上 下
1 / 1

夫以上の男、妻以上の女

しおりを挟む
私には、秘密がある。夫には、絶対に言えない。だってそれは…
「今日、水族館行こうよ。」
「いいよ!」
私は、彼の誘いにすぐに乗った。私たちの住んでいるところは都会ではなくて田舎なのであまりデートスポットがないのだ。
「どこ行く?」
「品川のやつ行ってみたい!」
「江ノ島のもオススメだよ?」
「あー!それもいいなぁ……」
「じゃあ、今度どっちか選んで一緒に行こっか。」
「うん!」
彼とは、…不倫だ。私は別の人と結婚している既婚者だ。既婚者といっても、相当若いほうで、まだ25歳にもなっていないが。
まあ、美容には気を使っているから、夫いわく、身体はぴちぴちのJK並という。夫は、超がつくほどのドケチだ。でも、なぜか私のことに関してはすごく甘々になる。私がしたいと言ったら何でも叶えてくれるし、私の言うことはなんでも聞く。そして、浮気してるなんて夢にも思っていないだろう。
浮気相手の彼は、実は私と同じく既婚者だ。既婚者同士の不倫。一番質の悪いケースであることぐらい知っている。でも、私はこの関係を止めるつもりはない。なぜなら彼が好きだからだ。初めて会った時から好きだった。一目惚れってあるんだなって思った。彼もまた同じ気持ちでいて、お互いに惹かれあった。
「お待たせ!」「俺も今来たとこ。じゃあ、行こっか。」
私たちは手を繋いで駅に向かった。彼の手は温かくて心地よかった。
「ねぇ、今日の服装可愛いね。」
「そう?ありがとう。」
ちょっとセクシー目にしてみたのだ。
「君の方が似合ってるよ。その服めっちゃ可愛いじゃん。」
「えへへっありがと!」
私は、嬉しくてつい彼に抱きついた。彼は一瞬驚いた顔をしたがすぐに優しく微笑みながら頭を撫でてくれた。
「もうそろそろ着くよ。」「そうだね。楽しみだなぁ……」
水族館に着くまで私たちはずっと手を繋いだままだった。電車の中でも、水族館にいる時もずっと……。
「見てみて!魚たくさんいる!」「ほんとだ。綺麗だね。」
旦那だと、こういうとき鈍いんだよなぁなんて思いながら水槽を眺めた。
「イルカショー始まるよ。見に行かない?」
「うん!行く!」
私たちは、席に着いた。少しだけ早く着いたのでまだ人はそんなに多くなかった。
「楽しみだね。」「うん!」
それからまもなくして、イルカたちが姿を現した。ジャンプしたり、輪くぐりをしたりして観客たちを魅了していった。
「すごい迫力だったね!」
「うん!楽しかった~。」
その後、お昼を食べて、帰りの電車に乗って帰った。
「今日はありがとね。」「こちらこそだよ。また行こうね。」
「もちろん!約束だからね!」
私たちはキスをした。そして、私たちの家のある駅まであと3駅のところで事件は起きた。
「……!?」「どうしたの?」
急に、彼が苦しそうな表情を浮かべた。
「ごめん…妻が帰ってくる時間なんだ。」「う、うん……」
「本当に申し訳ないんだけど、このまま帰ってくれないかな?」
「わ、わかった。じゃあ、帰るね。バイバイ。」
私は、そのまま家に帰った。
「ただいま~」と言っても誰も返事をしてはくれなかった。夫はまだ仕事か。
「ふぅー疲れたぁ……」
こんなに乙女の気持ちになれたのは久々なのだ。
「さっきまで一緒に居た人が私の本当の夫なら良かったのに……」
私は、スマホを開いてLINEを開いた。
『先程は、突然帰らせてしまってすいませんでした。妻が帰ってきたので、仕方なく帰ってしまいました。でも、あなたが嫌になったとかそういうことでは決してないので安心してください。これからもよろしくお願いします!』
「えへへっ、やっぱり優しいなぁ。私のことを一番理解してくれてるし、大好き。」
私は、彼からのメッセージをスクショして保存した。
「誰の事?」
う、噓!?夫が帰ってきている!?なんで?いつもより早いじゃない!
「だ、だれのことですか?」
とりあえずしらばっくれようと思ったが無駄だったようだ。
「誤魔化す必要無いよね?俺の妻であるお前が他の男と一緒に居るところを見たって言ったらどういう反応すると思う?」え、嘘でしょ?見られたの?いなかったはずなのにどうして!?
「何してるの?」
「な、何もしてませんけど?」
私は、平然を装った。
「じゃあ、これなーんだ?」
夫は、スマホを見せてきた。そこには私が彼とキスをしている写真があった。しかも、彼は私を抱きしめていた。完全に浮気現場の証拠だ。
「ち、違います!これは、違うんです!こ、これには深いわけがあって……」「なにが違うの?俺は、今、目の前にある証拠を見て言っているんだけど?」
夫は、私に詰め寄ってきた。私は、怖くて後ずさりしてしまった。そして、壁にぶつかった。
「もう逃げられないよ。君は、俺の女だろ?」夫は、私の上に覆い被さって私を見下ろした。私は、恐怖心から声が出せなかった。
「ねぇ、浮気してたんでしょ。」私は、黙って首を横に振ったが、彼はそれを肯定と受け取ったのか、こう言った。
「じゃあ、今ここで浮気相手とやったこと全部やって見せて。そしたら許してあげる。」
私は、一瞬何を言われているのかわからなかった。でも意味を理解した瞬間、全身の血の気が引いたような感覚に襲われた。
「や、やりたくないです!」
「じゃあ、不倫を認めたことになるけどいいんだね?認めないなら、その前に警察を呼ぶよ。」
「そ、それは……」
「ほら、早くしないとほんとに通報されちゃうよ?」
私は、覚悟を決めた。私は、夫の方を向いて彼に抱きついた。そして、耳元で「愛しています。あなたのことが好きなのです。」と囁いた。すると、夫は満足したように笑い、「よくできました。」と言って頭を撫でてくれた。それから私たちは、熱い口づけを交わした。
悔しい。あんな奴に…… 私は、あいつに抱かれている時、絶対に忘れないと心に誓った。
私は、彼の家に泊まりに行った。でも、昨日のこともあって気まずい雰囲気になってしまったのだ。
「あ、あのぉ……」
「ん、どうしたの?」
「わ、私、バレちゃった…」「そうみたいだね……。」
「ど、どうにかならないのかな?」
「多分無理だと思うよ。」
「そんなぁ……」
私は、絶望の淵に立たされてしまった。
「この関係も、終わり?」
「うん。」
どうにもならない。私たちは、お互いのためを思って今までやってきたのに、結局は裏切られてしまう運命なのか……
「ごめんね。」
「なんで謝るの?」
「だって、俺のせいで……」
私は彼を抱きしめた。強く……もっと強く……まるで、離れないように……
「あなたは悪くない。悪いのは私だから。」
「ううん、違うんだよ。実は、今日、奥さんが帰ってくるんだ。それで、君の事を見られていて……」
「え、嘘……」
「本当なんだ。」
私たちは本当に終わりだ。
「わかった。最後に一つだけわがまま聞いてくれる?」
「なんでも言って。」
「私の事を抱いてほしい。」
「いいの?」
「もちろんだよ。」
私は、纏うものを脱いだ。彼は、私のモノを触ってきた。私は、ビクッとして思わず声を出してしまった。
「可愛いね。」
「もうっ、バカにしないでっ。」
私は、恥ずかしさからついつい強めの言葉を発してしまっていた。
「ごめん。」
「うぅ~っ、気持ち良い~」
「ここが好き?」
「あっ、そこダメっ。」
「ふーん、ここが良いんだ。」
「ううっ、いじわるっ。」
「でも、好きなくせにw」
「もうっ!知らない!」
「ごめんってば。」
「ねぇ、挿れて?」
「いいの?」
「うん。」
「じゃあ、いくよ。」
彼は一気に挿れてきた。私の中で何かが崩れる音がした。
「あ、あああんっ。だめぇ、壊れちゃう。」
「大丈夫。まだまだこれからだよ。」
「お願い、優しくして……」
「わかってるよ。」
彼は、激しく腰を動かしてきた。私は、その快楽に耐えられなくて意識を失ってしまった。
「あれ?おーい、起きて?」
「う、うん?」
「おはよう。」
「私、気絶しちゃったんだ……」
「ごめんね。痛かったよね。」
そうだ、私は軽くイったのだ。これで彼との関係は終わりを告げたのだろう。最後にできてよかった…
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

エッチな太ももだね!襲いたくなっちゃうよ

ヘロディア
恋愛
僕と、僕の横で寝る彼女。僕たちはまだ高校生であった。だんだん激しさを増していく二人の関係。その先には? ※Aパートは「僕」が主人公、Bパートは「彼女」が主人公です。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

先輩はエロすぎて僕の手に負えない

ヘロディア
恋愛
主人公の「僕」は学校の先輩と恋人になっている。 その「先輩」は僕にとって愛情と欲情をそそられる存在であった。 そんな二人は、イチャイチャした翌日、映画館デートに行くことになったのだった。

処理中です...