76 / 169
〘76〙伸びしろ
しおりを挟む週末の壺の間で、アカラギと性交中のハルチカは、「はァんッ」と息を洩らし、体内領域に挿入された異質な温もりに、素直に悦がった。
「んッ、……んッ、……あんッ、哥さ……ん……、あㇵんッ、すご……く……、い……いいッ! あァんッ!」
右の乳頭を吸いながら左の乳首を指でつまんで刺激をあたえ、ゆさゆさと腰を動かすアカラギは、ハルチカの躰に、どこにも余計な力がはいっていないことを感じた。とほうもなく無防備だが、アカラギから受ける外的な刺激に従順な反応を示す姿は、淫らというより、艶かしく、興奮の度合いが増していく。
「あッ!? あんッ、あんッ! 哥さん……、いきなり、そんなにきたら……、だ、だめぇ!」
浅いところで快感にひたるハルチカだったが、アカラギの腰つきが激しくなると、がまんできずに精液を放出した。ハルチカ自身は無意識とはいえ、アカラギによる性器の挿入を拒む理由などないため、細胞レベルで受け身の体質を発揮して、深いところまでつながることができた。
「あッ、あッ! ひ、ひぁッ、……なに……これ……、あッ、あッ!? ……哥さん……ッ、哥さぁん……ッ!」
最奥を突かれるハルチカは、極上の刺激と快楽を求めて、アカラギの腕に身をゆだねた。まったく無抵抗の状態となったハルチカを、存分にあえがせるアカラギは、優越感に支配されそうになる意識をふりはらい、性教育であることを重視した。
「おまえ、こんな奥まで客にも突かせているのか、」
「……え? な、なにか云った?」
「少しは自衛しろ。さすがに、これほどまでとは云ってない。」
「な、なんの話? あッ、あんッ!」
アカラギの手応えは充分すぎるため、過度な肉体奉仕を危惧した。それどころではないハルチカは、なにを注意されたのかわからず、いつも以上に淫らな状態で、今にも昇天寸前となる。実際、アカラギほど深く内奥を突ける人物はいない。それは、玉茎の長さや太さといった外的な要因ではなく、相性の問題だった。ハルチカの神経細胞は、アカラギの熱量を感知すると、無条件で降伏モードに突入してしまう。多少の生理的な反発は起きても、精神面に余裕がみられなくても、肉体は敏感に反応した。
「……哥さん……の、好き……に……してぇ……! あぁァあぁーッ!!」
腹底へ中出しされるハルチカは、いっそ、世界が毀れてしまえばいいと思った。他者の将来など考えない。アカラギとふたりで瓦礫のうえに立つハルチカは、世界中で、いちばんのしあわせ者である。そうして、好きな男と、イチから未来を構築するのだ。そんな幻をみて「ふふふ……」と笑みを浮かべるハルチカは、目のまえのアカラギにしがみつき、けっして、離れたくないと願った。
ハルチカの肉体改造は、当初の手ほどきで完了していたが、タカムラが示唆する欠点は、不安定になりやすい感情や、ハルチカの心の成長であり、アカラギとの親密な関係を継続することで、補修は可能だった。ハルチカの伸びしろは、まだ多方面に残されている。
「ハァハァッ、……んッ、くぅッ!」
肉体の結合を解かれたハルチカは、横向きに背中を丸めて、腹部を両手で包みこんだ。異変に気づいたアカラギは「どうした?」といって、ふるえる肩に手を添えた。すると、ハルチカは、ニコッと笑って見せた。
「おなかのなかにある哥さんの精液を、一滴もこぼしたくないなと思って……、」
逆流を防ぐためのポーズらしい。心配して声をかけたアカラギは、「変態め。」と呆れ顔になる。汗ばむ躰を手ぬぐいで拭くと、紬単衣の袖に腕をとおし、あざかな手つきで角帯を結んだ。
✓つづく
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
待てって言われたから…
ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる