65 / 91
065 火炎剣
しおりを挟む
「魔鋼鉄の剣でも全然色合いが違うな。然し、変わった形の剣だな」
「そうかな、此れの方が使い良いけどね。俺の場合は、斬るより殴りつける事の方が多いからね」
「それもそうか。ハイオークを倒したときの様な闘い方なら、斬る必要もないか」
・・・・・・
三日振りにウランデの所に顔を出したが、テーブルに置かれた剣を見ながらブツブツと呟き、時折紙に何か書いている。
此れは時間が掛かりそうだと思い、黙って引き返す。
当分は草原で魔力石の浄化と、サランが込める魔法の配合で時間潰しをする事になりそうだ。
一辺8センチ程度の二等辺三角形で厚さが7~8ミリ、角は全て丸みをおび頂点付近に紐を通す穴を開けて貰う。
サランに指導しながら作った物を見本に、20個作って貰い実験開始。
実験に使った親指大の物が魔力754、三角形の物が魔力721と少し少ないが、同一品なので試行錯誤して作る魔玉石には都合が良い。
一つ目の魔力石には以前の物と同じお祈り魔力を3,000程込めて、魔石と同じ物が出来るのか確認する。
爆発させた物同様の魔玉石を確認したら、火魔法と風魔法を1,500ずつ込めた物を作って貰い、これも以前魔石で作った物と同様な仕上がりである事を確認する。
その間にも3日おきにウランデの所に通うが、なかなか進展しない様だ。
雷撃魔法を3,000込めた物は、石の内部で放電現象が絶え間なく起き、チカチカ眩しくてボツ。
治癒魔法を1,500込めた物の中に、雷撃魔法を500、800、1,100、1,400と込めた物を四つ作り、治癒魔法に1,500に雷撃魔法800程度が魔玉石内で定期的に雷光が走り綺麗だった。
調子に乗って火魔法2,000に雷撃魔法1,000の物を作ったが、真紅の魔玉石内で光る雷光も中々捨てがたい魅力がある。
俺はお清め魔法を込めた物を二つ作ってからは、魔玉石制作は全てサランに任せたままだが、万が一を考えて制作にはドームの外に魔力石を置いてやらせている。
傑作は火魔法1,500・風魔法1,500・雷撃魔法800の物だ。
揺らめく炎の様な光の中に雷光が走る、試しにオークションに掛ければ如何ほどの値が付くのかと考えたが、面倒事の未来しか思い浮かばなかったので止めた。
ウランデの所へ5度目に訪れたとき、満面の笑みで迎えられた。
「その顔を見ると、出来上がった様だな」
「出来上がったと言うか、魔方陣は出来たんだがこれから先は俺の領分じゃない。この剣を作った鍛冶師に、魔方陣を刻んでもらってくれ」
「それでは実験をしていないのか」
「とんでもない、実験では炎に包まれた剣が出来たぞ。最も木剣に魔方陣を貼り付けただけだから、一回で燃えてしまったがね」
「ちょっと嫌な予感がするなあ、この服には三種類の付与魔法を掛けているんだが、此れと剣とではどう違うんだ」
「ああ、機織り蜘蛛の生地だと魔方陣を織り込めるんだ、織り込めると言うより転写かな。ローブを広げて見せてくれ」
言われたとおりローブを広げると、ローブに向かって何やら呟いて居る。
「ふむ・・・魔法攻撃防御に防刃打撃防御と体温調節機能、か。あんた貴族なのか?」
「いや、ただの冒険者だが、金だけはしっかり稼いでいるからね」
差し出された魔方陣が描かれた紙は一辺が15センチ程度、魔方陣自体は12センチ程だが微細な文様や文字が書き込まれている。
この文様を剣に刻むのは、彫金師の様な微細加工ができる職人が必要になると思われる。
少し考えて、ウランデに聞いてみた。
「木剣で試したと言ったが、此れを木剣で試したら同じ魔方陣を又書いて貰うことになるが出来るか」
「出来るが、書き上げるのに二日は掛かるな」
俺の考える炎の剣だと、街中で振り回す訳にはいかない。
愛用の木剣を取り出し、魔方陣が記された紙を貼って貰い、残金の金貨10枚を支払ってお財布ポーチに仕舞う。
・・・・・・
草原で魔力を流し込み振り回した木剣は、見事な火魔法を発動したが俺の望む物とは違った。
振り回しながら腕を通して魔力を流し込むと、木剣の刀身部分が炎に包まれたがそれだけ。
剣先から一センチも伸びない、勿論それで斬れる訳でもない。
火魔法の代わりに、剣を使ってファイヤーボールでも打ち出せないかと思ったが無理 !!!
丸っきりの松明・・・トーチ、松明を振り回すフラダンスと同じである。
若しくはアイドルの公演で、オタクが振り回す光るステックと大差ない。
此れで氷結魔法や雷撃魔法を付与したら、氷塊で重くなった剣とか魔法を発動したら我が身に雷撃を受けて痺れるとか、情けないことになりそうだ。
剣に魔法を付与して、各種の魔法攻撃が出来る様にする夢は、すっぱり諦めた。
サランには、引き続き魔力石で実験という名の遊びを続けてもらい、俺は魔鋼鉄の剣の魔力をお清めする実験を始めた。
魔鋼鉄の剣なら、魔力をお清めすれば各種魔法を込められると思ったから。
つまり魔玉石ならぬ魔玉剣・・・魔宝剣かな、中二病全開の剣が出来そうで、クラフトマン魂が疼く。
まぁ、疼く様な魂の持ち合わせはないが、どうせ暇なんだから遊びとしては面白いと思う。
テボリエ親方の打った魔鋼鉄の剣は魔力531、サランが遊びに使っている魔力石より魔力は小さいが物自体の大きさが段違いだ。
割合簡単に漆黒の魔鋼鉄の剣が透明な剣になったが、まるでガラスの剣に見える。
魔鋼鉄の重さが剣を持つ手に伝わるから、ガラスじゃないと判るが何とも気恥ずかしい剣だ。
治癒魔法を1,000程込め、サランに雷撃魔法を500込めてもらうと、見事な純白の刀身に雷撃が走る刀が出来た。
試し切りをと刀を手にしたが、やっぱり俺って間抜けだわ。
刀って基本的に斬り付けたり打ち合ったりする物で常に傷がつく、魔力を込めた物が傷ついたとき・・・大爆発確実。
中二病気味の考えを放棄して、岩の上に魔力の籠もった剣を置き、転移魔法を使って上空から石を落として爆発させた。
テボリエ親方に長剣をもう1本注文しなくっちゃね。
・・・・・・
サランが各種魔法を込めて作った魔玉石で見応えのある物は
土魔法を込めたエメラルド色の魔玉石、大地の色になると思っていたらエメラルドグリーンになった。
魔力量に依って、新緑色からエメラルドグリーまで様々、風魔法と組み合わせたり雷撃魔法を組み込むと中々の物が出来る。
火魔法も同じで踊る炎の中に雷光が走る様は見事の一言である。
乳白色の中に金色の光が踊る治癒魔法の魔玉石は、ペンダントにした事で中々洒落た物に仕上がった。。
未だまだ組み合わせによって楽しめそうだが、失った剣の補充の為にランゲルの街に戻る事にした。
・・・・・・
街の入場門を通るときに暁の星の六人と出会ったが、余り聞きたくない事を聞かされた。
領主であるモルデ・グランド侯爵の使いが、何度も冒険者ギルドに尋ねてきていると。
以前宝石商のマトラと居る所を、セイオスが脅しているので俺に近づいて来ないはずだ。
然し、使いの者を堂々と冒険者ギルドに寄越すのなら、侯爵本人の用件ではあるまい。
王家からの依頼ならカリンガル侯爵かセイオスが来るはずだし、何だろうと思ったが、家臣になった覚えも無いので放置する事にした。
ロンド達と冒険者ギルドに向かい俺達は食堂へ直行、ロンド達は獲物を売る為に買い取りカウンターに向かう。
エールに口を付けたとき、リーナが好奇心丸出してやって来てギルマスが呼んでるよと教えてくれた。
サランが目の前の食事と俺とを交互に見ながら、悲しそうな顔をしている。
リーナに、暁の星の皆を呼んでサランと一緒に飯を食っていてくれと、銀貨を数枚テーブルに置いてギルマスの所に行く。
「おう、来たか」
「領主の使いが来てるって聞いたけど?」
「毎日やって来て煩いんだよ。何やら書状を預かっているが、グランド侯爵からお前に直接手渡し、返事が欲しいので屋敷までお越し下さいってよ。お前、一体何をやったんだ? と言うか、お前は何者なんだ?」
ギルマスが問いかけてくるが、ただの冒険者だしそれ以上答える気はない。
書状で、侯爵から直接手渡しで返事が必要となれば、王家かグルマン宰相からの書状だろう。
返事をしなければ何時までも俺の行方を捜すだろうから、読むだけ読んで返事をしておくかと考えている所にノックの音が響く。
