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更なる偶然

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スタスタと玄関に歩いて行くと後ろから焦ったような秋良の声が聞こえてきた。

が、無視してドアに手を掛ける…

はずが突然向こうからドアが開いて体勢を崩す。

しかし

ーーパシッ。

誰かの手が私を支えてくれたことで事なきを得た。

私は転ぶ覚悟で閉じていた目をそっと開き、その手の持ち主を視界に捉えた。

するとそこには驚いた顔でが立っていたのだった。

寺崎秋悠(てらざきあきはる)

彼もまた私と秋良の高校の同級生で、出席番号では私を挟んで秋良とは前後の関係だった。

なので当時は何かにつけ同じグループになっていた。

しかも三人まとめて『シーズンズ』などという不名誉な呼び名で呼ばれていた黒歴史を共有している友達だ。

更に秋良とは『秋秋コンビ』や『ダブル秋』と言われて今も親友同士である。

その秋悠は秋良に用があってこの部屋を訪れていたが、秋良とのスマホのやり取りが途中で途絶えた上に、インターホンも応答がなかったので、心配になってドアを開けたら私が倒れてきたらしい。

恐らく秋良は浮気に夢中になり秋悠とのやり取りを途中で放置したのだろう。

秋良は昔から何かに夢中になるとそういうことをよくやる。

因みにこの部屋のインターホンは数日前に故障していたからこれは不可抗力だ。

要するに秋良は親友が来ると分かっていて、且つインターホンが壊れているにもかかわらずいろいろ我慢ができなかったというわけだ。

まあ秋良らしいといえば秋良らしいが。

こうして私と秋良と彼女と何故かの秋悠も混じってこの浮気について話し合う運びとなったのだった。
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