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10 大団円、3人で歩む大勢に祝福された未来。

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俺とアリシアの結婚を邪魔した連中はうちのセイロン家はもとより、商人ギルドと牛耳っているパイフー家と錬金術師ギルドで美容品や薬草の流通を握っているザンウ家を敵に回し、貴族として欠かせない社交界で居場所を失ったばかりか、食事すらままならない餓死する状態に追い込まれた。

貴族家を支える夫人の戦場である茶会といった社交の場では茶葉や流行の品などに関する知識は欠かせず、それらを備えるために品の流通に欠かせない商人達を敵に回したのも奴等の敗因の1つだ。

もっとも、国王が取り決めた婚姻に反するという反逆罪を犯した時点で奴等の未来はなかった。

アリシアに関して、なぜうちの諜報員が彼女の拉致に気付けなかったかというと、拉致された当日は俺がアリシアと月に一度の逢瀬の日であり、公爵とグルだったオッド子爵夫妻が、アリシアが帰宅した直後に彼女を薬品で昏倒させて、屋敷の隠し通路から公爵が用意した家屋に連れ出していたのだった。

本来、公爵家の結婚式には国王王妃両陛下をはじめとした王族も招待して、大々的に執り行わなければならないのだが、メン公爵達はこの慣習も無視していた。

それだけでなく、教会にも無体を通しただけでなく、誓約の接吻といった儀式も恣意的に無視していた。

これらや初夜にも関わらず、アリシアの待つ寝室に新郎のケイ・メン公爵が終ぞ訪れなかったことはメン公爵本邸の侍女達の証言で明らかにされ、アリシアの純潔は証明された。

また、メン公爵家の無体に憤った教会により、アリシアとケイの婚姻は成立とするには不備が多数証明されたこともあり、白紙撤回、無効となった。

アリシアは子爵令嬢という身分と、両親が関与しているとはいえ、薬物を使って拉致されていたこと、ケイ・メン公爵の政務放棄によって公爵領民が王国民としての権利侵害されることを慮って、家宰達と共に政務を代行していたことから情状酌量され、今回罪に問われることはなかった。

意外だったのが、気炎を上げていたリンがアリシアと対面してすぐに彼女に懐いて、アリシアが元鞘に戻って俺と婚姻することを許すどころか、後押しして、公的な立場では実家の爵位の関係で爵位がアリシアより上のリンが第一夫人となるが、私的な場ではアリシアを義姉として扱うことにお互いに合意したことだった。

結局、メン公爵家は多くの不祥事が明るみになって、取り潰しとなり、当初の国王陛下の思惑通り、公爵領は王家の領地となって、今後は王太子殿下が治めることとなった。

オッド子爵家については親子間は絶縁状態であるものの、アリシアの弟であるオッド子爵の息子のレイ・オッド男爵が存命であったが、本人の希望で子爵位は返上された。

アリシアの拉致にレイ・オッド男爵は関わっておらず、アリシアとケイの急な婚姻について反発して親子間で絶縁となったこともあって、レイ・オッドにはお咎めなしとなり、そのままオッド男爵として男爵領を治めていくこととなった。



スザク家の当主のリンが許容したこともあり、俺はアリシアとの挙式をリンのものと併せて行うことになった。

アリシアのドレスはリンの協力もあって、用意していたものは装飾などがより艶やかなものになった。

国王・王妃両陛下と王太子殿下、俺とリンの兄貴分で辺境伯家としての盟友であるファー・パイウーとユ・ザンウの両名。また、アリシアの弟のレイ・オッドと彼の婚約者の少女。そして、アリシアの公爵領政務代行を手伝い、逃亡の手伝いをした元メン公爵家の家宰、使用人達といった多くの人が王都最大の教会に集まった。

彼等に祝福される中、俺はアリシアとリンの2人と夫婦の誓いを交わし、3人で夫婦となって初めての夜を迎えた。

後に、俺達は多くの子宝に恵まれて、その子供達が戴冠して、国王となられた王太子殿下の子供達と王国に一波乱巻き起こすことになるのだが、それはまた別の話。
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