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予期せぬ弔問客③

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かといって、この先どうするのか…。
おれには、他の身の振り方の当てがなかった。
いっそ、夜逃げ同然に村を出ることも考えたが、それはガキのころに失敗している。
村を出て、山を越えるところまでは何とかなっても、関所せきしょで止められる。苦い思い出だ。
そんな風に、あれこれと考えを巡らせている時だった。
「あの…、失礼致します。ご歓談中のところ、大変恐縮なのですが…」
控えめな物言いとは裏腹に、その初老の人物は、その場の視線を一身に集めても微動だにしなった。
身なり良く、のりの利いた燕尾服えんびふく。洗練されたたたずまい。
一目で、どこぞの貴族に仕える執事だとわかる。それも、そこそこ金持ちの。
「これは…、ギルバート殿」
真っ先に神父が応対する。
「ニール神父。…ジム・ブラウン氏の葬儀はもう…?」
「ええ、今しがた…。ベル、こちらは、ギルバート殿。今朝、君のお父上の遺体を発見してくださった…」
「…どうも」
「ご子息の方でしたか…、これは失礼を。本日は、あるじ名代みょうだいで参りました」
この度は、まことにご愁傷様です…と、深く頭を下げる。
あるじに代わり、このわたくしめがお悔やみ申し上げます」

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