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村づくり 初級編
カレーと異文化交流
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目の前でニコニコしながらお皿を差し出している夫婦に私は軽くため息をついて、カレーをよそってあげる。
「「ありがとう」」
二人は満面の笑みでお礼を言いながら、ミミズク娘のいるテーブルへ向かっていった。
ハイ、集合~
私は優希、雄介、深淵の翼、ラナ、アマンダを炊き出しの竃の裏へ手招きで招集し、緊急対策会議を立ち上げた。
「あの人逹って一体誰なんでしょうか?」
ラナがいきなり核心を突いた質問をするが、当然誰も答えられない。
「うーん、それは直接本人逹に聞くのが一番早いかな?それよりも、昨日の今日でいきなり四人に増えた方が問題かな?」
雄介の話に優希が頷き、「そっそうね、ご飯、どれぐらい用意したら良いか解らないもんね」とちょっとズレた話をする。
「まっまぁ、ご飯の量もそうですが、それよりも彼らの目的は何かですよ」
アマンダより、真っ当な意見が出て皆んなが「おお!」と関心の声をあげる。
「確かに。なんの目的で来たかよね・・・」
「ただ単に飯を食いに来てんじゃねぇか?」
ミリーが思案げに考え始めた横で、マシューが彼らをチラッと見てからボソッと呟き、ダンゴもそれに頷く。
私もマシューにつられて彼らの方を見てみると、イケメン青年はカレーを掻き込み過ぎたのか、慌てて水を飲んでおり、ミミズク親子は一口食べては三人揃ってクワッと目をまん丸く見開いたあと、幸せそうに目を細めてもぐもぐと食べている。
「マシューさんの言っている通りかも知れませんね」
私と一緒につられたのか、彼らを見ていたラナが私と同じ感想を言う。
「んじゃぁ、取り敢えずは俺と洋一さんで話を聴いてみるかね」
ラルフが纏めに入って、皆んながその意見に頷く。
「よし、それじゃぁ、ミリー逹は優希さんとエルフ逹の護衛にまわってくれ、マシューとダンゴは何かあった時にあの白い髪の方を押さえてくれや」
ラルフの指示にそれぞれが頷き、ミリーと優希、雄介、ラナ、アマンダはエルフ逹の元へ、マシューとダンゴはミリー逹とは反対方向から回り込むように行動を開始する。
「それじゃ洋一さん、俺たちも行きますか」
私はラルフに頷いてから、ゆっくりと彼らの方へ向かった。
「こんにちは。カレーの味は如何ですか?」
私は営業スマイル全開でイケメン青年たちに話しかけた。
イケメン青年は口の中のカレーをもぐもぐしながら飲み込み「これはカレーという食べ物なんだな!こんな美味しいものを食べたのは生まれて初めてだ!ありがとう!」とイケメンスマイルで答えた。
「いえいえ、どういたしまして」
私はイケメン青年が素直に感謝を伝えてきてくれたことで、悪意は無いと判断し単刀直入に聴いてみることにした。
「私の名前は洋一と言います。ここの集落の代表です。それでお聞きしたいのですが、皆さんは何処の誰さんですか?」
私の質問に青年はキョトンとしながらも説明を始めた。
「うん?私たちはここの周辺を縄張りにしている『翼のあるもの』だ。私はこっち側を縄張りにして、彼らは向こうの森が縄張りだな」
イケメン青年は、翼を器用に動かしてそれぞれの縄張りを指して説明してくれた。
彼『翼のあるもの』が言うには、この広場を中心に雄介逹がゴブリンと戦った方向がイケメン青年の縄張りで、その反対側がミミズクファミリーの縄張りなのだそうだ。
「なるほど『翼のあるもの』が種族の名前で、この場所を境に皆さんそれぞれの縄張りで生活してると?」
私が彼らの顔を見ながら聴いてみると、青年とミミズクパパがそうだと頷く。
「ところで、皆さんのお名前を伺ってないのですが、教えていただけますか?」
「私たちは『翼のあるもの』と呼ばれる以外に名前はありません」
私の質問にミミズクママが答えると、周りで聞き耳を立てていた優希逹から「えぇ!?」と声が上がる。
「はい!横からすみません。あの、失礼ですが、個人ごとに名前を付けないのは種族的な掟か何かあるのですか?」
優希が私の横から手をあげてミミズクママへ質問し、ミミズクママは不思議そうな顔をして「掟?そういうのはありません。昔から名前はありませんでした」と答えた。
それを聞いた優希は、ミミズクママにお礼を言ってからエルフ逹の元に戻りゴニョゴニョと何か話し合いを始め出した。
何やってんだか。
そんな優希逹の姿を見ながら、私は一番肝心の質問をぶつけるタイミングに躊躇していると、後ろからラルフが前に出てど直球に質問をぶつけた。
「俺はラルフってんだが、ひとつ聞きいて良いか。お前さん逹はなんで俺たちのメシを食ってんだ?」
おぉ、ラルフ先生イケメン!
『翼のあるもの』逹は「へ?」って顔をしてから「ここで並ぶと食べ物が貰えるとと聞いたんだが?」と逆に質問してきた。
私とラルフはお互いに顔を見合わせて首をかしげる。
「えー?昨日ならんだらご飯くれたでしょ?」
ミミズク娘が不思議そうに聞いてきたので、ミミズクママの顔を覗くと「娘から聞きました」と答え「私も聞いたので、お隣さんの彼に話しました」とミミズクパパも答える。
イケメン青年はウンウンと頷いて「私は彼から教えてもらってここに来たのだ」と同じ答えを返す。
「あ、あー。うーん、そっかぁ」
私はこれはどうしたもんかと思わず天を仰いだ。
「「ありがとう」」
二人は満面の笑みでお礼を言いながら、ミミズク娘のいるテーブルへ向かっていった。
ハイ、集合~
私は優希、雄介、深淵の翼、ラナ、アマンダを炊き出しの竃の裏へ手招きで招集し、緊急対策会議を立ち上げた。
「あの人逹って一体誰なんでしょうか?」
ラナがいきなり核心を突いた質問をするが、当然誰も答えられない。
「うーん、それは直接本人逹に聞くのが一番早いかな?それよりも、昨日の今日でいきなり四人に増えた方が問題かな?」
雄介の話に優希が頷き、「そっそうね、ご飯、どれぐらい用意したら良いか解らないもんね」とちょっとズレた話をする。
「まっまぁ、ご飯の量もそうですが、それよりも彼らの目的は何かですよ」
アマンダより、真っ当な意見が出て皆んなが「おお!」と関心の声をあげる。
「確かに。なんの目的で来たかよね・・・」
「ただ単に飯を食いに来てんじゃねぇか?」
ミリーが思案げに考え始めた横で、マシューが彼らをチラッと見てからボソッと呟き、ダンゴもそれに頷く。
私もマシューにつられて彼らの方を見てみると、イケメン青年はカレーを掻き込み過ぎたのか、慌てて水を飲んでおり、ミミズク親子は一口食べては三人揃ってクワッと目をまん丸く見開いたあと、幸せそうに目を細めてもぐもぐと食べている。
「マシューさんの言っている通りかも知れませんね」
私と一緒につられたのか、彼らを見ていたラナが私と同じ感想を言う。
「んじゃぁ、取り敢えずは俺と洋一さんで話を聴いてみるかね」
ラルフが纏めに入って、皆んながその意見に頷く。
「よし、それじゃぁ、ミリー逹は優希さんとエルフ逹の護衛にまわってくれ、マシューとダンゴは何かあった時にあの白い髪の方を押さえてくれや」
ラルフの指示にそれぞれが頷き、ミリーと優希、雄介、ラナ、アマンダはエルフ逹の元へ、マシューとダンゴはミリー逹とは反対方向から回り込むように行動を開始する。
「それじゃ洋一さん、俺たちも行きますか」
私はラルフに頷いてから、ゆっくりと彼らの方へ向かった。
「こんにちは。カレーの味は如何ですか?」
私は営業スマイル全開でイケメン青年たちに話しかけた。
イケメン青年は口の中のカレーをもぐもぐしながら飲み込み「これはカレーという食べ物なんだな!こんな美味しいものを食べたのは生まれて初めてだ!ありがとう!」とイケメンスマイルで答えた。
「いえいえ、どういたしまして」
私はイケメン青年が素直に感謝を伝えてきてくれたことで、悪意は無いと判断し単刀直入に聴いてみることにした。
「私の名前は洋一と言います。ここの集落の代表です。それでお聞きしたいのですが、皆さんは何処の誰さんですか?」
私の質問に青年はキョトンとしながらも説明を始めた。
「うん?私たちはここの周辺を縄張りにしている『翼のあるもの』だ。私はこっち側を縄張りにして、彼らは向こうの森が縄張りだな」
イケメン青年は、翼を器用に動かしてそれぞれの縄張りを指して説明してくれた。
彼『翼のあるもの』が言うには、この広場を中心に雄介逹がゴブリンと戦った方向がイケメン青年の縄張りで、その反対側がミミズクファミリーの縄張りなのだそうだ。
「なるほど『翼のあるもの』が種族の名前で、この場所を境に皆さんそれぞれの縄張りで生活してると?」
私が彼らの顔を見ながら聴いてみると、青年とミミズクパパがそうだと頷く。
「ところで、皆さんのお名前を伺ってないのですが、教えていただけますか?」
「私たちは『翼のあるもの』と呼ばれる以外に名前はありません」
私の質問にミミズクママが答えると、周りで聞き耳を立てていた優希逹から「えぇ!?」と声が上がる。
「はい!横からすみません。あの、失礼ですが、個人ごとに名前を付けないのは種族的な掟か何かあるのですか?」
優希が私の横から手をあげてミミズクママへ質問し、ミミズクママは不思議そうな顔をして「掟?そういうのはありません。昔から名前はありませんでした」と答えた。
それを聞いた優希は、ミミズクママにお礼を言ってからエルフ逹の元に戻りゴニョゴニョと何か話し合いを始め出した。
何やってんだか。
そんな優希逹の姿を見ながら、私は一番肝心の質問をぶつけるタイミングに躊躇していると、後ろからラルフが前に出てど直球に質問をぶつけた。
「俺はラルフってんだが、ひとつ聞きいて良いか。お前さん逹はなんで俺たちのメシを食ってんだ?」
おぉ、ラルフ先生イケメン!
『翼のあるもの』逹は「へ?」って顔をしてから「ここで並ぶと食べ物が貰えるとと聞いたんだが?」と逆に質問してきた。
私とラルフはお互いに顔を見合わせて首をかしげる。
「えー?昨日ならんだらご飯くれたでしょ?」
ミミズク娘が不思議そうに聞いてきたので、ミミズクママの顔を覗くと「娘から聞きました」と答え「私も聞いたので、お隣さんの彼に話しました」とミミズクパパも答える。
イケメン青年はウンウンと頷いて「私は彼から教えてもらってここに来たのだ」と同じ答えを返す。
「あ、あー。うーん、そっかぁ」
私はこれはどうしたもんかと思わず天を仰いだ。
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