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絡まれる
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部屋に帰るときのことだった。
私たちが入り口付近を歩いていると、
「いた!」
ネルネが誰かとぶつかってしまった。
それはどうやら、ここに泊まっている人のようだった。
さっきも言った通り、ここにはドレスやらなにやら……とにかく一般人のような服装をしている人がいなかった。
それが意味することは一つだけだろう?
なんとなくは察していたが、まさか絡まれるとは思わなかった。
「ガキがよー、こんなところでうろつくんじゃねーよ。早くでていきな」
「な、なんですか!ガキじゃないです!」
反論するネルネ。
だが、私たちよりも身長が高い、その男からしてみれば、私たちは『ガキ』なのだろう。
そもそも、私は成人してないしね。
「だったら、チョロチョロ動くなよな、俺たちみんな迷惑なんだ」
後ろから、うすら笑いが聞こえる。
何人かの人が男の意見に同意するかのように、こちらを見ていた。
ここにいるのはきっとお貴族様だけなのだろう。
でなきゃ、こんなに高そうな服装はしてないはずだ。
貴族に関しては少しばかり説明を今さっき受けたが……正直、腐ってるということしかわからない。
だが、それで十分だったようだ。
「へへへ、わかったならさっさと出て——」
男が最後に決め台詞を言おうとしたときだった。
後ろからコツコツという音が聞こえた。
音がして、男が振り向く前に、それは起きた。
「あ、取れちゃった」
そんな声がした。
(この声……隣の部屋の?)
そして、次の瞬間には男が悲鳴を上げていた。
その理由は、
「お、俺の腕があああ!」
見たときにはすでに右腕が取れていた。
流石にグロテスク……だけど、私の過酷な経験から言わせてみれば、『普通』だ。
ネルネはかなりショッキングなものを見たように、驚いていた。
もちろん、男の上でをもいだのは後ろから話しかけてきた隣の部屋の女性だった。
「あ、あ……あなた、様は……!」
痛みに耐えながらも、女性の方を見る男。
だが、女性は笑顔で言った。
「邪魔だから……どいて?」
「は……はい」
男は素直に私たちのそばから離れた。
私たちを恨めしそうに見ていたが気にしない。
周りのお客が「興が削がれちまったよ」というように睨んでのも気にしない……。
そして、女性は従業員を一人呼んで、その人に腕を渡していた。
「これ、いらないから捨てといて」
!?
めちゃめちゃヤバげな発言してますが、この人危ない人ですよね?
ヤバイ人だ……。
私は直感した。
「関わってはいけない」……確かにそうかもしれないな。
そして、従業員は顔色一つ変えないで、それを『燃えるゴミ』に捨てていた。
恐ろしや……。
そして、女性は私たちの方を見てきた。
とても狂気的な笑みで……。
「さっきぶりだね、君たち。大丈夫かな?」
少なくとも私には狂気的に見えた。
だが、ネルネは違ったらしい。
「ありがとうございます!助かりましたー!」
素直に感謝を述べていた。
私にはできない所業である。
そして、もう一つ気になったことがあった。
「?」
その女性はネルネの様子を見て、何やら驚いていたのだ。
え?
何そこ知り合い?
ってそんなわけないのだが……。
その理由が分かるのはまだまだ先になりそう……というか、わからないかも。
ま、なんでもいいが、とにかくこちらを見てくる女性の笑みが怖い。
「どうしたのかな?」
「いや、なんでも……ありがとうございました」
私が綺麗にお辞儀をすると、急に女性は変なことを言ってきた。
「……怖い?」
「へ?」
女性の問いの意味がわからなかったが、怖いの確かだ。
だって、普通に怖いもん!
前世の父様(お怒りモード)よりも怖いもん!
私の父様、私にはかなり甘々な部分があったが、他人には強く当たる傾向があったのだ。
無論、それはなぜか今世になって治っていたがね……。
「なんで分かるんですか?」
「私にはね、君たちの感情が読めるんだよ」
何そのすごい力。
普通に羨ましいんですけど?
「だから、君が怯えているのも分かる。何が怖い?……うん……顔?」
目があった時に、心拍数が上がったのを感じた。
それも分かるのかよ!
「私の顔は……怖いのか?おかしいな……笑い方はちゃんと予習済みなのに」
「何を言ってるのかわかりませんけど、話してる最中、ずっと笑っていられると逆に怖いですよ……」
「そうなのか、ならば普段に戻そう」
そう言った瞬間に、女性から表情が抜け落ちた。
さっきのおかしな笑い方に比べたら幾分かマシになったかも?
しかし、これはこれで怖いも気もするが、もう気にすることはない。
一応、会話を交わした限り、まとも……に類似した人というのはわかったから。
気配はいまだに感じる。
何か違和感がある。
強者の風格というか……そういうオーラがあるはずなのにないというか……。
伝え方は難しいがそんなところだ。
「改めて、ありがとうございます……えっと?」
「?」
「名前は……?」
「名前?」
なんでそこに疑問符がつくんだよ!
この人は根本的に何かがずれているようだ。
「私に名前はない……私のことを呼ぶなら、No.9……ナインとでも呼んでくれ」
ナインって……。
適当かよ。
まあ、名前を言えない事情があるなら仕方ないけどさ。
この吸血鬼さんも、何か裏がありそうな気がする……。
立ち話するのもなんなので、私たちは部屋まで戻ることにしたのだった。
私たちが入り口付近を歩いていると、
「いた!」
ネルネが誰かとぶつかってしまった。
それはどうやら、ここに泊まっている人のようだった。
さっきも言った通り、ここにはドレスやらなにやら……とにかく一般人のような服装をしている人がいなかった。
それが意味することは一つだけだろう?
なんとなくは察していたが、まさか絡まれるとは思わなかった。
「ガキがよー、こんなところでうろつくんじゃねーよ。早くでていきな」
「な、なんですか!ガキじゃないです!」
反論するネルネ。
だが、私たちよりも身長が高い、その男からしてみれば、私たちは『ガキ』なのだろう。
そもそも、私は成人してないしね。
「だったら、チョロチョロ動くなよな、俺たちみんな迷惑なんだ」
後ろから、うすら笑いが聞こえる。
何人かの人が男の意見に同意するかのように、こちらを見ていた。
ここにいるのはきっとお貴族様だけなのだろう。
でなきゃ、こんなに高そうな服装はしてないはずだ。
貴族に関しては少しばかり説明を今さっき受けたが……正直、腐ってるということしかわからない。
だが、それで十分だったようだ。
「へへへ、わかったならさっさと出て——」
男が最後に決め台詞を言おうとしたときだった。
後ろからコツコツという音が聞こえた。
音がして、男が振り向く前に、それは起きた。
「あ、取れちゃった」
そんな声がした。
(この声……隣の部屋の?)
そして、次の瞬間には男が悲鳴を上げていた。
その理由は、
「お、俺の腕があああ!」
見たときにはすでに右腕が取れていた。
流石にグロテスク……だけど、私の過酷な経験から言わせてみれば、『普通』だ。
ネルネはかなりショッキングなものを見たように、驚いていた。
もちろん、男の上でをもいだのは後ろから話しかけてきた隣の部屋の女性だった。
「あ、あ……あなた、様は……!」
痛みに耐えながらも、女性の方を見る男。
だが、女性は笑顔で言った。
「邪魔だから……どいて?」
「は……はい」
男は素直に私たちのそばから離れた。
私たちを恨めしそうに見ていたが気にしない。
周りのお客が「興が削がれちまったよ」というように睨んでのも気にしない……。
そして、女性は従業員を一人呼んで、その人に腕を渡していた。
「これ、いらないから捨てといて」
!?
めちゃめちゃヤバげな発言してますが、この人危ない人ですよね?
ヤバイ人だ……。
私は直感した。
「関わってはいけない」……確かにそうかもしれないな。
そして、従業員は顔色一つ変えないで、それを『燃えるゴミ』に捨てていた。
恐ろしや……。
そして、女性は私たちの方を見てきた。
とても狂気的な笑みで……。
「さっきぶりだね、君たち。大丈夫かな?」
少なくとも私には狂気的に見えた。
だが、ネルネは違ったらしい。
「ありがとうございます!助かりましたー!」
素直に感謝を述べていた。
私にはできない所業である。
そして、もう一つ気になったことがあった。
「?」
その女性はネルネの様子を見て、何やら驚いていたのだ。
え?
何そこ知り合い?
ってそんなわけないのだが……。
その理由が分かるのはまだまだ先になりそう……というか、わからないかも。
ま、なんでもいいが、とにかくこちらを見てくる女性の笑みが怖い。
「どうしたのかな?」
「いや、なんでも……ありがとうございました」
私が綺麗にお辞儀をすると、急に女性は変なことを言ってきた。
「……怖い?」
「へ?」
女性の問いの意味がわからなかったが、怖いの確かだ。
だって、普通に怖いもん!
前世の父様(お怒りモード)よりも怖いもん!
私の父様、私にはかなり甘々な部分があったが、他人には強く当たる傾向があったのだ。
無論、それはなぜか今世になって治っていたがね……。
「なんで分かるんですか?」
「私にはね、君たちの感情が読めるんだよ」
何そのすごい力。
普通に羨ましいんですけど?
「だから、君が怯えているのも分かる。何が怖い?……うん……顔?」
目があった時に、心拍数が上がったのを感じた。
それも分かるのかよ!
「私の顔は……怖いのか?おかしいな……笑い方はちゃんと予習済みなのに」
「何を言ってるのかわかりませんけど、話してる最中、ずっと笑っていられると逆に怖いですよ……」
「そうなのか、ならば普段に戻そう」
そう言った瞬間に、女性から表情が抜け落ちた。
さっきのおかしな笑い方に比べたら幾分かマシになったかも?
しかし、これはこれで怖いも気もするが、もう気にすることはない。
一応、会話を交わした限り、まとも……に類似した人というのはわかったから。
気配はいまだに感じる。
何か違和感がある。
強者の風格というか……そういうオーラがあるはずなのにないというか……。
伝え方は難しいがそんなところだ。
「改めて、ありがとうございます……えっと?」
「?」
「名前は……?」
「名前?」
なんでそこに疑問符がつくんだよ!
この人は根本的に何かがずれているようだ。
「私に名前はない……私のことを呼ぶなら、No.9……ナインとでも呼んでくれ」
ナインって……。
適当かよ。
まあ、名前を言えない事情があるなら仕方ないけどさ。
この吸血鬼さんも、何か裏がありそうな気がする……。
立ち話するのもなんなので、私たちは部屋まで戻ることにしたのだった。
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