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第一部

side幸子

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豊ちゃんと私の家はお互いの家が確認出来る程近い。同じ歳ということもあり幼稚園の頃からの付き合いになる。豊ちゃんの両親と私の両親の仲も凄く良く早く付き合ってモノにしなさいと迄言われている。なんなら抱かれなさいって。豊和君は責任とってくれるからって。

分かっている。ずっ~と幼い頃からの私自身の豊ちゃんへの想い。困った時は助けてくれて、隣にいるのは当たり前。いつも私に合わせてくれて、たまに言ってくれる褒め言葉は嬉しいけど心臓に悪い(笑)。だってストレートに真面目な顔でこちらが照れる事を言われるから私の心は一杯一杯だ。

中学の時、深雪が引っ越して来た。私達は直ぐに仲良くなれた。まさか深雪迄、豊ちゃんに惚れるとは思っていなかったけど。友達であり恋のライバル。豊ちゃんは気付いていないだけで何気にモテやがるのだ。どれだけ深雪と周りに私達の豊ちゃんに手を出さないでと広めた事か…はぁ~…。

まぁ、私も早く豊ちゃんに告白していれば良かったんだけどなぁ…。やっぱり今を失うのは怖い。だから言えなかった…。

 そうこう悩んでいる内に5人も新しくライバルが出現。どういう事ぉ!と叫ばなかった私を誰か褒めて欲しい。はぁ~…深雪を含めて可愛い子ばかり6人かぁ…………………。
もう増えないよね?大丈夫だよね?これ以上ライバルが増える前に勇気を出して告白しないと豊ちゃんが先に取られちゃう!豊ちゃんが先に取られるのは絶対に嫌!一番最初に付き合うのは私なんだから!

今日の遥ちゃんみたいに積極的に皆に動かれたら絶対豊ちゃんのファーストキス奪われちゃう。幼い頃からの想いを胸に明日の朝、勝負を懸けてみせる!

「豊ちゃん好きぃ!大好きぃ~!!絶対に他の子に絶対負けないんだからぁ~!」

コンコン!

「何っ?」

「…幸子、お母さんだけど…」

「んっ?開いてるよ、どうぞ」

ガチャ!

「どうしたのお母さん?」

「近所迷惑になるから一言言いに来ただけよ」

「えっ…と…近所迷惑って?」

「豊和君の事が好き、大好きなのはちゃんと分かってる事だから静かにして寝なさい」

「…んっ…お母さん…何て?」

「…あんた気付いて無かったの?窓も開いてるのに物凄く大きな声で近所中に豊和君好きぃ!と叫んでいたわよ!いっその事、豊和君の家迄聞こえていれば良いのにね?ホント意気地が無いところは誰に似たんだか…」

「…ふ、ふぇ!?」

「まぁ、あんたが豊和君好きなのは近所中知ってるから今更だけどね。皆…今頃、幸子が漸く告白かと言ってる頃だと思うわよ?とにかく頑張ってモノにしなさい!お母さんもお父さんも応援してるから。じゃあ~おやすみ!」

バタン!





─「ふぁ────────────!?」

聞かれてたのぉぉ!?


「コラァー!静かにしなさいと言ったでしょう!幸子ぉー!」

 近所の人に知られてるとは思わなかった。くぅ~、こうなったらもう、恥ずかしい事なんて無いんだから!見てなさい豊ちゃん?積極的になった私を見せてあげるんだから!
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