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第333話
しおりを挟む「……っ!? ま、待て!! 少し待つのだ、キョースケっ!!」
「……どうした? もう全部入ってるぞ。いったん抜くか?」
「ち、ちがう! そうではなく、まだ動くでない!」
「わかった。……ごめんな。」
「あ、謝るな!!」
「ジルヴァン……オレは……、」
「何も云うでない! 少し待つのだ……っ、」
「……了解。」
ジルヴァンの全身は、微かに慄えていた。恭介の欲望の肉塊を受け入れた腹底は、異質な温もりで圧迫されていたが、拒絶したくなるほどの痛みはなく、むしろ、この上ない快感に捉われた。久々の感覚に、感情表現が迷子になるジルヴァンを、恭介が心配そうに見つめる。
「……やっ、やめよ、キョースケ、吾を見るな!」
「うん? なんでだよ? べつに恥ずかしがらなくていいぞ。……オレは、ジルヴァンに会いたくて仕方がなかったンだ。一瞬たりとも、目を離したくない気分だ。」
「……み、耳許で喋るなぁ……っ、」
互いの肉体が結合している状況で悪態づくジルヴァンは、恭介の興奮を余計に刺激した。
(……おいおい、反応がかわいすぎるだろ。……ジルヴァンって、こんな幼い感じだったか?)
気恥かしくてたまらないジルヴァンは、「いや、いや」と云って首を小さく振るため、一国の王子らしい気高さは微塵もない。無防備に肌を晒して股をひらく姿は、あまりにも淫らに思えた。
(……ジルヴァンが王子という立場でなければ、もっと気楽に抱き合えたのかもな。オレたちの身分は、あまりにも差がありすぎる。……こんな風に性交できるのは情人の役目だからで、オレがどんなに頑張っても、正式な恋人にはなれないンだよな……)
恭介は残念な思考に及ぶが、ジルヴァンの首筋へ接吻をすると、乳首を指先で撫でた。ピンッと硬くなっている乳頭を前歯でカリッと挟むと、「ひゃっ!?」と、ジルヴァンが叫ぶ。
「……ジルヴァン、もういいか?」
動きださなければ終われない恭介は、ジルヴァンの膝の下に手を添えると、さりげなく、もう少しだけ股をひらかせた。第6王子の心臓はドクドクドクッと、張り裂けそうなほど速い鼓動を刻む。恭介はジルヴァンの返事を待たず、抜き挿しを開始した。何度も続けて腰を突き上げてくる恭介を、ジルヴァンは従順に受け入れた。
「あっ、あんっ! キョースケぇ! ……あぅっ!!」
体内領域の深部に隠された性感帯を恭介の一物で摩擦されるジルヴァンは、次第に呼吸が激しく乱れていった。どちらも性交によって齎される幸福感と悦楽に、しばし夢中になる。薄暗い寝間に、恭介の息づかいとジルヴァンのあえぎ声が充満する。ギッギッ、ギシッと、小刻みに軋む寝台の音は、今までの共寝より、いちばん長く響いた。やがて、互いの絶頂に到達すると、同時に力尽きる。ふたりの下半身は、びっしょり濡れていた。その後、恭介はズルッと腰を引き抜き、放心状態となっているジルヴァンの髪を、やさしく撫でた。
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