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第423話 誰にでも出来る事だ
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前から狙っていた物を手に入れて、家に帰るまでのワクワク感。味わった人は多いハズだ。今のオレの心境はソレ。
「お、キタキタ」
サマーちゃんからのLINEには『PS5』『VRゴーグル』『1万円』のギフトカードの受け取りナンバーが記載されていた。そして、お釣りは好きにせよ、と言う文言まで最後に書かれてある。太っ腹だぜ! リーダー!
「むむむ。こういう時に電車ってのは待ち遠しい……」
電車を待つ間、これからの事をシミュレートする。
コンビニでこれらの荷物を受け取って、PS4のデータ移行をしてる間に風呂やら飯やらを済ませる!
「あ……そう言えばリンカちゃん来るんだっけ」
ショウコさんの件でリンカが来るのを忘れていた……いや! ここはPS5の力で乗り切るぞ! なんやかんやでリンカも待ち望んだ筐体! 高グラフィックは全てを解決する! と思うよ! 今のオレは無敵だ! このテンションは何者にも止める事は出来ないぜ!
「こんばんは! 鳳君!」
「どうも、こんばんは! 挨拶をどうも――ふぇぇ!? しゃ、社長!!?」
背後から挨拶をされて元気よく返すと、そこにはBIGBOSSでもある、黒船社長が、やぁ、と片手を上げて立っていた。
「君はいつも元気だね! 良いエネルギーを貰えるよ!」
いつも、ふっはっは! な社長は、オレからのエネルギーがなくとも十分に元気な御仁だ。
突然のエンカウントに変なテンションになりつつも、オレは一度呼吸を整える。ヨシ。
「お疲れ様です。社長もお出かけですか?」
「まぁね! 前からの願いを叶えたと言う所かな」
「轟先輩は――」
「ふっはっは! 私とていつも甘奈君と一緒なワケではないぞ!」
二人は同棲していると言う噂も聞くが、本人に尋ねる気概はオレには無い。古馴染の七海課長なんかは平然と踏み込めるんだろうけど。
「おっと、すまないね。折角の休日だ。気を使わせるのは忍びない」
はい、と社長は一冊の雑誌を手渡してきた。あれ? これって……
「彼女から伝言だ。報酬を忘れていた、とね」
それは、廃棄する予定のカタログ雑誌。
撮影に協力した時の報酬だ。リンカの目もあったのでその場では受け取るわけには行かず、後日取りに行こうかと思っていた。
「でも、何で社長がお婆さんのお使いを?」
「ユニコーン」
その鳴き声にオレは、ビクッと反応する。まさか……今日のユニコ君の中身って……
「ふっはっは! 鳳君! 君は女難の相が凄まじいよ!」
「きょ、恐縮です……」
「早く一人を愛したまえ。誰にでも出来る事だ」
アディオス。と、社長は手を上げると人混みに紛れて去って行った。
「……一人を愛する、か」
人生の先輩からの助言はとてもありがたく心に刻むとしよう。
そんでもって、この雑誌はリンカに見つからない様に仕舞っておくか。後でセナさんにも貸してあげよう。
ユニコ君が格納庫へ戻った商店街は、そのタイミングで多くの店も店じまいを始める時間帯である。
昼と夜の境となる僅かな時間。
『スイレンの雑貨店』もその時間に閉店となる。店主のスイレンは本日の撮った写真を使い、新規のカタログをこしらえていた。
「イッヒッヒ。休業中の流雲嬢を使えるとはねぇ。音無嬢も良い素材さぁ。イッヒッヒ」
気分は上々。リンカの写真を使えないのは仕方ないが、約束は約束だ。後、4年程度、待つとしよう。
「んん? ローかい? イッヒッヒ。もう閉店なんだけどねぇ」
すると、扉にノック音。外は本日閉店の札と鍵がかかっているのだが、本日最後の客は少々無作法らしい。
「まぁ良いさ。イッヒッヒ。入りなよ――ナガレ」
その声と共にロックが外れ、内開きの扉がゆっくりと開き、一人の男が立っていた。
「いやぁ……相変わらずヤベー店だねぇ。不気味度上がってんじゃん。夜来るモンじゃねぇなぁ」
私服姿で驚きなら店内に入る、阿見笠流は、また扉にギミック増えてんじゃん、とスイレンを見る。
「イッヒッヒ。ナガレや、夜分に不躾だと思わないのかい?」
「どうも、スイさん。そこんトコは全力で謝罪するわ。何なら写真撮っても良いよぉ」
「イッヒッヒ。男は需要が無いんだよ」
「男女差別が世知辛いねぇ」
店内の様子を軽く見回しながら、スイレンの居るカウンターへ。
「イッヒッヒ。今日は何の用だい?」
「いやさ、見つけちゃったんだよね。ほら、ネットのコスプレの衣装? あれモデル鮫ちゃんでしょ? 消してくんない?」
「イッヒッヒ。何でお前さんがそのコスプレサイトを眺めたのかは不明だけどねぇ。それに赤の他人に肩入れするのかい?」
「意地が悪いねぇ」
こちらの事情を全て知るスイレンに対してナガレは嘆息を吐く。
「イッヒッヒ。その件はもう解決済みだよ。本人の直談判でねぇ」
「え? マジ? 流石はアイツの娘だよぉ。やるじゃん」
「イッヒッヒ。写真の公開は二十歳を過ぎてからだけどねぇ」
「ってことは、そのPCにある?」
「あるよ。撮れたてピチピチの写真さ」
「見てぇな」
「四年待ちな。イッヒッヒ」
「まぁ仕方ないか。じゃあ前のカタログある? それを譲って――」
「ナガレや」
と、スイレンは悟った様に告げる。
「本題は何だい? お嬢ちゃんの話をしに来たワケじゃないだろう?」
「まぁ、色々と考えたんだけどさ。やっぱり、スイさんが一番だと思ってねぇ」
ナガレはカウンターに背を預ける形で神妙な口調でスイレンに告げる。
「鳳健吾について、詳細に調べてくんない?」
「お、キタキタ」
サマーちゃんからのLINEには『PS5』『VRゴーグル』『1万円』のギフトカードの受け取りナンバーが記載されていた。そして、お釣りは好きにせよ、と言う文言まで最後に書かれてある。太っ腹だぜ! リーダー!
「むむむ。こういう時に電車ってのは待ち遠しい……」
電車を待つ間、これからの事をシミュレートする。
コンビニでこれらの荷物を受け取って、PS4のデータ移行をしてる間に風呂やら飯やらを済ませる!
「あ……そう言えばリンカちゃん来るんだっけ」
ショウコさんの件でリンカが来るのを忘れていた……いや! ここはPS5の力で乗り切るぞ! なんやかんやでリンカも待ち望んだ筐体! 高グラフィックは全てを解決する! と思うよ! 今のオレは無敵だ! このテンションは何者にも止める事は出来ないぜ!
