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第649話 リンとケン兄と時々私と大騎
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「ありがとうございましたー」
『猫耳メイド喫茶』は最後の客にそう告げると、他の店よりも早めの閉店となった。
そのお客と入れ違う様に担任の箕輪が様子を見にやってくる。
「皆、今日はもう商品の在庫が無いから片付けをして良いぞー。余ったお湯や電子ケトルのコンセントは抜いて置くように」
箕輪は『湯沸かしっ子(大口タイプ)』を回収しつつ全体閉園のアナウンスが鳴るまでは自由時間とした。
「今日はかなりの収益ね! 私の『湯沸かしっ子』も有終の美を飾れた……満足な一日だったわ!」
「水間さん、次は壊れかけを持ってこないでよね」
「その点は謝るわ! 明日は期待して! 新品の『湯沸かしっ子』を持ってくるから」
頼むぜー。とクラスの面々は余計な面倒事は御免だと口を揃えた。
男子は近くの空き教室へ、女子はそのまま教室で服を着替える事になった。
一日目と違ってスムーズに進める事が出来た二日目は、様々なトラブルや濃い面子が来たものの、何とか乗り切った事でクラスは達成感を程よく感じている。
「今日は凄かったねー」
「神父が一番ヤバかったわよね」
女子は着替えながら、神父って? と現場に立ち会わなかった他の生徒にガリアと『フィジカルチャンネル』のイザコザを楽しそうに話す。
「今日は波乱の一日だったわね。これ以上の上振れは明日は無いかしら。リン、どう思う?」
「え、あ、うん。そうだね」
他の女子の話題に入らず、いそいそと着替えるリンカ。その心情をヒカリも察した。
「リン。今日は残念だったわね。せっかくケン兄が来たのに、にゃんにゃん出来なくて」
「にゃんにゃんって何……? でもアレは仕方ないよ」
タイミングが会わなかったと言わざる得ない。普段から接する機会が多いが、肝心な時に彼とは何かとすれ違うんだよなぁ。
すると、他の女子がその会話に割り込んで来た。
「鮫島さんの招待した人?」
「気になってたんだけど、鮫島さんとどういう関係?」
「谷高さんは親しみ易く呼んでるけど、やっぱりLOVEなのー?」
「あ、いや……あたしは――」
ここで肯定すると飢えた獣が肉を見つけたかの如くこの話題を掘り下げられる。
しかし、この場を乗り切る為に彼との関係を否定するのは……ヒカリ、助けて!
と、アイコンタクトを送る。しかしヒカリは、言っちゃいなよ、と笑っていた。
「……まぁ、気はあるかな」
ゾッコンのクセに。とヒカリがニヤつくのが見えた。しかし、女子達にとってその言葉は待ちわびたモノ。
きゃー! と騒がしくなりその声に他の女子も、なになに? と寄ってくる。
「やっぱり、魅力は包容力?」
「でも、あの人。机の下とか覗いてたよね?」
「遊び心もあると言うことね」
「歳上ってそれだけで安心できるのはポイントよ」
「社会人なら経済力もあるわよね」
「いつから知り合いなの? 出会いとか、その辺りを詳しく!」
「ちょっ、ちょっ、ちょっ!」
ずいずい質問してくるクラスメイトにリンカは壁際に追い詰められる。
この手の話題が大好物な時期である彼女達にとって、少し変則な恋バナは格好の的だ。
学生同士の恋など聞き飽きた見飽きた。普段は物静かな彼女がその様な想いを秘めていたとは。絶対に聞き出さねばならぬ! と眼を輝かせる。
「はいはーい。皆落ち着いて、落ち着いて」
「谷高さん……」
ハァハァ……とリンカに迫る女子達を諌める様にヒカリが声を上げる。リンカは、やっと助けてくれた……とホっとした。
「何を隠そう。私、リン、そして……あの音無大騎は! ケン兄と幼馴染み! 当時から見てきた私が全てを語るわ!」
「え!? そうなの!?」
「随分と親しいと思ったら……是非聞かせて!」
「音無大騎って……あの音無大騎!?」
「まさか……とんでもない相関図があるのかしら!?」
注目はヒカリに移った。ヒカリは、今の内にケン兄捜しなよ、とウインクすると、リンカはその意図を受け取る。
ありがと、ヒカリ。とリンカもアイコンタクトを送る。
「はいはい、皆座って座って。質問は一通り話してからねー」
と、ヒカリは教員のように黒板を使って大々的に過去話を始める様だった。
タイトルは『リンとケン兄と時々私と大騎』である。
女子全員、ワクワクしながら席に着く。
「……変な脚色はしないでよ」
少しだけ不安になりつつも、後の事はヒカリに任せてリンカは教室を抜け出す。
閉園まで残り30分。彼はどこに居るんだろう?
リンカはケンゴの行動を読む。外と体育館は既に行ってた。基本的には動き回る性格だが、まだ行ってないのは――
「旧校舎かな」
『猫耳メイド喫茶』は最後の客にそう告げると、他の店よりも早めの閉店となった。
そのお客と入れ違う様に担任の箕輪が様子を見にやってくる。
「皆、今日はもう商品の在庫が無いから片付けをして良いぞー。余ったお湯や電子ケトルのコンセントは抜いて置くように」
箕輪は『湯沸かしっ子(大口タイプ)』を回収しつつ全体閉園のアナウンスが鳴るまでは自由時間とした。
「今日はかなりの収益ね! 私の『湯沸かしっ子』も有終の美を飾れた……満足な一日だったわ!」
「水間さん、次は壊れかけを持ってこないでよね」
「その点は謝るわ! 明日は期待して! 新品の『湯沸かしっ子』を持ってくるから」
頼むぜー。とクラスの面々は余計な面倒事は御免だと口を揃えた。
男子は近くの空き教室へ、女子はそのまま教室で服を着替える事になった。
一日目と違ってスムーズに進める事が出来た二日目は、様々なトラブルや濃い面子が来たものの、何とか乗り切った事でクラスは達成感を程よく感じている。
「今日は凄かったねー」
「神父が一番ヤバかったわよね」
女子は着替えながら、神父って? と現場に立ち会わなかった他の生徒にガリアと『フィジカルチャンネル』のイザコザを楽しそうに話す。
「今日は波乱の一日だったわね。これ以上の上振れは明日は無いかしら。リン、どう思う?」
「え、あ、うん。そうだね」
他の女子の話題に入らず、いそいそと着替えるリンカ。その心情をヒカリも察した。
「リン。今日は残念だったわね。せっかくケン兄が来たのに、にゃんにゃん出来なくて」
「にゃんにゃんって何……? でもアレは仕方ないよ」
タイミングが会わなかったと言わざる得ない。普段から接する機会が多いが、肝心な時に彼とは何かとすれ違うんだよなぁ。
すると、他の女子がその会話に割り込んで来た。
「鮫島さんの招待した人?」
「気になってたんだけど、鮫島さんとどういう関係?」
「谷高さんは親しみ易く呼んでるけど、やっぱりLOVEなのー?」
「あ、いや……あたしは――」
ここで肯定すると飢えた獣が肉を見つけたかの如くこの話題を掘り下げられる。
しかし、この場を乗り切る為に彼との関係を否定するのは……ヒカリ、助けて!
と、アイコンタクトを送る。しかしヒカリは、言っちゃいなよ、と笑っていた。
「……まぁ、気はあるかな」
ゾッコンのクセに。とヒカリがニヤつくのが見えた。しかし、女子達にとってその言葉は待ちわびたモノ。
きゃー! と騒がしくなりその声に他の女子も、なになに? と寄ってくる。
「やっぱり、魅力は包容力?」
「でも、あの人。机の下とか覗いてたよね?」
「遊び心もあると言うことね」
「歳上ってそれだけで安心できるのはポイントよ」
「社会人なら経済力もあるわよね」
「いつから知り合いなの? 出会いとか、その辺りを詳しく!」
「ちょっ、ちょっ、ちょっ!」
ずいずい質問してくるクラスメイトにリンカは壁際に追い詰められる。
この手の話題が大好物な時期である彼女達にとって、少し変則な恋バナは格好の的だ。
学生同士の恋など聞き飽きた見飽きた。普段は物静かな彼女がその様な想いを秘めていたとは。絶対に聞き出さねばならぬ! と眼を輝かせる。
「はいはーい。皆落ち着いて、落ち着いて」
「谷高さん……」
ハァハァ……とリンカに迫る女子達を諌める様にヒカリが声を上げる。リンカは、やっと助けてくれた……とホっとした。
「何を隠そう。私、リン、そして……あの音無大騎は! ケン兄と幼馴染み! 当時から見てきた私が全てを語るわ!」
「え!? そうなの!?」
「随分と親しいと思ったら……是非聞かせて!」
「音無大騎って……あの音無大騎!?」
「まさか……とんでもない相関図があるのかしら!?」
注目はヒカリに移った。ヒカリは、今の内にケン兄捜しなよ、とウインクすると、リンカはその意図を受け取る。
ありがと、ヒカリ。とリンカもアイコンタクトを送る。
「はいはい、皆座って座って。質問は一通り話してからねー」
と、ヒカリは教員のように黒板を使って大々的に過去話を始める様だった。
タイトルは『リンとケン兄と時々私と大騎』である。
女子全員、ワクワクしながら席に着く。
「……変な脚色はしないでよ」
少しだけ不安になりつつも、後の事はヒカリに任せてリンカは教室を抜け出す。
閉園まで残り30分。彼はどこに居るんだろう?
リンカはケンゴの行動を読む。外と体育館は既に行ってた。基本的には動き回る性格だが、まだ行ってないのは――
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