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3章 人の子の禍福
34 隠された地への道
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学術都市は長閑でしずかだ。どの家も広い庭と菜園、小さな鶏舎や家畜小屋を備え、街並みは整っている。
街路樹は必要ないほどの緑。
大渓谷に到るまでの道程から察するに、ここも元は森だったのかもしれない。――それほど、陽光を白く楽しげに弾く緑葉の色合いはそこかしこで見られ、街を歩く一行の目を和ませた。
長の魔法で渓谷の翠湖とは遮断されているはずだが、どことなく水の気配が濃い。
あちこちに小さな泉が見受けられ、さやさやと葉を揺らす風の音、こぽこぽと沸き出でる清水の音がやさしく辺りを満たしている。
石畳は石灰を含むのか白っぽく、茶色っぽい石と組み合わせては時おりモザイク模様を描いていた。
馬車などは通らない。皆、徒歩だ。
そのうち、人間だなと見てとれるのは全体の一割ほど。あとは精霊のようだ。
通りに人は少ない。
一応「街中に出掛けるとは思わない方がいい」とのスイの忠告に従い、四名は全員軽装ではあるがマントをまとい、足元は耐水性の高いブーツを履いている。
それはいかにも旅人然としており、街中では少々浮いていたのだが――新参が下層部分、ひいては《宝石の都》を訪問するのは通過儀礼だと誰もが認識しているのだろう。黒髪の魔術師が率いる一行が特に視線を集めることはなかった。
庭先で花に水を遣るひと。
隣人と何やら話し込むひと。
総じて平均年齢は高いかもしれない。それぞれ、思い思いの朝をのんびりと過ごしている印象を受けた。
きょろきょろと興味深そうにあちこちを眺めつつ歩いていたキリクは、スイやエメルダからやや遅れていたが、ぴん! と、何かを思い付いた表情を浮かべたあと足を早め、師に並んだ。
「――あの、お師匠さま。学術都市に住まう人間は…《学術の徒》と呼ばれてますよね。あのひと達、みんな何かしらの学者や職人ですか?」
おだやかに整ったうつくしい顔を見上げて問う。
見返す師のまなざしは、潤んだように澄んだ光を乗せる理知的な黒みがかった紫。精霊ではないはずなのに、稀少な貴石を思わせる色合いの双眸――見慣れているはずの少年も、思わず目をみはった。
その瞳がやさしく細められる。
「うん。大体は」
「……そうではない人も、います?」
こくり、とスイは頷いた。視線はスッと前方に戻る。歩みは止めない。
「確か……四、五人ほどかな。セディオみたいに政治的な亡命者もいるよ。野心はないのに内乱で命を狙われたり。親戚の誰かから濡れ衣を着せられたり。望まぬ婚姻を強いられたり」
「えぇ……やんごとない方々って大変なんですね。……って、セディオさん? 昨日、さらっとケネフェルの王族って言ってましたね」
金茶のふわふわ頭が、くるっと後ろの殿をつとめる青年を振り向いた。
「ん? あぁ……そうだな。でも、守秘義務まで怠る気はないから。必要なければあれ以上は話さんぞ。とりあえず前向け、危ない」
「え? わ! ……っぶふ!!」
どん! と衝撃。
しかし痛くない。ぶつかられた当の本人も気分を害した様子はなく、逆に少年を気遣った。
「あ。ごめんねキリク。急に立ち止まって。着いたよ」
「いえ、すみません! ちゃんと見てなくて…え? 広場ですよね、ここ」
「そう。そして古き精霊達の住まう《宝石の都》の入り口。おいで、三人とも」
表層都市の、おそらくはほぼ中央。
白と茶のモザイク模様は大きな円の中に星のような紋様をいくつか描いている。その、星々を抱えた円の連なりは大きさや星の数を変えつつ広場の外周から、真ん中の時計塔へと集まっていた。
スイは迷うことなく、すたすたとその石造りの塔へと近づく。焦げ茶の木の扉をキィ、と開けると、中は二階への階段がある以外空っぽ。
しかし、彼女は動じることなく目を閉じ、失われた言語で語り始めた。
“――いでよ 隠された地への道 我 失われし紫水晶 新しい子らを連れて 通らせておくれ 全き者に 会いにゆくため”
未だ慣れない、異国の言葉のように不思議な音の羅列だ。それを滑らかに韻を踏み、音楽的な抑揚を付けている。
高くもなく、低くもない、すんなりと耳に入る甘さのある声は、やはり魅力的で――
(あー、やっぱ声も好きだな)などと、小豆色の髪の青年がやくたいもなく考え始めた頃。
ふ……っと、塔内部の空気が揺らぎ、目の前の“室内”の景色がカーテンを中央から開いたように、光の粉を散らしながらほどけた。
現れたのは、ぽっかりと口をあけた地下への階段。いっそ無骨なほどの造りで、洞窟のような壁がむき出しだ。階段そのものは白く闇に浮かび上がり、足元への不安をちょっとだけ和らげている。
後ろから覗き込む一行に対し、黒髪の魔術師は向き直ってにこり、と笑んだ。
「さ、どうぞ?」
街路樹は必要ないほどの緑。
大渓谷に到るまでの道程から察するに、ここも元は森だったのかもしれない。――それほど、陽光を白く楽しげに弾く緑葉の色合いはそこかしこで見られ、街を歩く一行の目を和ませた。
長の魔法で渓谷の翠湖とは遮断されているはずだが、どことなく水の気配が濃い。
あちこちに小さな泉が見受けられ、さやさやと葉を揺らす風の音、こぽこぽと沸き出でる清水の音がやさしく辺りを満たしている。
石畳は石灰を含むのか白っぽく、茶色っぽい石と組み合わせては時おりモザイク模様を描いていた。
馬車などは通らない。皆、徒歩だ。
そのうち、人間だなと見てとれるのは全体の一割ほど。あとは精霊のようだ。
通りに人は少ない。
一応「街中に出掛けるとは思わない方がいい」とのスイの忠告に従い、四名は全員軽装ではあるがマントをまとい、足元は耐水性の高いブーツを履いている。
それはいかにも旅人然としており、街中では少々浮いていたのだが――新参が下層部分、ひいては《宝石の都》を訪問するのは通過儀礼だと誰もが認識しているのだろう。黒髪の魔術師が率いる一行が特に視線を集めることはなかった。
庭先で花に水を遣るひと。
隣人と何やら話し込むひと。
総じて平均年齢は高いかもしれない。それぞれ、思い思いの朝をのんびりと過ごしている印象を受けた。
きょろきょろと興味深そうにあちこちを眺めつつ歩いていたキリクは、スイやエメルダからやや遅れていたが、ぴん! と、何かを思い付いた表情を浮かべたあと足を早め、師に並んだ。
「――あの、お師匠さま。学術都市に住まう人間は…《学術の徒》と呼ばれてますよね。あのひと達、みんな何かしらの学者や職人ですか?」
おだやかに整ったうつくしい顔を見上げて問う。
見返す師のまなざしは、潤んだように澄んだ光を乗せる理知的な黒みがかった紫。精霊ではないはずなのに、稀少な貴石を思わせる色合いの双眸――見慣れているはずの少年も、思わず目をみはった。
その瞳がやさしく細められる。
「うん。大体は」
「……そうではない人も、います?」
こくり、とスイは頷いた。視線はスッと前方に戻る。歩みは止めない。
「確か……四、五人ほどかな。セディオみたいに政治的な亡命者もいるよ。野心はないのに内乱で命を狙われたり。親戚の誰かから濡れ衣を着せられたり。望まぬ婚姻を強いられたり」
「えぇ……やんごとない方々って大変なんですね。……って、セディオさん? 昨日、さらっとケネフェルの王族って言ってましたね」
金茶のふわふわ頭が、くるっと後ろの殿をつとめる青年を振り向いた。
「ん? あぁ……そうだな。でも、守秘義務まで怠る気はないから。必要なければあれ以上は話さんぞ。とりあえず前向け、危ない」
「え? わ! ……っぶふ!!」
どん! と衝撃。
しかし痛くない。ぶつかられた当の本人も気分を害した様子はなく、逆に少年を気遣った。
「あ。ごめんねキリク。急に立ち止まって。着いたよ」
「いえ、すみません! ちゃんと見てなくて…え? 広場ですよね、ここ」
「そう。そして古き精霊達の住まう《宝石の都》の入り口。おいで、三人とも」
表層都市の、おそらくはほぼ中央。
白と茶のモザイク模様は大きな円の中に星のような紋様をいくつか描いている。その、星々を抱えた円の連なりは大きさや星の数を変えつつ広場の外周から、真ん中の時計塔へと集まっていた。
スイは迷うことなく、すたすたとその石造りの塔へと近づく。焦げ茶の木の扉をキィ、と開けると、中は二階への階段がある以外空っぽ。
しかし、彼女は動じることなく目を閉じ、失われた言語で語り始めた。
“――いでよ 隠された地への道 我 失われし紫水晶 新しい子らを連れて 通らせておくれ 全き者に 会いにゆくため”
未だ慣れない、異国の言葉のように不思議な音の羅列だ。それを滑らかに韻を踏み、音楽的な抑揚を付けている。
高くもなく、低くもない、すんなりと耳に入る甘さのある声は、やはり魅力的で――
(あー、やっぱ声も好きだな)などと、小豆色の髪の青年がやくたいもなく考え始めた頃。
ふ……っと、塔内部の空気が揺らぎ、目の前の“室内”の景色がカーテンを中央から開いたように、光の粉を散らしながらほどけた。
現れたのは、ぽっかりと口をあけた地下への階段。いっそ無骨なほどの造りで、洞窟のような壁がむき出しだ。階段そのものは白く闇に浮かび上がり、足元への不安をちょっとだけ和らげている。
後ろから覗き込む一行に対し、黒髪の魔術師は向き直ってにこり、と笑んだ。
「さ、どうぞ?」
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