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村づくり 初級編
山田雄介 西へ! 11
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「雄介、起きろ交代だぜ」
寝袋にくるまって寝ていた雄介はマシューに起こされて目を覚ます。
まだ真夜中の時間なので、焚き火のわずかな明かりだけで、辺りは薄暗い。
「ふぁい。りょーかいれす」
熟睡していた雄介は、半ば寝ぼけながらも起き上がり焚き火の前に座り込む。
「おはよう雄介兄さん。はい、コーヒー」
「ん、ありがとー」
「特に何の無かったが、油断はするなよ?後、結界針に魔力の補充をたのむぜ」
「お兄さんおやすみ~」
「はい、わかりました。エリサおやすみ」
エリサからコーヒーを貰って一口飲んで目を覚ましている内に、エリサとマシューは早々に寝袋とマントに包まって寝始めた。
コーヒーを飲み終わった雄介は、焚き火の向こう側に刺してある結界針へ魔力を補充しながら周囲に気を配る。
(特に異常がなし)
ふぅと一息ついた雄介は、リュックからタブレットを取り出して小説の続きを読み始めた。
小説を読み始めて数時間、途中、遠くから物音がしたりと適度な緊張感を保ちつつ見張りをしていると、次第に周りの景色が見え始めた。
雄介は腕時計をみて、そろそろ皆んなを起こそうかと考えていると、ラルフがムクッと起きだし、伸びをしながら雄介の隣に座りこむ。
「おはようございます」
「おう、何か異常は?」
「特にありませんでした。コーヒー飲みます?」
「あぁ、いただこう」
雄介は、小型のガスストーブに火をつけてお湯を沸かし始める。
しばらく無言でお湯が沸くのを待って、沸いた所で火を止めてインスタントコーヒーが入っているコップにお湯を注ぐ。
「はい、どうぞ」
「おう、わりぃな」
雄介から手渡されたコーヒーを美味そうに飲みながらラルフが一息ついていると、ラナとエリサがモゾモゾと動き始めたたので、雄介は全員を起こそうとマシュー達のそばへ向かった。
チャンチャ~ラ♪チャンチャン♪チャチャ♪腕お前から上げて背伸びの運動から~♪
朝日が昇り始め下草が朝露に濡れている中、N○Kのラジオ体操が流れ始める。
ここ数日身体が若返ったからか、毎朝爽やかに目が覚めるので、私はスラ吉を連れてラジオ対応を始めることにした。
なんだか小学生時代の夏休みを思い出す。
うん、実に懐かしい。
ビシッとキレのある動きでラジオ体操をしていると、体が温まってきたのか額に汗が滲んできて、足元ではスラ吉がラジオ体操の音楽に合わせて伸びたり縮んだりしている。
ラジオ体操良いね!これから毎日続けよう。
私は最後の深呼吸をしながら、ひとり爽やかな朝を満喫していた。
「全員準備は出来たな」
ラルフは、荷物をまとめてリュックを背負い始めたメンバーに向かって、今日の行程の説明を始める。
「予定通り行けば、エルフの村には明日の午前中には到着する。今日の戦闘は俺とマシューを中心に進めていくから、雄介はいつも通りに後方確認を頼むぜ」
「了解ですが、俺は不参加ですか?」
ラルフの指示に不満がある訳では無いが、自分のレベル上げの件も気になったのでラルフに質問する。
「ここから先はエルフ達の狩場なんだよ。万が一にも銃弾が貫通してエルフ達に怪我を負わせる訳にはいかねぇからな」
ラルフの説明に「確かに」と雄介は納得して頷く。
「おし、それじゃ出発だ」
「「はい」」
雄介達はここ数日で決まった隊列で森の中を進み始めた。
「みんな!ご飯の準備は出来た?それじゃあ!いただきます!」
「「「いただきまーす!」」」
恒例となったアンナの号令で、ワイワイと朝食が始まる。
私は納豆をかき混ぜながら、ダンゴと用水路の段取りを話し合う。
「段取りもなにも、全然進んでないじゃろが。当面はまっすぐ掘り進めるだけじゃ」
私は苦笑いしながら、ダンゴに納豆の入った器を手渡す。
「確かに、午後に少しづつ進めてるだけですからね」
「急ぐ必要も無いんじゃろ?」
ダンゴが自分の丼に納豆をかけてから器を返してくる。
「うーん、用水路が完成しないと貯水池に水を流せないからなぁ、このままだと池の水が悪くなりそうなんだよなぁ」
器を受け取り。自分のご飯に納豆をかけながら悩んでいると、
「このままのペースだと池の水は悪くなるな。一度抜いた方が良いんじゃないか?」
と、納豆ご飯を掻き込みながらダンゴが提案する。
「ですよねぇ、ポンプで半分抜いて入れ替えるかな」
「まぁ、それをやり始めると用水路の方は進まんな」
「あぁ!人手が足りない」
ままならない状況に頭を抱えながら、私は納豆ご飯を掻き込んだ。
寝袋にくるまって寝ていた雄介はマシューに起こされて目を覚ます。
まだ真夜中の時間なので、焚き火のわずかな明かりだけで、辺りは薄暗い。
「ふぁい。りょーかいれす」
熟睡していた雄介は、半ば寝ぼけながらも起き上がり焚き火の前に座り込む。
「おはよう雄介兄さん。はい、コーヒー」
「ん、ありがとー」
「特に何の無かったが、油断はするなよ?後、結界針に魔力の補充をたのむぜ」
「お兄さんおやすみ~」
「はい、わかりました。エリサおやすみ」
エリサからコーヒーを貰って一口飲んで目を覚ましている内に、エリサとマシューは早々に寝袋とマントに包まって寝始めた。
コーヒーを飲み終わった雄介は、焚き火の向こう側に刺してある結界針へ魔力を補充しながら周囲に気を配る。
(特に異常がなし)
ふぅと一息ついた雄介は、リュックからタブレットを取り出して小説の続きを読み始めた。
小説を読み始めて数時間、途中、遠くから物音がしたりと適度な緊張感を保ちつつ見張りをしていると、次第に周りの景色が見え始めた。
雄介は腕時計をみて、そろそろ皆んなを起こそうかと考えていると、ラルフがムクッと起きだし、伸びをしながら雄介の隣に座りこむ。
「おはようございます」
「おう、何か異常は?」
「特にありませんでした。コーヒー飲みます?」
「あぁ、いただこう」
雄介は、小型のガスストーブに火をつけてお湯を沸かし始める。
しばらく無言でお湯が沸くのを待って、沸いた所で火を止めてインスタントコーヒーが入っているコップにお湯を注ぐ。
「はい、どうぞ」
「おう、わりぃな」
雄介から手渡されたコーヒーを美味そうに飲みながらラルフが一息ついていると、ラナとエリサがモゾモゾと動き始めたたので、雄介は全員を起こそうとマシュー達のそばへ向かった。
チャンチャ~ラ♪チャンチャン♪チャチャ♪腕お前から上げて背伸びの運動から~♪
朝日が昇り始め下草が朝露に濡れている中、N○Kのラジオ体操が流れ始める。
ここ数日身体が若返ったからか、毎朝爽やかに目が覚めるので、私はスラ吉を連れてラジオ対応を始めることにした。
なんだか小学生時代の夏休みを思い出す。
うん、実に懐かしい。
ビシッとキレのある動きでラジオ体操をしていると、体が温まってきたのか額に汗が滲んできて、足元ではスラ吉がラジオ体操の音楽に合わせて伸びたり縮んだりしている。
ラジオ体操良いね!これから毎日続けよう。
私は最後の深呼吸をしながら、ひとり爽やかな朝を満喫していた。
「全員準備は出来たな」
ラルフは、荷物をまとめてリュックを背負い始めたメンバーに向かって、今日の行程の説明を始める。
「予定通り行けば、エルフの村には明日の午前中には到着する。今日の戦闘は俺とマシューを中心に進めていくから、雄介はいつも通りに後方確認を頼むぜ」
「了解ですが、俺は不参加ですか?」
ラルフの指示に不満がある訳では無いが、自分のレベル上げの件も気になったのでラルフに質問する。
「ここから先はエルフ達の狩場なんだよ。万が一にも銃弾が貫通してエルフ達に怪我を負わせる訳にはいかねぇからな」
ラルフの説明に「確かに」と雄介は納得して頷く。
「おし、それじゃ出発だ」
「「はい」」
雄介達はここ数日で決まった隊列で森の中を進み始めた。
「みんな!ご飯の準備は出来た?それじゃあ!いただきます!」
「「「いただきまーす!」」」
恒例となったアンナの号令で、ワイワイと朝食が始まる。
私は納豆をかき混ぜながら、ダンゴと用水路の段取りを話し合う。
「段取りもなにも、全然進んでないじゃろが。当面はまっすぐ掘り進めるだけじゃ」
私は苦笑いしながら、ダンゴに納豆の入った器を手渡す。
「確かに、午後に少しづつ進めてるだけですからね」
「急ぐ必要も無いんじゃろ?」
ダンゴが自分の丼に納豆をかけてから器を返してくる。
「うーん、用水路が完成しないと貯水池に水を流せないからなぁ、このままだと池の水が悪くなりそうなんだよなぁ」
器を受け取り。自分のご飯に納豆をかけながら悩んでいると、
「このままのペースだと池の水は悪くなるな。一度抜いた方が良いんじゃないか?」
と、納豆ご飯を掻き込みながらダンゴが提案する。
「ですよねぇ、ポンプで半分抜いて入れ替えるかな」
「まぁ、それをやり始めると用水路の方は進まんな」
「あぁ!人手が足りない」
ままならない状況に頭を抱えながら、私は納豆ご飯を掻き込んだ。
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