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本編
01. Ordinary day
しおりを挟む「悠祈サン!朝ですよー!!起きてくださーい!」
ここはカラリオル(色界)の一都市、シアン。
郊外には共同墓地が多くあり、また、多くの聖職者がいる街でもある。
この街の共同墓地を護っているのが、【聖職者】である悠祈。
墓守は幽霊を食おうとする死神からそれらを護る事が仕事であり、日夜警護に追われている。
「悠祈サン!悠祈サンってばー!」
「うー…。も少し寝る…」
「朝ご飯冷めちゃいますよぅ…(泣)」
ベッドから起きあがる様子のない悠祈を、それでも必死に起こそうとしているのは、蜂蜜色の髪を二つにくくって青いエプロンをした青年。
名をウィンという。
しかしウィンが何を言っても、悠祈はいっこうに起きあがらない。
すると、どこからともなく羽音が聞こえてくる。
まもなくして悠祈の部屋に飛び込んできたのは、オレンジ色の丸い物体。
耳ともツバサとも言えるようなモノを、バタバタと羽ばたかせながら空中をふわふわと漂っている。
ウィンは毎度のコトながら、この物体をなかなか可愛らしいと思う。
「ピィー?」(どうしたの?)
「悠祈サンが起きてくれなくて…。どうしましょう…」
「ピッ♪」(まかせて♪)
するとオレンジ色の物体は眠っている悠祈に近づいて、すぅっと大きく息を吸い込んだ。
この物体が一体何をしでかそうとしているのか思い至ったウィンは慌てて両耳を塞ぐ。
と、
ピィ~~~~~!!!!!!!ピピピピピ!ピィ~ピピッ!!!(お~き~ろ~!!!)
大音量で騒ぐオレンジ色の物体、イヴ。
あの小さな体の何処からこの騒々しい音が出てくるのか、ウィンはいつも疑問に思う。
突然耳元で騒がれた悠祈は慌てて飛び起きた。
ちなみに髪の毛は寝癖でボサボサのまま。
起きあがった悠祈を見て、イヴは得意気にウィンを見た。
見られたウィンのほうはと言えば、何とも言えない顔でイヴを見返す。
「イ~~~~~~ヴ~~~~~~~…………」
「ピピィ…?!」(えっ…?!)
「何しやがる…」
「ピィー!!ピピピィ~~!」(うわー!!逃げろ~!)
「逃がすかーーーー!!!!」
半ば強制的に起こされた悠祈は、イヴを追いかけ回す。
ウィンはそんな一人と一匹をみて苦笑いを漏らした。
いつも通りの平和な日常。
穏やかな日々が、このまま続いていけばいいのに…。
願いは同じ。
今日もまた一日が始まる。
*****
悠祈の寝起きは悪い方です。
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