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第79話 闇鍋みたいな仮面舞踏会
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あたしは事の成り行きを見守っていた。下手に動くよりもその方が彼もやりやすいと思ったからだ。
「……」
しかし、佐々木の実力は以外にも高い。アクション俳優なだけあって、それなりに動けるとは思ったが格闘技にも精通しているとは。
「……あたしに出来る事は――」
注目は二人に向いている。あれ? これ今なら逃げられるかな。
「そこまで言う君は彼女にとってなんなんだい?」
しかし、佐々木の質問があたしを釘付けにする。どう思っているのか……あの時……悪夢から目覚めた月の光の下でのやり取りが思い起こされる。
「人は大きな翼を広げて一人で羽ばたいて行くまで見守る奴が必要だ。彼女にとってはそれがオレだ!」
「……ぷっ」
あまりにもクサい台詞に少し笑ってしまった。狐のお面を着けてなかったら見られていただろう。
「――まったく」
そう、彼はそう言う人間だ。そして、心に思わない事は絶対に口にはしない。気を許せる相手になら、思った事を反射的に口にするのだ。
「救い様のない、ばか」
打算の欠片もない言葉。それは昔から何一つ変わらない。だから、あたしの彼に対する気持ちはずっと変わらないのだろう。
「!」
その時、二つの影があたしの横を通り抜けて行く。それは禍々しい程に負のオーラを纏う、ダース・ベ○ダーとストームト○ーパーのお面を着けた二人だ。
「……何あれ?」
その二人は佐々木の側に立つ。彼とは敵対してる様である。
何やら言い争ってる様子に、更に仮面ライ○ーが彼の側に現れた。
何この闇鍋みたいな仮面舞踏会。なんだか、お面を着けてる自分が恥ずかしくなってきた。
その時、スマホが揺れた。取り出すと箕輪先生からだ。何かあった時の為に連絡先は交換してあった。
「先生?」
『悪かったな、鮫島。なんか一人にしたせいでこんなことになっちゃって』
「あ、いえ……先生のせいでは」
『けどホントに良いのか? あの大スターの隣は勝ち組の人生だぞ?』
「興味ありません」
『あっはは。そう言うと思ったよ。何せ、怪人クモ男が迎えにきてるからな』
「……すみません……身内がご迷惑を」
『いやいや、良い人じゃないか。お面を着けてるとは言え、こうも堂々と大衆の面前で見栄を張れるモノじゃない』
「そうでしょうか?」
彼なら普通にやる行動なのであまり意識した事はなかった。
『少し鮫島の事は心配してたんだ。けど彼みたいな人が側に居るなら先生も安心だ』
「――はい」
あたしは先生の言葉に迷いなく返事を返す。
『そんじゃこっちの作戦を伝えるぞ』
「作戦……ですか? 先生は今どこに?」
キョロキョロと見回すと、あるところでスマホを耳に当てて手を振ってる先生が居た。先生も魔法少女リリリのお面を着けている。
『旦那達には伝えてある。鮫島は変に動くな』
「お前は突破する事だけを考えろよ」
「はい」
「「させるかよ!」」
相変わらずハモる暗黒面の二人が向かってくる。まずはコイツらを二人で――
「やれやれ……」
すると箕輪ライダーがスッと前に出る。それはいつもの気だるい感じではなく、馴れたように出陣した雰囲気だ。
「――ディ」
箕輪さんがぼそっと何かを口走る。どけや! おっさん! と迫るベ○ダー(佐藤)がガチで箕輪さんに殴りかかり、その横をト○ーパー(田中)が抜ける。普通に障害事件だ!
「カバディ」
今度は、はっきりと聞こえ、次の間には箕輪さんは佐藤の延びきった腕を横に倒れる様にかわして掴み、その勢いで横を抜けようとした田中の身体を反対の手で押して進行を妨害した。
「な!?」
「にい?!」
別々の行動を一挙動で止める箕輪さんにオレを含めて三人で驚愕する。格闘技の動きじゃない。なんだ? アレ。
「ま、まさか!!」
その時、オレらにスマホを向けていた観客の一人が声を上げた。
「『アンダーウォーカー』の箕輪錬治!?」
「え? 誰それ?」
オレは思わず聞き返す。
「アマチュアカバディチーム『アンダーウォーカー』! プロの大会でも最終リーグの常連で最もプロが恐れるチーム! 多種多様に特化した『アンダーウォーカー』のメンバーの中でも【猛獣】の異名を持つ男! それが箕輪錬治だ! 彼の本職は守備だが、一度攻撃に回ると持ち前のパワーとテクニックで敵チームを狩り尽くす、パワーレイダー! 彼を止めるには同体格が二人以上で組み着かなければ止められない! そして、日本の代表選手の一人として新しい! 番号は六番! 通称、世界組の一人ッッッ!!」
解説君の早口のおかげで箕輪さんのもう一つの顔が知れた。この人、本職は弁護士なハズなのに趣味の方でも結構有名なのね。
「ぼさっとすんな~」
箕輪さんは佐藤の手を掴みつつ抑え、田中は起き上がろうとしている最中。オレはその間を抜けた。
「あ! 鳳ィ!!」
「逃がすかぁ!」
ト○ーパー(田中)が横からオレに飛び付く。しかし、箕輪さんに引っ張られたベ○ダー(佐藤)が障害物のようにぶつけられた。
「うげ!?」
「うお?!」
崩れた荷物のようにもつれて転げる二人。箕輪さんは一仕事終えた様に手を、ぱんぱんと払っていた。
カバディってあんまり知らないけど、結構ガチガチに身体を作る必要がある競技なのかなぁ?
と、まぁ後々に調べれば良い知識は隅に起きオレは再度、佐々木君と対峙する。
「少々横槍が入ったけれど……決めようか。俺と君、どっちが彼女を護るにふさわしいかを!」
「あーもう。いいや、うん。それで」
思考の階層がズレてる佐々木君とは会話が成立しないのでオレは適当に返事をするに留まる。
次の瞬間、オレの視界は暗黒に包まれる。
「……」
しかし、佐々木の実力は以外にも高い。アクション俳優なだけあって、それなりに動けるとは思ったが格闘技にも精通しているとは。
「……あたしに出来る事は――」
注目は二人に向いている。あれ? これ今なら逃げられるかな。
「そこまで言う君は彼女にとってなんなんだい?」
しかし、佐々木の質問があたしを釘付けにする。どう思っているのか……あの時……悪夢から目覚めた月の光の下でのやり取りが思い起こされる。
「人は大きな翼を広げて一人で羽ばたいて行くまで見守る奴が必要だ。彼女にとってはそれがオレだ!」
「……ぷっ」
あまりにもクサい台詞に少し笑ってしまった。狐のお面を着けてなかったら見られていただろう。
「――まったく」
そう、彼はそう言う人間だ。そして、心に思わない事は絶対に口にはしない。気を許せる相手になら、思った事を反射的に口にするのだ。
「救い様のない、ばか」
打算の欠片もない言葉。それは昔から何一つ変わらない。だから、あたしの彼に対する気持ちはずっと変わらないのだろう。
「!」
その時、二つの影があたしの横を通り抜けて行く。それは禍々しい程に負のオーラを纏う、ダース・ベ○ダーとストームト○ーパーのお面を着けた二人だ。
「……何あれ?」
その二人は佐々木の側に立つ。彼とは敵対してる様である。
何やら言い争ってる様子に、更に仮面ライ○ーが彼の側に現れた。
何この闇鍋みたいな仮面舞踏会。なんだか、お面を着けてる自分が恥ずかしくなってきた。
その時、スマホが揺れた。取り出すと箕輪先生からだ。何かあった時の為に連絡先は交換してあった。
「先生?」
『悪かったな、鮫島。なんか一人にしたせいでこんなことになっちゃって』
「あ、いえ……先生のせいでは」
『けどホントに良いのか? あの大スターの隣は勝ち組の人生だぞ?』
「興味ありません」
『あっはは。そう言うと思ったよ。何せ、怪人クモ男が迎えにきてるからな』
「……すみません……身内がご迷惑を」
『いやいや、良い人じゃないか。お面を着けてるとは言え、こうも堂々と大衆の面前で見栄を張れるモノじゃない』
「そうでしょうか?」
彼なら普通にやる行動なのであまり意識した事はなかった。
『少し鮫島の事は心配してたんだ。けど彼みたいな人が側に居るなら先生も安心だ』
「――はい」
あたしは先生の言葉に迷いなく返事を返す。
『そんじゃこっちの作戦を伝えるぞ』
「作戦……ですか? 先生は今どこに?」
キョロキョロと見回すと、あるところでスマホを耳に当てて手を振ってる先生が居た。先生も魔法少女リリリのお面を着けている。
『旦那達には伝えてある。鮫島は変に動くな』
「お前は突破する事だけを考えろよ」
「はい」
「「させるかよ!」」
相変わらずハモる暗黒面の二人が向かってくる。まずはコイツらを二人で――
「やれやれ……」
すると箕輪ライダーがスッと前に出る。それはいつもの気だるい感じではなく、馴れたように出陣した雰囲気だ。
「――ディ」
箕輪さんがぼそっと何かを口走る。どけや! おっさん! と迫るベ○ダー(佐藤)がガチで箕輪さんに殴りかかり、その横をト○ーパー(田中)が抜ける。普通に障害事件だ!
「カバディ」
今度は、はっきりと聞こえ、次の間には箕輪さんは佐藤の延びきった腕を横に倒れる様にかわして掴み、その勢いで横を抜けようとした田中の身体を反対の手で押して進行を妨害した。
「な!?」
「にい?!」
別々の行動を一挙動で止める箕輪さんにオレを含めて三人で驚愕する。格闘技の動きじゃない。なんだ? アレ。
「ま、まさか!!」
その時、オレらにスマホを向けていた観客の一人が声を上げた。
「『アンダーウォーカー』の箕輪錬治!?」
「え? 誰それ?」
オレは思わず聞き返す。
「アマチュアカバディチーム『アンダーウォーカー』! プロの大会でも最終リーグの常連で最もプロが恐れるチーム! 多種多様に特化した『アンダーウォーカー』のメンバーの中でも【猛獣】の異名を持つ男! それが箕輪錬治だ! 彼の本職は守備だが、一度攻撃に回ると持ち前のパワーとテクニックで敵チームを狩り尽くす、パワーレイダー! 彼を止めるには同体格が二人以上で組み着かなければ止められない! そして、日本の代表選手の一人として新しい! 番号は六番! 通称、世界組の一人ッッッ!!」
解説君の早口のおかげで箕輪さんのもう一つの顔が知れた。この人、本職は弁護士なハズなのに趣味の方でも結構有名なのね。
「ぼさっとすんな~」
箕輪さんは佐藤の手を掴みつつ抑え、田中は起き上がろうとしている最中。オレはその間を抜けた。
「あ! 鳳ィ!!」
「逃がすかぁ!」
ト○ーパー(田中)が横からオレに飛び付く。しかし、箕輪さんに引っ張られたベ○ダー(佐藤)が障害物のようにぶつけられた。
「うげ!?」
「うお?!」
崩れた荷物のようにもつれて転げる二人。箕輪さんは一仕事終えた様に手を、ぱんぱんと払っていた。
カバディってあんまり知らないけど、結構ガチガチに身体を作る必要がある競技なのかなぁ?
と、まぁ後々に調べれば良い知識は隅に起きオレは再度、佐々木君と対峙する。
「少々横槍が入ったけれど……決めようか。俺と君、どっちが彼女を護るにふさわしいかを!」
「あーもう。いいや、うん。それで」
思考の階層がズレてる佐々木君とは会話が成立しないのでオレは適当に返事をするに留まる。
次の瞬間、オレの視界は暗黒に包まれる。
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