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「おねーさま!」

 妹キャロルはふわふわとした波打つ金の髪に、愛らしい、美人の母に似た顔立ち。
 何よりも無邪気に私を慕ってくるのが、心底可愛かった。

「キャロル、ああかわいい」

 妹は頭をわしゃわしゃ撫でられるのが好きだ。
 私がそうやって撫でると、恥ずかしそうに笑いながら、私に抱き着いてくる。

「うふふふ、もっと撫でてー」
「よーしよーし、わしゃわしゃわしゃ!」
「うふふふふ」

 そんな私達の様子を、少し離れた場所にいる両親が、微笑ましそうな表情で見ていた。
 きっと「本当に仲が良くて嬉しいわ」と母は言っているだろう。
 父は「これからもずっと、ディーナとキャロルは仲良くし続けてもらいたいな」と応じているはずだ。

 でも両親は知らない。なぜ妹がこんなにも私になついているのか、その理由を。

「ああ、も一回犬に戻ってもいーなー。今は骨かじるとおこられるし、おねーさまに投げてもらって取りに行くこともダメって言われるし」
「キャロル。今は人間なんだから、我慢よ? 代わりにおいしいクッキーを食べましょうね」
「うん!」

 輝くような笑顔を見せる妹のキャロル。
 そう、この子の前世は……私の飼い犬だったのだ。
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