30 / 131
一章 降って湧いた災難
お前にしか勃たぬ。 壱
しおりを挟む二人ともちょっと、疲れた顔をしてきたね?
《やぁ、僕らも加わっても良いかな?》
《さっきから気になっていたのよね》
あら?皆どうしたの集まってきて?
《マリーが面白い話をしているから気になった》
《夢で見た話か何か?》
《理想の夫の話でしょう?》
《オメガバースの話と聞いたわ!!》
え?私の作り話がぶっ飛んでるから気になって来た?
失礼だな。本当の話だってば。
《夫とそれでよくうまく行ったな?》
そんなのあいつの物理ゴリ押しだよ。
【青】に帰るって言っても、
『お前にしか勃たぬ』
なんて言って止めるし。
あら…………皆なんで固まったのかな?
何か私はまずいことを言ったのかな?
私の感覚が壊れてるのかな?
《あー…。うん、続けて》
《マジにかよ?!》
《ありえないだろう?!》
《その時点でそんな男はポイするわよ!》
うん?あ、続けるの?良いけど、みんななんて顔してるの?
《オイ、プロポーズの言葉としてそれは…ないよな》
《そもそも、プロポーズなのか?》
《モンスターだし、αっていうのは傲慢で勝手なものだから…》
あ、次はブラッディマリーをそれから何か甘いものが欲しい。創作物などで吸血鬼がトマトジュースで代用なんてありえないけど、何となく飲みたくなった。
あいつの味は『美味い』としか言い様がなくて、未だにあれ以上の美味しいものを私は知らないな。
《マリーは聞いてないな…》
《マリーは酷い味オンチ!》
《お菓子か酒しか興味がない!》
《偶にとんでもないもん食ってるよな?》
《「生の肉が食べたい」と言ったのを聞いたときに、目ん玉が飛び出そうになった》
………よく分かってるよ。味蕾が死んでいるとしか思えないからな、私は。
生肉、美味しいよ?ホントだから。
まぁ、私のその味覚の原因になったと思われることをさっきよりも詳しく話そうか?
《いやいや!遠慮するよ!!》
いや、その前に当時のあいつの行状が、如何に酷いかを愚痴りたい。
◇◇◇
まだ他にも僕を悩ませるものはあった。
「僕に早くソレを食わせろよ」
そう言いながら僕は朱点のちんちんにしゃぶり付く為、襲いかかった。
いつの間にかこいつの凶器のようなソレが大好きになってしまった。
頬杖をついて寝転がっているあいつに近づき、着物の間から手を入れソレを弄る。
「お前、から、来る、など、珍し、い。如何、した?お姫様」
「うるさい!別にそういう気分なだけだし…」
こいつの閨で過ごすのも三月が過ぎて、僕はこいつの言う『俺好みのエロいお姫様』になってしまった。
二回目の発情期ももうすぐ来るし、色々と良くなってしまったのでこいつのところで過ごしていた。
毎日毎日、僕を抱き潰して色々と仕込んだ為に、僕はこいつのソレがないと寂しくて仕方がない体になってしまった。
「お前もなんでこんなに小さい僕のことに拘るわけ?」
「百合、だか、ら」
訳がわからない反応ばかり返ってくる。
「俺は、お前、事、ずっと、愛する、言った、お姫様」
「はいはい、そうですか」
「本当、に、そう、だか、らな」
いつの間にかこんなやり取りをするようになっていたが
まだまだ信用なんて出来なかったし、相変わらず僕の家の反対などの障害もあった。
【青】のアホなやつが呪詛などを命知らずにもこいつに掛けて、簡単に返され酷い目にあったなども、父からの文で知った。
「今、本当、に、お前、しか、勃たぬ」
「へー、そうなんですね」
また僕を怒らせることを発言をする。
もう怒る気も失せて呆れに近いが、こいつは僕が拗ねたと勘違いしたらしい。
「俺の、お姫様は、本当、愛い。こっち、来い。可愛がって、やろう」
…僕を抱くときや『俺のお姫様』なんて呼ぶときは、ほんとうに嬉しそうに、愛しそうに僕に微笑む。
こんなんだから、勘違いしてしまいそうになる。
こんなんだから、【青】に帰れない。
「僕を与えてやるんだから満足させろよ!」
「俺の、お姫様、期待に、応え、よう」
朱点はにっこりと笑った。
その笑顔を見るとなんとなく離れ難くなる。
そこからはもう、こいつの好きなままに抱かれるのが最近の流れだった。
0
お気に入りに追加
387
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
悪魔の子と呼ばれ家を追い出されたけど、平民になった先で公爵に溺愛される
ゆう
BL
実の母レイシーの死からレヴナントの暮らしは一変した。継母からは悪魔の子と呼ばれ、周りからは優秀な異母弟と比べられる日々。多少やさぐれながらも自分にできることを頑張るレヴナント。しかし弟が嫡男に決まり自分は家を追い出されることになり...
【R18】番解消された傷物Ωの愛し方【完結】
海林檎
BL
強姦により無理やりうなじを噛まれ番にされたにもかかわらず勝手に解消されたΩは地獄の苦しみを一生味わうようになる。
誰かと番になる事はできず、フェロモンを出す事も叶わず、発情期も一人で過ごさなければならない。
唯一、番になれるのは運命の番となるαのみだが、見つけられる確率なんてゼロに近い。
それでもその夢物語を信じる者は多いだろう。
そうでなければ
「死んだ方がマシだ····」
そんな事を考えながら歩いていたら突然ある男に話しかけられ····
「これを運命って思ってもいいんじゃない?」
そんな都合のいい事があっていいのだろうかと、少年は男の言葉を素直に受け入れられないでいた。
※すみません長さ的に短編ではなく中編です
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
僕は貴方の為に消えたいと願いながらも…
夢見 歩
BL
僕は運命の番に気付いて貰えない。
僕は運命の番と夫婦なのに…
手を伸ばせば届く距離にいるのに…
僕の運命の番は
僕ではないオメガと不倫を続けている。
僕はこれ以上君に嫌われたくなくて
不倫に対して理解のある妻を演じる。
僕の心は随分と前から血を流し続けて
そろそろ限界を迎えそうだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
傾向|嫌われからの愛され(溺愛予定)
━━━━━━━━━━━━━━━
夢見 歩の初のBL執筆作品です。
不憫受けをどうしても書きたくなって
衝動的に書き始めました。
途中で修正などが入る可能性が高いので
完璧な物語を読まれたい方には
あまりオススメできません。
「俺の子を孕め。」とアルファ令息に強制的に妊娠させられ、番にならされました。
天災
BL
「俺の子を孕め」
そう言われて、ご主人様のダニエル・ラーン(α)は執事の僕、アンドレ・ブール(Ω)を強制的に妊娠させ、二人は番となる。
悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません
ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。
俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。
舞台は、魔法学園。
悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。
なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…?
※旧タイトル『愛と死ね』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる