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041 やむを得ない
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素知らぬ顔で行政官事務所の世話役を促し、貧しくて薬師ギルドでポーションすら買えない地区へ案内させる。
病人の居る家庭を回りポーションを飲ませていくが、重病者を集めていた場所と違い家族単位で罹患している場合が多くポーションの減りが早い。
鑑定で病状の軽い者は気休めの頭痛や痛み止めポーションを与えて治癒魔法で治し、症状の重い者に病気回復用のポーションと治癒魔法の併用で治していく。
家に入れば経済状態が一目で判るので、渡す銀貨の数も多くなる。
二度三度金貨の袋を渡しては、両替の為に商業ギルドに走らせるが間に合わない。
金貨一袋は銀貨十袋に化けるので一人で運べず、商業ギルドの職員にも運ばせている。
途中から面倒になり、ギルド長を呼べと王家の紋章入りカードを示して命令する。
〈お前か、俺達に断りも無くポーションを飲ませている奴は!〉
〈ボルトンの薬師ギルドに断りも無くポーションを飲ませるのは、違法行為だぞ!〉
また訳の判らん寝言を言いう奴が来たぞ。
護衛隊長に、話し合う必要は無いので叩きのめして追い返せと言っておく。
「俺の手作りポーションは、鉄貨の1枚も取らずに飲ませているんだ文句を言われる筋合いは無い。グダグダ言ってると怪我をするぞ、黙って帰れ!」
警告はしたぞ。
〈お前何処の薬師ギルドの者だ!〉
〈この街は俺達の許可無くポーションを売ることは禁止されている〉
〈御領主様に訴えて、投獄するぞ!〉
人の話を聞いてない様だから、護衛隊長に顎をくいっとして後は無視する。
〈ギャー〉
〈なっなな、何をする!〉
〈衛兵を呼べ!〉
〈喧しい! ゴタゴタ言わずに消えろ! 文句が有るなら国王陛下に言え!〉
〈へっ〉
〈こっ、こここ国王様?〉
〈此の地の領主ハティー・オーゼン子爵殿に、我々が何者か聞いてから出直してこい!〉
護衛隊長から怒声を浴びせられ、脱兎の如く逃げて行く馬鹿の群れ。
そうこうしていると又新手が現れるが、今度は聖職者の団体の様だ。
「はやり病の治療ポーションを配布しているのは貴方方ですか」
「確かにはやり病に苦しんでいる方々に治療ポーションを飲ませていますが、それが何か?」
「それを教会にも分けて頂きたい。アリューシュ様の信徒が苦しんでいるのを見過ごせないのです」
「えーと・・・万物の創造神アリューシュ様は、信徒に分け隔てをしない筈ですよね」
「勿論です! 心優しきアリューシュ様は皆を等しく見守られております」
「それを聞けて嬉しく思います。されど教会に喜捨をする余裕のない者達が、教会の治癒魔法を受けられずポーションを買う金も無く苦しんでおります。彼等にアリューシュ様の御心をお届けするのが私の役目と思い、ポーションを分け与えております。故に教会にお渡しするポーションは御座いません。お分け出来るのは魔力回復ポーションですが、それで宜しいですか?」
あーーー、心にも無い台詞を口にしたので、心臓に蕁麻疹が出そうだわ。
「魔力回復ポーションでは役に立たないのです!」
「あらっ、何故ですの? 治癒魔法を使われる聖父様や聖女様の魔力が回復すれば、治療をお続けになれましょうに。どうぞ、創造神アリューシュ様への喜捨ですので」
そう言って魔力回復ポーションを10本ばかり差し出した。
但し、魔力を20回復する安い奴だけどね。
此処まで言われて、衆人環視の中で治療用ポーションを要求する訳にもいかず、魔力回復ポーションをひったくる様に掴んで帰って行った。
二日目には噂を聞いた人々が詰めかけてきたので、重病人隔離用のテント中に衝立で囲んで診療所にし、鑑定で症状を確認してポーションを飲ませる。
テントの外に移動してきた屋台の食事を振る舞い、動けない者は戸板や荷車に乗せて連れて来いと言っておく。
商業ギルドのギルド長が、銀貨が足りませんので勘弁してくださいと泣きついて来たので、金貨を両替に来た者から手数料を取らないのならと約束させて許してやる。
しかしオーゼン子爵の野郎、未だに銀貨15,000枚と言ったのに1枚も持って来ない。
俺が王国発行の身分証を持つ者だと知れ渡った為、無理を言ってくる者は居なくなったが患者が押し寄せて来た為に、手持ちのポーションが無くなってしまった。
症状の軽い者には濃縮前の魔力水をポーションだと偽り、ガラス管を使いスポイトの様にして飲ませるが、ひな鳥の様に上を向いて口を開け魔力水を飲んでいる隙に、治癒魔法を施して帰す。
俺の周りを衝立で囲い、1人ずつ診察しているので周囲の者に見られないので都合が良い。
5日目には重病人が居ないのか症状の軽い者ばかりになったので、暖かい食事を与え室内を乾燥させない様にして安静にしていろと指示するに留める。
やれやれと思っていたら、又教会の連中がやって来て患者が良くならないんですと泣きついて来た。
こっちは4日も5日もブルカ紛いの物を被って治療しているのに、喜捨をたんまり貰っている奴が何をしているのかと腹が立つ。
「喜捨の額が少ないと言って、手を抜いているんじゃ有りませんか? 教会って治癒魔法師をたっぷり抱え込んで居るじゃないですか」
神父が額に青筋を浮かべて反論してくる。
「この街には治癒魔法を使える聖父や聖女はいないんです。見習いの聖教父と聖教女しか居ないんですよ!」
「転移魔法陣を使えば幾らでも集められるでしょう。日頃たっぷり喜捨を貰っているんですから、こんな時にそれを使わないでどうするんですか」
護衛の騎士達が苦笑いしているのを見て、神父が憤慨し〈教団本部には何度も催促しているんだ!〉なんて喚いている。
見殺しにも出来ないので、神父に案内させて教会の救護所に出向く。
礼拝堂と控えの間をぶち抜いて臨時の救護所にしているが、ベッドだけでは足りずに長椅子を臨時ベッドにして多数の人々が横たわっている。
どうするんだよこれ、俺の手持ちの濃縮前の魔力水も残り僅かで1リットルも無いし、開放的な空間で治癒魔法を使えば一発でバレる。
手を添えればそれなりに誤魔化せるが、聖教父や聖教女の治癒魔法が使える者が見れば隠しきれない。
最後の手段、残りの魔力水にエリクサーを全てぶち込み、ガラス管で少量飲ませて奴等に治癒魔法を使わせる事にした。
護衛を集めて目隠しにし、一人に魔力水のビンを持たせてコソコソとエリクサーを流し込んでいく。
〈薬師様・・・それは〉
「黙ってろ、何も聞くな喋るな。今見たことは直ぐに忘れろ! 良いな」
皆、淡い金色に見えるポーションが並みのポーションじゃ無いと気付いたが、俺の言葉に黙って頷いている。
仕上げに治癒魔法をたっぷり込めるが、濃縮前の魔力水に短い時間で治癒魔法がどれだけ込められるのか判らない。
ガラスのビン越しに治癒魔法を込めると、治癒の光が外に漏れて隠せない。
「神父様、最後のポーションですので一人には少量になります。ポーションを飲ませたら治癒魔法で足りない効果を補って下さい」
「先程の光・・・貴方は治癒魔法も使えるのですか」
「治癒魔法の腕は拙いものですし、魔力が少なく直ぐに魔力切れを起こします。ポーションの補助として使っているだけです」
そう言って話を逸らす為に魔力回復ポーションを聖教父と聖教女に五本ずつ渡す。
「それ一本で魔力を40程回復します。魔力切れを気にせず治療にあたって下さい。足りなければまだ有りますので」
そう言って誤魔化し、手分けして治療しましょうと離れた場所に移動して治療を始める。
残っている病人は症状の重いものが殆どで、エリクサーの薄め液をガラス管から飲ませ、身体を支える振りをして背中に当てた手から治癒魔法を施していく。
此処で役立ったのが体力回復ポーション、高熱で体力を失っている者には抜群の効果を発揮したので、教会関係者が治療する病人にも飲ませる様にと手持ちを大量に渡した。
