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謁見という名の雑談
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そんなこんなでやって参りました王城!
いやぁ、見たのは一体何年ぶりなのだろう。見た目的には、前回謁見の間に行った時と大して変わっていない。
むしろ、外装工事でもやったのかきれいになってる気さえする。それは、ともかく、さっさと王様に会った方がいいだろう。
私の転移の魔法はかなり便利。一度行った場所なら、頭の中で想像するだけで、飛んでいけるのだから。
そして、私はその場に現れる。
「な!?」
いきなり現れた私に驚くステイラル・ロイド・フォン・ネイルこと国王。
あ、今更だけどロイドって初代国王の名前だったらしい。元々騎士だったとかなんとか……。
「久しぶりです、国王陛下」
そう言って、跪こうとする……
「バカ、後ろ!」
「へ?」
見れば背後から魔法が飛んできていた。炎の矢の形をしているそれは、見るからにヤバそうな威力をしている。
「うお!?」
思わず、同系統の魔法を発動させる。私が多めに込めた魔力は、その火魔法を相殺させる。
「あ、危なかった……」
「すまんな、許可なく魔法を使用すると発動する迎撃魔法だ」
「えっと……お久しぶりです」
「やはり生きてたか」
玉座に腰掛ける国王はさも当然の出来事かのように驚かない。
「まあ、仮にも二つ名持ちがそう簡単に死ぬわけがないな」
「過大評価、痛み入ります」
「よいよい、楽にしてくれ」
「はい」
玉座の間には私たち以外誰もおらず、静かな静寂に包まれている。
「二年間、どこに行っていた……そう聞きたいところだが、それはまた今度としよう。それで、二年も失踪していたのに、急にここに来たということは何か理由があるのであろう?」
「はい」
話が分かる国王でよかった。
「私の死亡扱いの発表を訂正してほしいのです」
「まあ、そうだろうな」
早い話、私が生きていたとわかれば領民たちも元気を取り戻してくれるだろう。自分で言うのもなんだがな。
しかし、そんな簡単に言えるはずもないのが、現実。
「まだ何かあるのか?」
「はい……私は死んでいない……ですが、発見もされていないということにしてほしいのです」
「それはどうしてだ?」
「私のことを狙っている魔族が大勢いるので、生きていると国王の手で発表すれば、国内にいるのがバレてしまいますし、メリットとデメリットが釣り合いません」
生きていることが、少なからず知れ渡れば、知人や領民たちは喜んでくれるはず。
だが、それは魔族に王国が狙われるということ他ならない。私が、この場にいようと国外にいようと関係ないのである。
最悪の手段をとれば、国全部滅ぼしてから探してもいいわけだしね。
相手がそれに踏み出さないのには、それ相応の理由があるのだろう。
「ということは、どうすればいいのだ私は?」
「ええっと……こうしましょう、私の持ち物が見つかった……いや、日付を書いたメモでも見つかったことにいたしましょう」
「ほう?つまり、日付はベアトリスがまだ生きていることを示してくれるのか」
日付がついているということは、少なくともその日付までベアトリスは生きていることの表明になるし、その手紙が発見された場所次第では、この国の狙われる確率も減るってもんだ。
「だが、それで納得しない者もいると思うぞ?何にしろ、それがベアトリスの筆跡だと理解できるものが、いるわけでもあるまいて」
「まあ、そうなんですが……」
ここはひとつ賭けてみたほうがいいのだろうか?
現在公爵領には、多くの魔族が蔓延っている。その理由は明らかで私を探し出すため。
しかし、情報はそれだけではないのだ。
「私の筆跡を知っているミサリーなら、居場所を知っています」
「本当か?」
「公爵領で、私の代わりに生まれ故郷を守ってくれてると……」
「では、そのミサリー殿を見つけて筆跡がベアトリスのものだと示してさえもらえれば」
完璧!
「いやー、流石は二・つ・名・持・ち・だな」
そう言われて、ふと思い出す。
「話したいことが済んだので、雑談として言わせてもらうのですが……」
「なんだ?」
「私に着いた余栄のあれ、なんなんですか?」
「へ?」
変な声を出す国王。だが、私の表情を見れば誰もその声をバカにはしないだろう。
「塵殺ってなんですか!?物騒にもほどがあります!」
「い、いいじゃないか……魔族は人間にとって脅威そのもの。それをすりつぶすかの如く蹂躙したと話に聞いておる……」
「だからって、そんな二つ名いりません!」
「そ、そんなぁ……」
全く、か弱い乙女になんて物騒な二つ名つけてくれるのだ。
まあ、どうせ生きてることが発表されたら『塵殺』という物騒な二つ名も撤回されるはずだ。
「おっと、それはそうと息子とはまだ会ってないか?」
「殿下ですか?」
そういえば、殿下とは二年以上会っていない。殿下を添い寝した時以来か?
……………
今考えると自分でも恥ずかしくなってくる。
殿下に嫌われてないってわかったし、前世ではおっかなかったけど今世では優しい。
一体何があったのだろう?
前世と今世で、殿下の中で何が違ったのだろうか?
うーん、全くわからん。
だけど、時期にわかるっしょ!
「会ってないですね」
「そうか……ベアトリス、息子との婚約の話だが……お互い色々と立て込んでいるからな。結婚の話はもう少し延期しても構わないか?」
「私は全然平気ですけど、たまには殿下と会いたいですね。今はどこにいるんですか?」
そう聞くと、私でも少し恥ずかしくなりそうな回答が返ってくる。
「お前さんを探しに、旅に出てしもうたよ」
「へ?」
「いやな?俺も引き留めたんだが、あいつ、『ベアトリスは、僕が守ってあげる』とか言って飛び出しってたよ」
「それっていつの話ですか?」
「ちょうど一年前だな」
やばい!
なんか殿下のやさしさに泣きそう!
「なんか、殿下って変わりましたね」
「そうか?昔からあいつはベアトリスにゾッコンだったと思うが……なんせ、寝言に出てくるくらいだしな!」
なぜだろう、今、殿下の尊厳がものすごい侵害された気がした。
「殿下には内緒にしておきましょうか……」
「はは!そうしておいたやろう!」
そうして、国王と私の雑談はまだまだ続くのであった。
いやぁ、見たのは一体何年ぶりなのだろう。見た目的には、前回謁見の間に行った時と大して変わっていない。
むしろ、外装工事でもやったのかきれいになってる気さえする。それは、ともかく、さっさと王様に会った方がいいだろう。
私の転移の魔法はかなり便利。一度行った場所なら、頭の中で想像するだけで、飛んでいけるのだから。
そして、私はその場に現れる。
「な!?」
いきなり現れた私に驚くステイラル・ロイド・フォン・ネイルこと国王。
あ、今更だけどロイドって初代国王の名前だったらしい。元々騎士だったとかなんとか……。
「久しぶりです、国王陛下」
そう言って、跪こうとする……
「バカ、後ろ!」
「へ?」
見れば背後から魔法が飛んできていた。炎の矢の形をしているそれは、見るからにヤバそうな威力をしている。
「うお!?」
思わず、同系統の魔法を発動させる。私が多めに込めた魔力は、その火魔法を相殺させる。
「あ、危なかった……」
「すまんな、許可なく魔法を使用すると発動する迎撃魔法だ」
「えっと……お久しぶりです」
「やはり生きてたか」
玉座に腰掛ける国王はさも当然の出来事かのように驚かない。
「まあ、仮にも二つ名持ちがそう簡単に死ぬわけがないな」
「過大評価、痛み入ります」
「よいよい、楽にしてくれ」
「はい」
玉座の間には私たち以外誰もおらず、静かな静寂に包まれている。
「二年間、どこに行っていた……そう聞きたいところだが、それはまた今度としよう。それで、二年も失踪していたのに、急にここに来たということは何か理由があるのであろう?」
「はい」
話が分かる国王でよかった。
「私の死亡扱いの発表を訂正してほしいのです」
「まあ、そうだろうな」
早い話、私が生きていたとわかれば領民たちも元気を取り戻してくれるだろう。自分で言うのもなんだがな。
しかし、そんな簡単に言えるはずもないのが、現実。
「まだ何かあるのか?」
