1 / 71
01 死んだ覚えはありません!
しおりを挟む
大学に行く気力も向上心も無く、高校を卒業後は町工場に毛の生えた様な工場で働いている。
勿論工員で、毎日工作機械に油を注し黙々と同じ事の繰り返しだが不満は無い。
仕事帰りに、コンビニで弁当とビールにフランクフルトを買い、神社の片隅で一杯やるのが土曜日の楽しみだ。
弁当を食べ終えると、もう一本のビールが入った袋に空缶とゴミを入れ家路につく。
地面が揺れる? 酔う量じゃ無いぞ?
たかが缶ビール一本でって、おーお、木が揺れているって事は地震じゃねーのか揺れる訳だ。
酔っ払いが揺れに合わせて歩くと結果は、などと間抜けな事を考えながら鳥居を潜って道路に出る。
この先が僕のお家なーんちゃって。
「キャー、危な・・・」
煩いなぁ、車が来ていないのは確認済み何だが・・・
* * * * * * * *
静かですねー、さっきの悲鳴は何なんですか。
ん、んんん、此処は何処私は・だ・あ・れ?
前が見えないってか、明かり点いてますか? 陽が落ちるには早すぎますがねー。
いや真面目な話し、何も無い。
全く何も無いし、明るいのか暗いのか周囲の状況が何も判らない。
手足の感覚はあるけれど、座っているとも立っているとも判らない。
さてとどうしたものかねぇ。
《ふむ、動じないのか鈍感なのか》
(えーとどなたかな、ソナタは何者じゃと洒落てみるか)
《お前さん、死んだ自覚は在るのか》
(死んだって、俺の事かな)
《そうじゃ。地震の影響でな鳥居の》
(鳥居からは離れていましたよ)
《最後まで聞け。地震で鳥居が揺れた時に扁額が外れて落下したのだが、運の悪い事に揺れに合わせて落ちたので、落ちると言うより飛ばされて見事お主の頭に》
(ゴン、ですか)
《おお、中々察しが良いのう》
(あれって、大きいし重たいんでしょ)
《うむ、一撃で仕留めたな》
(俺って鹿か猪ですか。取り敢えず成仏するように南無南無って、神社の扁額に仕留められて南無は無いなぁ)
《お前さん、随分気楽な性分じゃな》
(深刻に考えても、なる様にしか成りませんからね)
《調度良い、お前儂の世界に来ないか。生き返らせてやるぞ》
(えーと何処ですか、俺って輪廻転生の輪に入るって事ですか)
《いやいや、お主を仕留めた神が、気不味いので儂の世界に引き取ってくれんかと頼んできたのじゃ》
(それって扁額の当て逃げじゃないですか。神様なのに鬼畜ですな)
《儂も奴には借りが合ってなぁ、断りづらいのじゃ》
(借りって、何の借りですか?)
《天和を喰らってな。ボロ負けしたんだ》
(賭け麻雀ですか、神様が麻雀で負けて魂のやり取りとか世も末ですねー。扁額落とした神様って、勝負事の神様ですよ。勝てっこ無い無い)
《初めは調子が良かったのだがなぁ。糞!》
(鴨を引っ掛ける為に、最初は旨い餌で釣るんですよ。神様なのに甘いねぇ。で、儂のところって何処ですか?)
《良く聞いてくれた。軽いファンタジーの世界だ、魔法使いもいるぞ》
(あのーそれって、有名なラノベの異世界転移物語の世界では)
《良く似ているが、魔王討伐なんてホラ話は無いし勇者もいない。魔物というか獣は居るがな。それと夢と冒険のダンジョンが少し、チラホラとあるかな》
(結構やばそうな世界じゃ無いですか。お断り、未来永劫輪廻の輪の中に居ても良いからお断りします。じゃーねー)
《待て待てまて! 異世界転移なら神様特典があるじゃろう、優遇するぞ》
(でもお高いんでしょ)
《特典付きじゃ・・・ょ》
(いま(ょ)が小さかったのは何か罠でも。俺はね、気楽で平穏な日常を求めて高卒で工場に勤め、日曜祝祭日休みの残業無しを楽しんでいたんですよ。それを捨てて迄、何を今更辛い世界に・・・)
《判った、イージーライフを約束しよう。健康で長寿、人より抜きん出た魔力でどうだ》
(バンバン人を殺す魔法は要らないけど、安楽な生活の為の魔法は欲しいですね)
《それじゃ希望を述べてみよ。無理なら断るぞ》
(健康で長寿に人より抜きん出た魔力は在るんですよね。土魔法に防御用の結界が欲しいな。鑑定も必要だし、危険を察知する能力と空間収納で良いです。あっ出来れば治癒魔法もお願いします。異世界転移って3K危険汚いきつい+臭い不便ですよね、移動の為の転移魔法もお願いします。一日テクテク歩くのってやだ!)
《本当に、楽して身を守る魔法に偏っているな》
(でもこれって、魔法の能力を貰っても使い熟せなければ意味ないんじゃね)
《良し、お前の望んだ物は全て付けてやろう。魔法も思い通りに使える能力を与える。但し転移魔法は魔法陣と魔法陣の間の転移なので、転移魔法陣を好きな所に設置出来る能力だな。空間収納も無いので、魔法で作る最高峰の時間停止機能付きのマジックバックを作れる能力も付けてやるぞ》
(で、現地語は読み書き出来るんですよね)
《当然じゃそんな抜かりは無い。攻撃魔法が無いのは心もと無いので、雷撃魔法を付けておくぞ》
(あー待って、生活魔法って有りますか? それが一番大事です)
《フォフォフォ大事ない、付属品扱いだが付いておるぞ。神様特典は創造神の加護じゃ。現地でそれぞれの神殿に行き、神に祈れば意味が判るかるからな。達者で暮らせよ》
(有り難う御座います神様。いけね行き先聞いて無いよー、大チョンボだー)
勿論工員で、毎日工作機械に油を注し黙々と同じ事の繰り返しだが不満は無い。
仕事帰りに、コンビニで弁当とビールにフランクフルトを買い、神社の片隅で一杯やるのが土曜日の楽しみだ。
弁当を食べ終えると、もう一本のビールが入った袋に空缶とゴミを入れ家路につく。
地面が揺れる? 酔う量じゃ無いぞ?
たかが缶ビール一本でって、おーお、木が揺れているって事は地震じゃねーのか揺れる訳だ。
酔っ払いが揺れに合わせて歩くと結果は、などと間抜けな事を考えながら鳥居を潜って道路に出る。
この先が僕のお家なーんちゃって。
「キャー、危な・・・」
煩いなぁ、車が来ていないのは確認済み何だが・・・
* * * * * * * *
静かですねー、さっきの悲鳴は何なんですか。
ん、んんん、此処は何処私は・だ・あ・れ?
前が見えないってか、明かり点いてますか? 陽が落ちるには早すぎますがねー。
いや真面目な話し、何も無い。
全く何も無いし、明るいのか暗いのか周囲の状況が何も判らない。
手足の感覚はあるけれど、座っているとも立っているとも判らない。
さてとどうしたものかねぇ。
《ふむ、動じないのか鈍感なのか》
(えーとどなたかな、ソナタは何者じゃと洒落てみるか)
《お前さん、死んだ自覚は在るのか》
(死んだって、俺の事かな)
《そうじゃ。地震の影響でな鳥居の》
(鳥居からは離れていましたよ)
《最後まで聞け。地震で鳥居が揺れた時に扁額が外れて落下したのだが、運の悪い事に揺れに合わせて落ちたので、落ちると言うより飛ばされて見事お主の頭に》
(ゴン、ですか)
《おお、中々察しが良いのう》
(あれって、大きいし重たいんでしょ)
《うむ、一撃で仕留めたな》
(俺って鹿か猪ですか。取り敢えず成仏するように南無南無って、神社の扁額に仕留められて南無は無いなぁ)
《お前さん、随分気楽な性分じゃな》
(深刻に考えても、なる様にしか成りませんからね)
《調度良い、お前儂の世界に来ないか。生き返らせてやるぞ》
(えーと何処ですか、俺って輪廻転生の輪に入るって事ですか)
《いやいや、お主を仕留めた神が、気不味いので儂の世界に引き取ってくれんかと頼んできたのじゃ》
(それって扁額の当て逃げじゃないですか。神様なのに鬼畜ですな)
《儂も奴には借りが合ってなぁ、断りづらいのじゃ》
(借りって、何の借りですか?)
《天和を喰らってな。ボロ負けしたんだ》
(賭け麻雀ですか、神様が麻雀で負けて魂のやり取りとか世も末ですねー。扁額落とした神様って、勝負事の神様ですよ。勝てっこ無い無い)
《初めは調子が良かったのだがなぁ。糞!》
(鴨を引っ掛ける為に、最初は旨い餌で釣るんですよ。神様なのに甘いねぇ。で、儂のところって何処ですか?)
《良く聞いてくれた。軽いファンタジーの世界だ、魔法使いもいるぞ》
(あのーそれって、有名なラノベの異世界転移物語の世界では)
《良く似ているが、魔王討伐なんてホラ話は無いし勇者もいない。魔物というか獣は居るがな。それと夢と冒険のダンジョンが少し、チラホラとあるかな》
(結構やばそうな世界じゃ無いですか。お断り、未来永劫輪廻の輪の中に居ても良いからお断りします。じゃーねー)
《待て待てまて! 異世界転移なら神様特典があるじゃろう、優遇するぞ》
(でもお高いんでしょ)
《特典付きじゃ・・・ょ》
(いま(ょ)が小さかったのは何か罠でも。俺はね、気楽で平穏な日常を求めて高卒で工場に勤め、日曜祝祭日休みの残業無しを楽しんでいたんですよ。それを捨てて迄、何を今更辛い世界に・・・)
《判った、イージーライフを約束しよう。健康で長寿、人より抜きん出た魔力でどうだ》
(バンバン人を殺す魔法は要らないけど、安楽な生活の為の魔法は欲しいですね)
《それじゃ希望を述べてみよ。無理なら断るぞ》
(健康で長寿に人より抜きん出た魔力は在るんですよね。土魔法に防御用の結界が欲しいな。鑑定も必要だし、危険を察知する能力と空間収納で良いです。あっ出来れば治癒魔法もお願いします。異世界転移って3K危険汚いきつい+臭い不便ですよね、移動の為の転移魔法もお願いします。一日テクテク歩くのってやだ!)
《本当に、楽して身を守る魔法に偏っているな》
(でもこれって、魔法の能力を貰っても使い熟せなければ意味ないんじゃね)
《良し、お前の望んだ物は全て付けてやろう。魔法も思い通りに使える能力を与える。但し転移魔法は魔法陣と魔法陣の間の転移なので、転移魔法陣を好きな所に設置出来る能力だな。空間収納も無いので、魔法で作る最高峰の時間停止機能付きのマジックバックを作れる能力も付けてやるぞ》
(で、現地語は読み書き出来るんですよね)
《当然じゃそんな抜かりは無い。攻撃魔法が無いのは心もと無いので、雷撃魔法を付けておくぞ》
(あー待って、生活魔法って有りますか? それが一番大事です)
《フォフォフォ大事ない、付属品扱いだが付いておるぞ。神様特典は創造神の加護じゃ。現地でそれぞれの神殿に行き、神に祈れば意味が判るかるからな。達者で暮らせよ》
(有り難う御座います神様。いけね行き先聞いて無いよー、大チョンボだー)
1,182
お気に入りに追加
1,436
あなたにおすすめの小説
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる
みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」
濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い
「あー、薪があればな」
と思ったら
薪が出てきた。
「はい?……火があればな」
薪に火がついた。
「うわ!?」
どういうことだ?
どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。
これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる