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第四章
未だに惹かれる心 ※鈴木 武臣目線になります。
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俺達2人は幼い頃からずっと一緒だった。俺の両親は仕事で忙しく、俺の相手をしてくれることは無かった。しかし隣に住んでいた、まーちゃんの両親は俺を本当の息子のようにいつも可愛がってくれた。そんなある日俺が中学1年になった頃、初めてまーちゃんの事が好きだと俺は気がついた。まーちゃんが他の人と仲良くしている事が許せなくて、よくまーちゃんに当たり散らしていた。俺はどうしていいか分からず、ずっと1人で悩んでいるとまーちゃんが「俺の事が嫌い?」と聞いてきたので、俺は思わずむしろ大好きだと言ってしまった。するとまーちゃんは「俺も好きだよ。」と、照れくさそうに笑いながら俺に言ってきた。俺はその好きは友達としてなのか、それも俺を男として好きなのか、気になって仕方がなかったのですぐにどっちなのかを聞いた。するとまーちゃんは「もちろん一人の男としてだよ。」と言ってきた。その時俺はつい嬉しさのあまりにまーちゃんに抱きついてしまった。
それからの毎日は楽しくて仕方が無かった。たとえ学校が違えども、お隣同士だったのでいつでも会おうと思えば会えるし、必ず学校の行きと帰りは途中まで一緒に行ったりしていた。そしてまーちゃんの両親はとても察しがいい人達で、俺達2人が付き合っている事にすぐに気がついた。それでも俺達が付き合っていることに対して反対すること無く、むしろ応援までしてくれるほどだった。あの頃の俺はまーちゃんと結婚をして、普通の家庭を築けるものだと思っていた。
しかしある日の夕方。いつも通り2人仲良く帰っていると、突然母が物凄い形相で家から出てきて俺の顔をビンタした。その時俺は何が起きているのか分からず、一瞬ボーッとしてしまった。俺をビンタした後母は、二度と俺に近づくなとまーちゃんに言って、母は父と協力して強制的にまーちゃんを家に返した。しかし俺は当然母と父に反抗して、毎日一緒に学校へ通った。すると今度は怒った父が俺を殴り、そしてまーちゃんの両親に息子に二度と近づかせないでくれと言い金を渡した。しかしまーちゃんの両親は、息子達はせっかく愛し合っているのにそんな勝手なことは出来ないと、父に金を返金した。それに怒こった父は近所にあらぬ噂を流したり、まーちゃんの両親が勤める会社に圧力をかけたり、色々な嫌がらせを行っていた。それに気がついたまーちゃんは、父に直接止めるようにお願いした。すると父は、やめて欲しいなら息子と二度と関わらない事を約束するようにと、要求してきた。まーちゃんはその条件をのみ俺と二度と関わらないことにした。
「まーちゃんは、結婚してないのか?」
「いいや、結婚してたけど昭仁が5歳の時に出ていかれちゃった。」
「そうか。じゃー俺と同じだな。」
するとまーちゃんは少し苦笑いをし、一言そうだねと応えた。
「なぁ、もう一度寄りを戻さないか?」
「・・・ダメだよ。こんな俺のためにたーちゃんの人生を棒に振るって欲しくないんだ。だからやり直すんだったらもっと若い子にしなよ。」
「俺はあの時ちゃんとまーちゃんの変化に気がついて、そのまま連れ去れば良かったって未だに後悔してる。だからそんな悔しい思い俺は二度としたくない。」
「そんなの勘違いしてるだけだよ。」
「勘違いなんかしていない。勘違いなんかでわざわざお前に会いになんて来る訳が無いだろ。」
「俺はもうたーちゃんの事なんて好きじゃない!」
そう言ってまーちゃんはソファーから立ち上がり、その場を立ち去ろうとしたので俺はまーちゃんの肩を両手で掴んだ。
「ならせいぜい俺の顔を見てから振れ。じゃないと俺は諦める気は全く無い。」
まーちゃんはずっと下を向き軽く肩がプルプルと震えてきた。そしてまーちゃんは俺の顔を見て泣きながらこう言った。
「そんなの・・・そんなの出来るわけがないだろ!たーちゃんの顔なんて見たら俺はまたたーちゃんの事を好きになっちゃうじゃないか!ずっとずっと忘れようと必死だったのに、どうしてもたーちゃんの事が忘れられなくて、それに気がついたのか妻には愛想をつかされて出ていかれてしまったし、息子にはすごい心配をかけてしまうし。俺は、俺は・・・ッ!」
俺はまーちゃんをぎゅっと抱きしめたて言った。
「俺の事まだ好きでいてくれてよかった。」
「馬鹿じゃないの。こんな歳をとったΩなんて何の利益もないよ。」
そしてその言葉にイラッと来た俺は、まーちゃん目をじっと見て言った。
「俺はΩだからとか歳をとってるとか関係ねぇ、利益がどうとかもどうだっていい。俺が本当に欲しいのはお前自身だ!」
するとまーちゃんは泣きながら俺に何回も謝り、俺にギュッと抱きついてきた。そして俺はただただ無言で頭を撫でながら、泣き止むのを待った。
それからの毎日は楽しくて仕方が無かった。たとえ学校が違えども、お隣同士だったのでいつでも会おうと思えば会えるし、必ず学校の行きと帰りは途中まで一緒に行ったりしていた。そしてまーちゃんの両親はとても察しがいい人達で、俺達2人が付き合っている事にすぐに気がついた。それでも俺達が付き合っていることに対して反対すること無く、むしろ応援までしてくれるほどだった。あの頃の俺はまーちゃんと結婚をして、普通の家庭を築けるものだと思っていた。
しかしある日の夕方。いつも通り2人仲良く帰っていると、突然母が物凄い形相で家から出てきて俺の顔をビンタした。その時俺は何が起きているのか分からず、一瞬ボーッとしてしまった。俺をビンタした後母は、二度と俺に近づくなとまーちゃんに言って、母は父と協力して強制的にまーちゃんを家に返した。しかし俺は当然母と父に反抗して、毎日一緒に学校へ通った。すると今度は怒った父が俺を殴り、そしてまーちゃんの両親に息子に二度と近づかせないでくれと言い金を渡した。しかしまーちゃんの両親は、息子達はせっかく愛し合っているのにそんな勝手なことは出来ないと、父に金を返金した。それに怒こった父は近所にあらぬ噂を流したり、まーちゃんの両親が勤める会社に圧力をかけたり、色々な嫌がらせを行っていた。それに気がついたまーちゃんは、父に直接止めるようにお願いした。すると父は、やめて欲しいなら息子と二度と関わらない事を約束するようにと、要求してきた。まーちゃんはその条件をのみ俺と二度と関わらないことにした。
「まーちゃんは、結婚してないのか?」
「いいや、結婚してたけど昭仁が5歳の時に出ていかれちゃった。」
「そうか。じゃー俺と同じだな。」
するとまーちゃんは少し苦笑いをし、一言そうだねと応えた。
「なぁ、もう一度寄りを戻さないか?」
「・・・ダメだよ。こんな俺のためにたーちゃんの人生を棒に振るって欲しくないんだ。だからやり直すんだったらもっと若い子にしなよ。」
「俺はあの時ちゃんとまーちゃんの変化に気がついて、そのまま連れ去れば良かったって未だに後悔してる。だからそんな悔しい思い俺は二度としたくない。」
「そんなの勘違いしてるだけだよ。」
「勘違いなんかしていない。勘違いなんかでわざわざお前に会いになんて来る訳が無いだろ。」
「俺はもうたーちゃんの事なんて好きじゃない!」
そう言ってまーちゃんはソファーから立ち上がり、その場を立ち去ろうとしたので俺はまーちゃんの肩を両手で掴んだ。
「ならせいぜい俺の顔を見てから振れ。じゃないと俺は諦める気は全く無い。」
まーちゃんはずっと下を向き軽く肩がプルプルと震えてきた。そしてまーちゃんは俺の顔を見て泣きながらこう言った。
「そんなの・・・そんなの出来るわけがないだろ!たーちゃんの顔なんて見たら俺はまたたーちゃんの事を好きになっちゃうじゃないか!ずっとずっと忘れようと必死だったのに、どうしてもたーちゃんの事が忘れられなくて、それに気がついたのか妻には愛想をつかされて出ていかれてしまったし、息子にはすごい心配をかけてしまうし。俺は、俺は・・・ッ!」
俺はまーちゃんをぎゅっと抱きしめたて言った。
「俺の事まだ好きでいてくれてよかった。」
「馬鹿じゃないの。こんな歳をとったΩなんて何の利益もないよ。」
そしてその言葉にイラッと来た俺は、まーちゃん目をじっと見て言った。
「俺はΩだからとか歳をとってるとか関係ねぇ、利益がどうとかもどうだっていい。俺が本当に欲しいのはお前自身だ!」
するとまーちゃんは泣きながら俺に何回も謝り、俺にギュッと抱きついてきた。そして俺はただただ無言で頭を撫でながら、泣き止むのを待った。
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