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7.花と妖精のお祭り

1話

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 クロード様が最近しつこい。

 最近というか婚約解消を申し出てからずっとそうなのだけれど、ダンスパーティー以降きっぱり拒絶するようになってからもなお近づいてくるのだ。

 むしろ前よりしつこくなった気がする。

「エミリア、おはよう。今日も早いな! よかったら今日の放課後、カフェに寄っていかないか?」

 今日も朝からクロード様は無駄に明るい声で話しかけてくる。

 ダンスパーティー以降、屋敷の前まで迎えに来るクロード様を振り払って自分の馬車で登校していたら、諦めて迎えには来なくなった。

 けれど相変わらず朝は玄関ホールで待ち構えていて、顔を見るなり近づいてくる。


「いえ、結構です。そこをどいてもらえますか」

「つれないな。まだ授業まで時間はあるだろ? 少しくらい……」

「どいてもらえますか」

 冷めた声でそう言うと、クロード様は明らかにしょんぼりした様子で道を開けた。

 あまりに落ち込んだ様子なので、一瞬かわいそうになってしまった自分が悔しい。以前、私が声をかけても何をしても素っ気ない返事を返すだけだったのはクロード様のほうなのに。

「……エミリア! 今日の昼も迎えに行くから、また庭で一緒に食べよう!」

 まだめげていなかったらしいクロード様が後ろから声をかけてくる。私は「友人と食べるので来ないでください」とだけ言って、教室まで足を進めた。

 後ろからクロード様がまだ呼んでいる気がしたけれど、気にせず歩き続けた。
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