292 / 364
第291話
しおりを挟むジルヴァンと裸身で抱き合う恭介だが、ふたつの事柄を胸の奥に秘めていた。日本人だという正体と、文官試験を控える身という事実である。
「ジルヴァン……、」
肥大した異質な温もりを体内へ挿入されたジルヴァンは、瞼をとじて小さく全身を慄わせている。内壁に過度な圧迫感と痛みを受けているため、口唇までカタカタと小刻みに揺れだした。
(かなり無理してるよな。……このまま続けるより、いっかい宥めたほうがよさそうだ……)
見るからに、恭介が腰を動かせる状態ではない。これから最奥まで突かれるジルヴァンは、久しぶりの感覚に下半身の筋肉が硬張っている。恭介は第6王子の胸板へ指を這わせ、首筋へ吸いつくと、密着させていた腰を引き抜いた。
「……っ!? ……キ、キョースケよ、なぜやめるのだ?」
「……少し待ってからにしようと思って、」
「待つとは、何を……?」
「ジルヴァンが、もっとオレを欲しがるまで。」
「この期に及んで、貴様は何を申しておる!」
「そう怒るなって。かわいすぎて、よけい興奮するからさ。」
「なっ!? キョースケめがぁ!!」
「はははっ。好きだぜ、ジルヴァン。」
「う、うるさい! ふざけるでないわ!」
ジルヴァンからドスドスと軽い膝蹴りを喰らった恭介は、脇腹がくすぐったくて「あははっ」と、さらに笑えてしまった。寝台の上でジルヴァンと過ごせる時間は幸福でしかない。受け身の精神状態を気にかけつつ、恭介とジルヴァンは性交を続けた。
「……挿れるよ。」
「そ、そうせよ。あっ、んんっ!!」
「今度こそ動いてもいいよな? ……それともまだ痛いか?」
「す、好きにせぬか! 最初から痛くなどない!」
「うん? そこは強がるなって。キミは素直で嘘がつけないタイプなんだからさ。」
「挿れながら人を茶化すな! 悪趣味ではないか!?」
「いや、茶化してるつもりはねぇんだけど……、次からは、もっと他の言葉を選ぶように努力するよ。ごめんな。」
「……あっ、んっ! キョースケぇ!!」
ギシギシと寝台の軋む音と、ジルヴァンの悦がる声が恭介の聴覚を刺激する。これまでも互いの温もりを求めて何度も肉体をつなげてきたが、激しさは増してゆくばかりで、ふたりの情熱は冷めるところを知らない。
「キ、キョースケっ、わ、吾は……もう……でる!」
「ああ、イってくれ。オレも限界だ。」
「……くっ、うっ、キョースケぇ!!」
「……っ! ジルヴァン……!」
ほぼ同時に快感の絶頂を迎えた恭介だが、射精後もジルヴァンの体内から離れず、いつもより長く余韻に浸ることにした。青空に眩しい太陽が昇るまで肌と肌を触れ合い、特別で濃密な共寝を堪能した。
* * * * * *
1
お気に入りに追加
178
あなたにおすすめの小説
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
前話
【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
【完結】転生してどエロく嫁をカスタマイズした
そば太郎
BL
BL小説やゲームが大好物な俺が、仕事帰りに神様のミスで死んでしまった。神様からは、補償特典をつけて、異世界に転生させてくれるって。まじか?
俺は、、、俺が願うのは、、、エロい嫁が欲しい!お願い。神様、俺専用の嫁が欲しいです!
ガチムチ、男前、雄っぱいがむちむちな、すっごーいどエロい嫁が欲しいです!ちなみに、どエロい程度は俺基準です!
※主人公攻め 嫁一筋 浮気はしません!
※作者自身が、文章作成スキルを持ち合わせてないので、設定が甘かったり、文章がつたないのは、スルーしてください!すみません。
※キーワードが注意
※最初の方は、嫁不在のため、他CPのHがあります!両親のHもでてくるので。注意
※中盤以降マニアックプレイ気をつけてください!
※ムーンさんでも投稿してます!
軟禁兄弟
ミヒロ
BL
両親の不仲に耐えられず、家出した優、高校1年生。行き場のない優はお兄さんに養われていたが...。
※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)
過ちを犯した王太子妃は、王太子の愛にふたたび囚われる
ごろごろみかん。
恋愛
あの日、王太子妃ニルシェは過ちを犯してしまった。
自分のことだけを考え、結果として、いちばん大切なひとを傷つけてしまった──。
これは贖罪なのか、それとも罰なのか。
悲愴の死を迎えたニルシェは、ふたたび生を受け、新しい人生を送ることになる。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
番+メイド+ペット+肉便器
アズサ
恋愛
まぁまぁお金持ちの貴族の家の不義の家の子として生まれたソフィアは12歳になったある日、市民街に捨てられた、そんな時に当時14歳だった王太子であったルカディオが番であったソフィアを見つけ、、
クソみたいな話です。
最凶の悪役令嬢になりますわ 〜処刑される未来を回避するために、敵国に逃げました〜
鬱沢色素
恋愛
伯爵家の令嬢であるエルナは、第一王子のレナルドの婚約者だ。
しかしレナルドはエルナを軽んじ、平民のアイリスと仲睦まじくしていた。
さらにあらぬ疑いをかけられ、エルナは『悪役令嬢』として処刑されてしまう。
だが、エルナが目を覚ますと、レナルドに婚約の一時停止を告げられた翌日に死に戻っていた。
破滅は一年後。
いずれ滅ぶ祖国を見捨て、エルナは敵国の王子殿下の元へ向かうが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる