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僕の姉を狙うなんて許さない

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僕には姉がいる。正直、真面目とは言えないが、勉強はそこそこやる方で、優しい人だ。
僕は今思春期だから、中々素直になれないが、姉はいくらか大人なのか、普通に話せるし、一緒にいて楽な相手でもある。
見た目の話をしよう。もちろん人は見た目ではない。事実、僕の先生は明らかに怖い顔だが、温厚で思慮深い人物だ。しかし、姉は性格が優しいだけではない。容姿も整っている。身長は高くはないが、スタイルが良い。目鼻立ちがはっきりしていて、髪も長いため、モデルのように映る。そんな姉と話す時は流石に少し緊張する。見慣れているはずなのに。
「あのさ……」
「何?」「その……姉さんって彼氏いるの?」
「いないよ」
「そっか、良かった」
「なんで?」
「いや別に何でもないけど……」
実は、姉とは実の姉弟ではない。親の再婚で成り立った関係だ。僕たちは血が繋がっていない。でも、家族である事に変わりはない。僕はそう思うのだ。
こんなにかわいい姉なら、さぞモテるだろう。容易に想像できる。実際、何人か告白されたらしいが、全て断っているようだ。
「じゃあね」
「うん」「お疲れ様」
今日も授業が終わった。これから部活の時間だ。吹奏楽部に所属している。楽器は主にチューバを担当している。なぜこの楽器を選んだかと言うと、単純にカッコイイから。まぁ、中学生男子なんてそんなものだ。
放課後になり、部室へ向かう。いつも通り扉を開けると、部長がいた。この人が部長であり、我が部の顧問である。そして、僕の好きな人である。
「こんにちは」
「はい、こんにちは」
「みんな来てますか?」
「まだ私しか来ていないわ」
「わかりました」
部室の隅にある椅子に座ってスマホをいじり始める。
姉と家族になったときは、姉が好きだった。でも、家族にそういう感情ではいけないだろうと踏ん切りを付け、諦めていた。それで部活の先輩に恋をしている。その先輩が今部長になったのである。
「もうすぐ全員揃いますかね?」
「えぇ、多分来ると思うわ」
「分かりました」
しばらくすると、続々と部員が集まってきた。今日も部活だ。
部活からの帰り道。夕日が綺麗に見える。僕はこの景色が好きでよく見ている。特に理由があるわけではないが、心が落ち着く気がするのだ。
「ねえ、内本さん?」
そう思っていたら急に知らない男に僕たちは声を掛けられた。
姉の知り合いだろうか。とりあえず返事をしてみる。
「はい。何ですか?」
「君の姉ちゃん可愛いよね」
「えっ……?」
思わず変な声が出てしまった。何なんだこいつは。初対面の人にそんなことを聞いてくるのか。しかも突然だし……。
「いやだからさ、君のお姉さんのこと好きだなって思って」
「はぁ…」
何なんだこいつ。いきなり何を言っているんだ?というか本当に誰だよお前。
翌日、僕は信じられない光景を見てしまった。
「本当に好きなんだよ。」
「や、やめてぇ…」姉が昨日の男に言い寄られている。どう見てもただならぬ様子だ。
「ちょっと!やめてください…」「いいじゃん別にー、付き合ってよ」
「嫌です!」
「どうして?俺悪い人じゃないし、良い奴だと思うんだけどな」
「いや…」「お願いしますよ~」
「離して……ください……」
姉は涙目になっている。僕はいても立っても居られなくなり、2人のところへ駆け出した。
「おい!姉さんから離れろ!!」「あっ?」
「なんだてめぇ」
「うるさい!!僕の姉を狙うなんて許さないぞ」「ちっ……」男は舌打ちをしながら去って行った。
「大丈夫!?姉さん」
「うぅ……ありがとう……」
「怖かったね。よしよし」頭を撫でながら慰める。
「うん、ごめんなさい。また迷惑かけちゃったね」
「姉さん、ちょっと見た目が良すぎるんだよ。」「そうなのかな?」
「そうだよ。自覚ないの?」
「ないわけじゃ無いけど、そこまでだとは思わないよ」
「そうかもね。でも気をつけないとダメだよ。僕心配で仕方ないんだから。」
「分かったわ。じゃあ休日出かけるときは、彼氏のフリしてね!」
「え?マジ?」「そう、大まじよ。だって弟が彼氏役やってくれるんでしょ?」
「ま、まぁそうだけどさ。」
「やった~楽しみにしてるわ。」
こうして僕たちは偽装デートをすることになった。
2人で街に繰り出している。
なんだかまた姉が好きになってしまったようだった。
「ね、姉さん随分今日はセクシーな…」「あら、ありがと♡」
姉さんの今日の服装はとても露出が多いものだった。短い(が過ぎる)タイトスカートを履いている。姉さんのスタイルの良さが強調される格好だ。
「ほら、ボーッとしてないで行くよ?」「あ、うん」まず最初に訪れたのは、映画館。
「何見たいの?」「これ」姉が指さしたのは、恋愛映画だ。
「なんか意外だね」「そう?」「うん。もっとこう、アクションとかそういう系かと思ってた」
上映中、姉に手を握られたのは内緒だ。
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