こんな事なら酔い止めのポーションを多目に作らず、体力回復ポーションを備蓄しておくべきだった。
今後は高品位の風邪の回復ポーションと体力回復ポーションを合わせた物を、大量に備蓄して置いた方が良さそうだ。
小分けして渡したポーションを入れたビンから、ガラス管を使って患者に飲ませ治癒魔法を使う教会の聖教父と聖教女。
聖父と聖女ねぇ、見習いは聖教父と聖教女ってんだ。
横目で彼等の治療を見ながら、此方も護衛を隠れ蓑に使いポーションと共に治癒魔法を使う。
しかし、神父がちらちらと此方を伺っているので遣り難い。
治癒魔法の光を見られたのは不味かったが、エリクサーと言えども薄めてしまえば唯のポーション。
そのまま使えば大した効き目は無いので、効力を上げる為にはやむをえない。
此処の治療が終われば逃げだそうと決め、護衛の騎士達に逃げ出す準備をさせる。
一応治療が終わり、神父が近づいて来るのを護衛の騎士が立ち塞がり、薬師様に御用がおありなら御領主のオーゼン子爵殿を通して下さいと断る。
神父が引き下がり、オーゼン子爵に面会を申し込んでいるのを横目に、転移魔法陣を使って王都に引き返した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ボルトンの様子は如何でしたか?」
「それですが、あの街の領主ハティー・オーゼン子爵は、王国に要請して掻き集めたポーションで荒稼ぎをしていますね」
ボルトンの街に到着し、オーゼン子爵に面会してからの一連の遣り取りを話して聞かせた。
伯爵様顔を赤くして憤慨しているので、唯の薬用ポーション300本を一本金貨5枚で売りつけたことを話して、代金の回収を依頼する。
伯爵様は苦笑いしながら、必ず回収して見せますお任せ下さいと胸を叩く。
此れからもはやり病は続くだろうから、高品位の風邪のポーションと体力回復ポーションを備蓄しておいた方が良いと助言しておく。
俺も明日から高品位の風邪用ポーションを大量に作る準備をすると断り、ランカン達の待つホテルへ送って貰った。
病人の居る家庭を回りポーションを飲ませていくが、重病者を集めていた場所と違い家族単位で罹患している場合が多くポーションの減りが早い。
鑑定で病状の軽い者は気休めの頭痛や痛み止めポーションを与えて治癒魔法で治し、症状の重い者に病気回復用のポーションと治癒魔法の併用で治していく。
家に入れば経済状態が一目で判るので、渡す銀貨の数も多くなる。
二度三度金貨の袋を渡しては、両替の為に商業ギルドに走らせるが間に合わない。
金貨一袋は銀貨十袋に化けるので一人で運べず、商業ギルドの職員にも運ばせている。
途中から面倒になり、ギルド長を呼べと王家の紋章入りカードを示して命令する。
〈お前か、俺達に断りも無くポーションを飲ませている奴は!〉
〈ボルトンの薬師ギルドに断りも無くポーションを飲ませるのは、違法行為だぞ!〉
また訳の判らん寝言を言いう奴が来たぞ。
護衛隊長に、話し合う必要は無いので叩きのめして追い返せと言っておく。
「俺の手作りポーションは、鉄貨の1枚も取らずに飲ませているんだ文句を言われる筋合いは無い。グダグダ言ってると怪我をするぞ、黙って帰れ!」
警告はしたぞ。
〈お前何処の薬師ギルドの者だ!〉
〈この街は俺達の許可無くポーションを売ることは禁止されている〉
〈御領主様に訴えて、投獄するぞ!〉
人の話を聞いてない様だから、護衛隊長に顎をくいっとして後は無視する。
〈ギャー〉
〈なっなな、何をする!〉
〈衛兵を呼べ!〉
〈喧しい! ゴタゴタ言わずに消えろ! 文句が有るなら国王陛下に言え!〉
〈へっ〉
〈こっ、こここ国王様?〉
〈此の地の領主ハティー・オーゼン子爵殿に、我々が何者か聞いてから出直してこい!〉
護衛隊長から怒声を浴びせられ、脱兎の如く逃げて行く馬鹿の群れ。
そうこうしていると又新手が現れるが、今度は聖職者の団体の様だ。
「はやり病の治療ポーションを配布しているのは貴方方ですか」
「確かにはやり病に苦しんでいる方々に治療ポーションを飲ませていますが、それが何か?」
「それを教会にも分けて頂きたい。アリューシュ様の信徒が苦しんでいるのを見過ごせないのです」
「えーと・・・万物の創造神アリューシュ様は、信徒に分け隔てをしない筈ですよね」
「勿論です! 心優しきアリューシュ様は皆を等しく見守られております」
「それを聞けて嬉しく思います。されど教会に喜捨をする余裕のない者達が、教会の治癒魔法を受けられずポーションを買う金も無く苦しんでおります。彼等にアリューシュ様の御心をお届けするのが私の役目と思い、ポーションを分け与えております。故に教会にお渡しするポーションは御座いません。お分け出来るのは魔力回復ポーションですが、それで宜しいですか?」
あーーー、心にも無い台詞を口にしたので、心臓に蕁麻疹が出そうだわ。
「魔力回復ポーションでは役に立たないのです!」
「あらっ、何故ですの? 治癒魔法を使われる聖父様や聖女様の魔力が回復すれば、治療をお続けになれましょうに。どうぞ、創造神アリューシュ様への喜捨ですので」
そう言って魔力回復ポーションを10本ばかり差し出した。
但し、魔力を20回復する安い奴だけどね。
此処まで言われて、衆人環視の中で治療用ポーションを要求する訳にもいかず、魔力回復ポーションをひったくる様に掴んで帰って行った。
二日目には噂を聞いた人々が詰めかけてきたので、重病人隔離用のテント中に衝立で囲んで診療所にし、鑑定で症状を確認してポーションを飲ませる。
テントの外に移動してきた屋台の食事を振る舞い、動けない者は戸板や荷車に乗せて連れて来いと言っておく。
商業ギルドのギルド長が、銀貨が足りませんので勘弁してくださいと泣きついて来たので、金貨を両替に来た者から手数料を取らないのならと約束させて許してやる。
しかしオーゼン子爵の野郎、未だに銀貨15,000枚と言ったのに1枚も持って来ない。
俺が王国発行の身分証を持つ者だと知れ渡った為、無理を言ってくる者は居なくなったが患者が押し寄せて来た為に、手持ちのポーションが無くなってしまった。
症状の軽い者には濃縮前の魔力水をポーションだと偽り、ガラス管を使いスポイトの様にして飲ませるが、ひな鳥の様に上を向いて口を開け魔力水を飲んでいる隙に、治癒魔法を施して帰す。
俺の周りを衝立で囲い、1人ずつ診察しているので周囲の者に見られないので都合が良い。
5日目には重病人が居ないのか症状の軽い者ばかりになったので、暖かい食事を与え室内を乾燥させない様にして安静にしていろと指示するに留める。
やれやれと思っていたら、又教会の連中がやって来て患者が良くならないんですと泣きついて来た。
こっちは4日も5日もブルカ紛いの物を被って治療しているのに、喜捨をたんまり貰っている奴が何をしているのかと腹が立つ。
「喜捨の額が少ないと言って、手を抜いているんじゃ有りませんか? 教会って治癒魔法師をたっぷり抱え込んで居るじゃないですか」
神父が額に青筋を浮かべて反論してくる。
「この街には治癒魔法を使える聖父や聖女はいないんです。見習いの聖教父と聖教女しか居ないんですよ!」
「転移魔法陣を使えば幾らでも集められるでしょう。日頃たっぷり喜捨を貰っているんですから、こんな時にそれを使わないでどうするんですか」
護衛の騎士達が苦笑いしているのを見て、神父が憤慨し〈教団本部には何度も催促しているんだ!〉なんて喚いている。
見殺しにも出来ないので、神父に案内させて教会の救護所に出向く。
礼拝堂と控えの間をぶち抜いて臨時の救護所にしているが、ベッドだけでは足りずに長椅子を臨時ベッドにして多数の人々が横たわっている。
どうするんだよこれ、俺の手持ちの濃縮前の魔力水も残り僅かで1リットルも無いし、開放的な空間で治癒魔法を使えば一発でバレる。
