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仙人について
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反乱軍が一度撤退していった日からはや数日。
「どうしよう……何も思いつかない」
反乱軍を食い止める方法も、お兄様と仲良くする方法も……今何すべきかも何もかも思いつかん!
「ユーリちゃんこっち向いてー!」
「お嬢……おいたわしや……」
そして、なぜだか知らないが冒険者組合で過ごしている私たちのもとにライ様たちがよく訪れる。くるたびにレオ君とユーリにファンサを求めるのはいいとして、こんなグダグダな生活を続けるわけにはいかないのだ。
「ライ様、仙人って知ってますか?」
「仙人、ですか?」
八呪の仙人と名乗っていたあの男。
仙人という存在について、私はあまり知らない。どういう存在なのか、ライ様に聞いておいても損はないだろう。
「仙人とは俗世とはかけ離れた生活をする不老不死。天地をひっくり返すほどの神通力を自在に操り、ある種の神として、日ノ本では崇められている存在です」
「お、おぉ……」
『神』というワードに強く反応してしまうのは絶対にあのスキルのせいだが、それにしても仙人とはそんなにすごい存在なのか。
というか、不老不死だと?
「死なないの?」
「戦で戦死することはあっても寿命で死ぬことは絶対にあり得ません。さらに言えば、病気にもかからず歳も取らず、感情は薄く無欲であるため、欲望を刺激して仙人を欺くことは絶対に不可能です」
感情が薄い……だから平気で人殺せるのか……。
「でも、いきなり何でそんなことを聞いたのですか?」
「実は、ついこの間仙人って名乗る人に会ったんだよね」
その時、ユーリの頭を撫でていたライ様の手が固まる。ユーリを持ち上げ立ち上がると私の方へ歩いてきて……
「それ本当ですか!?」
肩を思いっきり掴まれた。ぐわんぐわんと体を揺さぶられる。
「ちょっと、たんま……きつい」
「あ、ごめんなさい」
興奮気味だったライ様を落ち着かせる。
「そんなに珍しいの?」
「当たり前ですよ……神と崇められる仙人がそう何人もたくさんいるわけないでしょう?それに、仙人は『仙境』からなかなか出てこないですもの」
「仙境?」
「仙人が修行で使っていたりする場所ですね。基本的にはそこから外に出ることはありません」
じゃあ、あの男があそこにいたのはかなりレアなケースなわけか。何であんなところにいたのかはよくわからないが、今は気にしてもしょうがないだろう。
「じゃあ、『八呪の仙人』っていうのは知ってる?」
そう聞くと、あからさまにライ様の顔が歪んだ。いつの間にかライ様の腕から抜け出したユーリは蘭丸さんと遊んでいて、蘭丸さんはライ様の表情の変化に気づいていない。
「八呪の仙人…… 正式には『八呪御顕邪来真人』と呼ばれる仙人です」
「そうなんですか」
「長いので先ほど通り八呪の仙人と呼びますね。八呪の仙人は日ノ本の国が歴史書を作り始めるより前から存在する仙人です。そして、その名前の通り八つの呪いを背負っています」
「呪いとは何ですか?」
「簡単な意味での呪いですと、呪術だったりとかですね。でも、その八つの呪いはそれとは次元が違います」
八つの呪いについて、ライ様は簡単に説明してくれた。
歴史書に書かれている内容が全て真実だと仮定した時、仙人は自らを『創り上げた』存在から各々役割を与えられているらしい。
その役割通り、八呪の仙人は呪いをその身に宿した。
呪いは付けられた数字が高い順に威力が強くなるらしい。
一の呪い 弱体化の呪い
ステータスを大きく制限する呪い。もし、私がその呪いを喰らっていたらきっと一瞬で蹴りがついていただろう。
二の呪い 不感の呪い
何かしらの五感を一つ奪う呪い。
三の呪い 不可視の呪い
これは歴史書でも詳しく書かれていない呪いだった。相対した者が気がついたら体に大きな傷ができていたことから不可視と呼ばれているそうだ。
四の呪い 幻の呪い
相手に幻を見せる呪い。それが呪いであることに気づけない間は、一生幻の中を彷徨って生きていくことになる。
五の呪い 痛覚の呪い
前身に激しい痛みを与える呪い。ただ、その痛みは四の呪いのように幻であるため、痛みが引くことは絶対にない。
六の呪い 石化の呪い
これはおそらく反乱軍たちが塵となって消えた呪いだろう。ある一定以上の力が無いものは一瞬で石化を通り越して塵じりになってしまう。
七の呪い 変化の呪い
名前では伝わらないが、これは自我を保ったまま呪いが体を変形させていく。呪いをかけた仙人が望んだ通りの見た目に変化するまでには激しい痛みを伴い、変化が完了したら、それはもう仙人の操り人形に過ぎなくなる。
八の呪い 即死の呪い
かけられた相手は即死する。
「とまあ、八呪の仙人は仙界の中でもトップクラスの実力者ですね」
「即死の呪いとか強すぎじゃない?」
私は呪いを一つも食らっていない……ということは、あの男は全然本気ではなかったのか。私の体も若干崩壊してたから、一定ラインの実力に届いていなかったということだろう。
「強い。確かに強いんだけどね……」
「何かあるんですか?」
ライ様が顔を歪ませた理由。それは、
「八呪の仙人は人間を憎んでいるの」
「どうしよう……何も思いつかない」
反乱軍を食い止める方法も、お兄様と仲良くする方法も……今何すべきかも何もかも思いつかん!
「ユーリちゃんこっち向いてー!」
「お嬢……おいたわしや……」
そして、なぜだか知らないが冒険者組合で過ごしている私たちのもとにライ様たちがよく訪れる。くるたびにレオ君とユーリにファンサを求めるのはいいとして、こんなグダグダな生活を続けるわけにはいかないのだ。
「ライ様、仙人って知ってますか?」
「仙人、ですか?」
八呪の仙人と名乗っていたあの男。
仙人という存在について、私はあまり知らない。どういう存在なのか、ライ様に聞いておいても損はないだろう。
「仙人とは俗世とはかけ離れた生活をする不老不死。天地をひっくり返すほどの神通力を自在に操り、ある種の神として、日ノ本では崇められている存在です」
「お、おぉ……」
『神』というワードに強く反応してしまうのは絶対にあのスキルのせいだが、それにしても仙人とはそんなにすごい存在なのか。
というか、不老不死だと?
「死なないの?」
「戦で戦死することはあっても寿命で死ぬことは絶対にあり得ません。さらに言えば、病気にもかからず歳も取らず、感情は薄く無欲であるため、欲望を刺激して仙人を欺くことは絶対に不可能です」
感情が薄い……だから平気で人殺せるのか……。
「でも、いきなり何でそんなことを聞いたのですか?」
「実は、ついこの間仙人って名乗る人に会ったんだよね」
その時、ユーリの頭を撫でていたライ様の手が固まる。ユーリを持ち上げ立ち上がると私の方へ歩いてきて……
「それ本当ですか!?」
肩を思いっきり掴まれた。ぐわんぐわんと体を揺さぶられる。
「ちょっと、たんま……きつい」
「あ、ごめんなさい」
興奮気味だったライ様を落ち着かせる。
「そんなに珍しいの?」
「当たり前ですよ……神と崇められる仙人がそう何人もたくさんいるわけないでしょう?それに、仙人は『仙境』からなかなか出てこないですもの」
「仙境?」
「仙人が修行で使っていたりする場所ですね。基本的にはそこから外に出ることはありません」
じゃあ、あの男があそこにいたのはかなりレアなケースなわけか。何であんなところにいたのかはよくわからないが、今は気にしてもしょうがないだろう。
「じゃあ、『八呪の仙人』っていうのは知ってる?」
そう聞くと、あからさまにライ様の顔が歪んだ。いつの間にかライ様の腕から抜け出したユーリは蘭丸さんと遊んでいて、蘭丸さんはライ様の表情の変化に気づいていない。
「八呪の仙人…… 正式には『八呪御顕邪来真人』と呼ばれる仙人です」
「そうなんですか」
「長いので先ほど通り八呪の仙人と呼びますね。八呪の仙人は日ノ本の国が歴史書を作り始めるより前から存在する仙人です。そして、その名前の通り八つの呪いを背負っています」
「呪いとは何ですか?」
「簡単な意味での呪いですと、呪術だったりとかですね。でも、その八つの呪いはそれとは次元が違います」
八つの呪いについて、ライ様は簡単に説明してくれた。
歴史書に書かれている内容が全て真実だと仮定した時、仙人は自らを『創り上げた』存在から各々役割を与えられているらしい。
その役割通り、八呪の仙人は呪いをその身に宿した。
呪いは付けられた数字が高い順に威力が強くなるらしい。
一の呪い 弱体化の呪い
ステータスを大きく制限する呪い。もし、私がその呪いを喰らっていたらきっと一瞬で蹴りがついていただろう。
二の呪い 不感の呪い
何かしらの五感を一つ奪う呪い。
三の呪い 不可視の呪い
これは歴史書でも詳しく書かれていない呪いだった。相対した者が気がついたら体に大きな傷ができていたことから不可視と呼ばれているそうだ。
四の呪い 幻の呪い
相手に幻を見せる呪い。それが呪いであることに気づけない間は、一生幻の中を彷徨って生きていくことになる。
五の呪い 痛覚の呪い
前身に激しい痛みを与える呪い。ただ、その痛みは四の呪いのように幻であるため、痛みが引くことは絶対にない。
六の呪い 石化の呪い
これはおそらく反乱軍たちが塵となって消えた呪いだろう。ある一定以上の力が無いものは一瞬で石化を通り越して塵じりになってしまう。
七の呪い 変化の呪い
名前では伝わらないが、これは自我を保ったまま呪いが体を変形させていく。呪いをかけた仙人が望んだ通りの見た目に変化するまでには激しい痛みを伴い、変化が完了したら、それはもう仙人の操り人形に過ぎなくなる。
八の呪い 即死の呪い
かけられた相手は即死する。
「とまあ、八呪の仙人は仙界の中でもトップクラスの実力者ですね」
「即死の呪いとか強すぎじゃない?」
私は呪いを一つも食らっていない……ということは、あの男は全然本気ではなかったのか。私の体も若干崩壊してたから、一定ラインの実力に届いていなかったということだろう。
「強い。確かに強いんだけどね……」
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ライ様が顔を歪ませた理由。それは、
「八呪の仙人は人間を憎んでいるの」
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