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第237話 戦力比率
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☆陣取りゲーム(社長考案)
支給装備
無線インカム。GPS。フラッグ探知スマートフォン(両チーム1台)。キットカット。カロリーメイト。
■Aチーム
黒船。七海。国尾(姉)。佐藤。田中。箕輪(妻)
■Bチーム
真鍋。箕輪(夫)。茨木。鳳。岩戸。鮫島。
■運営
轟。鬼灯。姫野。加賀。泉。国尾(弟)。金田(控えor半ズボン)。
以下ルール。
・相手チームの旗をチームメンバーの誰かが取ったら勝利。(入手の際は運営に告げる)
・フィールドは山の中。範囲の外に出たら、そのメンバーの居るチームの負け。(出そうになったら運営より警告。故意に追い出す行為は禁止)
・全員にインカムを支給。チーム内でのやり取りは基本的にコレでする。ただし、範囲は十メートル程。
・意図的に相手を怪我させる行動は禁止。怪我人が出た際は近い者が応急措置をする事。
・他、上記のルールを逆手に取った反則スレスレの行為は良く考える事。
・疑問があれば運営に問う事。
各自モラルを護って清く正しく相手の旗を狙おう! ふっはっは! by黒船正十郎。
「ふっはっは! は要らないなぁ」
オレは探知スマホの説明文の最後に冷静なつっこみを入れた。
「改めて見ると……Aチームはスゲー面子ですぜ~課長。鏡子のヤツはぁ……俺の天敵でさぁ~」
「軽く流すと……負けるな」
箕輪さんは気だるそうにカロリーメイトをむしゃりと食べつつ肩をコキッと鳴らす。
真鍋課長は瞑想する様に正座で眼を閉じていた。運動前のルーティーンなのだろう。
Aチームの実力者が普通にヤバイ。て言うか、社長と七海課長は分ける必要があったのでは? 樹さんも参戦してるし、実力は本当に均等になっているのだろうか。
「……やっぱり、あたしが国尾さんと代わろうか?」
国尾(弟の方)さんが運営に回ると言い出した時は意外だった。代わりにリンカが立候補した形が今のBチームである。
「ほらほらJKは心配しない。安心しなって。遊びだから、遊び。社長も金一封とか言ってるけど、1000円とかだしさ」
カズ先輩がリンカの頭を撫でながら不敵に告げる。その頼もしさにリンカも安心した様子。
「獣道とか気をつけないといけないッスね。 ウチは余裕なんで頼って下さい」
「岩戸さんは山岳的な部活でも?」
「ウチは大学でもバスケっすよ? 山道は足腰鍛えられるんで、自主的に樹海を走り回ってたっス」
「危ないトレーニングしてるね……」
「マイナスイオンが凄いっすよ? 後、妙にひんやりしてて、ロープとか靴とか良く見つけるんスよ」
岩戸さん……色々憑いてそうだな。
彼女は身長が高い部類では無いので、小柄な身体によるフットワークを武器にしてたと言う所かな? 障害物が多い森林では優位になりそう。
「カズ先輩は山道とか虫とか平気です?」
「全然余裕だよ。実家の道場は山ん中のボロだからさ。学校に近道する為に獣道とかフツーに通ってたから。蜘蛛とかゴキブリとか素手で行けるよ?」
「スゲー。オレはGは良いんですけど蜘蛛を素手は無理ですね。蛇とかは問題ないですけど」
「マジ? 鳳、蛇いけんの? アタシは爬虫類系は無理なんだよねぇ……て言うか、山岳ボーイだったんかい」
「実家の田舎が山でして。こっちに就職するまでは山の中で犬と一緒に無限に蝉を追いかけてましたよ」
「頼もしいな、わんぱく小僧め」
「ちなみにリンカちゃんも昔に山とか川に連れて行ってたから結構行けますよ。ね?」
「まぁな……」
「じゃあ、こっちのチーム全員動けるじゃん」
なら、勝った勝った。とカズ先輩は楽観的に相手が居るであろう森を見て笑う。
その眼は強者と戦り合える嬉しさが垣間見える笑みだった。この人もジジィと同じ求道者か……
