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一章 降って湧いた災難
Marie はマリアになった。3
しおりを挟む代わり映えのしない一日を終え、パーティーに来た。
適当に挨拶してから飲んで失礼することにしよう。
いつもの様に同僚たちが集まった内輪のパーティー。
今回はなんのお祝いだったかは忘れたが、誕生日だとか婚約などの祝いだった気がする。
私はあまり人に興味を持たない。
唯一、あるとすれば子どもたちくらいだ。
好みの酒を一人で楽しむ為にカウンターに座り、それをちびちびと飲んでいた。
最近、私に粉をかけてくる男とそれに気のある女が来た。
相手にするのも面倒だが、無視するわけにもいかない。
◇◇◇
───なぜ私が誰とも付き合わず、結婚もせずに種を買い。シングルで子供を産み育てている?か…
《君はとても美しいし、賢くて素晴らしい女性だ。僕以外からも好意を持たれているだろう?》
魅力的な女性?
ありがとう。
でも、称賛されるのには慣れているし、それで心は動かされない。
《……………》
何度も聞かれるし、うんざりしているから話すけれど…
酔った勢いでの戯言と思われるかもしれないが、私には永遠を誓った相手が居るんだよ。
それこそ私の命をくれてやるくらいのね。
《なにそれ?》
驚くかもしれないが、私には前世の記憶がある。
《クスクス》
………笑ったな?
もう喋らないぞ。
《いや、待ってくれ聞こう!話してくれ!》
わかったよ。なら茶化さずに聞け。
《オーケイ、君も頼むよ》
《わかったわ》
私が前に生きた世界では、私は所謂モンスターの様な存在で、鬼というものだった。
《ogre?》
そう、オーガだね。少しばかり違うけれど。
それで、鬼っていうのは本当に、反則的な存在でね。
軽く説明すると食人鬼と吸血鬼のハーフみたいな存在だ。
《モンスターのハイブリッド種か?聞いているだけで強そうだな》
《血肉を喰らうモンスターでは有名どころの2つね》
そう、物凄いありえない最強の種族だったよ。
それで前世の世界ではさらに不思議なことに性別が多数あり、女と男だけでなく、α、β、Ωという性別が存在した。
古くは言い方が少し違ったが、まぁ…今はこの方が通りが良いな。
《Omegaverse?!》
うん?オメガバース?あぁ…知っているのか。なら話は早いな。
《なに?なんだいそれは?》
《あ、後で教えるわっ!とりあえず先をお願い!!》
ん、良いのかな?
それでだ、私は前世では男でオメガの性であり、夫は男でまぁ…アルファ性のカテゴリーに入るのかな?あれは。
《それはおかしいでしょう?!
ベータは?それに夫のアルファ?ってなんで疑問系なのかしら?》
鬼族っていうのはアルファかオメガしか居なかったんだよ。
その興りには。
種の始まりが男のアルファのみの種族と、ある種族の男のオメガが番い、出来たものだからね。
《ベータもいるのね?》
この頃はどちらかしかいなかったと思われていた。
ベータの者の話は長くなるから次の機会にでもね。
今は先にアルファとオメガについてだが…良いかな?
《ごめんなさい。続けて!》
それで鬼の子は途中でどちらかに分化するわけだ。
これは人間の二次性徴くらいの歳の頃より少し早めかな?
鬼の成熟は早いから。
夫は始祖の直系の子で、どちらでもあり、非常に強い存在だった。
だが、色々と問題を抱えていて…あれは本当に頭の痛いやつだった。
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