58 / 71
村づくり 初級編
山田雄介 西へ! 3
しおりを挟む
雄介達が出発してから五時間程経ったか、ラナやエリサは大丈夫だろうかと、私はお昼を食べながら物思いにふけっていた。
「洋一お父さんどうしたの?大丈夫?」
ルルが心配そうに私の顔を覗き込む。
「ん?あぁ・・・大丈夫だよ」
私は努めて明るく返事をしたが、ルルは下を向いたまま「本当?」と聞いてくる。
「あぁ!本当だとも!」
そんなにも不安そうな顔をしていたかと、反省しながら両手を広げて元気をアピールした。
「う、うん。元気なら良いんだ、元気なら」
ルルは下に視線を向けたまま「本当に大丈夫なのかな」とブツブツ言っている。
ん?ルルの視線が下を向いたままなのが気になる。
私もルルに釣られて下を見てみると、普段の原型を留めていないスラ吉が私の足にぬちゃぁと引っ付いていた。
「・・・あぁ、コレね、最近寝てる時は何時もこんな感じなんだよ」
私は足をルルの方へ持ち上げながら説明する。
「うぇぇ、お父さん気持ち悪いから近付けないで!」
持ち上げた足からズル、ぬちゃぁと地面に落ちるスラ吉を見て、ルルがうぇとした顔をして子供達の方へ行ってしまった。
むう。これこそ私が知ってるスライムなんだがなぁ。
私は、ぬたぁとしているスラ吉を持ち上げて、指の間からデロンと落ちて行くスラ吉を眺めていた。
その頃、雄介達は魔物除けの結界の中で二組のテント設営を終え、空いた時間で焚き火用の枝などを拾ったり、野イチゴを採取したりとマッタリした時間を過ごしていた。
「ラルフよう」
「あぁん」
「ここって深淵の森の結構深い所だよなぁ」
「そうだな、ベテランクラスが気合を入れて潜る深さだな」
「そうだよなぁ・・・」
マシューとラルフは折り畳みチェアーに腰掛け、ゆったりとコーヒーを啜っており、その横では悠介達がタブレットを使って優希達と連絡していた。
「魔法の鞄を持ってる俺達は森の奥でも結構余裕を持ってキャンプ出来たけどよ、ここまで快適じゃなかったよな」
マシューがコーヒーを美味そうに啜っている姿を横目に、タブレットに向かってキャッキャ言っているエルフ達を見てラルフは眉を寄せる。
「確かに。この椅子とコーヒーはヤベエな、思いっきり寛いちまう」
「だよなぁ・・・どうする?椅子を使うの止めるか?」
全く椅子から立ち上がる気配もないマシューが提案する。
「とか言いながらお前、動く気ねぇだろ」
「まぁな」
悪びれる様子も無いマシューにラルフは肩を窄め「周辺に魔物の気配もねぇし、まぁ良いか」と言ってコーヒーカップに口を付けた。
それから二時間ほどマッタリした時間を過ごしたマシュー達は、日が翳り出した頃合に焚き火に火を着けて、本格的な野営の準備を始めた。
「ラルフさん、夕飯どうします?」
雄介がマシューから出してもらった食料バックから、レトルトパックのカレーとご飯を出しながらラルフに問いかけた。
「そうだなぁ、本来なら調理したりするから早めに始めるんだが、ソレってお湯に着ければ直ぐに出来るんだろ?」
「えっと、ご飯が十五分ぐらいだから、そうですね三十分もあれば食べられます」
パックご飯の説明書きを読みながらラルフに説明すると、ラルフは顔を顰めて「便利すぎて予定が組みにくいなぁ」とひとり愚痴る。
「そんじゃ、日が沈み切ったら飯にして、それから持ち回りで見張りだな」
ラルフの指示に雄介は頷き、人数分のレトルトパックを取り出し始めた。
「みんなー!ご飯の準備は出来た?それじゃ!いただきます!」
「「「いただきまーす!」」」
アンナの何時もの号令で夕飯が始まる。
今日のメニューは雄介達と同じカレーだ。
どうも昼間に雄介達との連絡でカレーの話になり、全員カレー脳になったらしい。
私はカレーを食べながら、隣にいるイーグルに話しかける。
「なぁ、イーグル君。実は今日、雄介達がエルフの村へ向かって旅に出たんだけど、イーグル君は空の上から雄介達を見つけられるかな?」
「うん?雄介達なら見かけたぞ?」
イーグルは器用にスプーンを使ってカレーを食べながら、昼ごろにテントを張っている雄介達を見かけたと教えてくれた。
「ね!イーグル君、雄介達を見たっていうのはホント!?」
同じテーブルで食事をしていた優希とミリーがイーグルに問い掛けると「ホントだぞ、私は目が良いから高く飛んでも見えるのだ」と胸を張って答えている。
おぉ!流石は猛禽類だ。
私が感心して話を聴いていると、優希がイーグルに向かってお願いを始めた。
「イーグル君にお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「お願い?なんだ?」
「えぇ、実はね・・・」
ほうほうと頷いている私を横目に、優希とミリーはイーグルへ依頼を説明し、イーグルも「そんな簡単な事でご飯が食べれるなら毎日でも良いぞ!」と喜んで引き受けてくれた。
私も優希達の提案に賛成なので、イーグル君が引き受けてくれて本当に有難いな。
うんうん。これで雄介達も快適に旅が出来るだろう。
「洋一お父さんどうしたの?大丈夫?」
ルルが心配そうに私の顔を覗き込む。
「ん?あぁ・・・大丈夫だよ」
私は努めて明るく返事をしたが、ルルは下を向いたまま「本当?」と聞いてくる。
「あぁ!本当だとも!」
そんなにも不安そうな顔をしていたかと、反省しながら両手を広げて元気をアピールした。
「う、うん。元気なら良いんだ、元気なら」
ルルは下に視線を向けたまま「本当に大丈夫なのかな」とブツブツ言っている。
ん?ルルの視線が下を向いたままなのが気になる。
私もルルに釣られて下を見てみると、普段の原型を留めていないスラ吉が私の足にぬちゃぁと引っ付いていた。
「・・・あぁ、コレね、最近寝てる時は何時もこんな感じなんだよ」
私は足をルルの方へ持ち上げながら説明する。
「うぇぇ、お父さん気持ち悪いから近付けないで!」
持ち上げた足からズル、ぬちゃぁと地面に落ちるスラ吉を見て、ルルがうぇとした顔をして子供達の方へ行ってしまった。
むう。これこそ私が知ってるスライムなんだがなぁ。
私は、ぬたぁとしているスラ吉を持ち上げて、指の間からデロンと落ちて行くスラ吉を眺めていた。
その頃、雄介達は魔物除けの結界の中で二組のテント設営を終え、空いた時間で焚き火用の枝などを拾ったり、野イチゴを採取したりとマッタリした時間を過ごしていた。
「ラルフよう」
「あぁん」
「ここって深淵の森の結構深い所だよなぁ」
「そうだな、ベテランクラスが気合を入れて潜る深さだな」
「そうだよなぁ・・・」
マシューとラルフは折り畳みチェアーに腰掛け、ゆったりとコーヒーを啜っており、その横では悠介達がタブレットを使って優希達と連絡していた。
「魔法の鞄を持ってる俺達は森の奥でも結構余裕を持ってキャンプ出来たけどよ、ここまで快適じゃなかったよな」
マシューがコーヒーを美味そうに啜っている姿を横目に、タブレットに向かってキャッキャ言っているエルフ達を見てラルフは眉を寄せる。
「確かに。この椅子とコーヒーはヤベエな、思いっきり寛いちまう」
「だよなぁ・・・どうする?椅子を使うの止めるか?」
全く椅子から立ち上がる気配もないマシューが提案する。
「とか言いながらお前、動く気ねぇだろ」
「まぁな」
悪びれる様子も無いマシューにラルフは肩を窄め「周辺に魔物の気配もねぇし、まぁ良いか」と言ってコーヒーカップに口を付けた。
それから二時間ほどマッタリした時間を過ごしたマシュー達は、日が翳り出した頃合に焚き火に火を着けて、本格的な野営の準備を始めた。
「ラルフさん、夕飯どうします?」
雄介がマシューから出してもらった食料バックから、レトルトパックのカレーとご飯を出しながらラルフに問いかけた。
「そうだなぁ、本来なら調理したりするから早めに始めるんだが、ソレってお湯に着ければ直ぐに出来るんだろ?」
「えっと、ご飯が十五分ぐらいだから、そうですね三十分もあれば食べられます」
パックご飯の説明書きを読みながらラルフに説明すると、ラルフは顔を顰めて「便利すぎて予定が組みにくいなぁ」とひとり愚痴る。
「そんじゃ、日が沈み切ったら飯にして、それから持ち回りで見張りだな」
ラルフの指示に雄介は頷き、人数分のレトルトパックを取り出し始めた。
「みんなー!ご飯の準備は出来た?それじゃ!いただきます!」
「「「いただきまーす!」」」
アンナの何時もの号令で夕飯が始まる。
今日のメニューは雄介達と同じカレーだ。
どうも昼間に雄介達との連絡でカレーの話になり、全員カレー脳になったらしい。
私はカレーを食べながら、隣にいるイーグルに話しかける。
「なぁ、イーグル君。実は今日、雄介達がエルフの村へ向かって旅に出たんだけど、イーグル君は空の上から雄介達を見つけられるかな?」
「うん?雄介達なら見かけたぞ?」
イーグルは器用にスプーンを使ってカレーを食べながら、昼ごろにテントを張っている雄介達を見かけたと教えてくれた。
「ね!イーグル君、雄介達を見たっていうのはホント!?」
同じテーブルで食事をしていた優希とミリーがイーグルに問い掛けると「ホントだぞ、私は目が良いから高く飛んでも見えるのだ」と胸を張って答えている。
おぉ!流石は猛禽類だ。
私が感心して話を聴いていると、優希がイーグルに向かってお願いを始めた。
「イーグル君にお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「お願い?なんだ?」
「えぇ、実はね・・・」
ほうほうと頷いている私を横目に、優希とミリーはイーグルへ依頼を説明し、イーグルも「そんな簡単な事でご飯が食べれるなら毎日でも良いぞ!」と喜んで引き受けてくれた。
私も優希達の提案に賛成なので、イーグル君が引き受けてくれて本当に有難いな。
うんうん。これで雄介達も快適に旅が出来るだろう。
1
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる