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第207話 女湯の分析眼
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『滝沢カントリー』から山を越える形で反対側に下り、その麓の川辺にある旅館は古馴染な雰囲気を感じさせた。
「雰囲気あるなぁ」
オレは少し眠った事もありスッキリしていた。他の男性陣と一緒にバスから荷物を取り出すのを手伝い、番号札を持つ人に渡していく。
「部屋は大部屋を二つ取ってある! 無論、男女は別だ! 侵入しても構わないが、旅館に迷惑をかけるような行動は慎むように! それなりの行為をしたいなら少し降った所にホテルが――」
「部屋に行くぞー」
「はーい」
残りは無視して構わないと判断した七海課長は女性陣を連れて女部屋へ移動して行った。
「ふっはっは! 我々も行こうか! 諸君!」
「ういーす」
男性陣も旅館に入る。すると年配の仲居が出迎えた。
「此度は案内をさせていただきます、仲居の中井と申します」
仲居の中井さんが一礼してくれた。これ、首から下げてるネームプレートが漢字表記じゃなかったらワケわかんねぇな。
「よろしくお願いしまーす」
都会ではすっかり珍しくなった板床の廊下を歩き、大部屋へ通された。
男性陣の大部屋は女性陣と施設を挟んで反対側の母屋である。
外に面した窓を開けると川が丸見えだ。なんか既視感。某探偵漫画で殺人事件が起きそうな雰囲気がぷんぷんするぜぇ!
「死体でもあったか?」
加賀が不謹慎な事を聞いて来るが、オレも今思った所なので、まだ早いだろ、と適当に返す。
「諸君! 食事の出来る七時までは自由時間だ! 今の内に風呂に行こう! だが集団入浴の強制はしない! 個々で入りたい者は近くに銭湯もある。レシートを持ってくれば別途で負担しよう! だが言っておく! ここの風呂は良いぞ! 露天風呂の濁り湯は凄まじいミネラルが含まれており肌がぷるぷるになるそうだ! 更にサウナもあるぞ!」
「ほっほほ! いやっほー!!」
国尾さんのテンションが高けー。そういや、彼は無類のサウナ狂いだとか言う噂だ。一部の界隈ではサウナマスターとか呼ばれてるとか。どうでも良いが。
「どうする、鳳。風呂には行くか?」
「まぁ、社交辞令みたいなものだしな。国尾さんも社長や真鍋課長が居れば変な事はしないだろ」
加賀の懸念は国尾さんと二人きりにならない限りは問題無いだろう。特にデットゾーン(サウナ)を警戒すれば問題ないハズだ。
「ふっはっは! 諸君らもやはり興味があるようだね! ここの露天風呂に!」
すると社長はとある情報を口にしオレらは、え? それってマジですか? と言葉を返す。その情報は旅行の事前には通知がなかったモノだった。
「おお。デケー」
「綺麗だねー」
「殆んど貸し切りみたいね」
女性陣も先に入浴する事になり男性陣とはほぼ同時間であった。
「ほほう……」
「あの……樹さん。どうしたんですか?」
「いや、リンカ君は本当に高校1年生なのかい?」
「そうですけど……」
「凄まじい発育だね。若さも相まってこれはいかんな。同年代には刺激が強そうだ」
「もー何の話をしてるんですか!」
リンカは腕には収まりきらない胸を恥ずかしそうに隠す。
「思春期の獣たちにガン刺さりする色気は結構狙われたりするんじゃないかい? 私の分析眼で写真集を見た時の君のBPは95だったが……生は凄いな。105に改まったよ」
「……BPって何ですか?」
「ビューティーポイントの事さ。女性の持つ美を私の偏見と独断で数値化したモノだ。ちなみに90を越えると一般的な美女に該当する。服の上からだと誤差が出るが、風呂場なら問題あるまい!」
樹は、ヴォン、と更にリンカを見る。
童顔と豊満なバストは不釣り合いに見えがちだが、これからの成長期で身長も伸びる事で美の整った大人へと完成するだろう。
「リンカさんのお母様って相当な美人さんですから」
「そうなのかい? 泉君。それは是非とも裸体を拝んでみたいね!」
「ちなみに私のBPっていくらです?」
「ふむ……105だ! 豊満なバストが良いポイントとなっている!」
「わぁ! リンカさんと同じって事はまだまだ学生で通じます?」
「うむ。惜しむべきは泉君は完成体と言う所だが……気にするな! 私は今でもちんちくりんだぞ!」
「そんな事ないですよー」
「背中流すんで座ってくださーい」
「お、すまんね!」
樹、泉、リンカの三人だけを見ると高校生二人が後輩の世話を焼いている様にしか見えない構図だった。
「ちなみに他の方のBPってどんな感じなんですか?」
樹の分析眼に興味を持った泉はまばらに風呂を堪能している他の面々の様子も聞く。
「どれ――」
ヴォン。樹は少し離れた所にいる七海、茨木、岩戸の三人を見る。
“七海課長はスタイル良いですねー。全然筋肉ついてる様には見えませんよ”
“俺はお前が羨ましいよ。俺は胸よりも身長が欲しくてなぁ”
“アタシは背がデカイだけですって”
“そんな事は無いッス! 茨木さんの身長は全世界のスポーツ女子の憧れッスよ! ウチも茨木さんくらい身長があれば……最後の大会じゃ負けなかったのに……くっ!”
「七海君120BP! 茨木君115BP! 岩戸君113BP! 三人とも容姿は標準以上。流石はフィジカル女子! 引き締まった身体つきだが……凹凸の差が大きい七海君が若干高いな! だが、110BP以上はモデルをやってもおかしくないレベルだ! 街中ではスカウトも必死だろう!」
「へー」
「結構あてになるかも」
樹の分析眼をお遊び程度に捉えていた泉は意外と正確な結論を出せる事に次の人を見てもらう。
「じゃあ、姫さんと轟先輩は?」
「雰囲気あるなぁ」
オレは少し眠った事もありスッキリしていた。他の男性陣と一緒にバスから荷物を取り出すのを手伝い、番号札を持つ人に渡していく。
「部屋は大部屋を二つ取ってある! 無論、男女は別だ! 侵入しても構わないが、旅館に迷惑をかけるような行動は慎むように! それなりの行為をしたいなら少し降った所にホテルが――」
「部屋に行くぞー」
「はーい」
残りは無視して構わないと判断した七海課長は女性陣を連れて女部屋へ移動して行った。
「ふっはっは! 我々も行こうか! 諸君!」
「ういーす」
男性陣も旅館に入る。すると年配の仲居が出迎えた。
「此度は案内をさせていただきます、仲居の中井と申します」
仲居の中井さんが一礼してくれた。これ、首から下げてるネームプレートが漢字表記じゃなかったらワケわかんねぇな。
「よろしくお願いしまーす」
都会ではすっかり珍しくなった板床の廊下を歩き、大部屋へ通された。
男性陣の大部屋は女性陣と施設を挟んで反対側の母屋である。
外に面した窓を開けると川が丸見えだ。なんか既視感。某探偵漫画で殺人事件が起きそうな雰囲気がぷんぷんするぜぇ!
「死体でもあったか?」
加賀が不謹慎な事を聞いて来るが、オレも今思った所なので、まだ早いだろ、と適当に返す。
「諸君! 食事の出来る七時までは自由時間だ! 今の内に風呂に行こう! だが集団入浴の強制はしない! 個々で入りたい者は近くに銭湯もある。レシートを持ってくれば別途で負担しよう! だが言っておく! ここの風呂は良いぞ! 露天風呂の濁り湯は凄まじいミネラルが含まれており肌がぷるぷるになるそうだ! 更にサウナもあるぞ!」
「ほっほほ! いやっほー!!」
国尾さんのテンションが高けー。そういや、彼は無類のサウナ狂いだとか言う噂だ。一部の界隈ではサウナマスターとか呼ばれてるとか。どうでも良いが。
「どうする、鳳。風呂には行くか?」
「まぁ、社交辞令みたいなものだしな。国尾さんも社長や真鍋課長が居れば変な事はしないだろ」
加賀の懸念は国尾さんと二人きりにならない限りは問題無いだろう。特にデットゾーン(サウナ)を警戒すれば問題ないハズだ。
「ふっはっは! 諸君らもやはり興味があるようだね! ここの露天風呂に!」
すると社長はとある情報を口にしオレらは、え? それってマジですか? と言葉を返す。その情報は旅行の事前には通知がなかったモノだった。
「おお。デケー」
「綺麗だねー」
「殆んど貸し切りみたいね」
女性陣も先に入浴する事になり男性陣とはほぼ同時間であった。
「ほほう……」
「あの……樹さん。どうしたんですか?」
「いや、リンカ君は本当に高校1年生なのかい?」
「そうですけど……」
「凄まじい発育だね。若さも相まってこれはいかんな。同年代には刺激が強そうだ」
「もー何の話をしてるんですか!」
リンカは腕には収まりきらない胸を恥ずかしそうに隠す。
「思春期の獣たちにガン刺さりする色気は結構狙われたりするんじゃないかい? 私の分析眼で写真集を見た時の君のBPは95だったが……生は凄いな。105に改まったよ」
「……BPって何ですか?」
「ビューティーポイントの事さ。女性の持つ美を私の偏見と独断で数値化したモノだ。ちなみに90を越えると一般的な美女に該当する。服の上からだと誤差が出るが、風呂場なら問題あるまい!」
樹は、ヴォン、と更にリンカを見る。
童顔と豊満なバストは不釣り合いに見えがちだが、これからの成長期で身長も伸びる事で美の整った大人へと完成するだろう。
「リンカさんのお母様って相当な美人さんですから」
「そうなのかい? 泉君。それは是非とも裸体を拝んでみたいね!」
「ちなみに私のBPっていくらです?」
「ふむ……105だ! 豊満なバストが良いポイントとなっている!」
「わぁ! リンカさんと同じって事はまだまだ学生で通じます?」
「うむ。惜しむべきは泉君は完成体と言う所だが……気にするな! 私は今でもちんちくりんだぞ!」
「そんな事ないですよー」
「背中流すんで座ってくださーい」
「お、すまんね!」
樹、泉、リンカの三人だけを見ると高校生二人が後輩の世話を焼いている様にしか見えない構図だった。
「ちなみに他の方のBPってどんな感じなんですか?」
樹の分析眼に興味を持った泉はまばらに風呂を堪能している他の面々の様子も聞く。
「どれ――」
ヴォン。樹は少し離れた所にいる七海、茨木、岩戸の三人を見る。
“七海課長はスタイル良いですねー。全然筋肉ついてる様には見えませんよ”
“俺はお前が羨ましいよ。俺は胸よりも身長が欲しくてなぁ”
“アタシは背がデカイだけですって”
“そんな事は無いッス! 茨木さんの身長は全世界のスポーツ女子の憧れッスよ! ウチも茨木さんくらい身長があれば……最後の大会じゃ負けなかったのに……くっ!”
「七海君120BP! 茨木君115BP! 岩戸君113BP! 三人とも容姿は標準以上。流石はフィジカル女子! 引き締まった身体つきだが……凹凸の差が大きい七海君が若干高いな! だが、110BP以上はモデルをやってもおかしくないレベルだ! 街中ではスカウトも必死だろう!」
「へー」
「結構あてになるかも」
樹の分析眼をお遊び程度に捉えていた泉は意外と正確な結論を出せる事に次の人を見てもらう。
「じゃあ、姫さんと轟先輩は?」
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