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28 邪魔者な奴等は排除

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 ナンセン団長に礼を言って別れ、教えてもらった道を辿ると簡単に貴族街に出た。
 纏まって屋敷を構えているので、王都をうろつかなくて済むのはマジで助かる。
 親切な奴等だぜ。
 
 クルンガー公爵邸の門衛に、公爵名で発行された出頭命令書を差し出すと、直ぐに執事と護衛らしき男二人が迎えに来た。
 話が早くて助かる、サクサク片付けよう。
 身体検査もせずにあっさりとクルンガー公爵の執務室に通されたが、待ちわびていたのか大歓迎の様子だ。
 魔法使いが8人と護衛の騎士が8人、冒険者崩れらしき男が6人いる。
 迎えに来た2人は後ろでロングソードを抜くと、冒険者崩の6人もロングソードを抜き、8人に取り囲まれた。

 「お前がユーヤか」
 
 「大歓迎ですねぇ。公爵家って客にお茶も出さないんですか」
 
 「軽口を叩くな! お前は中々腕が立つそうだから、儂が召し抱えてやるぞ」
 
 「跪いて、忠誠を誓え!」
 
 公爵の傍らに控える騎士が怒鳴り付けて来る。
 怖いよー。

 交渉決裂って元より交渉する気は欠片も無いが、話しくらいは聞いておこうと思った俺が馬鹿でした。
 周囲を取り囲まれているので、吠え猿と同じ扱いにさせてもらおう。
 
 「動くな!」
 
 後ろの奴がロングソードを突き出しながら叫ぶが聞く気はない。
 威力を相当落として室内全域に雷撃を放つと、全員燻っているけど死んで無いよな。
 マジックポーチから取り出した岩の固まりを使って全員の手足を拘束、膝の上で両足を固定し両手の固定と密着させておく。
 皆、おもらし寸前のポーズで恥ずかしいね。
 
 大理石の床を通して周囲を探ると、執務室に向かって大量の足音が近づいて来るが、別な反応が地下に有る。
 
 《ルーシュ、誰もこの部屋に入れないでね》

 《任せて》
 
 ルーシュを残して床に穴を開け、地下に潜ると此処にも地下牢がある。
 地下牢と言うより、幽閉する為の4人部屋の牢獄って感じだ。
 綴じ込められているのはエルフ、猫人族、龍人族、小人族と全て女、ん男も少数居るが全員超の付く美男子美少年だ。
 コリアナ伯爵と同じ穴の貉だな。
 牢番が居たが、即座にあの世にお引越しをしてもらった。

 話しを聞くとお約束通りで胸糞が悪いが、もう少しすれば王国騎士団が助けに来るから静かに待てと告げて探索を続行。
 大きな宝石箱って貴族の嗜みなのかな、中も見ずに二箱と大量の革袋を半分ポッケないない。
 酒蔵も高級そうな所をごっそりと頂き、公爵様の執務室に戻る。
 執務室の外は死々累々といった感じで、衛兵達が呻いている。
 
 「お前は国王の通達を蔑ろにし俺に手を出した。覚悟は出来ているよな」
 
 「小僧、公爵たる我に対しての無礼は揺るさんぞ! 貴族に手をだせば、王国を敵に回したと同じ事だ! いますぐ解放しろ!」
 
 「御心配には及びませんよ、公爵閣下。直ぐに王国騎士団が到着します。地下に幽閉されている人々を救出にね」
 
 おや、顔色が優れませんが大丈夫かな、ルーシュに門へ行きナンセン団長を呼んで来てもらう。
 
 「あっ地下の貯蔵品の半分は、手数料として頂きましたので悪しからず。公爵閣下♪」
 
 真っ赤になって呻いているが、言葉にならないらしい。
 部下を引き連れてやって来たナンセン団長が、通路で呻く騎士達を掻き分けて、部屋に来たが溜息を一つ。
 
 「地下に監禁された男女が大勢居ますので宜しくね」
 
 ナンセン団長が部下を伝令に出し応援とロープを大量に持ってこいと怒鳴って居る。
 
 「変わったお姿ですね、公爵閣下。散々好き勝手をし、王家を蔑ろにした付けは払ってもらいますよ。陛下も、さぞお喜びになられる事でしょうな」
 
 「ナンセン団長、地下の物の半分は手数料として貰ったからね。じゃー、次に行くので任せたよ」
 
 苦笑いの団長に見送られ、次はエメニール侯爵閣下だ。
 エメニール侯爵の衛兵もすんなり連絡して、執事と4人の護衛を連れて迎えに来た。
 衛兵が王国騎士団の騎士達が、大挙して公爵邸に向かうのを不思議そうに見送る。
 侯爵閣下は6人の護衛に守られて踏ん反り返っていたが、面倒なので先制攻撃で出鼻を挫くことにした。
 
 「エメニール侯爵、テレンザ国王の通達は知っているよな。クルンガー公爵が、今どうなっているのか知らないのか」
 
 国王の通達の言葉に何か言おうとしているが、俺の放ったクルンガー公爵という予想外の言葉に、反応が出来ない様だ。
 護衛達や執事もどう反応して良いのか分からず、主人の顔色を窺っているだけ。

 「クルンガー公爵は国王の命を蔑ろにした罪と、多数の男女を拉致監禁した罪で拘束されたぞ。もうすぐ此処にも王国騎士団がやって来て、お前も拘束されて国王の前に立たされるな」
 
 侯爵が言葉に為らない喚き声を揚げ、護衛からロングソードを取り上げて抜き撃って来た。
 ひょろひょろの、斬激とも呼べない腰砕けの振りに、尻を蹴り上げて終わり。
 直ぐにナンセン団長がやって来た。
 
 「早すぎない?」
 
 「兵は拙速を尊ぶんだよ。此処も目を付けていたからな」
 
 「んじゃ地下に行こうか。見せたく無いものは、地下に隠す習性が有る様だからね」
 
 護衛達は身動きもせず、王国騎士団に拘束されて行く。
 震える執事を先頭に地下に下りると、凄惨な光景を目にする事になった。
 スプラッターは嫌いだ、俺も人を殺す事に躊躇いが無いが殺す事に喜びは無い。
 ナンセン団長も吐きそうな顔で唸っているが、これは彼の領分なので丸投げして逃げ出した。
 
 フライン、ルーデンス二人の伯爵は、御禁制のお薬や品々を隠匿しているのを暴かれ、無謀な抵抗を試みてナンセン団長にあっさり叩き潰された。
 護衛の数人が強烈な斬激を叩き付けて来たのを、鮮やかに跳ね上げて腕を切り落とした手際は流石と思った。
 
 ドルフ子爵は、異変を察知して逃げようとしていたが、王国騎士団に門前を塞がれて逃げられず。
 地団駄踏んで騒いでいるところを、俺に襟首を掴まれて執務室に引き返す嵌めになった。

 「テレンザ国王の命は知っているよな、宝石商ゲルアトを脅して紹介状を書かせたな」
 
 あれこれ言い訳をするドルフ子爵を、往復ビンタをおみまいして黙らせる。
 
 「紹介状はな、脅されたら書けと言い含めておいたんだよ。紹介状を添えて俺を呼び出した時点で、お前は自分の首にロープを掛けていたのさ。団長、お約束の地下室探訪と行きますか」
 
 何が出ようが出まいが、国王の命に背いたのだからただでは済まないだろうよ。
 後は王国騎士団に任せて、豪商達に挨拶に伺う事にする。
 王都警備隊の部隊の責任者ヘンリが、俺の道案内をしてくれるそうだ。
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