手を添えればそれなりに誤魔化せるが、聖教父や聖教女の治癒魔法が使える者が見れば隠しきれない。
最後の手段、残りの魔力水にエリクサーを全てぶち込み、ガラス管で少量飲ませて奴等に治癒魔法を使わせる事にした。
護衛を集めて目隠しにし、一人に魔力水のビンを持たせてコソコソとエリクサーを流し込んでいく。
〈薬師様・・・それは〉
「黙ってろ、何も聞くな喋るな。今見たことは直ぐに忘れろ! 良いな」
皆、淡い金色に見えるポーションが並みのポーションじゃ無いと気付いたが、俺の言葉に黙って頷いている。
仕上げに治癒魔法をたっぷり込めるが、濃縮前の魔力水に短い時間で治癒魔法がどれだけ込められるのか判らない。
ガラスのビン越しに治癒魔法を込めると、治癒の光が外に漏れて隠せない。
「神父様、最後のポーションですので一人には少量になります。ポーションを飲ませたら治癒魔法で足りない効果を補って下さい」
「先程の光・・・貴方は治癒魔法も使えるのですか」
「治癒魔法の腕は拙いものですし、魔力が少なく直ぐに魔力切れを起こします。ポーションの補助として使っているだけです」
そう言って話を逸らす為に魔力回復ポーションを聖教父と聖教女に五本ずつ渡す。
「それ一本で魔力を40程回復します。魔力切れを気にせず治療にあたって下さい。足りなければまだ有りますので」
そう言って誤魔化し、手分けして治療しましょうと離れた場所に移動して治療を始める。
残っている病人は症状の重いものが殆どで、エリクサーの薄め液をガラス管から飲ませ、身体を支える振りをして背中に当てた手から治癒魔法を施していく。
此処で役立ったのが体力回復ポーション、高熱で体力を失っている者には抜群の効果を発揮したので、教会関係者が治療する病人にも飲ませる様にと手持ちを大量に渡した。
こんな事なら酔い止めのポーションを多目に作らず、体力回復ポーションを備蓄しておくべきだった。
今後は高品位の風邪の回復ポーションと体力回復ポーションを合わせた物を、大量に備蓄して置いた方が良さそうだ。
小分けして渡したポーションを入れたビンから、ガラス管を使って患者に飲ませ治癒魔法を使う教会の聖教父と聖教女。
聖父と聖女ねぇ、見習いは聖教父と聖教女ってんだ。
横目で彼等の治療を見ながら、此方も護衛を隠れ蓑に使いポーションと共に治癒魔法を使う。
しかし、神父がちらちらと此方を伺っているので遣り難い。
治癒魔法の光を見られたのは不味かったが、エリクサーと言えども薄めてしまえば唯のポーション。
そのまま使えば大した効き目は無いので、効力を上げる為にはやむをえない。
此処の治療が終われば逃げだそうと決め、護衛の騎士達に逃げ出す準備をさせる。
一応治療が終わり、神父が近づいて来るのを護衛の騎士が立ち塞がり、薬師様に御用がおありなら御領主のオーゼン子爵殿を通して下さいと断る。
神父が引き下がり、オーゼン子爵に面会を申し込んでいるのを横目に、転移魔法陣を使って王都に引き返した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ボルトンの様子は如何でしたか?」
「それですが、あの街の領主ハティー・オーゼン子爵は、王国に要請して掻き集めたポーションで荒稼ぎをしていますね」
ボルトンの街に到着し、オーゼン子爵に面会してからの一連の遣り取りを話して聞かせた。
伯爵様顔を赤くして憤慨しているので、唯の薬用ポーション300本を一本金貨5枚で売りつけたことを話して、代金の回収を依頼する。
伯爵様は苦笑いしながら、必ず回収して見せますお任せ下さいと胸を叩く。
此れからもはやり病は続くだろうから、高品位の風邪のポーションと体力回復ポーションを備蓄しておいた方が良いと助言しておく。
俺も明日から高品位の風邪用ポーションを大量に作る準備をすると断り、ランカン達の待つホテルへ送って貰った。
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