはいたんだけど昨日は…何て言うのかな…中学の終わり頃のお兄ちゃんの顔って言えば分かる?」
「…ん…分かるよ。辛そうに…してたあの時の表情だよ…ね」
(あの時のお兄さんは生きる意味を無くしてた…そんな感じだった。学校であんな事が合ったら当然そうなるよね…あの時の私はうまく支えてあげられなかった…)

「そうなの…あの頃よりも昨日の表情は酷かったかも…」
「…お兄さん1人にして大丈夫なの?」
「お兄ちゃんは体調が優れないだけだから寝とけば治る。だから気にしないで大丈夫って言ってたけど…」
「…ねぇ……吹雪ちゃん…」
「うん…どうしたの美憂ちゃん?」
「私達親友だよね?」
「うん、勿論」
「お兄さんとの事応援してくれるんだよね?」
「うん。それも勿論応援するけど…」
「良いんだよね?私がお兄さんと結ばれても…」
「え~と…何でそんな事聞くの?」
「吹雪ちゃんって…お兄さんの事異性として好きな訳じゃ無いよね?」
「…そ、そんなの当たり前じゃん…きょ、兄妹だし…」
「だったら…吹雪ちゃんの家の鍵…私に貸してくれないかな?」
「…えっ?」
「私がお兄さんの事見てるから…」

「…うん………分かった。これ家の鍵だよ。お兄ちゃんをお願いね…美憂ちゃん」

「ありがとう吹雪ちゃん。…私に任せてくれて…。でも…後で?」

美憂ちゃんは私から鍵を受け取るとこちらを振り返らずに私の自宅へと駆け出した。私は美憂ちゃんの後ろ姿をその姿が見えなくなる迄見送った。そのかんも美憂ちゃんの言葉が私の心の中を何度もよぎっていた。後悔…?美憂ちゃんに任せるのに後悔は…無い。…筈だよね?何でだろう…私…何で泣いてるの………?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋愛ゲームのモブに転生した俺!~ヒロインキャラが全員好感度MAXなのは気のせいでしょうか?

美鈴
ファンタジー
恋愛ゲームのヒロイン全員を攻略し終えた瞬間何故かゲームのモブに転生していた。モブだから平穏に生きようと決めたのにヒロイン全員寄って来るのですがなんでですか?しかもゲームはまだ本編始まってないですよね? ※エロには★がついています。 ※カクヨム様にも投稿しておりますが内容が異なります。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

男がほとんどいない世界に転生したんですけど…………どうすればいいですか?

かえるの歌🐸
恋愛
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。 主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。 ここでの男女比は狂っている。 そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に恋を楽しんだり、学校生活を楽しんでいく。 この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この作品はカクヨムや小説家になろうで連載している物の改訂版です。 投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。 必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。 1話約3000文字以上くらいで書いています。 誤字脱字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

俺がカノジョに寝取られた理由

下城米雪
ライト文芸
その夜、知らない男の上に半裸で跨る幼馴染の姿を見た俺は…… ※完結。予約投稿済。最終話は6月27日公開

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...