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友達ができる
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「あぁ!なんだか用事があったようなぁ~!じゃあ、そういうことで!」
まあ、もちろん嘘ですけどね!
理由としてはいくつかある。
まず一つ目としては、視線である。
ヴェールさんが気づいていたのかは微妙だが、誰かの視線が私たちに注がれていた。
といっても、もちろん周りには冒険者らしき人達がいるわけであるが、明らかに違う場所からのしかも、結構悪意こもった視線を感じたのだ。
それを辿って私は入り口の方に向かう。
だがーー
「あれ?誰もいない………」
入り口付近には人なんていなかった。
それはそうだ。
ここは人通りの多い道なのだ。
すぐに逃げようと思えば、逃げられるし、隠れようとすれば、人に紛れればいいだけだしね。
つまりは逃げられたってことかな。
最近は結構危ない目に遭うことが多い気がする。
目的は殿下だったとはいえ、私も一緒に暗殺されかけるし、今もなんか危ない感じだったんじゃないだろうか?
同じ人間?
あの屋上にいた変な格好した男?
細身の体でこちらをこっそり覗いている姿を想像すると吹き出しそうになる。
いや、あの格好でいる時点で笑いそうなんだけど……。
とにかくは、ここにさっきの視線の主はいないということが一番重要だ。
それは、私の“用事“のうち、一つが達成されたということになる。
そして、もう一つの用事というのはーー
「あの、そろそろつけるのやめた方がいいじゃない?」
「はう!?」
視線の主とは別にもう一つの視線を感じていたのだ。
まあ、それは私が屋敷を出てからずっと感じていたわけだけど………。
敵意があるわけではなさそうなので放っておいた感じである。
「な、なんでバレたの!?」
声の主は女だろう。
それも子供の。
そして、ゆっくりと訓練場の曲がり角の方からスルッと姿を見せる。
「あ、あの!」
そう思っていたら、足を鳴らして、こちらに近づいてくる。
「な、何?」
あまりの気迫に一歩後ろに下がる私の腕を掴み、持ち上げてくる。
そしてーー
「私と、友達になってください!」
「はい?」
今度は友達になって欲しいと?
今日はいろいろ出来事多すぎでしょ………。
「えっと、なんで?」
「はい!強かったからです!」
「……………」
待って待って、どういう理由よそれ!
強かったからって、脳筋にも程があるでしょ!
いや、少し落ち着こう。
もう少し、まともな理由かもしれないじゃないか。
相手は精神年齢、実年齢共に五歳なのだ。
精神年齢成人の私が、ここでツッコミを入れるわけにはいかない。
故にもう一度聞き直す!
「えぇと、どうしーー」
「強かったからです!」
「だからそれがどういうことかって聞いてるの!」
ダメだった。
もう、この子は人の話があまり聞けないタイプなのだろう。
というか、今更ながら、この顔どっかで見たことあるような………。
青い髪に白いワンピースを着ていて、身長は私と同じくらい。
目がくりくりしているのがとても羨ましい。
(っと、でも少し強く言い過ぎたかな?)
しょぼんとしてしまっている女の子が視界に入ってくる。
「それは………」
「言いにくいんなら言わなくてもいいよ」
私は人の言いたくないものを無理やり聞き出したいと思うほどに、鬼畜ではないのだ。
前世とは違い、優しさの有り余る人物を目指している。
「まあ、とにかく友達になりたいんです!」
「後ろからこっそり尾行していたのはなんでなの?」
「あぅ………話しかけるタイミングが見つからなかったんです………」
いちいち反応が可愛くてよろしい!
『あぅ』ってなんなの!?
かわいいかよ………。
べ、別に羨ましくなんかない………はずだ。
「私が話しかけようとしたタイミングで、走ってどっか行っちゃうし、見つけたと思ったら、誰かと話してるし、いざ話そうとしたらまたどっかいっちゃって……………」
要するに私のせいと?
確かに私はおおよそ子供ができる速さでは走っていなかったな………。
面白い場所がないか探してただけだから、急ぐ理由は特になかったんだけどね。
ついつい気分的に走りたくなったんだよ……。
だから落ち込まんといて?
「別に私は怒ってるわけじゃないから」
「ほ、ほんと!?」
「うん」
あからさまにほっとした様子で胸を撫で下ろしている………えっと、名前なんだっけ?
「そういえば、名前は?」
「あ、私?」
他に誰がいるというのか………。
「私はーー」
「お?師匠じゃないですか!」
ちょうどいいタイミングでレイナさんとかぶってしまった。
(あぁ~。今日はエンカウント率高いのかなぁ~)
こんな短時間で知り合いにあったのは初めてだ。
「師匠、そちらにいる子は?」
「あ、はい!私は、レイナと申します!」
「な、名前………」
「ん?どうしました?」
「いや、私と一緒ってだけ」
こんなこともあるんだねぇ。
名前って早々にかぶるようなもんじゃないと思ってたけど、案外そんなこともなかった。
実際にこの二人は被っている。
レイナとレイナってなんて呼ぼうかな………。
「じゃあ、私は右をレイで、左をレイナさんって呼ぶね」
右側にいる小さい方のレイナをレイと………レイナはレイナで。
そう呼ぶことにした。
心の中ではさん付けでは呼ばない。
理由はまあ、いろいろあるが今はいいとしよう。
「うん!いいよ!」
「私は構わない、師匠………。私のことはさん付け………」
若干テンションが下がったレイナの方は置いておくとしてーー
「レイはなんでここまで辿り着けたの?」
私を尾行していたとしても、走って追いつくような速さではなかったはずなので、どうやってここまできたのかとても気になるところである。
「え?魔法で来たよ!」
「魔法?」
レイナが反応を示す。
(あ、やばーー)
「うん!探知魔法!」
「ちょっと、人に勝手に魔法をかけないでくれます?」
これでごまかせーー
「今、魔法って言った?」
「うん」
ダメだった。
「是非とも見せて欲しい」
「いいよ!」
「じゃあ、今度は近場の広場にでも………」
「うん、行こう行こう!」
レイナの魔法のスイッチが入ってしまった。
この人魔法のことになると、被害とか一切無視して撃たせてくるからなぁ~。
レイが加減を間違えたら、思いっきり大ごとになるんだろうなぁ~。
でも、さすがに広場を壊すとかそんなことにはならないはずだ!
っていうか、私ならできないこともないが、やろうという考えには至らない。
だからきっと、レイも自制がきいて、なんとか力をセーブしてくれたり………。
そもそも、魔法が使えるかもわからないしね!
大丈夫、まだ心配するような時間じゃない。
私は二人についていくーー
♦︎♢♦︎♢♦︎
(どうしてこうなった………)
目の前に広がるのは、広場だった場所の残骸。
元々広場として誰も使っておらず、木々が生え、草が生え放題だったこの場所は、もうすでに原形を残していなかった。
(いや、ある意味原型は残ってるのかな………)
唯一、一本の木だけが生き残っている。
だが、もうすでに虫の息で、死にかけていることが、葉っぱが現在進行形で、散っていっていることでわかる。
「さすが師匠の知り合い………。恐るべし」
「えへへ、すごいでしょ」
こいつらはバカなのだろうか?
ここの修復費用はいったい誰が出すつもりなのだろうか?
何?
私ってお財布要員だった?
金払えってこと?
いやだけど?
そんな私の考えなんて微塵も気にしない様子で、二人は興奮している様子だった。
そして、再び放たれる魔法。
思考に埋もれていた私がそれを止めることができずに、魔法は木に直撃する。
(あぁ~)
「どうだ!?」
「命中率いいですねレイナさん」
「ありがとう、レイ」
お互いがお互いの手を握り合い、硬い友情で結ばれているかの如く、涙目になっている。
(いや、なんの涙?)
そのツッコミは私の頭の中で反復するのだった。
まあ、もちろん嘘ですけどね!
理由としてはいくつかある。
まず一つ目としては、視線である。
ヴェールさんが気づいていたのかは微妙だが、誰かの視線が私たちに注がれていた。
といっても、もちろん周りには冒険者らしき人達がいるわけであるが、明らかに違う場所からのしかも、結構悪意こもった視線を感じたのだ。
それを辿って私は入り口の方に向かう。
だがーー
「あれ?誰もいない………」
入り口付近には人なんていなかった。
それはそうだ。
ここは人通りの多い道なのだ。
すぐに逃げようと思えば、逃げられるし、隠れようとすれば、人に紛れればいいだけだしね。
つまりは逃げられたってことかな。
最近は結構危ない目に遭うことが多い気がする。
目的は殿下だったとはいえ、私も一緒に暗殺されかけるし、今もなんか危ない感じだったんじゃないだろうか?
同じ人間?
あの屋上にいた変な格好した男?
細身の体でこちらをこっそり覗いている姿を想像すると吹き出しそうになる。
いや、あの格好でいる時点で笑いそうなんだけど……。
とにかくは、ここにさっきの視線の主はいないということが一番重要だ。
それは、私の“用事“のうち、一つが達成されたということになる。
そして、もう一つの用事というのはーー
「あの、そろそろつけるのやめた方がいいじゃない?」
「はう!?」
視線の主とは別にもう一つの視線を感じていたのだ。
まあ、それは私が屋敷を出てからずっと感じていたわけだけど………。
敵意があるわけではなさそうなので放っておいた感じである。
「な、なんでバレたの!?」
声の主は女だろう。
それも子供の。
そして、ゆっくりと訓練場の曲がり角の方からスルッと姿を見せる。
「あ、あの!」
そう思っていたら、足を鳴らして、こちらに近づいてくる。
「な、何?」
あまりの気迫に一歩後ろに下がる私の腕を掴み、持ち上げてくる。
そしてーー
「私と、友達になってください!」
「はい?」
今度は友達になって欲しいと?
今日はいろいろ出来事多すぎでしょ………。
「えっと、なんで?」
「はい!強かったからです!」
「……………」
待って待って、どういう理由よそれ!
強かったからって、脳筋にも程があるでしょ!
いや、少し落ち着こう。
もう少し、まともな理由かもしれないじゃないか。
相手は精神年齢、実年齢共に五歳なのだ。
精神年齢成人の私が、ここでツッコミを入れるわけにはいかない。
故にもう一度聞き直す!
「えぇと、どうしーー」
「強かったからです!」
「だからそれがどういうことかって聞いてるの!」
ダメだった。
もう、この子は人の話があまり聞けないタイプなのだろう。
というか、今更ながら、この顔どっかで見たことあるような………。
青い髪に白いワンピースを着ていて、身長は私と同じくらい。
目がくりくりしているのがとても羨ましい。
(っと、でも少し強く言い過ぎたかな?)
しょぼんとしてしまっている女の子が視界に入ってくる。
「それは………」
「言いにくいんなら言わなくてもいいよ」
私は人の言いたくないものを無理やり聞き出したいと思うほどに、鬼畜ではないのだ。
前世とは違い、優しさの有り余る人物を目指している。
「まあ、とにかく友達になりたいんです!」
「後ろからこっそり尾行していたのはなんでなの?」
「あぅ………話しかけるタイミングが見つからなかったんです………」
いちいち反応が可愛くてよろしい!
『あぅ』ってなんなの!?
かわいいかよ………。
べ、別に羨ましくなんかない………はずだ。
「私が話しかけようとしたタイミングで、走ってどっか行っちゃうし、見つけたと思ったら、誰かと話してるし、いざ話そうとしたらまたどっかいっちゃって……………」
要するに私のせいと?
確かに私はおおよそ子供ができる速さでは走っていなかったな………。
面白い場所がないか探してただけだから、急ぐ理由は特になかったんだけどね。
ついつい気分的に走りたくなったんだよ……。
だから落ち込まんといて?
「別に私は怒ってるわけじゃないから」
「ほ、ほんと!?」
「うん」
あからさまにほっとした様子で胸を撫で下ろしている………えっと、名前なんだっけ?
「そういえば、名前は?」
「あ、私?」
他に誰がいるというのか………。
「私はーー」
「お?師匠じゃないですか!」
ちょうどいいタイミングでレイナさんとかぶってしまった。
(あぁ~。今日はエンカウント率高いのかなぁ~)
こんな短時間で知り合いにあったのは初めてだ。
「師匠、そちらにいる子は?」
「あ、はい!私は、レイナと申します!」
「な、名前………」
「ん?どうしました?」
「いや、私と一緒ってだけ」
こんなこともあるんだねぇ。
名前って早々にかぶるようなもんじゃないと思ってたけど、案外そんなこともなかった。
実際にこの二人は被っている。
レイナとレイナってなんて呼ぼうかな………。
「じゃあ、私は右をレイで、左をレイナさんって呼ぶね」
右側にいる小さい方のレイナをレイと………レイナはレイナで。
そう呼ぶことにした。
心の中ではさん付けでは呼ばない。
理由はまあ、いろいろあるが今はいいとしよう。
「うん!いいよ!」
「私は構わない、師匠………。私のことはさん付け………」
若干テンションが下がったレイナの方は置いておくとしてーー
「レイはなんでここまで辿り着けたの?」
私を尾行していたとしても、走って追いつくような速さではなかったはずなので、どうやってここまできたのかとても気になるところである。
「え?魔法で来たよ!」
「魔法?」
レイナが反応を示す。
(あ、やばーー)
「うん!探知魔法!」
「ちょっと、人に勝手に魔法をかけないでくれます?」
これでごまかせーー
「今、魔法って言った?」
「うん」
ダメだった。
「是非とも見せて欲しい」
「いいよ!」
「じゃあ、今度は近場の広場にでも………」
「うん、行こう行こう!」
レイナの魔法のスイッチが入ってしまった。
この人魔法のことになると、被害とか一切無視して撃たせてくるからなぁ~。
レイが加減を間違えたら、思いっきり大ごとになるんだろうなぁ~。
でも、さすがに広場を壊すとかそんなことにはならないはずだ!
っていうか、私ならできないこともないが、やろうという考えには至らない。
だからきっと、レイも自制がきいて、なんとか力をセーブしてくれたり………。
そもそも、魔法が使えるかもわからないしね!
大丈夫、まだ心配するような時間じゃない。
私は二人についていくーー
♦︎♢♦︎♢♦︎
(どうしてこうなった………)
目の前に広がるのは、広場だった場所の残骸。
元々広場として誰も使っておらず、木々が生え、草が生え放題だったこの場所は、もうすでに原形を残していなかった。
(いや、ある意味原型は残ってるのかな………)
唯一、一本の木だけが生き残っている。
だが、もうすでに虫の息で、死にかけていることが、葉っぱが現在進行形で、散っていっていることでわかる。
「さすが師匠の知り合い………。恐るべし」
「えへへ、すごいでしょ」
こいつらはバカなのだろうか?
ここの修復費用はいったい誰が出すつもりなのだろうか?
何?
私ってお財布要員だった?
金払えってこと?
いやだけど?
そんな私の考えなんて微塵も気にしない様子で、二人は興奮している様子だった。
そして、再び放たれる魔法。
思考に埋もれていた私がそれを止めることができずに、魔法は木に直撃する。
(あぁ~)
「どうだ!?」
「命中率いいですねレイナさん」
「ありがとう、レイ」
お互いがお互いの手を握り合い、硬い友情で結ばれているかの如く、涙目になっている。
(いや、なんの涙?)
そのツッコミは私の頭の中で反復するのだった。
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