「はい……私は死んでいない……ですが、発見もされていないということにしてほしいのです」
「それはどうしてだ?」
「私のことを狙っている魔族が大勢いるので、生きていると国王の手で発表すれば、国内にいるのがバレてしまいますし、メリットとデメリットが釣り合いません」
生きていることが、少なからず知れ渡れば、知人や領民たちは喜んでくれるはず。
だが、それは魔族に王国が狙われるということ他ならない。私が、この場にいようと国外にいようと関係ないのである。
最悪の手段をとれば、国全部滅ぼしてから探してもいいわけだしね。
相手がそれに踏み出さないのには、それ相応の理由があるのだろう。
「ということは、どうすればいいのだ私は?」
「ええっと……こうしましょう、私の持ち物が見つかった……いや、日付を書いたメモでも見つかったことにいたしましょう」
「ほう?つまり、日付はベアトリスがまだ生きていることを示してくれるのか」
日付がついているということは、少なくともその日付までベアトリスは生きていることの表明になるし、その手紙が発見された場所次第では、この国の狙われる確率も減るってもんだ。
「だが、それで納得しない者もいると思うぞ?何にしろ、それがベアトリスの筆跡だと理解できるものが、いるわけでもあるまいて」
「まあ、そうなんですが……」
ここはひとつ賭けてみたほうがいいのだろうか?
現在公爵領には、多くの魔族が蔓延っている。その理由は明らかで私を探し出すため。
しかし、情報はそれだけではないのだ。
「私の筆跡を知っているミサリーなら、居場所を知っています」
「本当か?」
「公爵領で、私の代わりに生まれ故郷を守ってくれてると……」
「では、そのミサリー殿を見つけて筆跡がベアトリスのものだと示してさえもらえれば」
完璧!
「いやー、流石は二・つ・名・持・ち・だな」
そう言われて、ふと思い出す。
「話したいことが済んだので、雑談として言わせてもらうのですが……」
「なんだ?」
「私に着いた余栄のあれ、なんなんですか?」
「へ?」
変な声を出す国王。だが、私の表情を見れば誰もその声をバカにはしないだろう。
「塵殺ってなんですか!?物騒にもほどがあります!」
「い、いいじゃないか……魔族は人間にとって脅威そのもの。それをすりつぶすかの如く蹂躙したと話に聞いておる……」
「だからって、そんな二つ名いりません!」
「そ、そんなぁ……」
全く、か弱い乙女になんて物騒な二つ名つけてくれるのだ。
まあ、どうせ生きてることが発表されたら『塵殺』という物騒な二つ名も撤回されるはずだ。
「おっと、それはそうと息子とはまだ会ってないか?」
「殿下ですか?」
そういえば、殿下とは二年以上会っていない。殿下を添い寝した時以来か?
……………
今考えると自分でも恥ずかしくなってくる。
殿下に嫌われてないってわかったし、前世ではおっかなかったけど今世では優しい。
一体何があったのだろう?
前世と今世で、殿下の中で何が違ったのだろうか?
うーん、全くわからん。
だけど、時期にわかるっしょ!
「会ってないですね」
「そうか……ベアトリス、息子との婚約の話だが……お互い色々と立て込んでいるからな。結婚の話はもう少し延期しても構わないか?」
「私は全然平気ですけど、たまには殿下と会いたいですね。今はどこにいるんですか?」
そう聞くと、私でも少し恥ずかしくなりそうな回答が返ってくる。
「お前さんを探しに、旅に出てしもうたよ」
「へ?」
「いやな?俺も引き留めたんだが、あいつ、『ベアトリスは、僕が守ってあげる』とか言って飛び出しってたよ」
「それっていつの話ですか?」
「ちょうど一年前だな」
やばい!
なんか殿下のやさしさに泣きそう!
「なんか、殿下って変わりましたね」
「そうか?昔からあいつはベアトリスにゾッコンだったと思うが……なんせ、寝言に出てくるくらいだしな!」
なぜだろう、今、殿下の尊厳がものすごい侵害された気がした。
「殿下には内緒にしておきましょうか……」
「はは!そうしておいたやろう!」
そうして、国王と私の雑談はまだまだ続くのであった。
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