愛すべき人

コスモス

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番外編

15年後

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  俺達はあれから15年がたった。お互い歳をとり、俺は相変わらず実家の洋食屋を旦那の雪斗さんときりもりしている。
  「お父さん、今日は貸切?」
  「うん、その予定だよ」
  「誰が貸し切るの?」
  「あぁ、俺達の友達家族が珍しく全員揃うから貸切にしちゃったんだ」
  すると蒼太は「ふーん・・・」と返事をして、キッチンに行き俺の手伝いをしてくれた。蒼太は見た目は雪斗さんにそっくりだが、目付きだけは俺に似て鋭いため、よく他人に目をつけられやすい。性格はこれまた俺に似てクールでツンツンしているため、友達はそう多くないらしい。1つ下の妹の真美まみは見た目は年齢の割には大人びていて、性格は雪斗さんに似ていてどこか抜けているところがある。
──カラーッン
 「いらっしゃいませ。鈴木様でよろしいですか?」
  「はい、鈴木です。あれ?キミ蒼太君?」
  「えっと・・・はい。そうです」
  「大きくなったねぇー、6年ぶりくらいかな?」
  「御両親とは時々ここに来てたから会ってたんだけど、蒼太君はだいたい家か学校にいた頃に来てたからね」
  「は、はぁ。いつも両親がお世話になっていました」
  すると昭仁さんの後ろから陽一が顔を出して言った。
 「ははは、なんか性格は裕也さんに似てそうですね」
  「はぁ?それどういう意味だ?食わせねぇーぞ」
  「えぇー、怒らないでくださいよぉー裕也さん」
  そう見ての入口でゴチャゴチャしていると、外にいた光輝君が痺れを切らして昭仁さんに言った。
  「おい!母さん!いい加減に中に入ってくれよ!俺が入れねぇーじゃんか!外暑いんだから早く入れてくれよ!」
  「あぁ、ごめんごめん」
  そしてようやく3人全員が店の中に入った。すると店の中に入った光輝君が急に真っ青な顔で蒼太を指さして言った。
  「・・・なんでお前ここにいんの?」
  「え、なんでってここ俺んちが経営してる店だからですよ先輩」
  「あぁ、そう言えばお前ら同じ部活で同じ学校だったな完全に忘れてたは」
  「だとしても光輝なんで顔真っ青なんだよ?」
  「あぁ、それは光輝は蒼太君のことが・・・ムグッ!」
  陽一が何かを言いかけると、光輝君が陽一の口を塞いで「それを言ったらどう考えたってまずいだろバカ親父!」と言った。すると怪しいと思った昭仁さんが陽一に「どういうこと?」と聞いてきたので、陽一は「男と男の約束だから昭仁さんでも言えませ!」と言った。すると昭仁さんは「俺も一応男なんだけど」と言ったので、光輝君が「母さんは男だけど母さんだからダメ」と言った。すると昭仁さんが若干キレて光輝君の頭をゲンコツでグリグリとした。
  「イデデデデ!痛いよ母さん!」
  「お前が俺に隠し事するからだろーが。何が男と男の約束だよ」
  流石にこうなったらキリがないと思った俺は、「早くしないと料理冷めるんですけど」と言った。すると家族3人ハッとした顔をして、大人しく席に着いた。
  すると光輝君が何やら陽一とコソコソ話していた。
  「で、なんで俺の目の前に蒼太がいるんだよ父さん」
  「え、それを俺に言うか普通」
  「・・・まぁそうだけど」
  「あの、なんでコソコソしてるんですか?先輩」
  「へぇ?いいや、別に。なんでもないです」
  「ふーん」
    しばらくすると俺以外みんなでき上がってしまったようで、ベラベラと昔話や小っ恥ずかしい話などで盛り上がっていた。
  「そう言えば光輝。お前いつ蒼太君に告白するつもりだ?」
  その陽一の一言で盛り上がっていた雰囲気が一気に、冷めて皆驚いて無言になってしまった。
  「え、そうなんですか?先輩」
  「・・・おいーーー!!何言ってんだよクソ親父ーーー!!」
  そう言いながら光輝君は真っ赤になった顔で、陽一の胸ぐらを掴んでブンブンと揺さぶっていた。そして光輝君は蒼太君に向かって言った。
  「と、とにかく。今の話は聞かなかったことにしてくれ」
  「いやいや、無理言わないでくださいよ。衝撃的すぎましたし」
  「うぅ、マジでクソだー」
  光輝君が頭を抱えていると昭仁さんが笑って光輝君に言った。
  「マジかーうちの息子がまさかの蒼太君に惚れてるとわー」
  「母さんそれ以上掘り起こすなよ!」
  俺は蒼太が光輝君のことをどう思っているのか気になったので、直接本人に聞いてみた。すると意外にも「嫌いではないよ」と返事が返ってきた。するとそれを聞いていた光輝君は身を乗り出して、蒼太に迫って「本当か!?」と何回も聞いていた。すると、流石にイラッときたのか蒼太がキレながら「そうだようっさいな!何回も言ってるだろ!あ、だからって勘違いしないでくださいよ。先輩の事は嫌いじゃないってだけで、好きとは言ってませんから」
   すると光輝君はショックのあまり無言になってしまった。流石に可哀想だと思った雪斗さんが蒼太に「そんなこと言ったらダメだよ」と珍しく俺より先に叱ってくれた。
  すると雪斗さんに怒られた事に少しビックリして冷静さを取り戻したのか、はぁーとため息をついて光輝君に言った。
  「確か先輩、この高校に入学できたのが奇跡と言われるくらい頭が馬鹿だそうですね」
  「え?あ、はい。そうです馬鹿です」
  「じゃー先輩が学年1位を取ったら先輩と付き合ってあげますよ」
  すると驚きのあまり5人は口を揃えて「・・・えーーー!!!」と言った。すると真美が蒼太に「本当にそれでいいの!?」と聞いた。
  すると蒼太は「別に構わない。まぁ、出来ればの話したし」と余裕を見せて言った。
  すると、光輝君は蒼太の手を掴んで蒼太に向かって言った。
  「絶対だからな!覚悟しておけよ!ぜってーお前を手に入れるからな!」
  それを聞いた蒼太は顔を一気に赤くして「顔が近い!」と言って光輝君の顔をビンタした。するとあまりの急なことに驚いた光輝君はしばらく、ボーッとした後に「ごめん」と謝っていた。
  「まぁ、何はともあれよかった。光輝!」
  「え、あぁ、うん。ありがとう親父」
  そして俺達は色々盛り上がって話しているうちに、いつの間にか夜遅くまで話し込んでしまった。
  「さて、そろそろお開きにしますか」
  「そうですね。そろそろいい時間ですし」
  「えぇ、また来れたら来ますね」 
  「はい、いつでもどうぞ」
  「じゃーご馳走様でしたー」
  そう言って昭仁さん達は帰って行った。
  「蒼太、好きならハッキリ好きって言ってやればいいじゃないか」
  「ダメだよ。そんな事したらあの人ずっと俺に甘えっぱなしになるし、この位の試練乗りこえてもらわなきゃつまらないでしょ?」
  「ははは、意地悪だな」
  すると蒼太は鼻歌を歌いながら掃除を始めた。その様子を見ていた雪斗さんが俺に話しかけてきた。
  「ふふふ、そういう素直じゃないところ裕也さんに似ましたね」
  「それ、嫌味ですか?」
  「なわけないじゃないですか!今も昔もそういう所が可愛いと思ってますから」
  「ははは、ありがとうございます。俺、今雪斗さんのおかげで怖いくらい幸せです」
  「いえいえ、こちらこそこんな俺を愛してくれてありがとうございます」
  お互いに見つめ合いながらそんな事を言っていると、真美が「イチャイチャするのはいいけど、私達が居ない時にしてくれないかなぁー?」と言われた。そして俺達2人は笑いながら「ごめん、ごめん」と謝った。

  まぁ、この後の俺たちの人生はどうなったかは皆さんのご想像にお任せしようと思います。でも俺はこの幸せがずっと長く続いてくれたらいいなとは思っています。


  
  
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