猫被りの恋。

圭理 -keiri-

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《afterstory #02》砂糖菓子のように甘いひと眠り

1.寝言〈水都〉

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【恋人達に睡眠で6のお題︎︎】お借りしています。
サイト名:TOY/管理人:遊
サイトアドレス:http://toy.ohuda.com/


■■■


「ただいまー、っと」



いつもよりずっと遅い帰宅時間になってしまった今日。
いつもならば出迎えてくれるはずの蒼夜そうやが出てこないことを不思議に思いながらリビングへいくと、ソファーで眠ってしまっている姿を見つけた。
いつもなら甘くとろけて「おかえり」って笑ってくれる穏やかな表情は、今はどこかあどけない。
普段なかなか見ることのできない蒼夜そうやの無防備な姿に、思わず足を止めて、そっと覗き込んだ。
蒼夜そうやの手には英語で書かれた専門書。きっと仕事の準備をしていたんだろう。
オレは、蒼夜そうやの手の中の本を静かに抜いてローテーブルに置くと、近くに置いていたブランケットをかけた。

蒼夜と一緒に暮らし始めて早数ヶ月。
冷たい風の吹き荒れる季節だったけれど、今はもう穏やかな春目前。
来週からは蒼夜も新社会人として採用された学校での勤務が始まるらしい。
きっとしばらくはこんな穏やかな時間が取れないんだろうな、とほんの少しだけ寂しい気持ちになる。
こんなに優しくて穏やかで気配りのできる蒼夜そうやのことだ。
たくさんの人に頼りにされて、モテるだろうし。


そんなことを思いながら、眠る蒼夜そうやを見ていると、唇が微かに動いて何かを言っていた。
寝言だろうな、と思って耳を寄せて、その言葉を聞いて、一気に顔に熱が集まった。



「オレもだよ。蒼夜そうや



寝てる間ならバレないだろうと、赤面させられた仕返しにまだ眠ったままの蒼夜そうやの唇にオレのそれを重ねた。





『…あいしてる…』





いつもより甘くてとろけそうな蒼夜そうやの声が、そのまましばらく耳に残って離れなかった。


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