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1.我慢の限界です!
7話
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「俺がいつそんなことを言った」
「言葉にして言われなくてもわかります。クロード様は私が話しかけても冷たい顔を向けるばかりで、ろくに返事すらしてくれないではないですか。プレゼントもつき返されて、外出に誘っても毎回断られれば、さすがに私も傷つきます」
「それは……」
クロード様は気まずげに視線を彷徨わせる。まさか、ひどい態度を取っている自覚がなかったのだろうか。
けれど、クロード様がどう思っていたのであろうと今の私にはどうでもよかった。
今までなら決して言えなかった本音が口から溢れる。
「クロード様、私、もう疲れてしまったんです」
そう言ったらクロード様は大きく目を見開く。クロード様の顔が一瞬、泣きそうに歪む。しかしそれは気のせいかと思うほど一瞬のことで、クロード様はすぐに怖い顔に戻って私の肩を掴んだ。
「ふざけるな! 貴族同士の婚約がそんなつまらない理由で解消できると思っているのか!?」
「何をおっしゃってるんですか。私たちの婚約は絶対に維持しなければならないものではないでしょう? 私たちが結婚した方が両家に取って多少都合がいいというだけで」
実際、うちの両親はクロード様との婚約を解消したいと頼むと心配そうに何度も理由を聞いてきたものの、最終的には許してくれた。
濁して伝えはしたものの、クロード様の態度に思うところはあったのだろう。
最後には、二人の意思を確認せず、幼い頃に婚約を決めたことを申し訳ないと謝られてしまったくらいだ。
「言葉にして言われなくてもわかります。クロード様は私が話しかけても冷たい顔を向けるばかりで、ろくに返事すらしてくれないではないですか。プレゼントもつき返されて、外出に誘っても毎回断られれば、さすがに私も傷つきます」
「それは……」
クロード様は気まずげに視線を彷徨わせる。まさか、ひどい態度を取っている自覚がなかったのだろうか。
けれど、クロード様がどう思っていたのであろうと今の私にはどうでもよかった。
今までなら決して言えなかった本音が口から溢れる。
「クロード様、私、もう疲れてしまったんです」
そう言ったらクロード様は大きく目を見開く。クロード様の顔が一瞬、泣きそうに歪む。しかしそれは気のせいかと思うほど一瞬のことで、クロード様はすぐに怖い顔に戻って私の肩を掴んだ。
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「何をおっしゃってるんですか。私たちの婚約は絶対に維持しなければならないものではないでしょう? 私たちが結婚した方が両家に取って多少都合がいいというだけで」
実際、うちの両親はクロード様との婚約を解消したいと頼むと心配そうに何度も理由を聞いてきたものの、最終的には許してくれた。
濁して伝えはしたものの、クロード様の態度に思うところはあったのだろう。
最後には、二人の意思を確認せず、幼い頃に婚約を決めたことを申し訳ないと謝られてしまったくらいだ。
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