「全員聞け」
と、懐かしい雰囲気をカズ先輩から感じていた所で瞑想を終えて立ち上がる真鍋課長が皆に告げる。その背中から感じる強者のオーラが凄まじい。
「全員、ルールには眼を通したな? その中で気づいた事があれば意見を出して欲しい」
「気づいた事?」
オレはルールには安全に進行する事を最優先の義務としてモラルを護るような記載だけだったと感じていた。
「特に気になった事は……」
「……すみません」
と、皆が考える中、リンカが一番に手を上げた。
「もしかして……これって明確な“負け”だったりしますか?」
旅館の近くにある山岳スポットを調子良く登り、頂上付近にて双眼鏡で山を眺める男が居た。
彼の名前は岳マサキ。彼は登山サークルに所属する大学生である。
「いいなぁ。やはり、山は俺に合っている」
近くに旅館もあるこの山はまさに至れり尽くせり。登山家達にも人気のスポットであるのも頷ける。
「岳ちゃん! 岳ちゃん!」
「やべー! やべー! って!」
すると、同じサークル仲間の二人が慌てて駆け寄ってきた。
「なんだ二人共。山では静かにしなよ。折角のマイナスイオンが台無しだぜ?」
「あっち! あっちの河川敷の方を見て!」
「? なんだ。川に河童でも居たか?」
岳は双眼鏡で河川敷を覗く。ちなみに露天風呂は建物の反対側なので見えない。
「な……なんだ……ありゃあ。選り取り見取りじゃねぇか……」
双眼鏡の先には三人(鬼灯、轟、姫野)が映った。
その誰もが大学のミスコンが子供騙しに思える程の美女であり、言葉を失う程にキラキラとした空間が出来上がっていた。
「な! な! やべー! だろ?」
「大学のミスコン1位がブスに見えるよ!」
「おい、ロープとかガムテって持って来てたか?」
「念のため常備してるよ!」
「俺も!」
一人がロープ、もう一人がガムテを取り出す。それを聞いた岳は、よーし、と意気込んだ。
「あの女、三人とも全員拉致るぞ!」
「「おー!!」」
禍々しい三つの気配が運営の三人を狙う。
支給装備
無線インカム。GPS。フラッグ探知スマートフォン(両チーム1台)。キットカット。カロリーメイト。
■Aチーム
黒船。七海。国尾(姉)。佐藤。田中。箕輪(妻)
■Bチーム
真鍋。箕輪(夫)。茨木。鳳。岩戸。鮫島。
■運営
轟。鬼灯。姫野。加賀。泉。国尾(弟)。金田(控えor半ズボン)。
以下ルール。
・相手チームの旗をチームメンバーの誰かが取ったら勝利。(入手の際は運営に告げる)
・フィールドは山の中。範囲の外に出たら、そのメンバーの居るチームの負け。(出そうになったら運営より警告。故意に追い出す行為は禁止)
・全員にインカムを支給。チーム内でのやり取りは基本的にコレでする。ただし、範囲は十メートル程。
・意図的に相手を怪我させる行動は禁止。怪我人が出た際は近い者が応急措置をする事。
・他、上記のルールを逆手に取った反則スレスレの行為は良く考える事。
・疑問があれば運営に問う事。
各自モラルを護って清く正しく相手の旗を狙おう! ふっはっは! by黒船正十郎。
「ふっはっは! は要らないなぁ」
オレは探知スマホの説明文の最後に冷静なつっこみを入れた。
「改めて見ると……Aチームはスゲー面子ですぜ~課長。鏡子のヤツはぁ……俺の天敵でさぁ~」
「軽く流すと……負けるな」
箕輪さんは気だるそうにカロリーメイトをむしゃりと食べつつ肩をコキッと鳴らす。
真鍋課長は瞑想する様に正座で眼を閉じていた。運動前のルーティーンなのだろう。
Aチームの実力者が普通にヤバイ。て言うか、社長と七海課長は分ける必要があったのでは? 樹さんも参戦してるし、実力は本当に均等になっているのだろうか。
「……やっぱり、あたしが国尾さんと代わろうか?」
国尾(弟の方)さんが運営に回ると言い出した時は意外だった。代わりにリンカが立候補した形が今のBチームである。
「ほらほらJKは心配しない。安心しなって。遊びだから、遊び。社長も金一封とか言ってるけど、1000円とかだしさ」
カズ先輩がリンカの頭を撫でながら不敵に告げる。その頼もしさにリンカも安心した様子。
「獣道とか気をつけないといけないッスね。 ウチは余裕なんで頼って下さい」
「岩戸さんは山岳的な部活でも?」
「ウチは大学でもバスケっすよ? 山道は足腰鍛えられるんで、自主的に樹海を走り回ってたっス」
「危ないトレーニングしてるね……」
「マイナスイオンが凄いっすよ? 後、妙にひんやりしてて、ロープとか靴とか良く見つけるんスよ」
岩戸さん……色々憑いてそうだな。
彼女は身長が高い部類では無いので、小柄な身体によるフットワークを武器にしてたと言う所かな? 障害物が多い森林では優位になりそう。
「カズ先輩は山道とか虫とか平気です?」
「全然余裕だよ。実家の道場は山ん中のボロだからさ。学校に近道する為に獣道とかフツーに通ってたから。蜘蛛とかゴキブリとか素手で行けるよ?」
「スゲー。オレはGは良いんですけど蜘蛛を素手は無理ですね。蛇とかは問題ないですけど」
「マジ? 鳳、蛇いけんの? アタシは爬虫類系は無理なんだよねぇ……て言うか、山岳ボーイだったんかい」
「実家の田舎が山でして。こっちに就職するまでは山の中で犬と一緒に無限に蝉を追いかけてましたよ」
「頼もしいな、わんぱく小僧め」
「ちなみにリンカちゃんも昔に山とか川に連れて行ってたから結構行けますよ。ね?」
「まぁな……」
「じゃあ、こっちのチーム全員動けるじゃん」
なら、勝った勝った。とカズ先輩は楽観的に相手が居るであろう森を見て笑う。
その眼は強者と戦り合える嬉しさが垣間見える笑みだった。この人もジジィと同じ求道者か……
「全員聞け」
と、懐かしい雰囲気をカズ先輩から感じていた所で瞑想を終えて立ち上がる真鍋課長が皆に告げる。その背中から感じる強者のオーラが凄まじい。
「全員、ルールには眼を通したな? その中で気づいた事があれば意見を出して欲しい」
「気づいた事?」
オレはルールには安全に進行する事を最優先の義務としてモラルを護るような記載だけだったと感じていた。
「特に気になった事は……」
「……すみません」
と、皆が考える中、リンカが一番に手を上げた。
「もしかして……これって明確な“負け”だったりしますか?」
旅館の近くにある山岳スポットを調子良く登り、頂上付近にて双眼鏡で山を眺める男が居た。
彼の名前は岳マサキ。彼は登山サークルに所属する大学生である。
「いいなぁ。やはり、山は俺に合っている」
近くに旅館もあるこの山はまさに至れり尽くせり。登山家達にも人気のスポットであるのも頷ける。
「岳ちゃん! 岳ちゃん!」
「やべー! やべー! って!」
すると、同じサークル仲間の二人が慌てて駆け寄ってきた。
「なんだ二人共。山では静かにしなよ。折角のマイナスイオンが台無しだぜ?」
「あっち! あっちの河川敷の方を見て!」
「? なんだ。川に河童でも居たか?」
岳は双眼鏡で河川敷を覗く。ちなみに露天風呂は建物の反対側なので見えない。
「な……なんだ……ありゃあ。選り取り見取りじゃねぇか……」
双眼鏡の先には三人(鬼灯、轟、姫野)が映った。
その誰もが大学のミスコンが子供騙しに思える程の美女であり、言葉を失う程にキラキラとした空間が出来上がっていた。
「な! な! やべー! だろ?」
「大学のミスコン1位がブスに見えるよ!」
「おい、ロープとかガムテって持って来てたか?」
「念のため常備してるよ!」
「俺も!」
一人がロープ、もう一人がガムテを取り出す。それを聞いた岳は、よーし、と意気込んだ。
「あの女、三人とも全員拉致るぞ!」
「「おー!!」」
禍々しい三つの気配が運営の三人を狙う。
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