日記

とぎクロム

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日記

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ー日記にはこう書いてあった。

人生とはなんであるか。
それが、私の長年の問いであった。
もしかすると、一生わからずじまいに終わるかもしれない。
だが、当時の私には、生きる理由はなんでもよかった。
そのためならば、どんな屁理屈もこねたし、また、どんな言い訳さえ、こさえてみせた。
「きみは生きるのに必死過ぎる」友人の羽柴はそういって笑った。
「そういうきみは、生きるのが下手だね」と、言ったら、羽柴は下唇を突きだして、だまりこくって口をきかない。あぐらをかいたひざをゆらゆら揺すって、何かいいたそうに俯いている。
私はおかしくなって「すまない」といった。
「いいさ。ほんとうのことだもの。まったくいやになるよ。自分に呆れてしかたがない」
天井を仰いで涙声で話す彼に、私はかける言葉をみつけられないでいた。
そうして、しばらくふたりしてだまりこくって、無口な時間を過ごして、その日は彼と別れた。
あのとき、気のきいたことが言えたなら、と、その晩布団の中で後悔した。

元来、私は卑怯者です。
偽善者です。
父や母と同じなのです。
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