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祭り
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「ちょうどお昼ご飯を食べていたのですけど、お腹は空いてますか?」
「あー、もう食べてきたので」
「そうですか、ではお部屋を用意しますね」
そう言って、ふすまを開けてどこかへと言ってしまった。その間に、私たちはずっと正座をしている。
部屋の中を見渡すと、少しの埃が天井についている。年季がこもっていて、歴史を感じなくもない。
「ねえ、あなたたちだあれ?」
正座をしている私たちをふすまの隙間から覗いてくる小さな女の子に目がいく。私と同じ黒髪黒目な女の子。
ちなみに先ほどの平助くんも黒髪黒目である。
「キツネさんと、犬!」
目をキラキラ輝かせている。
「珍しい?」
「うん!ねえ、触ってもいい?」
「まあ、いいよ」
と、私が勝手に答えるがこの扱いにももう慣れたというように二人は黙って撫でられる。ミサリーも撫でたそうにしているが、それは却下だ。
そんなことをしている間に平助くんが庭のほうから、中に入ってきた。
「お邪魔してます」
「は、はい」
そういうと、そそくさとどこかへ行ってしまう。それとすれ違う形で、平助くんのお母さんが入ってきた。
「お部屋の用意ができましたー。あら、もう仲良くなったの?」
無心で撫でられている二人を見ているが、まあ……仲良くなったのだろう。
「平助くんはどこへ?」
「ああ、自分の部屋に飛び込んでいったわ。あの子恥ずかしがりやだからね」
ふふっと笑いながら答える。
「でも、ちょうどよかったですね」
「何がですか?」
「今日は里のみんなで宴会を開くのですよ」
「へ、へぇ」
「よかったら皆さんもご一緒します?」
行ったら絶対に警備の人にバレる……里の出入り口に穴を空けたってバレてしまう。だが、断るのも悪いしな。
「わかりました。でも、自由に見て回りたいので、別行動でもいいですか?」
「勿論平気ですよ」
優しい人でよかった。そう思いながら、雑談を繰り返しているうちに、時は過ぎていく。
♦
「あらやだ、もうこんな時間」
「そ……そう、ですね……」
世の中の母親というのはこんなにも体力があるのだろうか?軽く雑談するつもりだったが、なんと五、六時間は話続けていた。
撫でられ続けた二人も重症だが、会話をしていた私とミサリーはさらに重症だ。だが、ミハエルはお茶を飲んでゆったりしていたようで一人だけ元気そう。
解せない。
「では、私はそろそろ行きますね」
「は、はい」
ようやく雑談地獄から解放されたところで、私たちは一度用意された部屋へと行ってみることに。
用意された部屋は分かりやすいように、札が張ってある。その札がついている部屋に入ってみると、そこには平助くんがいた。
「なにしてるの?」
「わっ!?」
あまりにも驚かせてしまったせいで、平助くんが手に持っている物がほとんど落ちてしまった。
「なにこれ?」
拾い上げてみると、それは変な模様が刻まれたお札であった。
「陰陽術に使う御札……危ないから、移そうと思って」
なんといい子なのだろうか、こういう子は将来絶対人格者になる。
「そうなんだーありがとう」
「い、いえ」
「そうだ、ついでにお願いなんだけど……私たちと宴会いかない?」
「え?」
♦
宴会と言ってもそれは、一種のお祭りのようなものだった。即興で建てられたような屋台が道なりに建てられて、色々な品物が売られている。
その種類は様々で、ふわふわとした食べ物……わたあめや、金魚と呼ばれる魚のペットまで。
ユーリは目を輝かせ、平助くんもなんだか楽しそうだ。
「ミサリー、日ノ本の通貨とか持ってない?」
「はい、一応換金はしてあります」
理事長に貰ったお金は日ノ本では使えないものの、日ノ本の通貨に換金できればかなりの額になるはずだ。
「やった、時間はつぶせそう」
服部家に引きこもってるのがベストなんだろうけど、人間というのは好奇心には勝てないのだヨ!
妹ちゃんと、お母さんは一足先に宴会にいったそうだから、もしかしたらどこかで会うかもね。
「じゃあ私たちもなんかで遊ぼうよ」
そう提案すると、賛成者が続出する。というか、みんな内心では遊びたかったんかい。
私は主に食べ物系を歩き回り、男ども三人は射的やらくじ引きやらをまわっていた。
ミサリーとミハエルはお面を買ったり、限定のおしゃれなアクセサリーを買ったりして楽しそうだ。
みんな近場で好きなことをして遊んでいる。
「そろそろ妹ちゃんたちとも会えないかな?」
そう思って、思わず口に出すと近くにいたミサリーとミハエルが言う。
「さっきあっちの方で見た気がします」
「私も」
そう言って指さすのは祭りの中心地。向こうのほうにはまだみんな足を運んでいない。
「行ってみようか」
そう思って、道中で平助くんたちを捕まえて向かっていると、突然後ろから話しかけられた。
「見ない顔だな」
そんな言葉が聞こえて、振り返ろうとした瞬間、
「動くな」
そう言って、背中に鋭い何かが押し当てられた。みんながすぐさま男に攻撃しそうになったら、クナイがもう一本取り出される。それを見て、動くのをやめた。私が人質に取られた形だ。
「声を出すな、ついてきてもらおうか」
ちらりと後ろを向けば、昼間見た警備の人がいた。
(ヤバ、バレちゃったよ……)
はぁ……最悪だ。でも祭りは楽しかったな。
そんなのんきなことを想像しながら、平助くんに先に向こうに行くよに目配せをする。幸い、気の利く子だったからスタスタと走っていった。
「早くついてこい」
そう男に言われて、私は仕方なくついていくのだった。私を人質に取られた他のみんなもそのあとを追うように男についていく。
連れていかれて着いた場所は、祭りの会場とはかけ離れて静かなでかい屋敷であった。
「あー、もう食べてきたので」
「そうですか、ではお部屋を用意しますね」
そう言って、ふすまを開けてどこかへと言ってしまった。その間に、私たちはずっと正座をしている。
部屋の中を見渡すと、少しの埃が天井についている。年季がこもっていて、歴史を感じなくもない。
「ねえ、あなたたちだあれ?」
正座をしている私たちをふすまの隙間から覗いてくる小さな女の子に目がいく。私と同じ黒髪黒目な女の子。
ちなみに先ほどの平助くんも黒髪黒目である。
「キツネさんと、犬!」
目をキラキラ輝かせている。
「珍しい?」
「うん!ねえ、触ってもいい?」
「まあ、いいよ」
と、私が勝手に答えるがこの扱いにももう慣れたというように二人は黙って撫でられる。ミサリーも撫でたそうにしているが、それは却下だ。
そんなことをしている間に平助くんが庭のほうから、中に入ってきた。
「お邪魔してます」
「は、はい」
そういうと、そそくさとどこかへ行ってしまう。それとすれ違う形で、平助くんのお母さんが入ってきた。
「お部屋の用意ができましたー。あら、もう仲良くなったの?」
無心で撫でられている二人を見ているが、まあ……仲良くなったのだろう。
「平助くんはどこへ?」
「ああ、自分の部屋に飛び込んでいったわ。あの子恥ずかしがりやだからね」
ふふっと笑いながら答える。
「でも、ちょうどよかったですね」
「何がですか?」
「今日は里のみんなで宴会を開くのですよ」
「へ、へぇ」
「よかったら皆さんもご一緒します?」
行ったら絶対に警備の人にバレる……里の出入り口に穴を空けたってバレてしまう。だが、断るのも悪いしな。
「わかりました。でも、自由に見て回りたいので、別行動でもいいですか?」
「勿論平気ですよ」
優しい人でよかった。そう思いながら、雑談を繰り返しているうちに、時は過ぎていく。
♦
「あらやだ、もうこんな時間」
「そ……そう、ですね……」
世の中の母親というのはこんなにも体力があるのだろうか?軽く雑談するつもりだったが、なんと五、六時間は話続けていた。
撫でられ続けた二人も重症だが、会話をしていた私とミサリーはさらに重症だ。だが、ミハエルはお茶を飲んでゆったりしていたようで一人だけ元気そう。
解せない。
「では、私はそろそろ行きますね」
「は、はい」
ようやく雑談地獄から解放されたところで、私たちは一度用意された部屋へと行ってみることに。
用意された部屋は分かりやすいように、札が張ってある。その札がついている部屋に入ってみると、そこには平助くんがいた。
「なにしてるの?」
「わっ!?」
あまりにも驚かせてしまったせいで、平助くんが手に持っている物がほとんど落ちてしまった。
「なにこれ?」
拾い上げてみると、それは変な模様が刻まれたお札であった。
「陰陽術に使う御札……危ないから、移そうと思って」
なんといい子なのだろうか、こういう子は将来絶対人格者になる。
「そうなんだーありがとう」
「い、いえ」
「そうだ、ついでにお願いなんだけど……私たちと宴会いかない?」
「え?」
♦
宴会と言ってもそれは、一種のお祭りのようなものだった。即興で建てられたような屋台が道なりに建てられて、色々な品物が売られている。
その種類は様々で、ふわふわとした食べ物……わたあめや、金魚と呼ばれる魚のペットまで。
ユーリは目を輝かせ、平助くんもなんだか楽しそうだ。
「ミサリー、日ノ本の通貨とか持ってない?」
「はい、一応換金はしてあります」
理事長に貰ったお金は日ノ本では使えないものの、日ノ本の通貨に換金できればかなりの額になるはずだ。
「やった、時間はつぶせそう」
服部家に引きこもってるのがベストなんだろうけど、人間というのは好奇心には勝てないのだヨ!
妹ちゃんと、お母さんは一足先に宴会にいったそうだから、もしかしたらどこかで会うかもね。
「じゃあ私たちもなんかで遊ぼうよ」
そう提案すると、賛成者が続出する。というか、みんな内心では遊びたかったんかい。
私は主に食べ物系を歩き回り、男ども三人は射的やらくじ引きやらをまわっていた。
ミサリーとミハエルはお面を買ったり、限定のおしゃれなアクセサリーを買ったりして楽しそうだ。
みんな近場で好きなことをして遊んでいる。
「そろそろ妹ちゃんたちとも会えないかな?」
そう思って、思わず口に出すと近くにいたミサリーとミハエルが言う。
「さっきあっちの方で見た気がします」
「私も」
そう言って指さすのは祭りの中心地。向こうのほうにはまだみんな足を運んでいない。
「行ってみようか」
そう思って、道中で平助くんたちを捕まえて向かっていると、突然後ろから話しかけられた。
「見ない顔だな」
そんな言葉が聞こえて、振り返ろうとした瞬間、
「動くな」
そう言って、背中に鋭い何かが押し当てられた。みんながすぐさま男に攻撃しそうになったら、クナイがもう一本取り出される。それを見て、動くのをやめた。私が人質に取られた形だ。
「声を出すな、ついてきてもらおうか」
ちらりと後ろを向けば、昼間見た警備の人がいた。
(ヤバ、バレちゃったよ……)
はぁ……最悪だ。でも祭りは楽しかったな。
そんなのんきなことを想像しながら、平助くんに先に向こうに行くよに目配せをする。幸い、気の利く子だったからスタスタと走っていった。
「早くついてこい」
そう男に言われて、私は仕方なくついていくのだった。私を人質に取られた他のみんなもそのあとを追うように男についていく。
連れていかれて着いた場所は、祭りの会場とはかけ離れて静かなでかい屋敷であった。
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