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え?
何が起きてるの?
何故ルシウス先生が?
そもそも初対面…
とにかく離れなきゃ!!
私は混乱しながらも淑女として当然の結論に達しルシウス先生の胸を力一杯押し返した。
すると意外にもルシウス先生はあっさりと私を解放し、まるで照れているかのようにほんのり赤くなった首筋をぽりぽりと掻いて謝罪した。
「すまない…つい…その…気持ちが先走ってしまった」
「………え?」
しかし私はその謝罪の理由が理解できずつい間抜けな声を出す。
とにかくルシウス先生が全く理解できない。
この人は私を混乱に陥れて何がしたいのだろうか?
発した言葉は間抜けな一言でもその中には様々な思いが含まれていた。
そんな私に気付いたのかルシウス先生は形の良い眉をシュンと下げて
「その…とても残念なことに、君は何も覚えていないようだけど、私と君は今日が初対面ではないんだよ。君が13歳の時に長期間熱を出したことがあっただろう?覚えてるかな?その時に泊まり込みで来ていた王都の先生。あの時君の熱の原因がなかなか分からなくて、当時王都の研究所にいた私に祖母が連絡をしてきてね。ほら、結婚式ごっこしたでしょ?しかしあの時は原因が分かって本当に良かったよ」
と言った。
そう、私は13歳の時に虫に刺されて原因不明の熱に苦しんだことがある。
何日も高熱が続き、困り果てたバロン先生が王都の研究所で最新の医療を研究しているという知り合いの医師を連れて来てくださって…確か随分と若くて美丈夫な男の先生で………あっ!!
私は数年前の記憶の中にいる美丈夫な医師とルシウス先生を重ね合わせた。
そしてようやくこの謎過ぎる状況に理解が追いつく。
当時、熱に苦しむ私にその男の先生は泊まり込みで原因を探してくれていて、その間ずっと私を励ましてくれていた。
そしてある日、私の心がポッキリと折れて、このまま結婚どころか、誰かを好きになることもないまま死ぬのかと泣いた時に、その男の先生は密かに私と結婚式ごっこをしてくれて
『君にとってはごっこ遊びかもしれないけど、僕にとっては本当の誓いだから、いつか僕が独り立ちしたその時は必ず君を迎えに行くよ』
と言ってくれたのだ。
だけど当時の私は先生のその言葉は単なる先生の優しさだと受け止めていて、そのまますんなりと
「絶対よ?約束!!」
と言ったのだった。
まさか今のこれがあの時言ってたその時なの?!
えええぇぇぇーーーーっ!!
思い至った答えに私は心の中で再び絶叫したのだった。
何が起きてるの?
何故ルシウス先生が?
そもそも初対面…
とにかく離れなきゃ!!
私は混乱しながらも淑女として当然の結論に達しルシウス先生の胸を力一杯押し返した。
すると意外にもルシウス先生はあっさりと私を解放し、まるで照れているかのようにほんのり赤くなった首筋をぽりぽりと掻いて謝罪した。
「すまない…つい…その…気持ちが先走ってしまった」
「………え?」
しかし私はその謝罪の理由が理解できずつい間抜けな声を出す。
とにかくルシウス先生が全く理解できない。
この人は私を混乱に陥れて何がしたいのだろうか?
発した言葉は間抜けな一言でもその中には様々な思いが含まれていた。
そんな私に気付いたのかルシウス先生は形の良い眉をシュンと下げて
「その…とても残念なことに、君は何も覚えていないようだけど、私と君は今日が初対面ではないんだよ。君が13歳の時に長期間熱を出したことがあっただろう?覚えてるかな?その時に泊まり込みで来ていた王都の先生。あの時君の熱の原因がなかなか分からなくて、当時王都の研究所にいた私に祖母が連絡をしてきてね。ほら、結婚式ごっこしたでしょ?しかしあの時は原因が分かって本当に良かったよ」
と言った。
そう、私は13歳の時に虫に刺されて原因不明の熱に苦しんだことがある。
何日も高熱が続き、困り果てたバロン先生が王都の研究所で最新の医療を研究しているという知り合いの医師を連れて来てくださって…確か随分と若くて美丈夫な男の先生で………あっ!!
私は数年前の記憶の中にいる美丈夫な医師とルシウス先生を重ね合わせた。
そしてようやくこの謎過ぎる状況に理解が追いつく。
当時、熱に苦しむ私にその男の先生は泊まり込みで原因を探してくれていて、その間ずっと私を励ましてくれていた。
そしてある日、私の心がポッキリと折れて、このまま結婚どころか、誰かを好きになることもないまま死ぬのかと泣いた時に、その男の先生は密かに私と結婚式ごっこをしてくれて
『君にとってはごっこ遊びかもしれないけど、僕にとっては本当の誓いだから、いつか僕が独り立ちしたその時は必ず君を迎えに行くよ』
と言ってくれたのだ。
だけど当時の私は先生のその言葉は単なる先生の優しさだと受け止めていて、そのまますんなりと
「絶対よ?約束!!」
と言ったのだった。
まさか今のこれがあの時言ってたその時なの?!
えええぇぇぇーーーーっ!!
思い至った答えに私は心の中で再び絶叫したのだった。
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