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兄に会う
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「「「誕生日、おめでとうございます!」」」
使用人のみんなが私に満面の笑みを浮かべ、拍手をしてくる。
「ありがとう!」
それを、私は笑顔で持って返す。
何しろ、今日はわたしの誕生日なのだから!
(こんなに誕生日を祝われたのは初めて!)
前世は基本無視されていたので、今世はなかなかに幸せだ。
四回目のお祝いだけど、何回されても嬉しいものだ。
「では、みな!食事を楽しもう!」
父様が置かれた食事を前に母様とレイル兄様に催促する。
もちろん私にも……。
「「「いただきます!」」」
声を合わせて挨拶をしたのち、家族みんなが食べ始める。
私も四歳になったので、それなりに食べられるようになった。
固形物なんてもうなんの痛痒もしなくなったんだから!
一歳とかは一番酷かった。
食べられそうなのに、食べちゃダメって言われて堪えるのがとても辛かったな~。
「ちゃんと食べてるかい?ベア」
レイル兄様が、私の様子を見て、促してくる。
「うん!」
元気よく返事をした後に、私も食べ始める。
(まあ、シチューしか食べないんだけどね~)
他のものも食べてもいいけど、やっぱり一番好きなものが食べたいよね。
「そういえば、父様。兄上たちはどうされているんですか?」
レイル兄様の上にも兄はいる。
うちの家族は男三人の女一人というのが、公爵家の子供の内訳だ。
今世でも、上の兄様二人とは関わってことがまだないため、どんな性格なのか等々、私のいる由もない。
「わたし、あとであってみてもいいですか?」
「ベアがか?まあ、いいが」
父様から許可を得たのだ。
これで、私の関わりを広げることができるというわけだ。
というか、家族内で全く関わりがないという方がおかしいのでは?
うちの家族だけだろうな。
一番上の兄様は、もうすでに成人しているが、この公爵家の相続権を放棄して、すでに就職?をしているため、家にはいない。
二番目の兄様は学院に通っているが、確か今の期間は夏休みか何かで帰ってきていたはずだ。
と、今日は二番目の兄に会い行く事にしよう。
「ごちそうさま!」
「もういいのか?今日は誕生日なのに……」
「あとで、もっかいたべにいく!」
使用人さんたちと一緒に食べようかな。
私は椅子から降りて、兄様のいる部屋に向かうのだった。
♦︎♢♦︎♢♦︎
(今思ったんだけど、兄様の部屋わからないんだけど?)
いや、そもそもこの四年間で会いに行こうとしてこなかったからか、部屋の場所がわからない。
屋敷の部屋を全て把握しているわけではない私にとってはかなりの根気がいるだろう。
(魔法を使っても、わからないしな~)
魔法を使う事によって探索はできるけど、兄様に対して魔法を使うなんて失礼すぎて使えない。
もし、気づかれでもしたら、最悪嫌われてしまう。
(前世はあったことすらないから、進歩といえば進歩なのかもしれないけど………)
流石に嫌われる趣味は死んだ後にどっか行ってしまった。
趣味でもなかったけどね。
(根気よく探すか~)
迷路みたいな廊下を歩き回る。
ついには自分の知っている場所まで戻ってくる。
(書物庫………ちょっと休憩しよう……)
目の前に広がっている大きな扉が私の疲れをどっと増させているような気さえした。
私は呪文を唱えて、扉のロックを解除する。
(あれ?)
中からペラペラと何かをめくるとがした。
(誰か中にいるのかな?)
扉がゆっくりと開いたあと、私は中を覗いてみる。
(あれま?)
中には、レイル兄様よりも少し、背が高く、なんだか……………全体的に丸い印象。
(いや、別にバカにしているわけではないからね!?)
ただ、兄様を少し太らせたような感じだな~。
あ、ちなみに私の髪の毛は黒色なんだけど、それは特に遺伝とかではないのだ。
なぜか、髪色が黒になったしまったのだが、兄様たちはもっと綺麗な毛色をしている。
ぶっちゃけて言えば、金色ね。
母様が茶色で私が黒色、父様含め、残りの家族もみんな金色の髪だったはず。
そして、わたしの視界に映るその人はーー
(金髪………ってことは!?)
発見しました~!
うちの兄様!
「………………………」
「?」
黙々と何やら書物を読んでいる兄様。
名前は、コルトだっけか?
(やばい!名前があやふやだ!)
名前を呼び間違えたら一大事だっていうのに……。
記憶はそこまで苦手な方ではないんだけどな……。
(多分あってるからいいや)
ただ、もう一つ問題があり、読書に集中しすぎているため、いつのタイミングで話しかけたらいいのかがわからない。
(とりあえず、読み終わるっまで待つかな)
私はコルト兄様の背後で読み終わるのを待つ。
♦︎♢♦︎♢♦︎
俺は、読書に集中していた。
ちょうど、学院の休暇で帰ることを許可されたため、家に帰ってきたわけだ。
家に帰ってきたと言っても、特にすることがないため、読書………予習をしておく事にした。
俺の専攻する科目は魔術科。
だから、俺は魔術本を読みふける。
ただ、やっぱりちょっと難しい……。
(魔力の循環を反転?わかるか!)
俺は、少し頭が痛くなったため、休憩する事にする。
後ろを向き、違う本を撮りに行こうとした時ーー
(え?)
後ろには、小さな子供がいた。
「あ!やっとおわったの?」
「………………………だれ?」
服装的にも、うちの人間だろうけど……。
「やだな~!いもうとですよ!」
ぷくっと顔を膨らませながら服の袖を掴んでいる妹。
(……可愛い……)
と、妹か……。
そう言えば、家族とはあんまり会っていないからな。
(父上の顔と母上の顔くらいかな、覚えているのは)
もともと家族とは仲良くしてはいなかったからか、妹の顔すら覚えられないとは。
(兄失格では?)
一幕置いて、話をつなげる。
「そうか、悪かったな」
「いえいえ!あんまりあわないからおぼえていなくてとうぜんですよ!」
「そうか」
沈黙
(待って、どう話せばいいの?)
話の繋げ方がわからない。
学院の友達と話すのは何も問題なくできるものの、家族とは、気恥ずかしくてなかなか話せない。
「あ、あの!」
「?」
妹に気を遣わせてしまったのか?
だとしたら申し訳ない………。
「何を読んでいたんですか?」
「ん?これか?」
手に持っていた本を持ち上げて見せる。
「『魔術一般理論ーー中編』ですか?」
「そうだ。まあ、おま……ベアにはわからないだろうがな」
親しくしていいのかはよくわからないが、きっと親しくした方がベアにとってはいいだろう。
(あだ名は俺がつけたんだっけか?う~ん。もう記憶がないな)
苦笑を堪えながら、返答を待つ。
「それ!わたしもよんだことあります!」
「え?」
学院で習うような本をなぜ四歳になったばかりの妹が知っているのだ?
(何気に今日が誕生日だったことは覚えているな………って、そうじゃない!)
「たしか、まりょくのじゅんかんについてのはなしだったような……」
「そうだが?」
まあ、内容を知っていたとしても、それができるとは限らないしな。
「たしかね。たいないまりょくのじゅんかんをわざとおそくして、流れをいったんとめてあげればできるよ!」
「へ?」
何を言っているんだ?
(まさか、さっき読んでいた部分の話をしているのか?)
俺は試しにそれをやってみる。
(魔力の循環を止めるイメージで)
光出した身体から、その流れを止める事によって発光は治る。
(今度は反対に……)
逆に魔力を流し出す。
体内の魔力の流れが変化した事によって、心臓部分中心に集まっていた魔力が、足の方にも回せるようになった。
「できた………」
「でしょ!」
元気よくニコッと笑うベア。
(妹、天才じゃね?)
久しぶりにあった妹への感想はこれだった。
使用人のみんなが私に満面の笑みを浮かべ、拍手をしてくる。
「ありがとう!」
それを、私は笑顔で持って返す。
何しろ、今日はわたしの誕生日なのだから!
(こんなに誕生日を祝われたのは初めて!)
前世は基本無視されていたので、今世はなかなかに幸せだ。
四回目のお祝いだけど、何回されても嬉しいものだ。
「では、みな!食事を楽しもう!」
父様が置かれた食事を前に母様とレイル兄様に催促する。
もちろん私にも……。
「「「いただきます!」」」
声を合わせて挨拶をしたのち、家族みんなが食べ始める。
私も四歳になったので、それなりに食べられるようになった。
固形物なんてもうなんの痛痒もしなくなったんだから!
一歳とかは一番酷かった。
食べられそうなのに、食べちゃダメって言われて堪えるのがとても辛かったな~。
「ちゃんと食べてるかい?ベア」
レイル兄様が、私の様子を見て、促してくる。
「うん!」
元気よく返事をした後に、私も食べ始める。
(まあ、シチューしか食べないんだけどね~)
他のものも食べてもいいけど、やっぱり一番好きなものが食べたいよね。
「そういえば、父様。兄上たちはどうされているんですか?」
レイル兄様の上にも兄はいる。
うちの家族は男三人の女一人というのが、公爵家の子供の内訳だ。
今世でも、上の兄様二人とは関わってことがまだないため、どんな性格なのか等々、私のいる由もない。
「わたし、あとであってみてもいいですか?」
「ベアがか?まあ、いいが」
父様から許可を得たのだ。
これで、私の関わりを広げることができるというわけだ。
というか、家族内で全く関わりがないという方がおかしいのでは?
うちの家族だけだろうな。
一番上の兄様は、もうすでに成人しているが、この公爵家の相続権を放棄して、すでに就職?をしているため、家にはいない。
二番目の兄様は学院に通っているが、確か今の期間は夏休みか何かで帰ってきていたはずだ。
と、今日は二番目の兄に会い行く事にしよう。
「ごちそうさま!」
「もういいのか?今日は誕生日なのに……」
「あとで、もっかいたべにいく!」
使用人さんたちと一緒に食べようかな。
私は椅子から降りて、兄様のいる部屋に向かうのだった。
♦︎♢♦︎♢♦︎
(今思ったんだけど、兄様の部屋わからないんだけど?)
いや、そもそもこの四年間で会いに行こうとしてこなかったからか、部屋の場所がわからない。
屋敷の部屋を全て把握しているわけではない私にとってはかなりの根気がいるだろう。
(魔法を使っても、わからないしな~)
魔法を使う事によって探索はできるけど、兄様に対して魔法を使うなんて失礼すぎて使えない。
もし、気づかれでもしたら、最悪嫌われてしまう。
(前世はあったことすらないから、進歩といえば進歩なのかもしれないけど………)
流石に嫌われる趣味は死んだ後にどっか行ってしまった。
趣味でもなかったけどね。
(根気よく探すか~)
迷路みたいな廊下を歩き回る。
ついには自分の知っている場所まで戻ってくる。
(書物庫………ちょっと休憩しよう……)
目の前に広がっている大きな扉が私の疲れをどっと増させているような気さえした。
私は呪文を唱えて、扉のロックを解除する。
(あれ?)
中からペラペラと何かをめくるとがした。
(誰か中にいるのかな?)
扉がゆっくりと開いたあと、私は中を覗いてみる。
(あれま?)
中には、レイル兄様よりも少し、背が高く、なんだか……………全体的に丸い印象。
(いや、別にバカにしているわけではないからね!?)
ただ、兄様を少し太らせたような感じだな~。
あ、ちなみに私の髪の毛は黒色なんだけど、それは特に遺伝とかではないのだ。
なぜか、髪色が黒になったしまったのだが、兄様たちはもっと綺麗な毛色をしている。
ぶっちゃけて言えば、金色ね。
母様が茶色で私が黒色、父様含め、残りの家族もみんな金色の髪だったはず。
そして、わたしの視界に映るその人はーー
(金髪………ってことは!?)
