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三国緊急会議 ③
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「ちと妻と息子を迎えに行ってくる」
弥生とオルトリンデが今からまさに三ヶ国会議のために各国の代表を迎えに行く直前、洞爺はのんびりとした口調で切り出した。
ベルトリア共和国から帰ってきてからすぐにいつものメンバー全員に周知をしていたので特に驚いたりなどは無かったが、時期には言及しておらず三ヶ国会議が終わってからだと思っていたので弥生とオルトリンデは少々意外だった。
「それは構わないですが、ずいぶんと急ですね?」
洞爺の手荷物らしきものはいつも通り腰に差されている愛刀のみ、いくら何でも身軽すぎやしないだろうか?
「うむ、家も用意できたしサッと行ってサッと帰ってくる」
「片道1ヵ月、確かに北の海で雪が降る前となればこのタイミングしかありませんか……わかりました」
「気を付けてね洞爺おじいちゃん」
「うむ、念のため牡丹には留守を任せる」
牡丹の居残りはオルトリンデも改めて護衛を立てる手間も省けるので内心で胸をなでおろす。
「それに……あのちょんぱも暫く動くまい。それも見越してじゃ」
「……そうですか、まあ三ヶ国会議でその……『ちょんぱ』って正式名称です? こう、締まらないのですが」
「名付け親は誰じゃったかのう? 呼びやすいようにおぬしらで決めれば良いのではないか」
その語呂の良さから三ヶ国会議でも認定されてしまいそうで怖い、都市伝説として語り継がれたらどうしようかと思う位に。
その辺りは洞爺の管轄外だ、呼び名なんて有事の際に誰をどうするかだけわかっていればいいという程度の物でしかない。
「そうします、夜音が頭を抱えそうなので……あ、そうそう。あなたの申請通り奥様の働き先は家政婦ギルドに話を通してありますので戻ってきたら連絡をください」
「わかった、感謝する。ではな弥生、オルトリンデ」
そう言って洞爺はさっそく踵を返す。普段はのんびりとしている印象が強い彼ではあるが目的が決まると誰よりも行動は速い。
弥生とオルトリンデもそれを知っているだけに『おみやげよろしく~』と見送った。
「洞爺が戻るまであなたの護衛はまたエキドナに担当してもらいましょうかね」
「……あ~、その件でオルちゃんに今晩相談しようと思ってたんだよね」
「弥生、貴女が事前に相談したいと話してくる場合ってなんか私には何ともできなそうな気配しかしないんですが!?」
「え? なんで!?」
「他国の国王の前で建物ぶっ飛ばしていいですかってドヤ顔で言わされてまだ一か月しかたってないんですが!?」
「お、オルちゃんなら良くそういう事を言ってるってフィヨルギュンさんが言うから!!」
「やっぱりアイツが元凶かぁぁ!? 組ませるんじゃなかった!! あの性悪エルフ!! でかいのは胸だけにしてほしかった!!」
オルトリンデは今だからこそ言えるが、あの「お宅の一番おっきい建物新築しませんか?」発言は弥生発案だった。しかも他に選択肢が無いように一個一個潰してからの相談だったのでやらざるを得ない状況にさせられている。
「なんか弥生が思い切り良すぎる作戦を立てると思ったら……」
はあ、とため息をついて肩を落とすオルトリンデ。
確かにそれが一番人的被害が少ない、それはそうだったのだろうけれども……と弥生の作戦を信用しての事だからオルトリンデにも是非は無かった。なかったのではあるが。
「見たくないなら建物ごと、は基本だよ? オルちゃん」
ちなみにGホイホイ作戦と最初は銘打ったのだがいくらなんでもそれは、と真司や文香にまで難色を示されたので結局作戦名は決まらなかったという裏話である。
「それは良いんですけどね、で? エキドナに関しての相談は何です?」
「キズナが私の暫定護衛になったの。エキドナさん昨日ジェミニと西の大陸に向けて家族探しに出かけたの」
「……もう一回言ってもらえます? おかしいですね、アルベルトじゃあるまいし耳が少し変になったみたいで」
「キズナが私の暫定護衛になったの。エキドナさん昨日ジェミニと西の大陸に向けて家族探しに出かけたの」
「…………聞き間違いであってほしかった!! なんなんです!? 西の大陸へ行った!! しかも事後報告!? ちょっと弥生、私あの金髪バラバラ娘にわからせてきます!!」
「やっぱりエキドナさん無断でジェミニ連れてったんだぁ……」
昨晩エキドナは夜逃げよろしく寝ぼけ眼のジェミニと共に飛び立った。
洞爺以上にフットワークの軽いエキドナの行動は弥生としても驚いたが、エキドナもちょんぱの動きが止まると予想しており戦力増強も兼ねてキズナとエキドナが調べていない西へと足を延ばす。
「え、じゃあ文香の護衛どうするんです!? レンが居たからラッキーとか正直思ってたんですよ!?」
「夜音ちゃん居るし大丈夫大丈夫。それより三ヶ国会議だよ、もうすぐフィンさん達到着するから迎えに行かなきゃ」
「クワイエットぉ! 貴方知ってましたね!? 覚えてなさいよ!!」
「……そっちも知らないんだ。まあいいや、会議が終わってから話せば」
いつの間にかみんなオルトリンデさんより弥生さんに先に相談しちゃう。だって怒られるんだもん。
「待ちなさい……弥生、『そっちも』も含めて今すぐ全部吐きなさい」
「あ、ルミナスだ。あたしフィンさんのお迎え行ってくるねオルトリンデ監理官」
「冷や汗流して目を泳がしながら行かないでください!! 弥生! 弥生ぃぃ!!」
ずーるずーるとオルトリンデを引きずりながら弥生は皆のフットワークの軽さに頼もしいと思う反面、後始末をする自分の身にもなってほしいかなぁ? と半笑いで歩くのだった。
弥生とオルトリンデが今からまさに三ヶ国会議のために各国の代表を迎えに行く直前、洞爺はのんびりとした口調で切り出した。
ベルトリア共和国から帰ってきてからすぐにいつものメンバー全員に周知をしていたので特に驚いたりなどは無かったが、時期には言及しておらず三ヶ国会議が終わってからだと思っていたので弥生とオルトリンデは少々意外だった。
「それは構わないですが、ずいぶんと急ですね?」
洞爺の手荷物らしきものはいつも通り腰に差されている愛刀のみ、いくら何でも身軽すぎやしないだろうか?
「うむ、家も用意できたしサッと行ってサッと帰ってくる」
「片道1ヵ月、確かに北の海で雪が降る前となればこのタイミングしかありませんか……わかりました」
「気を付けてね洞爺おじいちゃん」
「うむ、念のため牡丹には留守を任せる」
牡丹の居残りはオルトリンデも改めて護衛を立てる手間も省けるので内心で胸をなでおろす。
「それに……あのちょんぱも暫く動くまい。それも見越してじゃ」
「……そうですか、まあ三ヶ国会議でその……『ちょんぱ』って正式名称です? こう、締まらないのですが」
「名付け親は誰じゃったかのう? 呼びやすいようにおぬしらで決めれば良いのではないか」
その語呂の良さから三ヶ国会議でも認定されてしまいそうで怖い、都市伝説として語り継がれたらどうしようかと思う位に。
その辺りは洞爺の管轄外だ、呼び名なんて有事の際に誰をどうするかだけわかっていればいいという程度の物でしかない。
「そうします、夜音が頭を抱えそうなので……あ、そうそう。あなたの申請通り奥様の働き先は家政婦ギルドに話を通してありますので戻ってきたら連絡をください」
「わかった、感謝する。ではな弥生、オルトリンデ」
そう言って洞爺はさっそく踵を返す。普段はのんびりとしている印象が強い彼ではあるが目的が決まると誰よりも行動は速い。
弥生とオルトリンデもそれを知っているだけに『おみやげよろしく~』と見送った。
「洞爺が戻るまであなたの護衛はまたエキドナに担当してもらいましょうかね」
「……あ~、その件でオルちゃんに今晩相談しようと思ってたんだよね」
「弥生、貴女が事前に相談したいと話してくる場合ってなんか私には何ともできなそうな気配しかしないんですが!?」
「え? なんで!?」
「他国の国王の前で建物ぶっ飛ばしていいですかってドヤ顔で言わされてまだ一か月しかたってないんですが!?」
「お、オルちゃんなら良くそういう事を言ってるってフィヨルギュンさんが言うから!!」
「やっぱりアイツが元凶かぁぁ!? 組ませるんじゃなかった!! あの性悪エルフ!! でかいのは胸だけにしてほしかった!!」
オルトリンデは今だからこそ言えるが、あの「お宅の一番おっきい建物新築しませんか?」発言は弥生発案だった。しかも他に選択肢が無いように一個一個潰してからの相談だったのでやらざるを得ない状況にさせられている。
「なんか弥生が思い切り良すぎる作戦を立てると思ったら……」
はあ、とため息をついて肩を落とすオルトリンデ。
確かにそれが一番人的被害が少ない、それはそうだったのだろうけれども……と弥生の作戦を信用しての事だからオルトリンデにも是非は無かった。なかったのではあるが。
「見たくないなら建物ごと、は基本だよ? オルちゃん」
ちなみにGホイホイ作戦と最初は銘打ったのだがいくらなんでもそれは、と真司や文香にまで難色を示されたので結局作戦名は決まらなかったという裏話である。
「それは良いんですけどね、で? エキドナに関しての相談は何です?」
「キズナが私の暫定護衛になったの。エキドナさん昨日ジェミニと西の大陸に向けて家族探しに出かけたの」
「……もう一回言ってもらえます? おかしいですね、アルベルトじゃあるまいし耳が少し変になったみたいで」
「キズナが私の暫定護衛になったの。エキドナさん昨日ジェミニと西の大陸に向けて家族探しに出かけたの」
「…………聞き間違いであってほしかった!! なんなんです!? 西の大陸へ行った!! しかも事後報告!? ちょっと弥生、私あの金髪バラバラ娘にわからせてきます!!」
「やっぱりエキドナさん無断でジェミニ連れてったんだぁ……」
昨晩エキドナは夜逃げよろしく寝ぼけ眼のジェミニと共に飛び立った。
洞爺以上にフットワークの軽いエキドナの行動は弥生としても驚いたが、エキドナもちょんぱの動きが止まると予想しており戦力増強も兼ねてキズナとエキドナが調べていない西へと足を延ばす。
「え、じゃあ文香の護衛どうするんです!? レンが居たからラッキーとか正直思ってたんですよ!?」
「夜音ちゃん居るし大丈夫大丈夫。それより三ヶ国会議だよ、もうすぐフィンさん達到着するから迎えに行かなきゃ」
「クワイエットぉ! 貴方知ってましたね!? 覚えてなさいよ!!」
「……そっちも知らないんだ。まあいいや、会議が終わってから話せば」
いつの間にかみんなオルトリンデさんより弥生さんに先に相談しちゃう。だって怒られるんだもん。
「待ちなさい……弥生、『そっちも』も含めて今すぐ全部吐きなさい」
「あ、ルミナスだ。あたしフィンさんのお迎え行ってくるねオルトリンデ監理官」
「冷や汗流して目を泳がしながら行かないでください!! 弥生! 弥生ぃぃ!!」
ずーるずーるとオルトリンデを引きずりながら弥生は皆のフットワークの軽さに頼もしいと思う反面、後始末をする自分の身にもなってほしいかなぁ? と半笑いで歩くのだった。
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