「こんばんは! 鳳君!」
「どうも、こんばんは! 挨拶をどうも――ふぇぇ!? しゃ、社長!!?」
背後から挨拶をされて元気よく返すと、そこにはBIGBOSSでもある、黒船社長が、やぁ、と片手を上げて立っていた。
「君はいつも元気だね! 良いエネルギーを貰えるよ!」
いつも、ふっはっは! な社長は、オレからのエネルギーがなくとも十分に元気な御仁だ。
突然のエンカウントに変なテンションになりつつも、オレは一度呼吸を整える。ヨシ。
「お疲れ様です。社長もお出かけですか?」
「まぁね! 前からの願いを叶えたと言う所かな」
「轟先輩は――」
「ふっはっは! 私とていつも甘奈君と一緒なワケではないぞ!」
二人は同棲していると言う噂も聞くが、本人に尋ねる気概はオレには無い。古馴染の七海課長なんかは平然と踏み込めるんだろうけど。
「おっと、すまないね。折角の休日だ。気を使わせるのは忍びない」
はい、と社長は一冊の雑誌を手渡してきた。あれ? これって……
「彼女から伝言だ。報酬を忘れていた、とね」
それは、廃棄する予定のカタログ雑誌。
撮影に協力した時の報酬だ。リンカの目もあったのでその場では受け取るわけには行かず、後日取りに行こうかと思っていた。
「でも、何で社長がお婆さんのお使いを?」
「ユニコーン」
その鳴き声にオレは、ビクッと反応する。まさか……今日のユニコ君の中身って……
「ふっはっは! 鳳君! 君は女難の相が凄まじいよ!」
「きょ、恐縮です……」
「早く一人を愛したまえ。誰にでも出来る事だ」
アディオス。と、社長は手を上げると人混みに紛れて去って行った。
「……一人を愛する、か」
人生の先輩からの助言はとてもありがたく心に刻むとしよう。
そんでもって、この雑誌はリンカに見つからない様に仕舞っておくか。後でセナさんにも貸してあげよう。
ユニコ君が格納庫へ戻った商店街は、そのタイミングで多くの店も店じまいを始める時間帯である。
昼と夜の境となる僅かな時間。
『スイレンの雑貨店』もその時間に閉店となる。店主のスイレンは本日の撮った写真を使い、新規のカタログをこしらえていた。
「イッヒッヒ。休業中の流雲嬢を使えるとはねぇ。音無嬢も良い素材さぁ。イッヒッヒ」
気分は上々。リンカの写真を使えないのは仕方ないが、約束は約束だ。後、4年程度、待つとしよう。
「んん? ローかい? イッヒッヒ。もう閉店なんだけどねぇ」
すると、扉にノック音。外は本日閉店の札と鍵がかかっているのだが、本日最後の客は少々無作法らしい。
「まぁ良いさ。イッヒッヒ。入りなよ――ナガレ」
その声と共にロックが外れ、内開きの扉がゆっくりと開き、一人の男が立っていた。
「いやぁ……相変わらずヤベー店だねぇ。不気味度上がってんじゃん。夜来るモンじゃねぇなぁ」
私服姿で驚きなら店内に入る、阿見笠流は、また扉にギミック増えてんじゃん、とスイレンを見る。
「イッヒッヒ。ナガレや、夜分に不躾だと思わないのかい?」
「どうも、スイさん。そこんトコは全力で謝罪するわ。何なら写真撮っても良いよぉ」
「イッヒッヒ。男は需要が無いんだよ」
「男女差別が世知辛いねぇ」
店内の様子を軽く見回しながら、スイレンの居るカウンターへ。
「イッヒッヒ。今日は何の用だい?」
「いやさ、見つけちゃったんだよね。ほら、ネットのコスプレの衣装? あれモデル鮫ちゃんでしょ? 消してくんない?」
「イッヒッヒ。何でお前さんがそのコスプレサイトを眺めたのかは不明だけどねぇ。それに赤の他人に肩入れするのかい?」
「意地が悪いねぇ」
こちらの事情を全て知るスイレンに対してナガレは嘆息を吐く。
「イッヒッヒ。その件はもう解決済みだよ。本人の直談判でねぇ」
「え? マジ? 流石はアイツの娘だよぉ。やるじゃん」
「イッヒッヒ。写真の公開は二十歳を過ぎてからだけどねぇ」
「ってことは、そのPCにある?」
「あるよ。撮れたてピチピチの写真さ」
「見てぇな」
「四年待ちな。イッヒッヒ」
「まぁ仕方ないか。じゃあ前のカタログある? それを譲って――」
「ナガレや」
と、スイレンは悟った様に告げる。
「本題は何だい? お嬢ちゃんの話をしに来たワケじゃないだろう?」
「まぁ、色々と考えたんだけどさ。やっぱり、スイさんが一番だと思ってねぇ」
ナガレはカウンターに背を預ける形で神妙な口調でスイレンに告げる。
「鳳健吾について、詳細に調べてくんない?」
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