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20.親友と兄の温度差がひどい

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 外見の色で、両親が判明してしまうのも悲しいわね。メレディスの金髪碧眼なら、貴族に珍しくない。でもピンクがかった金髪で、もう母親が特定できた。その上、瞳の色も赤に近い。両方とも聖女リリアンの色だった。

「仕方ないわ」

 運が悪かったのよ。本来は生き返れないところ、手近な器に入ってしまったんだもの。本来の二人の子を押し出した意味で、私はしっかり復讐したのかもね。相手に届いてないけど。

 私とメイベル様の間にある椅子に落ち着いたにぃには、のんびりとお茶の香りを楽しんでいる。いいわよね、先に復讐したんだもの。その辺の話は、絶対に聞き出してやるんだから! 私だって復讐したかったわ。

「私が産んであげられたら良かったのですけれど」

「それ、ママ……じゃなくて、お母様にも言われたわよ」

 気安い昔の感じで会話が進むのが嬉しい。やっぱり結婚してないんだな。そう思ったところで、思わぬ爆弾発言があった。

「婚約したのは、昨年なんですの。もしあの時点で婚約していたら、婚前交渉も可能だったのですが」

 うっかり相槌が打てず、手元のお茶に口をつける。ここはまず婚約のお祝いからね。後ろの問題発言は聞かなかったことにしよう。

「おめでとうございます、メイベル様」

「ふふっ、ありがとうございます。彼の妹であるグロリア様に祝っていただけると本当に嬉しいわ。それで提案なのですけれど、義姉妹になるのですから、この際「様」を外して呼び合いませんこと?」

「義姉妹?」

「ええ、義理の姉妹のことですわ。私とキース様が結婚するので、グロリア様は義妹になるでしょう?」

 さも当然とメイベル様は語る。プラチナブロンドと呼ばれる、銀髪とも違う柔らかな白金髪に青い瞳。美しい唇が弧を描いて、義姉妹について説明していく。私だって単語くらい知ってるけれど、そうじゃなくて。

「……え、あ、うん」

 私の奇妙な反応に、彼女は目を見開いた。間に座るにぃにを振り返り、唇を尖らせた。

「まさか、まだお話ししてなかったんですの?」

「あ、ああ……ちょっと家族内でいろいろ立て込んでいて」

 主にママの言動よね。いきなり屋敷の改装したり、買い物で街へ出たり、端折りながら過去話で夜更かししたわ。ママがいると、にぃにが発言する隙はなかった。

「初耳だけど、にぃに……じゃなくてキースお兄様とメイベル様が結婚で間違いない?」

「ええ、間違いないわ。にぃにとかママって呼び方、可愛いわね」

 満面の笑みで肯定する親友と、叱られたのに嬉しそうな兄の顔を見比べ、なるほどと思った。これはにぃにが惚れて婚約を申し込み、私と姉妹になれると喜んだメイベル様が頷いたパターンね。やっとにぃににも春が来た! ここは妹として応援するしかない。

「じゃあ、結婚したらメイベル様を「ねぇね」と呼ぶね」

 笑顔を添えてサービスしたら、メイベル様がくらりと背もたれに倒れ込む。

「可愛いのも罪ね」

 よく分からないので、笑顔で頷いておいた。
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