ギルマスの許可を受けて入って来たギルド職員は、ギルマスと俺の顔を交互に見ながら、「グランド侯爵様の使者の方がお見えです」と伝える。
「糞ッ、毎日毎日うっとうしい!」
ギルマスの声が聞こえたのか、恐縮気味に男が室内に足を踏み入れて来る。 ギルマスと向かい合う俺を一瞥して一礼する。
「モルデ・グランド侯爵様の執事補佐をしておりますヤハンと申します。アラド様とお見受けしますが」
「俺に何か用か」
「主人があるお方より書状を預かっております。御一読の後、お返事をいただければと申しております」
「で、此処では渡せない書状だと」
「はい、お連れ様共々屋敷までご足労願いたいと、主人からの申し出です」
「判った、連れはいま食事中だ、少し待ってくれ」
一礼する使者の男と俺を見比べて、ギルマスが呆れた様に顔を横に振っている。
「そうかな、此れの方が使い良いけどね。俺の場合は、斬るより殴りつける事の方が多いからね」
「それもそうか。ハイオークを倒したときの様な闘い方なら、斬る必要もないか」
・・・・・・
三日振りにウランデの所に顔を出したが、テーブルに置かれた剣を見ながらブツブツと呟き、時折紙に何か書いている。
此れは時間が掛かりそうだと思い、黙って引き返す。
当分は草原で魔力石の浄化と、サランが込める魔法の配合で時間潰しをする事になりそうだ。
一辺8センチ程度の二等辺三角形で厚さが7~8ミリ、角は全て丸みをおび頂点付近に紐を通す穴を開けて貰う。
サランに指導しながら作った物を見本に、20個作って貰い実験開始。
実験に使った親指大の物が魔力754、三角形の物が魔力721と少し少ないが、同一品なので試行錯誤して作る魔玉石には都合が良い。
一つ目の魔力石には以前の物と同じお祈り魔力を3,000程込めて、魔石と同じ物が出来るのか確認する。
爆発させた物同様の魔玉石を確認したら、火魔法と風魔法を1,500ずつ込めた物を作って貰い、これも以前魔石で作った物と同様な仕上がりである事を確認する。
その間にも3日おきにウランデの所に通うが、なかなか進展しない様だ。
雷撃魔法を3,000込めた物は、石の内部で放電現象が絶え間なく起き、チカチカ眩しくてボツ。
治癒魔法を1,500込めた物の中に、雷撃魔法を500、800、1,100、1,400と込めた物を四つ作り、治癒魔法に1,500に雷撃魔法800程度が魔玉石内で定期的に雷光が走り綺麗だった。
調子に乗って火魔法2,000に雷撃魔法1,000の物を作ったが、真紅の魔玉石内で光る雷光も中々捨てがたい魅力がある。
俺はお清め魔法を込めた物を二つ作ってからは、魔玉石制作は全てサランに任せたままだが、万が一を考えて制作にはドームの外に魔力石を置いてやらせている。
傑作は火魔法1,500・風魔法1,500・雷撃魔法800の物だ。
揺らめく炎の様な光の中に雷光が走る、試しにオークションに掛ければ如何ほどの値が付くのかと考えたが、面倒事の未来しか思い浮かばなかったので止めた。
ウランデの所へ5度目に訪れたとき、満面の笑みで迎えられた。
「その顔を見ると、出来上がった様だな」
「出来上がったと言うか、魔方陣は出来たんだがこれから先は俺の領分じゃない。この剣を作った鍛冶師に、魔方陣を刻んでもらってくれ」
「それでは実験をしていないのか」
「とんでもない、実験では炎に包まれた剣が出来たぞ。最も木剣に魔方陣を貼り付けただけだから、一回で燃えてしまったがね」
「ちょっと嫌な予感がするなあ、この服には三種類の付与魔法を掛けているんだが、此れと剣とではどう違うんだ」
「ああ、機織り蜘蛛の生地だと魔方陣を織り込めるんだ、織り込めると言うより転写かな。ローブを広げて見せてくれ」
言われたとおりローブを広げると、ローブに向かって何やら呟いて居る。
「ふむ・・・魔法攻撃防御に防刃打撃防御と体温調節機能、か。あんた貴族なのか?」
「いや、ただの冒険者だが、金だけはしっかり稼いでいるからね」
差し出された魔方陣が描かれた紙は一辺が15センチ程度、魔方陣自体は12センチ程だが微細な文様や文字が書き込まれている。
この文様を剣に刻むのは、彫金師の様な微細加工ができる職人が必要になると思われる。
少し考えて、ウランデに聞いてみた。
「木剣で試したと言ったが、此れを木剣で試したら同じ魔方陣を又書いて貰うことになるが出来るか」
「出来るが、書き上げるのに二日は掛かるな」
俺の考える炎の剣だと、街中で振り回す訳にはいかない。
愛用の木剣を取り出し、魔方陣が記された紙を貼って貰い、残金の金貨10枚を支払ってお財布ポーチに仕舞う。
・・・・・・
草原で魔力を流し込み振り回した木剣は、見事な火魔法を発動したが俺の望む物とは違った。
振り回しながら腕を通して魔力を流し込むと、木剣の刀身部分が炎に包まれたがそれだけ。
剣先から一センチも伸びない、勿論それで斬れる訳でもない。
火魔法の代わりに、剣を使ってファイヤーボールでも打ち出せないかと思ったが無理 !!!
丸っきりの松明・・・トーチ、松明を振り回すフラダンスと同じである。
若しくはアイドルの公演で、オタクが振り回す光るステックと大差ない。
此れで氷結魔法や雷撃魔法を付与したら、氷塊で重くなった剣とか魔法を発動したら我が身に雷撃を受けて痺れるとか、情けないことになりそうだ。
剣に魔法を付与して、各種の魔法攻撃が出来る様にする夢は、すっぱり諦めた。
サランには、引き続き魔力石で実験という名の遊びを続けてもらい、俺は魔鋼鉄の剣の魔力をお清めする実験を始めた。
魔鋼鉄の剣なら、魔力をお清めすれば各種魔法を込められると思ったから。
つまり魔玉石ならぬ魔玉剣・・・魔宝剣かな、中二病全開の剣が出来そうで、クラフトマン魂が疼く。
まぁ、疼く様な魂の持ち合わせはないが、どうせ暇なんだから遊びとしては面白いと思う。
テボリエ親方の打った魔鋼鉄の剣は魔力531、サランが遊びに使っている魔力石より魔力は小さいが物自体の大きさが段違いだ。
割合簡単に漆黒の魔鋼鉄の剣が透明な剣になったが、まるでガラスの剣に見える。
魔鋼鉄の重さが剣を持つ手に伝わるから、ガラスじゃないと判るが何とも気恥ずかしい剣だ。
治癒魔法を1,000程込め、サランに雷撃魔法を500込めてもらうと、見事な純白の刀身に雷撃が走る刀が出来た。
試し切りをと刀を手にしたが、やっぱり俺って間抜けだわ。
刀って基本的に斬り付けたり打ち合ったりする物で常に傷がつく、魔力を込めた物が傷ついたとき・・・大爆発確実。
中二病気味の考えを放棄して、岩の上に魔力の籠もった剣を置き、転移魔法を使って上空から石を落として爆発させた。
テボリエ親方に長剣をもう1本注文しなくっちゃね。
・・・・・・
サランが各種魔法を込めて作った魔玉石で見応えのある物は
土魔法を込めたエメラルド色の魔玉石、大地の色になると思っていたらエメラルドグリーンになった。
魔力量に依って、新緑色からエメラルドグリーまで様々、風魔法と組み合わせたり雷撃魔法を組み込むと中々の物が出来る。
火魔法も同じで踊る炎の中に雷光が走る様は見事の一言である。
乳白色の中に金色の光が踊る治癒魔法の魔玉石は、ペンダントにした事で中々洒落た物に仕上がった。。
未だまだ組み合わせによって楽しめそうだが、失った剣の補充の為にランゲルの街に戻る事にした。
・・・・・・
街の入場門を通るときに暁の星の六人と出会ったが、余り聞きたくない事を聞かされた。
領主であるモルデ・グランド侯爵の使いが、何度も冒険者ギルドに尋ねてきていると。
以前宝石商のマトラと居る所を、セイオスが脅しているので俺に近づいて来ないはずだ。
然し、使いの者を堂々と冒険者ギルドに寄越すのなら、侯爵本人の用件ではあるまい。
王家からの依頼ならカリンガル侯爵かセイオスが来るはずだし、何だろうと思ったが、家臣になった覚えも無いので放置する事にした。
ロンド達と冒険者ギルドに向かい俺達は食堂へ直行、ロンド達は獲物を売る為に買い取りカウンターに向かう。
エールに口を付けたとき、リーナが好奇心丸出してやって来てギルマスが呼んでるよと教えてくれた。
サランが目の前の食事と俺とを交互に見ながら、悲しそうな顔をしている。
リーナに、暁の星の皆を呼んでサランと一緒に飯を食っていてくれと、銀貨を数枚テーブルに置いてギルマスの所に行く。
「おう、来たか」
「領主の使いが来てるって聞いたけど?」
「毎日やって来て煩いんだよ。何やら書状を預かっているが、グランド侯爵からお前に直接手渡し、返事が欲しいので屋敷までお越し下さいってよ。お前、一体何をやったんだ? と言うか、お前は何者なんだ?」
ギルマスが問いかけてくるが、ただの冒険者だしそれ以上答える気はない。
書状で、侯爵から直接手渡しで返事が必要となれば、王家かグルマン宰相からの書状だろう。
返事をしなければ何時までも俺の行方を捜すだろうから、読むだけ読んで返事をしておくかと考えている所にノックの音が響く。
ギルマスの許可を受けて入って来たギルド職員は、ギルマスと俺の顔を交互に見ながら、「グランド侯爵様の使者の方がお見えです」と伝える。
「糞ッ、毎日毎日うっとうしい!」
ギルマスの声が聞こえたのか、恐縮気味に男が室内に足を踏み入れて来る。 ギルマスと向かい合う俺を一瞥して一礼する。
「モルデ・グランド侯爵様の執事補佐をしておりますヤハンと申します。アラド様とお見受けしますが」
「俺に何か用か」
「主人があるお方より書状を預かっております。御一読の後、お返事をいただければと申しております」
「で、此処では渡せない書状だと」
「はい、お連れ様共々屋敷までご足労願いたいと、主人からの申し出です」
「判った、連れはいま食事中だ、少し待ってくれ」
一礼する使者の男と俺を見比べて、ギルマスが呆れた様に顔を横に振っている。
126
お気に入りに追加
906
あなたにおすすめの小説
転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活
高梨
ファンタジー
ストレス社会、労働社会、希薄な社会、それに揉まれ石化した心で唯一の親友を守って私は死んだ……のだけれども、死後に閻魔に下されたのは願ってもない異世界転生の判決だった。
黒髪ロングのアメジストの眼をもつ美少女転生して、
接客業後遺症の無表情と接客業の武器営業スマイルと、勝手に進んで行く周りにゲンナリしながら彼女は異世界でくらします。考えてるのに最終的にめんどくさくなって突拍子もないことをしでかして周りに振り回されると同じくらい周りを振り回します。
中性パッツン氷帝と黒の『ナンでも?』できる少女の恋愛ファンタジー。平穏は遙か彼方の代物……この物語をどうぞ見届けてくださいませ。
無表情中性おかっぱ王子?、純粋培養王女、オカマ、下働き大好き系国王、考え過ぎて首を落としたまま過ごす医者、女装メイド男の娘。
猫耳獣人なんでもござれ……。
ほの暗い恋愛ありファンタジーの始まります。
R15タグのように15に収まる範囲の描写がありますご注意ください。
そして『ほの暗いです』
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
新米エルフとぶらり旅
椎井瑛弥
ファンタジー
エルフになってしまった元地球人がガイド役と一緒に異世界でのんびりと旅をする話。山もなければ谷もありませんが、ときどき沼や薮はあります。タイトルは『セーラー服と機関銃』のような感じでどうぞ。本編は終わっています。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる