上 下
6 / 131
一章 降って湧いた災難

Marie はマリアになった。3

しおりを挟む


 代わり映えのしない一日を終え、パーティーに来た。
 適当に挨拶してから飲んで失礼することにしよう。

 いつもの様に同僚たちが集まった内輪のパーティー。
 今回はなんのお祝いだったかは忘れたが、誕生日だとか婚約などの祝いだった気がする。

 私はあまり人に興味を持たない。
 唯一、あるとすれば子どもたちくらいだ。

 好みの酒を一人で楽しむ為にカウンターに座り、それをちびちびと飲んでいた。

 最近、私に粉をかけてくる男とそれに気のある女が来た。
 相手にするのも面倒だが、無視するわけにもいかない。


 ◇◇◇


 ───なぜ私が誰とも付き合わず、結婚もせずに種を買い。シングルで子供を産み育てている?か…

《君はとても美しいし、賢くて素晴らしい女性だ。僕以外からも好意を持たれているだろう?》

 魅力的な女性?

 ありがとう。
 でも、称賛されるのには慣れているし、それで心は動かされない。

《……………》

 何度も聞かれるし、うんざりしているから話すけれど…

 酔った勢いでの戯言と思われるかもしれないが、私には永遠を誓った相手が居るんだよ。
 それこそ私の命をくれてやるくらいのね。

《なにそれ?》

 驚くかもしれないが、私には前世の記憶がある。

《クスクス》

 ………笑ったな?

 もう喋らないぞ。

《いや、待ってくれ聞こう!話してくれ!》

 わかったよ。なら茶化さずに聞け。

《オーケイ、君も頼むよ》
《わかったわ》

 私が前に生きた世界では、私は所謂モンスターの様な存在で、鬼というものだった。

ogre?》

 そう、オーガだね。少しばかり違うけれど。

 それで、鬼っていうのは本当に、反則的チートな存在でね。
 軽く説明すると食人鬼グール吸血鬼ヴァンパイアのハーフみたいな存在だ。

《モンスターのハイブリッド種か?聞いているだけで強そうだな》
《血肉を喰らうモンスターでは有名どころの2つね》

 そう、物凄いありえない最強の種族だったよ。

 それで前世の世界ではさらに不思議なことに性別が多数あり、女と男だけでなく、αアルファβベータΩオメガという性別が存在した。
 古くは言い方が少し違ったが、まぁ…今はこの方が通りが良いな。

Omegaverseオメガバース?!》

 うん?オメガバース?あぁ…知っているのか。なら話は早いな。

《なに?なんだいそれは?》
《あ、後で教えるわっ!とりあえず先をお願い!!》

 ん、良いのかな?

 それでだ、私は前世では男でオメガの性であり、夫は男でまぁ…アルファ性のカテゴリーに入るのかな?あれは。

《それはおかしいでしょう?!
 ベータは?それに夫のアルファ?ってなんで疑問系なのかしら?》

 鬼族っていうのはアルファかオメガしか居なかったんだよ。
 その興りには。
 種の始まりが男のアルファのみの種族と、ある種族の男のオメガが番い、出来たものだからね。

《ベータもいるのね?》

 この頃はどちらかしかいなかったと思われていた。
 ベータの者の話は長くなるから次の機会にでもね。

 今は先にアルファとオメガについてだが…良いかな?

《ごめんなさい。続けて!》

 それで鬼の子は途中でどちらかに分化するわけだ。
 これは人間の二次性徴くらいの歳の頃より少し早めかな?
 鬼の成熟は早いから。

 夫は始祖の直系の子で、どちらでもあり・・・・・・・、非常に強い存在だった。
 だが、色々と問題を抱えていて…あれは本当に頭の痛いやつだった。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

悪魔の子と呼ばれ家を追い出されたけど、平民になった先で公爵に溺愛される

ゆう
BL
実の母レイシーの死からレヴナントの暮らしは一変した。継母からは悪魔の子と呼ばれ、周りからは優秀な異母弟と比べられる日々。多少やさぐれながらも自分にできることを頑張るレヴナント。しかし弟が嫡男に決まり自分は家を追い出されることになり...

【R18】番解消された傷物Ωの愛し方【完結】

海林檎
BL
 強姦により無理やりうなじを噛まれ番にされたにもかかわらず勝手に解消されたΩは地獄の苦しみを一生味わうようになる。  誰かと番になる事はできず、フェロモンを出す事も叶わず、発情期も一人で過ごさなければならない。  唯一、番になれるのは運命の番となるαのみだが、見つけられる確率なんてゼロに近い。  それでもその夢物語を信じる者は多いだろう。 そうでなければ 「死んだ方がマシだ····」  そんな事を考えながら歩いていたら突然ある男に話しかけられ···· 「これを運命って思ってもいいんじゃない?」 そんな都合のいい事があっていいのだろうかと、少年は男の言葉を素直に受け入れられないでいた。 ※すみません長さ的に短編ではなく中編です

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 ハッピーエンド保証! 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります) 11月9日~毎日21時更新。ストックが溜まったら毎日2話更新していきたいと思います。 ※…このマークは少しでもエッチなシーンがあるときにつけます。 自衛お願いします。

僕は貴方の為に消えたいと願いながらも…

夢見 歩
BL
僕は運命の番に気付いて貰えない。 僕は運命の番と夫婦なのに… 手を伸ばせば届く距離にいるのに… 僕の運命の番は 僕ではないオメガと不倫を続けている。 僕はこれ以上君に嫌われたくなくて 不倫に対して理解のある妻を演じる。 僕の心は随分と前から血を流し続けて そろそろ限界を迎えそうだ。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 傾向|嫌われからの愛され(溺愛予定) ━━━━━━━━━━━━━━━ 夢見 歩の初のBL執筆作品です。 不憫受けをどうしても書きたくなって 衝動的に書き始めました。 途中で修正などが入る可能性が高いので 完璧な物語を読まれたい方には あまりオススメできません。

「俺の子を孕め。」とアルファ令息に強制的に妊娠させられ、番にならされました。

天災
BL
 「俺の子を孕め」  そう言われて、ご主人様のダニエル・ラーン(α)は執事の僕、アンドレ・ブール(Ω)を強制的に妊娠させ、二人は番となる。

処理中です...