57 / 75
057 商人殺し
しおりを挟む
ザールスと執事のケラハンに書かせた用紙の一枚を、警備の責任者に渡す。
「その用紙に書かれている名前は、ザールスに便宜を図り好き放題させていた貴族の名前だ。場合によっては其奴等も潰す。ブルーゼン宰相に、俺がそう言っていたと報告しろ。其れと後五つほど商家で騒動が起きるが、邪魔をするなよ」
ケラハンに用意させた馬車を呼び、タイエア通りのリエンツ商会にいけと命じる。
走り出した馬車の後ろを、必死で追いかけてくる警備兵がいるが無視する。
邪魔するなら蹴散らすまでだ、王家が邪魔するなら今度こそ国王もろとも鏖にしてやる。
もう、名を隠し静かに行動しても無駄なので、立ち塞がる奴は徹底的に叩き潰す事に決めた。
・・・・・・
タイエア通り、大きいが質素な外観の家の前に馬車が止まる〔リエンツ商会〕宝石商の小さな看板が掛かっている。
扉の前に立っていた男が馬車のドアを開けてくれる。
馬車の中には、商家の子弟風な小僧が一人だけなので不思議そうだ。
男の前に立ち、リエンツに呼ばれてやって来たハルトだと告げると、確認しますと中に入って行ったが直ぐに出てきてお入り下さいと頭を下げる。
質素な外観とは裏腹にホールの壁は精緻な彫刻が施され、貴族や豪商相手の商いだと知れる。
広いホールにはぽつんと机が一つ、フロックコートの男が客の確認をすると手元のベルを鳴らす。
ホールの突き当たりのドアが開き、フロックコートを着用しているが屈強な体格の男が現れ俺を奥へと案内する。
二つのドアの前を通り過ぎたが、間隔が広く見事な彫刻が施されているところを見ると商談室の様だ。
階段ホールから2階に案内され、一つのドアの前に止まるとノックをする。
「ハルト様をお連れしました」
コーエン侯爵様の所でも、此れほど堅苦しくはなかったと思っていると中からドアが開けられた。
またもや同じ様な服装で屈強な男、宝石商の警備を任されて居るのだろうが場違い感半端ない。
ご主人様はお食事中の様で、長テーブルの正面に座り俺を品定めしながら切り分けた肉を口に運ぶ。
「リエンツ、俺を呼び寄せた訳を聞こうか」
〈貴様! 勝手に喋るな!〉怒鳴りつけて来た男は軽鎧に兜を被った護衛の一人、左右の壁際に二人ずつ立っている。
ナプキンで口を拭きながら、片手を上げて怒鳴りつけて来た男を制する。
「なかなかの治癒魔法を使うそうだな」
「そんな理由で俺を呼び付けたのか?」
「お付き合い頂いている、公爵家の大奥様が最近体調不良でな」
「それが俺に何の関係がある」
「少し口の利き方を教えておく必要があるな」
「それは俺も同じ意見だ」
そう同意して、壁際の護衛四人とドアの左右に立つ男二人に案内したきた男の両手足にアイスニードルを射ち込む。
〈糞ッ〉
〈何故だ?〉
〈旦那様逃げて・・・〉
倒れながらも主人を気遣うなかなかの忠臣ぶりだ。
アイスニードルを喉に射ち込むと声も消えたので、その忠臣ぶりも伝わらないのが残念だけど。
水のグラスを持ったままフリーズしている男の両肩にもアイスニードルをプレゼント。
給仕役のメイド達は、何が起きているのか理解出来ずに棒立ちで俺とご主人様を見ている。
主人の正面席左右を指差し、座れとメイドに命令するが思考力が麻痺しているのか棒立ちのままだ。
「リエンツ、メイドに座る様に命じろ」
此奴も何が起きているのか理解出来ずフリーズしたままだ。
今度は二の腕にアイスニードルを射ち込んでやると、やっと俺が攻撃している事を理解した。
「小僧、儂を傷付けるとは良い度胸だ。泣き叫び許しを請いながら死ぬことになるぞ」
「それはお前の方だよ」
そう言ってリエンツの鼻に拳大の火球を乗せてやる。
〈ウオーゥ〉一声吠えて仰け反ったが、両腕が使えないので椅子ごと後ろに倒れる。
リエンツが居なくなった場所に浮かぶ火球を消し、メイド二人を椅子に座らせるとリエンツの傍らに立つ。
「クロドスの所に、俺を寄越せと捩じ込んだな。俺はお前の駒か? 何様のつもりだ」
倒れたままのリエンツの横腹を蹴り、立てと命じる。
イヤイヤをする様に首を振るので、顔の形が変わるまで蹴り続ける。
腕と肩のアイスニードルの魔力を抜き、再度立てと命令する。
傷と血に塗れた顔で、呻きながら立ち上がったリエンツを椅子に座らせる。
「お前、俺を自由に使えると思っていたのか? クロドスの所に俺を寄越せと脅しの書簡を送りつけたが、お前はそれ程偉いのか」
返事をしないので、柔らかなアイスバレットを胸に射ち込む。
砕けた氷を撒き散らしながら後ろに吹き飛び、動かなくなったリエンツの手を取り治療する。
〈旦那様何事ですか〉
〈いまの声は何でしょう
か〉
ドンドンとドアが叩かれ、問いかけの声が増えていく。
ドアの左右に倒れている男達が、助けが来たと思い生気が戻った様だが甘い。
〈失礼します〉の声と共に武装した男達が雪崩れ込んで来たが、室内の状況を見て動きが止まる。
的が止まっている間に、ソフトボール大のアイスバレットの乱れ打ちだ。
〈ギャー〉
〈ウッ〉
〈ゲッ〉
悲鳴と共に後方に吹き飛び倒れる護衛7人、ドアの陰にも居る様なのでドアを穴だらけにしておく。
〈ドン〉〈ドン〉〈バッキーン〉と擬音が鳴り響く。
足下で呻き声がするので見ると、リエンツのお目覚めだ。
腹の上に火球を乗せ、すっきりはっきり目覚める様にお手伝い。
服が燃え、一瞬の間を置いて〈ウオー〉と吠えながら跳ね起きるリエンツ。
何が起きたのか判らず痛む腹を抱えるが、火傷の為に顔を顰めて痛む場所を見る。
腹の部分が燃えていて、直ぐ隣では炎の玉が浮かんでいるのを見て、状況を理解した様だ。
「治癒魔法を体験した感想を聞かせて貰えるかな」
何を言われているのか判らずポカンとしている。
「顔だよ、痛まないだろう。肩も腕も自由に動くよな」
俺に言われて初めて、腕が自由に動くことに気づいた様だ、顔に手を当て撫でさすっている。
「俺を自由に出来ると思った、その根拠から聞かせて貰おうか。喋らなければ、今度は顔をこんがり焼いてやるからな」
俺にそう言われた瞬間、顔が引き攣り汗が流れ落ちる。
「お前が強気になる理由は判る、強気の元となる名前を全て書き出せ。裏仕事の連中の名もな、書き漏らしたら」
そう言って眼前に火球を浮かべる。
紙とペンを取り出し、リエンツに手渡し書けと顎でダイニングテーブルを示す。
後四つも行かなければならないんだ、仕事は手っ取り早くしなきゃ邪魔が入る。
フロックコートの男に問いかけると、執事をしていますと答えるのでアイスニードルを溶かして立たせる。
主人の正面に座らせると、リエンツと同じ事を書けと言って紙とペンを差し出す。
ペンを受け取る素振りで手首を掴み腕を捻ろうとしたので懐に飛び込み肘打ちを側頭部に叩き込む。
魔力を張り巡らせている俺と、速さで勝負しようとは見上げたものだが期待に応えてやる義理はない。
脳震盪を起こしたのか、椅子に座り込んでいる男の両足をアイスアローで撃ち抜き固定すると、お仕置きとして頭の上に火球を一つ乗せる。
髪が焼け臭い匂いがし出すころ、熱さで意識が戻り必死になって頭を振り手で払っている。
「余計な事をするな、次は火達磨にして殺すぞ」
そう言ってテーブルの上に、直径1メートル程の火球を浮かべて見せる。
其れを見てゴクリと唾を飲む執事、魔力を抜いて火球を消す。
二人が書き出した用紙を照らし合わせると、後ろ盾の貴族名も裏仕事の連中の名前も半分ちかく違っている。
「二人とも真面目に書く気が無さそうだな。俺が此処に来る前にザールス商会に寄ってきたんだが、奴がどうなったと思う」
リエンツの顔を見ながらそう言い、執事の男を火球で包む。
〈ギャーァァァ〉
悲鳴と共に転がって逃げようとするが、両足を固定しているし、逃げる先に火球を作ってやる。
悲鳴は直ぐに消え執事の男も動かなくなり、後は肉の焦げる匂いが部屋に充満する。
リエンツにもう一度紙を渡し、次はないぞと告げて書かせる。
歯の根も合わないのかカチカチ音を立て、震えながら必死で紙にペンを走らせる。
用紙を受け取り迷惑料徴収と思ったが、金が欲しい訳ではない。
ただの嫌がらせだが、面倒なのでリエンツを殺して引き上げる事にした。
俺が用紙を受け取ってドアの方に歩き出すと、背後で大きく息を吐き出している。
壊れたドアの手前で振り向き、軽い魔力でアイスランスを胸に撃ち込む。
リエンツが後ろに吹き飛び転がっているが、氷の短槍が突き立っている。
俺が近づくと、ドア周辺にいる怪我人達が這って逃げ出す。
通路の両端には、抜き身の剣を持った男達がいるが、近寄って来ようとしない。
念のために、バレーボール大のアイスバレットを数発ずつ叩き込んでから階段室に向かう。
玄関ホールへのドアは閉まっているが、濃厚な人の気配がする。
すんなり帰すつもりが無いなら強行突破だ、バレーボール大のアイスバレットを数発ドアに叩き込む。
〈ウオー〉
〈ギャーァァ〉
〈逃げろー〉
〈馬鹿! 逃げるな!〉
沢山居る様なのでドアに近づき、今度は扇形にアイスバレットを10発射ち込む。
〈駄目だ、死にたくない〉
〈待ってくれ〉
〈助けて・・・〉
壊れたドアの穴から、玄関ホールに倒れている者達が見えるが王都の警備兵の様だ。
死傷者多数の様だが、建物内に侵入して姿を隠しているのが悪いのだ、然し姿を見た以上一応挨拶はしておこう。
「その用紙に書かれている名前は、ザールスに便宜を図り好き放題させていた貴族の名前だ。場合によっては其奴等も潰す。ブルーゼン宰相に、俺がそう言っていたと報告しろ。其れと後五つほど商家で騒動が起きるが、邪魔をするなよ」
ケラハンに用意させた馬車を呼び、タイエア通りのリエンツ商会にいけと命じる。
走り出した馬車の後ろを、必死で追いかけてくる警備兵がいるが無視する。
邪魔するなら蹴散らすまでだ、王家が邪魔するなら今度こそ国王もろとも鏖にしてやる。
もう、名を隠し静かに行動しても無駄なので、立ち塞がる奴は徹底的に叩き潰す事に決めた。
・・・・・・
タイエア通り、大きいが質素な外観の家の前に馬車が止まる〔リエンツ商会〕宝石商の小さな看板が掛かっている。
扉の前に立っていた男が馬車のドアを開けてくれる。
馬車の中には、商家の子弟風な小僧が一人だけなので不思議そうだ。
男の前に立ち、リエンツに呼ばれてやって来たハルトだと告げると、確認しますと中に入って行ったが直ぐに出てきてお入り下さいと頭を下げる。
質素な外観とは裏腹にホールの壁は精緻な彫刻が施され、貴族や豪商相手の商いだと知れる。
広いホールにはぽつんと机が一つ、フロックコートの男が客の確認をすると手元のベルを鳴らす。
ホールの突き当たりのドアが開き、フロックコートを着用しているが屈強な体格の男が現れ俺を奥へと案内する。
二つのドアの前を通り過ぎたが、間隔が広く見事な彫刻が施されているところを見ると商談室の様だ。
階段ホールから2階に案内され、一つのドアの前に止まるとノックをする。
「ハルト様をお連れしました」
コーエン侯爵様の所でも、此れほど堅苦しくはなかったと思っていると中からドアが開けられた。
またもや同じ様な服装で屈強な男、宝石商の警備を任されて居るのだろうが場違い感半端ない。
ご主人様はお食事中の様で、長テーブルの正面に座り俺を品定めしながら切り分けた肉を口に運ぶ。
「リエンツ、俺を呼び寄せた訳を聞こうか」
〈貴様! 勝手に喋るな!〉怒鳴りつけて来た男は軽鎧に兜を被った護衛の一人、左右の壁際に二人ずつ立っている。
ナプキンで口を拭きながら、片手を上げて怒鳴りつけて来た男を制する。
「なかなかの治癒魔法を使うそうだな」
「そんな理由で俺を呼び付けたのか?」
「お付き合い頂いている、公爵家の大奥様が最近体調不良でな」
「それが俺に何の関係がある」
「少し口の利き方を教えておく必要があるな」
「それは俺も同じ意見だ」
そう同意して、壁際の護衛四人とドアの左右に立つ男二人に案内したきた男の両手足にアイスニードルを射ち込む。
〈糞ッ〉
〈何故だ?〉
〈旦那様逃げて・・・〉
倒れながらも主人を気遣うなかなかの忠臣ぶりだ。
アイスニードルを喉に射ち込むと声も消えたので、その忠臣ぶりも伝わらないのが残念だけど。
水のグラスを持ったままフリーズしている男の両肩にもアイスニードルをプレゼント。
給仕役のメイド達は、何が起きているのか理解出来ずに棒立ちで俺とご主人様を見ている。
主人の正面席左右を指差し、座れとメイドに命令するが思考力が麻痺しているのか棒立ちのままだ。
「リエンツ、メイドに座る様に命じろ」
此奴も何が起きているのか理解出来ずフリーズしたままだ。
今度は二の腕にアイスニードルを射ち込んでやると、やっと俺が攻撃している事を理解した。
「小僧、儂を傷付けるとは良い度胸だ。泣き叫び許しを請いながら死ぬことになるぞ」
「それはお前の方だよ」
そう言ってリエンツの鼻に拳大の火球を乗せてやる。
〈ウオーゥ〉一声吠えて仰け反ったが、両腕が使えないので椅子ごと後ろに倒れる。
リエンツが居なくなった場所に浮かぶ火球を消し、メイド二人を椅子に座らせるとリエンツの傍らに立つ。
「クロドスの所に、俺を寄越せと捩じ込んだな。俺はお前の駒か? 何様のつもりだ」
倒れたままのリエンツの横腹を蹴り、立てと命じる。
イヤイヤをする様に首を振るので、顔の形が変わるまで蹴り続ける。
腕と肩のアイスニードルの魔力を抜き、再度立てと命令する。
傷と血に塗れた顔で、呻きながら立ち上がったリエンツを椅子に座らせる。
「お前、俺を自由に使えると思っていたのか? クロドスの所に俺を寄越せと脅しの書簡を送りつけたが、お前はそれ程偉いのか」
返事をしないので、柔らかなアイスバレットを胸に射ち込む。
砕けた氷を撒き散らしながら後ろに吹き飛び、動かなくなったリエンツの手を取り治療する。
〈旦那様何事ですか〉
〈いまの声は何でしょう
か〉
ドンドンとドアが叩かれ、問いかけの声が増えていく。
ドアの左右に倒れている男達が、助けが来たと思い生気が戻った様だが甘い。
〈失礼します〉の声と共に武装した男達が雪崩れ込んで来たが、室内の状況を見て動きが止まる。
的が止まっている間に、ソフトボール大のアイスバレットの乱れ打ちだ。
〈ギャー〉
〈ウッ〉
〈ゲッ〉
悲鳴と共に後方に吹き飛び倒れる護衛7人、ドアの陰にも居る様なのでドアを穴だらけにしておく。
〈ドン〉〈ドン〉〈バッキーン〉と擬音が鳴り響く。
足下で呻き声がするので見ると、リエンツのお目覚めだ。
腹の上に火球を乗せ、すっきりはっきり目覚める様にお手伝い。
服が燃え、一瞬の間を置いて〈ウオー〉と吠えながら跳ね起きるリエンツ。
何が起きたのか判らず痛む腹を抱えるが、火傷の為に顔を顰めて痛む場所を見る。
腹の部分が燃えていて、直ぐ隣では炎の玉が浮かんでいるのを見て、状況を理解した様だ。
「治癒魔法を体験した感想を聞かせて貰えるかな」
何を言われているのか判らずポカンとしている。
「顔だよ、痛まないだろう。肩も腕も自由に動くよな」
俺に言われて初めて、腕が自由に動くことに気づいた様だ、顔に手を当て撫でさすっている。
「俺を自由に出来ると思った、その根拠から聞かせて貰おうか。喋らなければ、今度は顔をこんがり焼いてやるからな」
俺にそう言われた瞬間、顔が引き攣り汗が流れ落ちる。
「お前が強気になる理由は判る、強気の元となる名前を全て書き出せ。裏仕事の連中の名もな、書き漏らしたら」
そう言って眼前に火球を浮かべる。
紙とペンを取り出し、リエンツに手渡し書けと顎でダイニングテーブルを示す。
後四つも行かなければならないんだ、仕事は手っ取り早くしなきゃ邪魔が入る。
フロックコートの男に問いかけると、執事をしていますと答えるのでアイスニードルを溶かして立たせる。
主人の正面に座らせると、リエンツと同じ事を書けと言って紙とペンを差し出す。
ペンを受け取る素振りで手首を掴み腕を捻ろうとしたので懐に飛び込み肘打ちを側頭部に叩き込む。
魔力を張り巡らせている俺と、速さで勝負しようとは見上げたものだが期待に応えてやる義理はない。
脳震盪を起こしたのか、椅子に座り込んでいる男の両足をアイスアローで撃ち抜き固定すると、お仕置きとして頭の上に火球を一つ乗せる。
髪が焼け臭い匂いがし出すころ、熱さで意識が戻り必死になって頭を振り手で払っている。
「余計な事をするな、次は火達磨にして殺すぞ」
そう言ってテーブルの上に、直径1メートル程の火球を浮かべて見せる。
其れを見てゴクリと唾を飲む執事、魔力を抜いて火球を消す。
二人が書き出した用紙を照らし合わせると、後ろ盾の貴族名も裏仕事の連中の名前も半分ちかく違っている。
「二人とも真面目に書く気が無さそうだな。俺が此処に来る前にザールス商会に寄ってきたんだが、奴がどうなったと思う」
リエンツの顔を見ながらそう言い、執事の男を火球で包む。
〈ギャーァァァ〉
悲鳴と共に転がって逃げようとするが、両足を固定しているし、逃げる先に火球を作ってやる。
悲鳴は直ぐに消え執事の男も動かなくなり、後は肉の焦げる匂いが部屋に充満する。
リエンツにもう一度紙を渡し、次はないぞと告げて書かせる。
歯の根も合わないのかカチカチ音を立て、震えながら必死で紙にペンを走らせる。
用紙を受け取り迷惑料徴収と思ったが、金が欲しい訳ではない。
ただの嫌がらせだが、面倒なのでリエンツを殺して引き上げる事にした。
俺が用紙を受け取ってドアの方に歩き出すと、背後で大きく息を吐き出している。
壊れたドアの手前で振り向き、軽い魔力でアイスランスを胸に撃ち込む。
リエンツが後ろに吹き飛び転がっているが、氷の短槍が突き立っている。
俺が近づくと、ドア周辺にいる怪我人達が這って逃げ出す。
通路の両端には、抜き身の剣を持った男達がいるが、近寄って来ようとしない。
念のために、バレーボール大のアイスバレットを数発ずつ叩き込んでから階段室に向かう。
玄関ホールへのドアは閉まっているが、濃厚な人の気配がする。
すんなり帰すつもりが無いなら強行突破だ、バレーボール大のアイスバレットを数発ドアに叩き込む。
〈ウオー〉
〈ギャーァァ〉
〈逃げろー〉
〈馬鹿! 逃げるな!〉
沢山居る様なのでドアに近づき、今度は扇形にアイスバレットを10発射ち込む。
〈駄目だ、死にたくない〉
〈待ってくれ〉
〈助けて・・・〉
壊れたドアの穴から、玄関ホールに倒れている者達が見えるが王都の警備兵の様だ。
死傷者多数の様だが、建物内に侵入して姿を隠しているのが悪いのだ、然し姿を見た以上一応挨拶はしておこう。
94
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。
朱本来未
ファンタジー
魔術師の大家であるレッドグレイヴ家に生を受けたヒイロは、15歳を迎えて受けた成人の儀で盗賊の天職を授けられた。
天職が王家からの心象が悪い盗賊になってしまったヒイロは、廃嫡されてレッドグレイヴ領からの追放されることとなった。
ヒイロは以前から魔術師以外の天職に可能性を感じていたこともあり、追放処分を抵抗することなく受け入れ、レッドグレイヴ領から出奔するのだった。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
おまけ娘の異世界チート生活〜君がいるこの世界を愛し続ける〜
蓮条緋月
ファンタジー
ファンタジーオタクな芹原緋夜はある日異世界に召喚された。しかし緋夜と共に召喚された少女の方が聖女だと判明。自分は魔力なしスキルなしの一般人だった。訳の分からないうちに納屋のような場所で生活することに。しかも、変な噂のせいで食事も満足に与えてくれない。すれ違えば蔑みの眼差ししか向けられず、自分の護衛さんにも被害が及ぶ始末。気を紛らわすために魔力なしにも関わらず魔法を使えないかといろいろやっていたら次々といろんな属性に加えてスキルも使えるようになっていた。そして勝手に召喚して虐げる連中への怒りと護衛さんへの申し訳なさが頂点に達し国を飛び出した。
行き着いた国で出会ったのは最強と呼ばれるソロ冒険者だった。彼とパーティを組んだ後獣人やエルフも加わり賑やかに。しかも全員美形というおいしい設定付き。そんな人達に愛されながら緋夜は冒険者として仲間と覚醒したチートで無双するー!
※他サイトにて重複掲載しています
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる