上 下
8 / 35
第1章 ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル

#7 エスタ・フレミング

しおりを挟む

「間違いない。エスタ、だよね。どうして、こんな――」


「シャーリー……」


「エスタ、」


 だが、シャーリーの目の前に居る彼女は。


「……ッ」


 不意に目を背けた。身を捩ってベッドから降りた。


「エスタ!?」


 それから、その場に居る全員を振り切って部屋から出ていった。空間に足音が残る。


 シャーリーは弾かれたようにその後に続く。


「なんでッ……!?」


 逃げ出した彼女を追って、部屋を出る。


「……」


 フェイとチヨは顔を見合わせた。


 3秒後。

 ――彼女たちも、それに続いた。





 少女がストリートを全力で疾走し、その後ろをシャーリーが必死に追いかける。


「なんで、なんで逃げるッ!?」


「……ッ、……ッ」


 その後方からシトロエンが続き、2人の逃走劇を見守り始める。


 胡乱な目をした道行く者達が、この地を進むにふさわしくない軽い身なりをした2人の少女を訝しげに見ている。トタンの瓦礫、あるいは焚き火の煙越しに。


 散らばったゴミ箱、折れ曲がった標識を通り過ぎながら二人は走っていく。エスタは角を曲がった。シャーリーもそれに続く。駐車された凹みだらけのワゴンから黒人が出てきてシャーリーの前に立ちふさがる。


「へい嬢ちゃん、そんなに急いでどこに行くんだ、俺と一緒に――」

「ごめんなさいッ! それどころじゃないんです!!」


 相手の言っていることをよく聞くこともせず、シャーリーはその腕をすり抜ける。


 黒人は痰を吐いてからシャーリーを追おうとする――が、そこにクラクションを鳴らしながら車が通り過ぎる。もう少しで男は跳ねられそうになった。


「ワッツ!? 危ねえ、」


 そして男はそのシトロエンの窓から顔を出す和装の少女の、殺気に溢れた表情を見た。

 男は背筋が凍って、ひとつのことを思った。


「なんで……俺が悪いみたいになってんだ……」


 少女は走っていく。どこまでも。エスタは追跡していく。


 道に座り込んだ若者のグループを突っぱねて、悪態を背中に受けながらどこまでも。

 至るところに、野放図に駐車された車がある。それらに行く手を阻まれながらも進んでいく。少女はそのたびに遠のくが、それでも諦めずに追跡していく。


 何度か、跳ねられそうになる。


「馬鹿野郎、殺されてぇのかッ!!」


 だがシャーリーはそれすら無視して進んでいく……狭い路地に入っていく。後ろにシトロエン。一度停車し、ドリフトして別の道へ。


 少女は柵を乗り越えて、薄暗く狭い階段の下へ。そこは原色の色彩と激しいドローンミュージックに彩られたクラブのような場所だった。


 様々な姿をした者達が我を忘れて踊り狂っている。エスタはその中に潜り込み、その奥へ奥へと進んでいく。シャーリーも続く。


「ねぇ、お姉ちゃん……僕らと直結しない? 種族は関係ないよ……みんなでアルカディアに行けるんだ……」


 その場所の隅には、機械人テロド達による集会が行われていた。円陣を組んで、何やらその中心にあるコード類の塊を崇め奉っている。シャーリーの行く手にはそれがあった……フェイはその先に居た。突っ切るしかなかった。


「ごめんなさーいッ!!!!」


 意を決して、その場所を正面から突破した。コード類がぶっ飛んで、その周囲の者達が悲鳴を上げていく。


「アアアアアアアーーーーッ!!!!」

「なんて、なんてひどいことを、」  


 エスタは既に反対側の出口から地上に出ていた。シャーリーも続いた。光が溢れて、空の下へと辿り着く。それから再び、追走が再開される。頭の中で先程の空間の重低音がガンガン響いていた。シャーリーは耳を抑えて顔をしかめながら進んでいった。


 逃げていく、逃げていく……。


「エスタ、待って!! 話を聞いてッ!!」


「嫌だ、絶対に嫌ッ……」


 大音量のロックミュージックを流しながら、一際大きなトラックが歩道に乗り上げながら目の前を通り過ぎていく。2人は隔てられ、エスタの姿が見えなくなる。シャーリーはその場で足踏みする。トラックが通り過ぎる。走るのを再開する。さらに角を曲がる。


 ……誰かにぶつかった。


「……おい」


 岩のような肌を持つ巨漢が目の前に影を作り、シャーリーを睨みつけていた。殺気。彼の拳が迫った。


「ごめんなさいッ!!」


 ――シャーリーは避けた。股の間をくぐり抜けて、その先のはるか遠くに行っているエスタを追ったのだ。


「ぐあッ!!??」


 悲鳴が上がる――巨漢の拳は確かに相手の顔面に炸裂していた。

 そう。偶然シャーリーの後方に居た者に。


「……」


「おい」


 その男は、全身に入れ墨と金細工を施し、禿げ上がった頭頂部に角を生やした人相の悪い男だった。その顔が腫れて、血がべったりついている。


「――……俺がグライムス・ギャングのメンバーだってことを知ってての拳か? こりゃ。ええ??」


 巨漢の顔が一瞬ごとに青ざめていく……殴られた男の後方に、わらわらと男たちが募っていく。


 ……そうして、シャーリーが間接的な原因で何らかの火種が切って落とされた。彼女の後方で悲鳴が上がり、何やら物騒な複数の炸裂音が響き渡り始め、とうとう爆発音まで聞こえ始めた。


 彼女は一瞬振り向いた……が、そもそも自分は拳を避けただけだった。


 額に汗を垂らしながら、シャーリーは再び前を向いて走り出した。後方で賑やかな数々の音が炸裂し、どういうわけか乱闘が始まっている。多くの者達が殴り合い、吹き飛ばされあっている。彼女は走る、走る、走る――エスタを、追いかける!!





「平和ねぇ」


「……」


「グロリアさん、ミランダさん、コーヒーどうぞっス」


「ありがと」

「……」


「……」

「……」


「これ濃す「薄すぎない?」


「……」


「……」


「……やべっ」


 ――2人は、同時に向かい合って牙を剥いた。





 少女は薄汚れた集合住宅の屋上に来ていた。室外機がすぐ傍で唸りを上げて、その傍らには木造の小さな小屋。中で鶏が合唱し、そのにおいが外まで漂ってくる。


 小柄な老婆がほうきでその小屋の周辺を掃除しながら、膝に手をついて荒く息を吐く少女を怪訝な顔で見ている。


「ここなら……もう……」


「――なんでだーーーーッ!! エスターーーーッ!!」


「!? キャーーーーーーーーーーッ!!!!」


 シャーリーは屋上の縁から、不意に頭を出してきた。エスタは絶叫した。どうやって登ってきたのだろうか。そして再び逃走劇が再開された……。



 ……それから、数十分後。


「……っ」


「やっと……っ」


 シャーリーは、エスタを路地裏の壁際に追い詰めていた。コンクリート造りの、八方塞がりの場所である。


 ぶちまけられたゴミ箱の傍をねずみが走っていく。先程まですぐ近くの壁では、身体から触手を伸ばした男と腕が複数生えた男が向かい合って言葉をかわしていたが、少女たちがやってきてから興が削がれたのか、その場から退散していった。

 

 そういうわけで今、エスタの背中にはコンクリートの壁だけがある。


 ……シトロエンはそのすぐ近くに駐車する。フェイは双眼鏡で2人を見ている。

 

 少女は――エスタは息を吐きながら、両腕で身体をかき抱いている。華奢で小柄な、ワンピースに包まれた身体。焦茶色の髪は両端が小さく結ばれており、その顔は汗に濡れつつも、僅かに腫れあがっている。


「やっと……」


 シャーリーは息を整えてから、ややためらいがちに彼女の方を向いた。


「やっと……会えた」


 ――10年だ。

 その歳月を経て、今出会えた。

 困惑と嬉しさが混じった気持ち。どういう気持ちで、彼女を見れば良いのかわからない。


 エスタは――紛れもなく、エスタだった。

 しかし、何かが彼女の中で変わっている。

 今のシャーリーには、そんな風に見えていた。

 だが――それでもなお、今言うべきことは一つだった。


「怪我は大丈夫なの、エスタ……手当をしないと……あの男は一体誰なの」


 駆け寄りたい気持ちはあったが、身体はそれをすることがなかった。何かが、その行動を阻んでいた。


 これが10年前なら、すぐにでも彼女の頬に手を当てて、その痛みを嘆いていたはずなのに。


「ねぇ、エスタ――答えて……」


「あなたには……関係ない」


「……っ」


 その言い方は冷たく、棘があった。シャーリーの胸の中に、たしかに突き刺さる感覚があった。言葉に詰まる。混乱が加速する。


「でも……でも、手当てしないと……」


「いいよ。どうせ大したことじゃない」


「そんな……」


 そう言われてしまえば、その先の言葉を飲み込むしかなくなる。2人の間には確かな距離が空いていた。お互い、一歩も動かない。空気が淀んで、漂っていく。日陰の不快感。コンクリート壁の落書きが、どうすることもできないシャーリーをあざ笑っているかのようだった――“誰も最適を知らないネバー・ノウズ・ベスト”。


「エスタ……」


 シャーリーの手が半端に伸びて、空中で固まる。ずっと後ろに車が停まっていて、成り行きを見守っているのには気付いていない。エスタは……かき抱く手を下に降ろして、低く……ひどく小さな声で、言った。


「ねぇ……どうして、来たの?」


 ぞっとするほどに――突き放したような口調だった。シャーリーの中で何かが走った。それは背中を通り過ぎて、一気に足元にまで及んだ。彼女は……気づけば、まくし立てていた。


「エスタに……エスタに会いたくって、ここまで来たの。あの時離れ離れになったから……無事でいてほしくって。でも今こうして再会できたから……良かった、ほんとうに、会えてよかった」


 ――だったらもっと嬉しそうな顔をしろ。良かった、という顔をしろ。今のお前はなんだか罪をひた隠しにしているみたいだぞ。ひどく醜くて不格好だぞ。どうしてそんな言い方しか出来ないんだ、もっと良い方法があるはずなのに――……頭の中で思考がまとまらない。

 笑顔を作ろうとしていたのかもしれないが、口の端が強張っていく。くそっ、なんなんだこれは。


 エスタに会えば、もっと嬉しい気持ちになるだろうと思っていた。しかしどうだろう。今彼女を襲っているのは困惑と、地面の下に穴が空いたような強い不快感。決定的な何かが目の前の彼女と繋がらないという感覚。気持ちが悪い。頭の上に日陰がある。


「……そう」


 そんな状態だから。

 言うべきでないようなことも、言ってしまうべきだと錯覚していた。だから言った。言ってしまった――。


「……あのね。ボクは、君ともう一度友達に――」


「ごめんなさい」


「……ッ」


「ごめんなさい。もうあたし……あなたと、そんな風には、いられないの」


 身体中が冷え切って、シャーリーは後ずさる。これまでの全てが色を失っていく。


「10年。10年だもの……昔と今じゃ、あまりにも、何もかも違いすぎるから」


 エスタは顔を伏せていた。かつて、道端で泣いていた時のように。しかし、そこに手を差し伸べることは出来ない。シャーリー自身が、それが出来ないと分かっていた。分かってしまっていた。エスタの粗雑な上履きの下で、砂利が乾いた音を立てた。


「あなたは、上に住んでいた。でもあたしは、こうして地面の上に住んでいる。あの時もきっと何もかも違ってた。環境も、何もかも。でも今は……それとは比べ物にならない。だから……友達とか、そういうのは違うの」


「そんな……」


 口の中が乾いて、呻くような言葉しか言えない。自分が立っている場所が、酷く現実感を失っていくように感じられる。


 エスタは、前を向いて……笑おうとしていた。だがそれは、悲しげな何らかの表情になっただけだった。彼女は掠れた声を絞り出して言った。


「あたしね、びっくりしちゃった。だって、あなたがあまりにも昔と変わっていないから。でも、それが怖くって……逃げ出しちゃった」


 おどけているのか。シャーリーにはわからない。


「あなたはあたしを追ってここに来たって言ってたけど……でも、あたしはもうあなたとは……――だから、ごめん。ごめんなさい」


 壁に背中を付けて、力なくうなだれながら、エスタは「ごめんなさい」を繰り返す。違う、謝ってほしくなんかない。エスタは何にも悪くない。悪いのは、悪いのは――。


「違う、エスタ……そんな風に言わないで。ボクは、エスタがどんな風に変わってしまっても、絶対に……」



「――なら。この身体を見てもっ……そんな風に言えるのっ!!??」


 エスタは不意に大声を出した。それからワンピースを……脱ぎ去った。

 そこには。


「……――ぁ、」


 駄目だ。見られない。

 ボクはこれを、直視することが出来ない。

 ……そこにあった、エスタの身体は。


 あまりにも残酷で、過酷で。どうしようもないほどに取り返しのつかない、『変化』の刻印だった。


 彼女がこの地に降り立ってから、見てきた者達。多様な姿をしている者達。ああそうか、今なら分かる――それは、呪いだった。


 決して解けることがない、呪いだったんだ……!


「……あぁ、エスタ……――」


 シャーリーは膝から崩れ落ちそうになるのを必死でこらえる。エスタのその姿は、彼女にしか見ることが出来ない。だが、それは焼き付いて離れない。涙すら乾いて、吐き気が喉奥からこみ上げる。その“あんまりな”姿への拒否感? 


 違う……これは、ボクが、私自身が、彼女に今何を強いていたのか。その証左なのだ、それが――今、目の前に……。


「これが今のあたし、あたしなの、シャーリー……あの時からずっと、この身体とともにある――」


 エスタは呪詛のように俯きながらつぶやいて、髪を掻きむしる。取り憑かれたように。


「嫌だ、こんな醜い姿……嫌だ、嫌だ……――でもっ……この身体がないと……あたしは、生き――」


「エスタっ……」


 ついに、シャーリーは駆け出して、羽織っていたジャケットをその裸身へと被せていた。

 

 それから、沈黙の数十秒が過ぎた。


 エスタはワンピースを元通りに着た。シャーリーは地面に落ちたジャケットを拾って、再び羽織った。その間、目を合わせることはなかった。2人の距離は近づいていた。しかし、間に壁があるかのように、交わらない。


「パパは死んだ、ママは違う男の家に行ってろくに帰ってこない……その中で、この体で……やっぱり嫌でしょ、怖いでしょ、この体」


 エスタは無理に笑おうとしていた。悲痛さをむき出しにしてくるよりもずっと、シャーリーにはそれが耐えられなかった。取ってつけたような言葉しか、もはや口から出てこない。


「そんなことは――」


 自分が居なかった10年間。自分が、のうのうと空の上で暮らしていた歳月。その間に変わってしまったもの。その間に、エスタが経験してきたこと。彼女は多くを語らない。どうせなら、自分を目一杯罵倒し、怒鳴り、その罪を償わせて欲しかった。


 しかしエスタは……それをしない。


「シャーリー……昔、言ってたよね。二人ならきっと、生きていけるって」


「そう、そうだよ、エスタ……ボクは……君と――」


「でもあなたはっ……『そっち側』に行っちゃったじゃないっ……!!」


「……ッ!」


 ああ――まただ。あの日のあの光景が蘇る。そうだ。ボクはエスタの手を拒んだ。彼女に手を差し伸べられなかった。助けようとしていたはずなのに。それが、その事実が、どれほどエスタを苦しめていたのだろうか。そうだ……ボクは、逃げた。逃げたのだ――。


「ボクは。ボクは、」


「ごめんなさい……あなたに当たり散らしても、しょうがないの……わかってる、分かってる……でもあたしはもう、あなたと一緒に居ることは出来ない……っ」


「やめて、言わないで、エスタっ……」


 崩れていく……何もかもが。足元が震える。


「あたし達が共にいられる世界なんて、きっともう存在しないんだ。あなたには、あなたの世界が存在する。でも、あたしの世界にはきっと、あなたは……居られない」


「エスタ、」


「ごめんなさい」


「待って、エスタ……」


「ごめんなさいっ……もう、会えない――」


 エスタは顔を覆った……そして、コンクリートの壁から背中を離した。


 シャーリーの横を、すり抜けた。


 止めることが、出来なかった。


 彼女は目の前から、去った。


 そして、後ろへ、走っていった。足音だけが遠ざかっていって、エスタが、居なくなっていく。後方の光景へと溶け込んで消えていく。


 最後の言葉だけを、シャーリーの耳に残して。


 ――もう、会えない。


 

「エスタ……」


 路地裏で1人、シャーリーは呆然と立ちすくんでいる。


 あれほど焦がれた相手は、もう行ってしまった。一分先のことでさえ、もう定かではない。足の先から力が抜けていって、彼女はその場に膝から崩れ落ちた。


 10年という歳月が、鎖となって身体中を締め付け、地面に拘束していた。





「彼女を、送ってやろう」


 フェイは車内で呟く。


 一部始終を、双眼鏡で見ていた。取り残されるシャーリーの姿。


 そこにある光景は、あまりにもありふれているものだ。この街においては。


 だからこれは、そう――大したことじゃない。

 チヨが、小さく頷いた。


「……空の上にある、家まで」


 フェイはそう言ってから双眼鏡をしまい込むと、車の窓を閉め切った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

超能力者一家の日常

ウララ
キャラ文芸
『暗闇の何でも屋』 それはとあるサイトの名前 そこには「対価を払えばどんな依頼も引き受ける」と書かれていた。 だがそのサイトの知名度は無いに等しいほどだった。 それもそのはず、何故なら従業員は皆本来あるはずの無い能力者の一家なのだから。 これはそんな能力者一家のお話である。

笛智荘の仲間たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
 田舎から都会に出てきた美優が不動産屋に紹介されてやってきたのは、通称「日本の九竜城」と呼ばれる怪しい雰囲気が漂うアパート笛智荘(ふえちそう)だった。そんな変なアパートに住む住民もまた不思議な人たちばかりだった。おかしな住民による非日常的な日常が今始まる!

こずえと梢

気奇一星
キャラ文芸
時は1900年代後期。まだ、全国をレディースたちが駆けていた頃。 いつもと同じ時間に起き、同じ時間に学校に行き、同じ時間に帰宅して、同じ時間に寝る。そんな日々を退屈に感じていた、高校生のこずえ。 『大阪 龍斬院』に所属して、喧嘩に明け暮れている、レディースで17歳の梢。 ある日、オートバイに乗っていた梢がこずえに衝突して、事故を起こしてしまう。 幸いにも軽傷で済んだ二人は、病院で目を覚ます。だが、妙なことに、お互いの中身が入れ替わっていた。 ※レディース・・・女性の暴走族 ※この物語はフィクションです。

あやかしの茶会は月下の庭で

Blauregen
キャラ文芸
「欠けた月をそう長く見つめるのは飽きないかい?」 部活で帰宅が遅くなった日、ミステリアスなクラスメート、香山景にそう話しかけられた柚月。それ以来、なぜか彼女の目には人ならざるものが見えるようになってしまう。 それまで平穏な日々を過ごしていたが、次第に非現実的な世界へと巻き込まれていく柚月。彼女には、本人さえ覚えていない、悲しい秘密があった。 十年前に兄を亡くした柚月と、妖の先祖返り景が紡ぐ、消えない絆の物語。 ※某コンテスト応募中のため、一時的に非公開にしています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

宮廷の九訳士と後宮の生華

狭間夕
キャラ文芸
宮廷の通訳士である英明(インミン)は、文字を扱う仕事をしていることから「暗号の解読」を頼まれることもある。ある日、後宮入りした若い妃に充てられてた手紙が謎の文字で書かれていたことから、これは恋文ではないかと噂になった。真相は単純で、兄が妹に充てただけの悪意のない内容だったが、これをきっかけに静月(ジンユェ)という若い妃のことを知る。通訳士と、後宮の妃。立場は違えど、後宮に生きる華として、二人は陰謀の渦に巻き込まれることになって――

VTuberとヴァンパイア~猟奇で陽気なヴァンパイア~

タナん
キャラ文芸
陰キャJKの橘 柊花は夜歩いていると、少女が男に馬乗りになってボコボコにしている現場に遭遇してしまう。 拳を血で染めた少女の目は赤く、笑う口元には長い牙が生えている。つまりヴァンパイアだ。 ヴァンパイアの少女の名は一ノ瀬 夢織。 危うく、ヴァンパイアガールの夢織に襲われそうになる柊花だが、直前にヴァンパイアガール夢織が人気VTuberの巴 アシュリーのファンだということに気付く。 実はVTuber 巴アシュリーだった柊花とヴァンパイアガール夢織。 人間とヴァンパイアの奇妙な友情が始まった。 ※たいあっぷ様にて公開しているものになります。 毎週金曜0時更新 全体約5万文字のうち7割くらい完成しています。 たいあっぷ様のコンテストに応募していますので応援して下さる方は下記URLから続きが読みたいボタンをお願いします! https://tieupnovels.com/tieups/1495

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

処理中です...