発見しました~!
うちの兄様!
「………………………」
「?」
黙々と何やら書物を読んでいる兄様。
名前は、コルトだっけか?
(やばい!名前があやふやだ!)
名前を呼び間違えたら一大事だっていうのに……。
記憶はそこまで苦手な方ではないんだけどな……。
(多分あってるからいいや)
ただ、もう一つ問題があり、読書に集中しすぎているため、いつのタイミングで話しかけたらいいのかがわからない。
(とりあえず、読み終わるっまで待つかな)
私はコルト兄様の背後で読み終わるのを待つ。
♦︎♢♦︎♢♦︎
俺は、読書に集中していた。
ちょうど、学院の休暇で帰ることを許可されたため、家に帰ってきたわけだ。
家に帰ってきたと言っても、特にすることがないため、読書………予習をしておく事にした。
俺の専攻する科目は魔術科。
だから、俺は魔術本を読みふける。
ただ、やっぱりちょっと難しい……。
(魔力の循環を反転?わかるか!)
俺は、少し頭が痛くなったため、休憩する事にする。
後ろを向き、違う本を撮りに行こうとした時ーー
(え?)
後ろには、小さな子供がいた。
「あ!やっとおわったの?」
「………………………だれ?」
服装的にも、うちの人間だろうけど……。
「やだな~!いもうとですよ!」
ぷくっと顔を膨らませながら服の袖を掴んでいる妹。
(……可愛い……)
と、妹か……。
そう言えば、家族とはあんまり会っていないからな。
(父上の顔と母上の顔くらいかな、覚えているのは)
もともと家族とは仲良くしてはいなかったからか、妹の顔すら覚えられないとは。
(兄失格では?)
一幕置いて、話をつなげる。
「そうか、悪かったな」
「いえいえ!あんまりあわないからおぼえていなくてとうぜんですよ!」
「そうか」
沈黙
(待って、どう話せばいいの?)
話の繋げ方がわからない。
学院の友達と話すのは何も問題なくできるものの、家族とは、気恥ずかしくてなかなか話せない。
「あ、あの!」
「?」
妹に気を遣わせてしまったのか?
だとしたら申し訳ない………。
「何を読んでいたんですか?」
「ん?これか?」
手に持っていた本を持ち上げて見せる。
「『魔術一般理論ーー中編』ですか?」
「そうだ。まあ、おま……ベアにはわからないだろうがな」
親しくしていいのかはよくわからないが、きっと親しくした方がベアにとってはいいだろう。
(あだ名は俺がつけたんだっけか?う~ん。もう記憶がないな)
苦笑を堪えながら、返答を待つ。
「それ!わたしもよんだことあります!」
「え?」
学院で習うような本をなぜ四歳になったばかりの妹が知っているのだ?
(何気に今日が誕生日だったことは覚えているな………って、そうじゃない!)
「たしか、まりょくのじゅんかんについてのはなしだったような……」
「そうだが?」
まあ、内容を知っていたとしても、それができるとは限らないしな。
「たしかね。たいないまりょくのじゅんかんをわざとおそくして、流れをいったんとめてあげればできるよ!」
「へ?」
何を言っているんだ?
(まさか、さっき読んでいた部分の話をしているのか?)
俺は試しにそれをやってみる。
(魔力の循環を止めるイメージで)
光出した身体から、その流れを止める事によって発光は治る。
(今度は反対に……)
逆に魔力を流し出す。
体内の魔力の流れが変化した事によって、心臓部分中心に集まっていた魔力が、足の方にも回せるようになった。
「できた………」
「でしょ!」
元気よくニコッと笑うベア。
(妹、天才じゃね?)
久しぶりにあった妹への感想はこれだった。
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