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異世界到着編
山田洋一 異世界初の試練を受ける
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荷物の搬入を開始して暫くしたところで、優希は台所で雄介がシンクの横に給水用のポリタンクを器用に取り付けているのを見ていた。
「ねぇ、水道の代わりにコレを置くのは良いんだけど、排水はどうするの?」
優希は、シンクの横に取りけられたタンクに付いている蛇口を弄りながら、シンクの下に潜り込みホースの取り付け中の雄介に話しかる。
「母さん足じゃま。っと、よし!」
ふうっとシンク下から這い出した雄介は、シンクに取り付けたホースをポリタンクに差込みながら、優希の質問に答える。
「こうやって、シンクの下に排水タンクを置いて、溜まったら捨てるって感じかな」
「どこに?」
「外に?」
「うーん、それはそうなんだけど・・・折角の異世界なのに、汚れた水をを外に流すのは何かイヤよね」
「折角の異世界って、どんな異世界なんだよ・・・でも、しょうがないんじゃない?下水施設なんて無いし、って言うか、それも俺たちが作るのか」
雄介がブツブツ言いながらポリタンクを押し込み、扉を閉めたところで優希に向かって話しかける。
「そんな事よりも重大なことが「おーい、トイレ使いたいんだけど、トイレットペーパー見なかった?」
雄介の言葉をかぶせる感じで、洋一がキョロキョロしながら台所に顔を出してきた。
そんな洋一を見て、優希が雄介の顔を見る。
「そーゆーこと」
「あー・・・」
優希は思わず天井を見上げた。
フー、空が青くて気持ちいなぁ。
あっ鳥が飛んでる。なんかテプラノドンみたいに見える。
異世界だなぁ。
私は、空を見上げながら感慨に耽る。
そして、降ろしたズボンを上げて、乾燥剤を蒔いて乾燥するのを待つ。
まさか異世界へ転移して初めてのトイレが、だだっ広い草原で簡易トイレを使用するとは・・・。
それも目隠し無し。
イヤー爽快だね!
・・・泣ける。
待つこと暫し、汚物が乾燥したところでビニール袋を縛って・・・何処に置こう。
取り敢えず、家の裏に穴を掘って放り込んでから家に戻る。
「「・・・・」」
二人の沈黙が痛い。
お前らも後で同じ気持ちになるんだと目で訴えつつ、黙って手を洗い二人の前に行く。
「えー、爽快でした。以上」
「「ぶっ!」」
二人が笑いこけているのを横目に、目隠しが出来るようにブルーシートと紐を持って家を出て行く。
「ゴメン、ゴメン手伝うよ」
雄介が笑いながら出てきて、二人で脚立を持って家から少し離れた森に行く。
「家のトイレが使えないのは致命的だな」
「汲み取りしたくないんだから、しょうがないじゃん」
「確かにそうなんだけど・・・」
私がブチブチと文句を言いながら森の手前に到着。適当な木を選び、枝にロープを渡しブルーシートを賭けて、簡易トイレを設置した。
時間は少し進んでお昼時。準備していた菓子パンとペットボトル飲料で簡単なお昼を食べ始める。
「さて、まだまだ片付けは終わっていませんが、何とか眠れる様にはなりました。が!ここで一つ重要な問題が発覚しました!」
優希が菓子パンを飲み込んだあと、おもむろに話し出した。
「問題?」
私が首をかしげると、優希は頷きながら話し始める。
「そう問題。みんなも気がついていると思うけど、私達が持ち込んでいる飲み水以外に水が無いので、お風呂は入れません。それに洗濯も出来ません」
「うん、気付いてた」と雄介。
私は、顔には出さないが、風呂に入れない事に動揺してる。
「お風呂に入れないのも問題なんだけど、当面はカセットコンロでお湯を沸かして代用するとして、問題は洗濯なのよ。雄介、申し訳ないんだけど、明日は水場を探してきて貰えるかしら」
「うん?あぁ大丈夫、元々そのつもりだったし問題ないよ」
「ありがと。それと水場があったら、ついでにスライムを探してみてくれる?」
優希が何やら訳のわからないことを言い出した。
スライム?昔おもちゃ屋さんで売ってた、あのプルンプルンしてた緑色の不思議物体のことか?
そんな私の疑問を置き去りにして、二人は会話を続ける。
「スライム?っあぁ!良くあるテンプレね!汚水処理とか汚物の処理が出来るか調べる訳ね」
「そうそう!折角異世界に来たんだからテンプレしなきゃ!」
二人が話しに盛り上がっている姿を見ながら、私は一人菓子パンを食べながら、緑色の不思議物体の思い出に浸っていた。
「ねぇ、水道の代わりにコレを置くのは良いんだけど、排水はどうするの?」
優希は、シンクの横に取りけられたタンクに付いている蛇口を弄りながら、シンクの下に潜り込みホースの取り付け中の雄介に話しかる。
「母さん足じゃま。っと、よし!」
ふうっとシンク下から這い出した雄介は、シンクに取り付けたホースをポリタンクに差込みながら、優希の質問に答える。
「こうやって、シンクの下に排水タンクを置いて、溜まったら捨てるって感じかな」
「どこに?」
「外に?」
「うーん、それはそうなんだけど・・・折角の異世界なのに、汚れた水をを外に流すのは何かイヤよね」
「折角の異世界って、どんな異世界なんだよ・・・でも、しょうがないんじゃない?下水施設なんて無いし、って言うか、それも俺たちが作るのか」
雄介がブツブツ言いながらポリタンクを押し込み、扉を閉めたところで優希に向かって話しかける。
「そんな事よりも重大なことが「おーい、トイレ使いたいんだけど、トイレットペーパー見なかった?」
雄介の言葉をかぶせる感じで、洋一がキョロキョロしながら台所に顔を出してきた。
そんな洋一を見て、優希が雄介の顔を見る。
「そーゆーこと」
「あー・・・」
優希は思わず天井を見上げた。
フー、空が青くて気持ちいなぁ。
あっ鳥が飛んでる。なんかテプラノドンみたいに見える。
異世界だなぁ。
私は、空を見上げながら感慨に耽る。
そして、降ろしたズボンを上げて、乾燥剤を蒔いて乾燥するのを待つ。
まさか異世界へ転移して初めてのトイレが、だだっ広い草原で簡易トイレを使用するとは・・・。
それも目隠し無し。
イヤー爽快だね!
・・・泣ける。
待つこと暫し、汚物が乾燥したところでビニール袋を縛って・・・何処に置こう。
取り敢えず、家の裏に穴を掘って放り込んでから家に戻る。
「「・・・・」」
二人の沈黙が痛い。
お前らも後で同じ気持ちになるんだと目で訴えつつ、黙って手を洗い二人の前に行く。
「えー、爽快でした。以上」
「「ぶっ!」」
二人が笑いこけているのを横目に、目隠しが出来るようにブルーシートと紐を持って家を出て行く。
「ゴメン、ゴメン手伝うよ」
雄介が笑いながら出てきて、二人で脚立を持って家から少し離れた森に行く。
「家のトイレが使えないのは致命的だな」
「汲み取りしたくないんだから、しょうがないじゃん」
「確かにそうなんだけど・・・」
私がブチブチと文句を言いながら森の手前に到着。適当な木を選び、枝にロープを渡しブルーシートを賭けて、簡易トイレを設置した。
時間は少し進んでお昼時。準備していた菓子パンとペットボトル飲料で簡単なお昼を食べ始める。
「さて、まだまだ片付けは終わっていませんが、何とか眠れる様にはなりました。が!ここで一つ重要な問題が発覚しました!」
優希が菓子パンを飲み込んだあと、おもむろに話し出した。
「問題?」
私が首をかしげると、優希は頷きながら話し始める。
「そう問題。みんなも気がついていると思うけど、私達が持ち込んでいる飲み水以外に水が無いので、お風呂は入れません。それに洗濯も出来ません」
「うん、気付いてた」と雄介。
私は、顔には出さないが、風呂に入れない事に動揺してる。
「お風呂に入れないのも問題なんだけど、当面はカセットコンロでお湯を沸かして代用するとして、問題は洗濯なのよ。雄介、申し訳ないんだけど、明日は水場を探してきて貰えるかしら」
「うん?あぁ大丈夫、元々そのつもりだったし問題ないよ」
「ありがと。それと水場があったら、ついでにスライムを探してみてくれる?」
優希が何やら訳のわからないことを言い出した。
スライム?昔おもちゃ屋さんで売ってた、あのプルンプルンしてた緑色の不思議物体のことか?
そんな私の疑問を置き去りにして、二人は会話を続ける。
「スライム?っあぁ!良くあるテンプレね!汚水処理とか汚物の処理が出来るか調べる訳ね」
「そうそう!折角異世界に来たんだからテンプレしなきゃ!」
二人が話しに盛り上がっている姿を見ながら、私は一人菓子パンを食べながら、緑色の不思議物体の思い出に浸っていた。
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